第一句集の題名『海燕』は、夫・豊次郎氏と最後の旅をした上海の霧の港に停泊中の船の帆に羽を休めていたたくさんの燕(つばめ)の事なのです。


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此処には橋本多佳子様の第一句集『海燕』(昭和16年発行)の句を載せていきます。

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句集 ・ 海燕

      【 句 集 ・ 海 燕 】


野路ゆきて華鬘つ
曼珠沙華火立の花
曼珠沙華折りたる
曼珠沙華咲きて
送り火が並び浦曲
浦人の送り火波に
おぼえなき父のみ
月光にもゆる送り
わが袂磯砂にある
月の砂照りてはて
月照りて野山があ
龍舌蘭夏天の銀
龍舌蘭旱天の花
龍舌蘭の花日輪を
高き葉ゆ蜥蜴の尾
龍舌蘭灼けたる地
龍舌蘭咲きて大き
波乗りに暮れゆく
波に乗れば高波空
波に乗り陸の青山
波に乗れば沖ゆく
波乗りに青き六連
白波の沖よりたて
ひぐらしや絨毯青
花葛の濃きむらさ
山荘やわが来て葛に…
月見草闇馴れたれ
高波のくだくる光
月見草雲の夕焼が
月見草地の夕焼が
若人等幾日ぞ南風
練習船白南風の帆
南風の船並み帆の
練習生帆綱の上ぞ
白南風や練習船
帆を統べて檣は南
百千の帆綱が南風
南風つよし綱ひけ
積雲も練習船も
フレップの実はほろ
フレップの崖なき
樺を焚きわれ等迎
波荒く港といへど
船航くに北海夏の
霧の港北緯五十
東風寒く海女も去
東風寒く海女が去
海女の髪春潮に漬
若布(め)の底に海女ゐる光り目をこらす
わがために春潮深く
若布は長けて海女ゆく底ひ冥かりき
春潮のさむきに海女…
春潮を着きけり志摩…
陵王に四方の庭燎の…
枯芝に万歳楽は尾を…
アベマリア秋夜をね…
海彦のゐて答へゐる…
わがまつげ霧にまば…
鹿啼きてホテルは夜…
硬き角あはせて男鹿…
わが行けば露とびか…
曇り来し昆布干場の…
公卿若し藤に蹴鞠を…

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