(読み方:つぎつぎにながらびもゆるひさじょのため)

暗闇に一人ぼっちで放り出されたら、足が竦むと思うの。
まして、久女さん、貴女はとっても寂しがり屋さんだもの。
貴女は何も知らない多佳子の手をとって導いてくださった。
それでこんどはね!私が貴女の手をとって差し上げたいの。
多佳子は貴女のために「ともし火」を燃すことにしたのよ。
菜殻火は私の煩悩…その煩悩を燃して貴女の前を照らすわ。

久女が亡くなったのを後に知り、多佳子は病院を訪ねます。
そこで夕暮れが近づく空に立ち昇る菜殻火を見た時の光景。
多佳子の時代には菜殻火は毎年恒例の行事だったようです。
だけど、家が建て込んできた今、菜殻火はもう焚かれない。
多佳子が久女のために詠んだ菜殻火はもう見られないかも。

福岡の筑紫平野の初夏の風物詩になっていた菜殻火でした。
干して実を採った後の菜殻…梅雨になる前に燃したらしい。
菜殻は油分が多く、それできっと激しく燃えたのでしょう。
それで何ヶ所かに分けて、少しずつ積んで燃したのかしら。
あちらの畑でも、こちらの畑でも一斉に菜殻を燃やします。
火が放たれるに従って夕闇の空に菜殻の火柱が立ち上がる。
火の粉が金色に舞い上り・舞い散っては畑に降ってきます。
風に煽られなくても紅蓮の炎は金色に輝いたかも知れない。

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