最終更新: hasimototakako4 2008年12月14日(日) 21:49:44履歴
(読み方:ばんりょくやわがぬかにあるてつごうし)
多佳子は8年前に亡くなった杉田久女を大宰府に偲びます。
大宰府を訪ねた多佳子は己の死を感じているのでしょうか。
この句を詠んだのは多佳子55歳の夏、青葉の萌える時期。
57歳で亡くなった久女に並ぶのに多佳子はあと2年です。
もはや、死は他人ごとでなくて、己の切実な現実なのです。
久女を思い出す度、人の死を深く考えてしまうのでしょう。
自然は見わたすかぎり草木の緑・緑・緑に覆われています。
小鳥や小動物や昆虫たちは子孫作りに忙しく勤しんでいる。
多佳子の生理は止って、性の悩みも漸く癒えた頃でしょう。
役割を終えた冬の草木のように今は朽ちるのを待つだけか。
一般世間の裕福な主婦であれば、余暇活動を楽しむのかも。
生きている限りは遊ばなければ損だと思い勝ちなものです。
多佳子も自分の子作りを終え、生活に憂いなく過している。
多佳子の場合も人並みに「死」を考えたに違いないと思う。
だけどその後で多佳子は「生」を得るために行動を起した。
手さぐりの多佳子は毎日をのた打ち回りながら走り続ける。
作句は、いつでも多佳子に青春の血潮を蘇えらせてくれた。
大宰府の地を踏んだ多佳子を眼前の緑が迎えてくれている。
虚子が多佳子をモデルに詠んだ落椿から早や32年が経過。
しかし自然はあの当時のままに、青々と大地を包んでいる。
心の鉄格子
嗚!
今、大地は万緑に覆われている。
多佳子の青春が始まったのも今の季節だった。
いつだって鉄格子の中で暮していたけれど、
鉄格子は己が手で開けて出られると知った。
最初の鉄格子を開けたのは櫓山荘。
そこでは久女に手伝って貰った。
次に「ホトトギス」の鉄格子を誓子と開けた。
疎開先の「奈良俳句会」で堅い鉄格子が破れたし、
多佳子はこうして鉄格子をいくつも破って自由になった。
そうして今、あなた!
久女さんに話し掛けているの!
今からでも遅くないわよ!
誰だって自由になって好いの!
あなたが自由になれた時に、
私の最後の鉄格子が開くのだわ!
多佳子は8年前に亡くなった杉田久女を大宰府に偲びます。
大宰府を訪ねた多佳子は己の死を感じているのでしょうか。
この句を詠んだのは多佳子55歳の夏、青葉の萌える時期。
57歳で亡くなった久女に並ぶのに多佳子はあと2年です。
もはや、死は他人ごとでなくて、己の切実な現実なのです。
久女を思い出す度、人の死を深く考えてしまうのでしょう。
自然は見わたすかぎり草木の緑・緑・緑に覆われています。
小鳥や小動物や昆虫たちは子孫作りに忙しく勤しんでいる。
多佳子の生理は止って、性の悩みも漸く癒えた頃でしょう。
役割を終えた冬の草木のように今は朽ちるのを待つだけか。
一般世間の裕福な主婦であれば、余暇活動を楽しむのかも。
生きている限りは遊ばなければ損だと思い勝ちなものです。
多佳子も自分の子作りを終え、生活に憂いなく過している。
多佳子の場合も人並みに「死」を考えたに違いないと思う。
だけどその後で多佳子は「生」を得るために行動を起した。
手さぐりの多佳子は毎日をのた打ち回りながら走り続ける。
作句は、いつでも多佳子に青春の血潮を蘇えらせてくれた。
大宰府の地を踏んだ多佳子を眼前の緑が迎えてくれている。
虚子が多佳子をモデルに詠んだ落椿から早や32年が経過。
しかし自然はあの当時のままに、青々と大地を包んでいる。
心の鉄格子
嗚!
今、大地は万緑に覆われている。
多佳子の青春が始まったのも今の季節だった。
いつだって鉄格子の中で暮していたけれど、
鉄格子は己が手で開けて出られると知った。
最初の鉄格子を開けたのは櫓山荘。
そこでは久女に手伝って貰った。
次に「ホトトギス」の鉄格子を誓子と開けた。
疎開先の「奈良俳句会」で堅い鉄格子が破れたし、
多佳子はこうして鉄格子をいくつも破って自由になった。
そうして今、あなた!
久女さんに話し掛けているの!
今からでも遅くないわよ!
誰だって自由になって好いの!
あなたが自由になれた時に、
私の最後の鉄格子が開くのだわ!
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