07/06/19 新時代第8回本部幹部会
新時代第8回本部幹部会・青年部・学生部幹部会でのスピーチ
一、さあ、合唱を聴こう。みんなで！
〈総愛知の婦人部の仲良合唱団、女子部のゴンドラ合唱団が「今日も元気で」「この道の歌」を歌い上げた〉
素晴らしい！ 中部、おめでとう！（大拍手）
私は、中部のことが、いつも気がかりだ。東京と関西は目立つが、その間にある中部には注目しない人も多かった（笑い）。
しかし、中部は伸びている。本当に頑張っておられる。
中部は勝った！（大拍手）
どうか、皆で団結して、新しい中部をつくっていただきたい。
信心の世界は、峻厳である。真剣に戦う人が、最後は必ず勝利する。
我らの「道」は「広宣流布の道」「人間革命の道」である。これほど尊貴な人生はない。
何をするにも、力強い生き方、見事な行動を貫いていくのだ。
きょうは、皆とともに「中部、万歳！」と叫びたい。
中部は、日本の国の、一番、“中部”にある。真ん中が盛り上がることが大事だ。
皆で、中部を応援しよう。中部から、立派な人材が陸続と出ることも、心から期待している。
ともあれ、中部の皆さん、ようこそ！ ようこそ！（大拍手）
一、我らは「王者の集い」である。
いつもお腹をすかしているような姿ではなく（笑い）、堂々たる王者の風格をもって進んでまいりたい。
わが青年部の幹部会、おめでとう！（大拍手）
戸田先生は言われた。
「青年部がしっかりしていれば、創価学会は永久に発展する」
事実、私も、戸田先生のもとで、一青年として戦った。
牧口先生のもとには、青年の戸田先生がおられた。
牧口先生の時代も、戸田先生の時代も、多くの幹部が退転した。
ゆえに、お二人とも、「大事なのは青年部だ」と見つめておられた。
次代を担うのは、青年である。青年部で、すべては決まる。未来が決まる。これは絶対に間違いない。
戸田先生は、徹底して青年部を鍛えられた。その代表が私である。
私は、これほどの偉大な学会を築き上げた。邪悪な敵も、すべて打ち破った。
この「戦う心」が青年なのだ。
きょうは、青年部の集いである。これほど、うれしいことはない。
また、学生部は、ちょうど結成５０周年。不思議なリズムだ。
今年は新しい出発の年なのである。
一、遠く海外から県秀に来られた南アフリカの皆様！
ブラジルの皆様！
アメリカの皆様！
フィリピンの皆様！
韓国の皆様！
台湾の皆様！
１７カ国・地域の同志の皆様！
おめでとう！ 本当にご苦労さまです。ありがとう！（大拍手）
また、きょうは、アメリカ創価大学の秀才、英才の皆さんも参加されている。私は、うれしい！（大拍手）
どうか、お帰りになったら、皆さんによろしくお伝えいただきたい。
また、愛知の同志、埼玉の同志、神奈川の同志の皆様！
ご苦労さま！ ありがとう！（大拍手）
未来を展望しても、この三つの地域は、要（かなめ）となる大事な地域である。
ともに勝鬨（かちどき）をあげながら、勢いよく前進してまいりたい。
一、先ほど、香港ＳＧＩ（創価学会インタナショナル）の李剛寿（りごうじゅ）理事長から報告をいただいた。
それは、中国の二つの大学に、新たに“池田研究所”が設立されるという連絡である。
まず、広東（かんとん）外語外貿（がいぼう）大学には、「池田大作思想研究室」。
さらに韶関（しょうかん）学院には、「池田大作教育思想研究所」が設立される運びとなったというのである（大拍手）。
これで、世界の学術・教育機関の“池田研究所”は「２１」を数える。
学会は、「創価教育学会」として誕生した。こうした教育機関からの、創価の思想に対する評価を、初代会長の牧口先生が、また、戸田先生が、どれほど喜んでおられるだろうか。
「これまで、これだけの研究所が設立された日本人はいない。いな、世界でも稀有であろう。日本の誇りである」と、ある大学者からも感嘆の声が寄せられている。私自身のことで恐縮だが、後世のための記録として紹介させていただいた。
一、大中部の「仲良合唱団」「ゴンドラ合唱団」の皆さん！
素晴らしい歌声、重ねて、本当にありがとう！（大拍手）
中部の方々が元気に来てくださり、私はうれしい。きょう、中部の皆さんの歌声も、久しぶりに耳にすることができた。
元気に、張り切って、人生を生きるのだ。「張り切った声」が、「広宣流布の声」なのである。
皆様には、「本物の中部」をつくっていただきたい。総中部長の大野君をはじめ、皆で真剣に、大中部を建設してほしい。
絶対に、権威の人間に威張られてはならない。学会員に馬鹿馬鹿しい思いをさせてはならない。
ともかく、きょうは合唱団も、創価グロリア吹奏楽団も、本当にありがとう。これからの中部の発展の響きが感じられました（大拍手）。
一、中部の皆様の歌声には、どれほど多くの人々に、希望と勇気を贈ってこられたことか。
今から１４年前、アメリカを代表とする宗教学者であるニコラス・ガイヤ博士が、中部文化会館を訪問された。その時、ちょうど、「仲良合唱団」の皆さんが練習をされている最中だった。
ガイヤ博士は、中部の女性たちの合唱に、心から感動された。
我らの声は、人を感動させる声でありたい。
そして、生命（いのち）の底から発散する。敵を倒す。そういう迫力ある声でなければならない。「声仏事を為す」（御書７０８ページ）である。
名古屋、愛知、そして中部の友は、堂々と進むことだ。歌であれ、何であれ、堂々と、胸を張って！
この人生を、生ききるのだ。わが胸に、黎明の太陽を昇らせながら！
仲良合唱団、ゴンドラ合唱団、万歳！（大拍手）
さて、このガイヤ博士は、アイダホ大学の講義で、私の著作である『私の仏教観』を、３０年にわたり教科書として使ってこられた。
博士は、中部の合唱団の歌声を聴いて、創価学会の思想と運動が、本物であると確信された。
博士は、つい先日も、ボストン２１世紀センターの代表である横田君に、こう語っておられた。
「私は、名古屋で、婦人部のコーラスを聴いた時の感動を、今でも忘れることができません。
啓発に満ち、ともに手を携（たずさ）えながら、素晴らしい音楽を生み出しておられる姿に、心から共感したのです。
それは、まさしく創価学会の尊き姿を、外に向かって示すものであると思いました」
ガイヤ博士は、世界の宗教と紛争について、重要な研究を進めておられる。
博士は、ＳＧＩの価値を重視し、強調されている。
「仏教を基調とした人間主義の宗教として、ＳＧＩは、平和への最も理想的な道筋を示されています。
宗教が暴力の原因となるのは、その思想の排他性、独善性にあります。
しかし、ＳＧＩは、池田会長の思想性によって、それを乗り越え、平和の宗教へと成熟を遂げておられます。
ＳＧＩ会長の、他の思想を受容する開放性、人間主義の思想こそ、最も重要なものであり、その見識に、心からの敬意を表します」と。
ともあれ、世界は、心からの信頼を込めて、創価の思想を、創価の行動を見つめている。時代は変わったといえよう。
一、今年の４月、私は、皆様方を代表して、アメリカの名門ウィスコンシン大学ミルウォーキー校から「名誉人文学博士号」を拝受した。
〈現在まで、名誉会長は世界から２１５の名誉学術称号を受章。決定通知を含めると２３５〉
このたび、このミルウォーキー校から、重ねてご連絡をいただいた。
それは、「ガンジー・キング・イケダ――非暴力による世界変革の業績」をテーマにした授業が開始されることが決定した、との知らせであった（大拍手）。
アメリカの同志も、皆、喜んでくださっている。
一、昭和３１年の「大阪の戦い」。青年部の皆さんは、まだ生まれていない（笑い）。
ゆえに、この「常勝の原点」を語っておきたい。
私が一人立ち上がり、指揮を執った大阪は、１ヶ月、１支部で、「１万１１１１世帯」の弘教の金字塔を打ち立てた。
戸田先生の晩年である。
先生のいらっしゃる間に歴史をつくりたい――この一念で、猛然と戦った。不可能を可能にするのだと。
広布の勝利へ、師弟の呼吸は、ぴったりと一致していた。
そして、当時の新聞が「“まさか”が実現」と驚嘆したほどの熾烈な戦いを制したのである。
「大作、ありがとう」――先生は、私に何度も言われた。
一番大変な時に、一番大変なところで、師匠を守る。勝利する。これが師弟だ。だれが見ていなくとも、御本尊はお見通しである。
戸田先生、そして牧口先生を、世界的な英雄として宣揚し、歴史に残したのも私である。
口ではない。弟子ならば、現実の上で、勝利の証しを残すのだ。
どうか皆さんは、２１世紀の「創価の金字塔」を断固、打ち立てていただきたい（大拍手）。
一、わが愛する、イタリアの大詩人ダンテ。
皆様も、よくご存じであろう。
イタリア・ルネサンス文学の先駆とも言われ、作品には、詩文集の『新生』、哲学書の『饗宴』、自らの政治理念を記した『帝政論』などがある。
そして、最晩年まで書き続けて、完成させたのが、世界文学最高峰の傑作『神曲』であった。
先日、学生部の友が『神曲』を届けてくれた。ちょうど、私が読み返したいと思う本をもってきてくれた（笑い）。
『神曲』は、「師弟の旅」として始まる。
師匠は、ローマの大詩人ウェルギリウス。
弟子は、青年詩人ダンテ――。
大詩人の師匠が、苦悩する若き弟子を厳しく、温かく励まし、人生の正しい道へと導く。
「怖れるな、わたしが君を導くかぎり」と語りかけている（寿岳文章訳『神曲�粁�獄篇』集英社）。
人生の究極を見つめた大哲人ダンテ。『神曲』に謳（うた）われるように、すべてを貫くのは師弟である。親子よりも深い、永遠性をもっている。
さらに『神曲』では、邪悪を厳しく裁き、断罪している。
“堕落の原因は傲慢である”と。
〈「堕落の原因はすでにおん身が見たごとく、宇宙の一切の重みによって圧せられている者の呪うべき傲慢であったのである」（野上素一訳、筑摩書房〉
一、じつは、ダンテの生涯は、最愛の人と死に別れ、愛する故郷を不当に追放されるという、苦難の連続であった。
正義の人は皆、苦難と戦っている。何もかも順調などということは、ありえないものだ。
ともあれ、ダンテを語らずして、詩を語ることはできない。
ダンテは難解だと言われる。たしかに、そうかもしれない。しかし、仏法の眼（まなこ）から見るとき、一重（いちじゅう）、深く理解することができると私は思う。
私は１９８１年（昭和５６年）の６月、青年たちと、フィレンツェにある「ダンテの家」を訪れ、さまざま語り合った。懐かしい思い出である。
光栄なことに、ダンテが生まれたフィレンツェ市から、最高栄誉の「平和の印章」と、世界の第一級の文化人に贈られる「フィオリーノ金貨」をお受けした。
ダンテが学んだ世界最古の総合大学・ボローニャ大学からは名誉博士号を受章し、記念講演を行った。
〈名誉会長は、同大学のほか、フランス学士院や米・ハーバード大学など、世界１８カ国・地域の大学・学術機関から招かれ、これまで３２回の記念講演を行っている〉
将来のために、世界に「平和の種」をまいてきたつもりである。
一、ここで、大詩人の言葉に耳を傾けたい。
ダンテは言う。
「世界は、そのうちに正義が最も有力であるときに、最も善く傾向づけられてある」（中山昌樹訳「帝政論・書翰集」、『ダンテ全集第８巻』所収、日本図書センター）
だからこそ、正義は力がなければならない。正義が勝たなければ、大変なことになる。
ダンテは、こうも述べた。
「他のものらを最も善く傾向づけようとするものは、かれ自らを最も善く傾向づけねばならぬ」（同）
皆をリードしようとするならば、まず自分がやる。手本を見せるのだ。それが仏法の生き方である。
そして『神曲』には、こうある。
「上に立つ人の行ないの悪さこそが／世界が陰険邪悪となったことの原因なのだ」（平川祐弘、河出書房新社）
その通りである。
私は、牧口先生、戸田先生の清浄なる精神を厳護し、受け継いだ。
その精神を守り、同志を守り抜く――これこそリーダーの責務である。
一、ドイツの詩人ハイネは述べている。
「私の声をお前らに聞かせてやる、雷鳴の叫びを、天の轟きを」「権力者の殿堂なんか震えるだろう、坊主の伽藍（がらん）なんか倒れるだろう」
声の力がどれほど大きいか。敵を震撼（しんかん）させるほどの強い声を発していくことだ。
日顕宗の坊主たちは、それはそれは悪辣（あくらつ）だった。莫大な供養をさせて、最後は学会を切った。真心を裏切った。
御聖訓に照らし、永劫に仏罰を受けることは間違いない。
一、きょうは各地の代表が参加しておられる。本当によく来てくださった。ご苦労さま！（大拍手）
アメリカの詩人ホイットマンは述べている。
「本領を発揮するのはこれからだ」「究極の勝利を勝ちとる戦士として立ち上がってみせる」
勝つために戦う。ともに立ち上がる。それが同志である。
そして、究極の勝利とは「自分に勝つこと」である。
ドイツの詩人シラーは述べている。
「力の闘争は偉大なるものを作り、力の結合はより偉大なるものを作り成す」（木村謹治訳「詩抄」、『シラー選集（一）』所収、冨山房）
闘争しなければ偉大なものはできない。人間も、一族も、永遠性においても――。
だからこそ、仏法は勝負である。戦いである。
そして、異体同心の団結が重要だ。
学会の中で、皆と力を合わせて広宣流布に進むならば、自分に永遠の福運がつく。
社会にあっても、どんどん力を発揮していける。偉くなっていける。
やろう！〈会場から「ハイ！」との元気な返事が〉
一、古代中国の文人・揚雄（ようゆう）は記している。
「師とはいかにも大切なものだな」「自分一人で頑張るより、良師を求めることに精出したがよい。師とは人の模範である」（鈴木喜一著『法言』明徳出版社）
「真に尊敬すべき師は、根本の大事を知っている人である」（同）
仏法の根本は師弟だ。
御書に仰せの通りに、広宣流布のために命をかけて戦う。学会のため、師匠のために戦い抜き、勝利の結果を残す。
その人こそ、真実の弟子である。本当の広宣流布の指導者になることができる。私は戸田先生の後を継いで、一人、そうやって戦ってきた。
ゆえに、学会は、私以外に師匠はない。後世のために、あえて明確に申し上げておきたい（大拍手）。
戸田先生は、“皆が選挙をしても、私が選んでも同じ人になる。そうでなければ本物の指導者ではない”と語っておられた。重要な指針である。
また、戸田先生は述べておられた。
「学会は、人材を日に日に抜擢（ばってき）せよ！」
人材をどんどん作れ！ 探せ！――先生はこう訴えておられた。このことを忘れてはならない。
あそこにいい人材がいる――そう気づいたら、すぐに手を打つことだ。励ましを送ることだ。
ただ会議ばかりやっている。自分は動かない。それでは本当の戦いはできない。人材は育たない。
先生は、こうも言われた。
「今は実力主義の時代である。ゆえに、人材がどんどん出てくるのだ」
人材を生かせない。伸ばせない。そういう硬直した組織であってはならない。
先生は指導された。
「傲（おご）り高（たか）ぶった人間は最低の人間である」
そういう人間は叩き出せ！ そう厳しく言われていた。
また、こうも述べておられた。
「決して人を侮（あなど）るな！ 人を陥（おとしい）れるな！ 増上慢になって人を蔑（さげす）むな！」
「福運を消し、自分自身をも破壊する慢心の振る舞いだけは、絶対にあってはならない」
遺言ともいうべき、ご指導であった。
一、創価学会の第２幕が開（あ）けた。
これからの大いなる発展のために、大事な力は何か。
それは「青年の声」であり、「女性の声」である。この二つを今まで以上に、大切にしていくことだ。
私も、戸田先生の時代から「青年の声」を大事にしてきた。
また、「女性の声」を大切にし、女性が男性と同じように、もてる力を発揮できるよう、心を砕いてきた。
女子部・婦人部の活躍があったからこそ、今日の学会の発展があるのである。
戸田先生は指導しておられた。
「学会をよくするためには、どんなことでも、勇気をもって上に言い切っていきなさい。そして上の人間は、そうした正しい意見をよく聞いていけ！」
「自分の意見で、上の幹部を心から動かしていける人こそ、偉いのだ。力があるというものだ」
皆さんも、そうした力ある一人一人になっていただきたい。
一、このほど、わがアメリカＳＧＩが、新しい３つの方面体制となる。
「東部」「中部」「西部」の３方面である。
新出発、本当に、おめでとう！ 頑張れ！（大拍手）
アメリカが、日本をはじめ世界の広宣流布をリードしていくのだ。
本部があるロサンゼルスを擁（よう）する西部、そして東部も、中部も、さらに勢いを増し、人間主義のスクラムを大きく広げていただきたい。
青年部も、新しいリーダーが誕生した。
青年部長は、ハーマンさん。私と、最初に会ったのは、何歳の時か、覚えていますか？
〈「６歳の時です」とハーマン青年部長〉
そうだ！ よく覚えていますね。
〈ハーマン青年部長は「覚えています。先生が私の永遠の師匠であると決めたのは、その時でした！」と〉
また、男子部長は、ガウアーさん。
アメリカ創価大学の栄光の１期生。ハーバード大学の大学院で学んだ秀才である（大拍手）。
アメリカ創価大学の発展にも、これから総力をあげていきたい。
そして、女子部長は、ショーさん。
ハリウッドで活躍する映画女優で、鼓笛隊の出身。やはり、基礎から訓練を受けてきた人は、土台がある。どこか、光っている。
〈ここで、ショー女子部長に名誉会長夫妻からレイが贈られた。名誉会長は「お幸せに！」と励ました〉
かつて、ショーさんのお父さんは、私がトインビー博士と対談した際にも、役員として警護に当たってくださった。功労の同志を、私は決して忘れない。
〈立ち上がったショー女子部長が、「アメリカの青年部は永遠に先生をお守り申し上げます！」と誓いを述べた〉
アメリカをはじめ、世界の広宣流布は、ついに希望の「第２幕」が開（あ）けた。それを、私は高らかに宣言したい！（大拍手）
一、御書には、師弟一体の言論闘争がとどめられている。
大聖人が御代作された「滝泉寺（りゅうせんじ）申状（もうしじょう）」。そこには、弟子の叫びとして、こう記されている。
「国の宝は外に求めるべきではない」（御書８５０ページ、通解）
大聖人こそが、真の国宝ではないか！ そう訴えているのである。
さらに「仏教の経典には『国に聖人がいれば、天は必ず守護する』とある」「聖人が国にいることは、日本国にとって大きな喜びである」（同）と堂々たる主張を展開している。
安穏の社会を！
平和の世界を！
それこそ、大聖人の願いであられた。
その御心のままに、創価学会の初代、２代、３代の会長は、三類の強敵と戦い、大難を受けながら、「立正安国」の行動に徹し抜いた。
隣国から、そして世界中から、信頼され、賞讃される、偉大なる創価学会になった。心ある知性の方々から、学会は“日本の宝”、いな“世界の宝”であると、大きな期待が寄せられているのである（大拍手）。
一、私は一民間人として、ただ戦火なき世界のために、友好の道を、勇気をもって切り開いた。
なかでも冷戦の時代、中国とソ連に幾度となく足を運んだ。両国に横たわる不信を破り、信頼に転じたいとの一心からであった。
１９６０年（昭和３５年）ソ連と中国の対立が表面化する。
６９年（昭和４４年）には国境で激しい軍事衝突が起こった。この年の９月にソ連のコスイギン首相と中国の周恩来総理が北京空港で会談し、当面の危機は回避された。
しかし、これ以降も、国境には、双方とも大規模な兵力を配備し、両国の緊張関係が続いた。
７２年（昭和４７年）、アメリカのニクソン大統領が訪中し、米中の友好が前進。さらに日中の友好も伸展するなか、かえってソ連は危機感を募（つの）らせる。
一方、中国では、７３年（昭和４８年）の８月、共産党大会で、“ソ連の不意の襲撃に備えよ”と脅威を指摘。
中国とソ連は、互に疑心暗鬼で、非難合戦を繰り返していた。
一、私が、初めて中国を訪問したのは７４年（昭和４９年）の５月。
北京の中学校や市街地で、多くの市民が、ソ連の攻撃に備えて、防空壕を建設する姿を目の当たりにした。
続いてこの年の９月にソ連を初訪問し、コスイギン首相と会見。
私は、単刀直入に質問した。
「ソ連は中国を攻めるつもりがあるのですか」
首相は答えた。
「ソ連は中国を攻撃するつもりも、孤立化させるつもりもありません」
「それを中国の首脳に、そのまま伝えてよろしいですか」
「結構です」――。
この年の１２月、私は、��小平（とうしょうへい）副総理と北京で会見した。
そして、ソ連の意向を、中国側に率直に伝えた。
周総理と忘れ得ぬ語らいを刻んだのも、この時の訪中であった。
その後、両国の関係は、次第に修復。
８９年（平成元年）５月、ソ連のゴルバチョフ書記長が北京を訪れた。
中ソの首脳会談が開催され、ついに両国関係は正常化したのである。
ご存じの通り、現在、ロシアと中国は、固い協力関係を結んでいる。
友好の新時代を開くために、私なりに尽力してきた（大拍手）。
一、中国の南開（なんかい）大学・周恩来研究センターの孔繁豊（こうはんぽう）所長が、次のように記しておられた。
「池田名誉会長から、その話（中国を攻撃しないというソ連の意向）は、��副総理はじめ中国首脳に伝えられた。周総理はこの情報を知り、非常に重視したと私は分析している」
「名誉会長を通じてソ連の態度を知り、周総理は『中ソ開戦はありえない』との確信を深め、国家の再建計画を大胆に実行することができたのだ」
気鋭の学究者の言（げん）を、お伝えしておきたい。
一方、かつて在日ソ連大使館の参事官を務められたクズネツォフ氏は、こう述べている。
〈氏は、名誉会長の第１次訪ソの時の参事官。長年にわたり日ソの交流の実務的なパイプ役を務めた〉
「あの難しい時期に、あれだけの短期間に、民間レベルで、ソ連と中国の両国首脳と会えるような人物は、日本のみならず、どこを探しても見つからなかったと言えるでしょう。
しかも、ただ会っただけではない」
「あの時の正常化への行動がなければ、現在のような幅広いロシアと中国の関係の発展はなかったと私は思うのです」
一級の識者は、真実を鋭く見ている。
歴史の重要な証言として残させていただく（大拍手）。
私は道を開いた。同じ人間として心を結び、平和への道を開いた。これもすべて、戸田先生から教わったことである。
一、先ほども紹介したが、きょうは、南アフリカから、ブレイスウェト理事長はじめ代表の皆さんが参加してくださっている。
ご苦労さまです。ありがとう！（大拍手）
尊敬する南アフリカのマンデラ前大統領とも、私は親しく友情を結んできた。これまで２度、お会いしている。
最初の出会いは、１９９０年（平成２年）の１０月。２７年半の獄中闘争を経て、出獄されてから、８ヵ月後のことであった。
穏やかな笑顔の奥に、鋼鉄の意志が光っておられた。
さらに氏が南アの大統領になられた後の９５年７月にも、元赤坂の迎賓館で再会を果たした。
いずれも忘れ得ぬ出会いである。
〈マンデラ氏は、南アフリカの黒人解放運動の大指導者。
青年時代にＡＮＣ（アフリカ民族会議）に入り、アパルトヘイト（人種隔離）との戦いに参加。６２年（昭和３７年）８月に逮捕。終身刑の判決を下される。
２７年半――約１万日に及ぶ獄中闘争を、氏は耐え抜いたのである。
氏が名誉会長のことを知ったのも、この獄中であった。獄中で読んだ雑誌に名誉会長の英訳のエッセーが紹介されていたのである。
それは、「青年への希望」を記したエッセーえあった。
９０年２月１１日に出獄。その年の夏、来日を前に、ＡＮＣの東京事務所を通じて、マンデラ氏のほうから、名誉会長に「お会いしたい」との意向が伝えられた。
そして迎えた１０月３１日――。
最初の会見は、突き抜けるような、秋晴れの日であった。
「ビバ！ マンデラ！」――大歓呼がひびくなか、信濃町の聖教本社の前庭で、青年部の代表５００人とともに、名誉会長が真心から出迎えた。
創価大学の学生たちが、南ア人民の愛唱歌「オリサッサ・マンデラ」の歌を披露。眼を細めて感銘深く聴き入るマンデラ氏の姿が印象的であった。
氏の到着を待つ間、名誉会長は、青年たちに語った。「人間、だれが偉いのか。権力の悪と戦った人こそが偉大なのです。その代表がマンデラ氏です」と。
民衆のために、正義の勝利のために――会った瞬間から、心と心が通い合った。語らいは弾み、あっという間に予定の時間が過ぎていった〉
一、初めての会見を終える際、マンデラ氏は、このようにおっしゃった。
「私たちがきょう、ここで得た最大の“収穫”は、名誉会長の英知の言葉です」
「名誉会長のお話をうかがい、私たちはこの場所を訪れた時よりも、より良き人間になって、ここを去っていくことができます。名誉会長のことを私は決して忘れません」
“人権闘争の巌窟王”の真実の言葉として、この証言もまた、学会のために、後世のために、明確に残させていただきたい（大拍手）。
また会見の日の夜、マンデラ氏は、駐日外交団主催の歓送会に出席された。
ここで、スピーチされ、概要、次のように言われた。
――日本政府の対応には失望したが、きょうの午後、日本最大の仏教のリーダーを訪れた。アフリカの音楽で歓迎を受け、英知の言葉、激励のメッセージまでいただいた。それを、わが同胞に持ち帰り、伝えたい、と。
さらにマンデラ氏は、私との会見の後、当時のザンビアのズル駐日大使に、次のように感想を語られたとうかがった。
「池田ＳＧＩ会長との会見は、日本のみならず、アジア各国の訪問のなかでも、最大の思い出になりました。
有意義な会見はもとより、学生たちによる真心からの歌の歓迎を受けた時、私は涙が止まらなくなるほど、心から感動しました。
あのような素晴らしい青年たちを育てられた池田会長の教育と、その理念に深く感銘したのです。池田会長は世界的な英知の人格者です」
すべて、ありのままをお伝えしておきたい。
ありのままを知ることが重要であり、一番の皆さんの力になるからだ。
さらに、マンデラ氏の側近の主治医の方が、会見後、「疲労のどん底にあったマンデラ氏が、あんなにも元気になりました。名誉会長の激励に心からお礼を言いたい」と、喜んでおられたことも重ねて報告させていただく（大拍手）。
私が誠実の心で広げてきた対話を、世界は、きちっと見ている。
その意義を正しく評価してくださっている。
すべては、学会への信頼となり、皆様への信頼となっていることを確信していただきたい。
そして堂々と、誇り高く、自信を持って、創価の正義と真実を語り抜いていっていただきたい！（大拍手）
一、世界の知性の言葉を贈りたい。
まずは、１６世紀フランスの思想家モンテーニュが書き留めた、古代ギリシャの賢人アポロニオスの言葉――。
「嘘をつくのは奴隷のすること、真実を言うのは自由人のすること」（原二郎訳『エセー』岩波文庫）
その通りである。
アポロニオスが活躍したのは、西暦１世紀ごろ。
新ピタゴラス派の哲人であり、インドなどへ求道の旅を続けたことで知られる。皇帝ネロなどの迫害にも屈しなかった。
次に、「スイスの聖者」とも仰がれた、１９世紀の思想家ヒルティ。
代表作には『幸福論』『眠られぬ夜のために』などがある。
法学者としても高名で、大学の総長、政治家としても活躍した。
その著作『眠られぬ夜のために』にこうある。
「人間のもっとも悪い性質は、ねたみと虚栄心である」（草間平作・大和邦太郎訳、岩波文庫）
歴史を振り返れば、本当に「正しい人物」が、醜いねたみによって、また、権力者の虚栄心のために、どれだけ迫害され、苦しめられ、貶（おとし）められてきたか。
また、それを傍観したり、あざ笑う人間が、どれほど多かったか。
そんな不正義の時代は、断固として終わらせなければならない。
「正義」が「正義」として認められ、尊敬される、新しい時代を、新しい世界をつくらねばならない。
私は、その先頭に立って戦いたい。
そのためにも、力ある指導者をつくりたい。もっと青年部も育てたい。青年部の諸君、よろしく頼むよ。〈「はい」と大きな返事が〉
たとえ私自身がどうなっても、創価学会だけは、盤石につくりあげて、後を継ぐ諸君に託したいのである。
それが牧口先生、戸田先生への私の恩返しであるからだ。
一、結びに「撰時抄」の一節を拝したい。
「教主釈尊が記して言うには、『末法の悪世に法華経を弘通する人を悪口罵詈（あっくめり）等する者は、仏を一劫という計り知れない長遠（ちょうおん）な期間、あだむ者の罪よりも、百千万億倍以上の罪を得る』と、説いておられるのである」（御書２６５ページ、通解）
尊き広宣流布に進みゆく人をいじめたりすれば、どれほど厳しい仏罰を受けるか。
その現証は、皆様がご存じの通りである。
一、きょうは「学生部結成５０周年」の意義ある幹部会となった。信頼する学生部の諸君、未来をよろしく頼みます！
一、どうか、師弟の「原点の月」である７月に向かって、頑張っていきましょう！
自分のために！
わが家のために！
わが友人のために！
そして、仏意仏勅の学会の勝利のために！
「創価学会、万歳！」と皆で叫びたい。
長時間ありがとう！ サンキュー！ 本当にご苦労さまでした！（大拍手）
（２００７・６・１９）
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2007年08月13日(月) 13:05:33 Modified by hakata_dan