橋本多佳子様 / 海彦 - 菜殻火や入日の中に焔もゆ
(読み方:ながらびやいりひのなかにほのおもゆ)

稜線に隠れようとする落日はその光を急激に失っていく。

世界を支配し・屈服せしむべき日輪も今は何するものぞ。

菜殻火は空高くへと舞い上って盛んに燃えているのです。

落日に入り込んだ菜殻の焔は勢いづいて煮えたぎるのみ。

菜殻は残骸かも知れないけれど、命をかきたてて燃す焔。

大事を約せし多佳子の生を徒に落日にかまける暇はない。

多佳子は弱気にならない…何があっても一歩も退かない。

多佳子が本気でたたかった時、阻める何者がいるだろう。

多佳子は命を燃しに燃して、意識の消えるまで前進する。