GENOウィルス蔓延中! うつらないうつさない  このWikiは2ちゃんねるBBSPINKの「金の力で困ってる女の子を助けてあげたい」スレのまとめサイトです

 三田敦は、周囲から変人だと思われている。
 十分すぎるほどの財産も持っているし、公人との付き合いも多い。しかし、私人との付き合いはほとんど無かった。あまり笑わず、常に何かを考えているように眉根を寄せている姿は、周りの人間を遠ざけた。
 女性への接し方も変わっていた。彼は女を辱めることでしか愛すことができなかった。恋人ができても、すべてその性癖のせいで駄目になった。しかし、三田はそれが自分の唯一の趣味だとでも言うようにSMにのめり込み、商売女相手に溜まった性欲を吐き出していた。

 そんな三田が35歳の年に祖父が死んだ。たった一人の親族だった三田は、莫大な財産と広大な敷地を持つ屋敷を相続した。
 しばらくは遺産整理や相続に追われていたが、それも一段落ついた時に、ふと孤独感と開放感が同時に襲った。両親は早くに亡くなり、祖父がたった一人の家族であったが、それは大切な親族であると同時に、何か自分を縛り付ける枷のようにも感じられたのだ。
「やりたいことをやってやろうか…」
 これまでの努力と祖父の遺産で、すでに財産は余りあるほどに有る。祖父から相続した広い屋敷もある。三田は決心すると、SM趣味の過程で知り合った男に電話をかけた。男の名前は鮫島と言い、過去に三田にこう言っていた。「性奴隷を買わないか…?」と。
 かけた電話が何度と無く切り替わるのを聞きながら、三田は暗い情動に顔を歪めた。



 翌日の昼前、三田は屋敷に3人の訪問を受けた。
 1人はよく知っている青年で、鮫島のアシスタントをしている男だ。極道者と見間違う様な強面で、事実そういったトラブルの際には活躍していると鮫島から聞いたことがあった。
 残りの2人は女性だった。ある程度の予想はしながらも、三田は青年に尋ねた。
「この娘たちなのか?」
「はい、三田さん。間違いないす」
 そう言い残すと、頭を下げる青年は踵を返して帰っていった。玄関には、三田と少女2人(よく似ているので、姉妹だろう)だけが残された。
 三田は姉妹が若すぎるのに少し途惑った。見た目にも明らかに2人は10代で、妹のほうは就労年齢にすら達していなく見えた。
「…まあ、とりあえずあがってくれ」
 三田がそう言うと、姉の方が蚊の鳴くような声で「はい」と答えた。妹の方は何も言わなかったは。よく見ると、2人とも泣き腫らしたように目が赤かった。

ようやく泣き止んでいた姉妹が、ぐずりながらも顔を上げて三田を見つめた。
「無意味に泣くな。私をイライラさせるだけだぞ。よし、なら改めて自己紹介をしてもらおう」
 三田は2人の前に立つと、迷いのない声で言った。
 姉妹はお互いに目配せすると、椅子から立ち上がった。まず、姉の方から口を開いた。さっきよりは、ずっとしっかりした声になっていた。
「香田清香です」
「年は?」
「…16歳です」
「何のためにここにいるのか、理解しているな」
 三田が言うと、清香はまた俯いた。
「言えないのか?」
「………」
「言えないのならば、放り出すぞ」
「…! そ、それは!」
 清香が慌てて顔を上げると、三田と目が合った。冷たい瞳に見つめられ、清香は観念したように言った。
「三田様に奉仕するためです」
「それは、俺が望むすべての奉仕か?」
「…………」
「答えろ」
「…はい、そうです」
 清香が何とか声を絞り出すと、三田は小さく頷いて視線を妹の文に移した。

「次は、お前だ」
 水を向けられ、文は呟くように言った。
「香田文…」
「年は?」
「14歳…」
「なんのためにここにきた?」
 姉と同じ様に聞かれて、文は同じように俯いた。
「答えられないか?」
「あ、あの…!」
 見かねた清香が、声を上げるのを三田は手を上げて制した。
「質問を変えよう。お前は自分に自由があると思うか?」
「………」
「何とか言え。言えんのなら首を振れ」
 三田がそう言うと、文は俯いたままゆっくり首を振った。
「ふん。では、お前の自由は誰のものか? お姉さんか?」
 文は首を振った。
「では私か?」
 文は躊躇った挙句に、ゆっくりと頷いた。
 それを見て、三田は「わかった」と言うと、続けて言った。
「文、人間は主張しなければならない。でなければ、正しく意思は伝わらないし、ただ、私がイラつくだけだ。私がイラついたら、君たちが住む家を失うだけだ。わかったな」
 三田がそう言うと、文は小さく頷いて「わかりました…」と答えた。
「よろしい、では君たちに言っておくことがある。君たちが理解している通り、君たちの自由は私のものだ。言い換えるなら、この屋敷に居る限り、君たちに人権は無い」
 三田の言葉に、姉妹は不安そうな顔をした。
「しかし、私が認める範囲では自由を許す。言い換えれば、君たちが人間らしい生活をしたいのならば、しっかりと私の機嫌をとることだ。それができないのならば、私は君たちをここから追い出す。
君たちがどんな身の上なのかは知らないが、そうなったら、君を連れてきたあの男が君たちを連れて行くだろう。どこに行くのかは知らない。もしかしたら海外かもしれないし、姉妹一緒に行けないのかもしれない。そうならない為にはここで頑張るしかない。
…分かったか? 分かったのならば返事!」
 三田が念を押すと、姉妹は慌てて「はい、わかりました!」と答えた。

 三田はあらためて姉妹を見た。姉の清香は長い黒髪をストレートに流し、鼻筋の通った顔は大人びて見え、妹の文はショートボブに丸みを帯びた顔立ちをしており、年齢よりも幼く見えた。
「体が見たい。2人とも服を脱げ」
 姉妹は驚いて顔を見合わせ、やがておずおずと清香が尋ねた。
「ここで、ですか?」
「当たり前だ。さっさとしろ」
 冷たい瞳で言い返され、清香は観念したように目を伏せると、隣の文に「文ちゃん、頑張ろう、ね…」と声を掛けると、震える手で服のボタンに手を掛けた。
 そんな姉の様子をみて、妹もしぶしぶといった感で服を脱ぎ始めた。
 数分後、一糸纏わぬ姿になった2人は必死に手と腕で体を被っていたが、三田の「腕を下ろせ」という言葉に、震えながらすべてを晒した。
(貧相だな…)
 裸の姉妹を見て最初の感想だった。
 清香は女性にしては背と腰が高く、モデル体型と言っていい体つきをしていた。顔も典型的な美人顔で(今は恐怖に歪んでいるが)磨けば相当な美人になりそうだった。ただ、胸は無かった。悲しいほどの貧乳だった。
 文は清香より頭二つ分は低く、顔立ちの幼さと相まって年齢以上に幼く見えた。その割りに胸は姉より大きく、体格と較べるとアンバランスだった。さらによく見ると、下の毛も生えてなかった。
(姉は正統派美人、妹はマニア向けか… そういう風に躾てみるか…?)
 そして2人に共通するのは、鎖骨が浮き出るほど痩せていることだった。ひと目で食生活の貧しさが見て取れた。
 三田は黙って姉妹の後ろに周った。背中も似たようなものだった。浮き出た背骨が目に付いた。
(体格はいいとして、痩せすぎでは身が持たんな…)
 ためしに、目の前の清香の腰を掴んでみた。見えない背後からの行為に、清香は「ひッ…」と小さく悲鳴をあげた。
「ふむ…」
 案の定、薄い肉と骨の感触しかなかった。そのまま下に手を下ろし、尻、太ももとたどってみたが、どこも似たようなものだった。
 踵までたどってみて手を離すと、清香がそれまで止めていた息を「はぁ…」と吐き出した。
 三田は文の身体も触ってみた。感触は姉と似たり寄ったりだった。
 文から手を離して正面に戻ると、三田は姉妹に服を着るように命じた。姉妹は明らかに安堵した様子で、そそくさと服を着た。
(とりあえず、肉と体力をつけてからだな。姉から先に磨いてやるか…)
 意外に落胆よりも期待を感じた三田は、気分良く考えると、2人の飼育予定をぼんやり考え始めた… 


 三田から「昼食を食べに行く。用意をするので部屋で待っていろ」と命じられて、姉妹はあてがわれた部屋で持ってきた荷物(といっても2人ともスポーツバッグ一つだが)を置いて並んでベッドに腰掛けた。
「身体、触られたね…」
 しばらく沈黙が続いたが、ポツリと文が呟いた。
「うん…」
「やっぱり私たち、そういう目的で引き取られたんだね」
「そうだね…」
 そう言うと、清香は文の肩を抱いて引き寄せた。慣れたように、文も清香の肩に顔をうずめた。
「でも、触られただけで他に何もされなかったわ…」
「うん…」
 気に入られなかった、そう清香は感じていた。気に入られず、この屋敷を追い出されることは何としてでも避けたかった。
 姉妹には身寄りが無かった。物心つく前から養護施設で過ごし、あてのない里親を待ち続けていた。
 だが、不幸はどんどんやってきた。姉妹が居た養護施設は、個人の慈善活動として建てられたものだったが、母体である経営団体の資金繰りが行き詰まり、とうとう施設を解体する事となってしまったのだ。
 残っていた子供たちは、それぞれ別の施設に入るか、独立するか選択しなければならなくなった。そして、姉妹はもちろん前者を選択したかった。
しかし、施設の人間が提示してきた条件は、姉妹別々の施設だった。なんとか姉妹一緒が良いと頼み込む2人だったが、管理者の顔は渋かった。
 半ば諦めていたところに、その話しは突然舞い込んできた。姉妹を訪ねてきた男は、経営母体のコンサルタントをしているという男で、2人一緒で働ける場所がある、と姉妹に説明した。
 姉妹はしばらく相談し、男の申し出に飛びつくことにした。はっきりと「身体を捧げることになる」と言われても、姉妹が離れ離れになるよりましだと考えたのだ。
 それからは早かった。数週間の後に姉妹は施設を離れ、車でほぼ一日かけて三田の屋敷にやって来た。
 コンサルタントの男は最後に会ったときに、これから仕える人物に精一杯奉仕するよう散々念を押した。また、気に入られなければ姉妹をさっさと引き上げて、もっと酷いところに売り払う、ときつく脅された。
 だから、三田に嫌われることだけは避けたかった


「こわそうな人だったね」
 文が思い出したように言った。
「うん。でも、思っていたよりずっと若いわ。お姉ちゃんは、もっと年を取った人が出てくると思っていたから」
「優しいおじいさんがよかった…」
 少し、沈黙が続いた。
「泣いてごめんなさい…」
 しばらくして、文が謝った。
「泣かないって約束したのに」
「ううん、いいのよ」
 清香が文の頭を撫でながら言った。
「お姉ちゃんだって泣いちゃったし、仕方ないわ」
「今度からは、自分でちゃんと言えるようにがんばるから」
「うん」
「私もがんばるから…」
「うん…」
 妹の頭を撫でながら、清香は私たちの不幸はどこまで続くのだろうと、漠然と考えていた。
 しかし、姉妹は知らない。自分たちが既に幸運のレールに乗っていたことを…

 姉妹を車に乗せた三田は、行きつけのステーキハウスにやって来た。ここは値段もそれなりにするが、質の良い肉を使っており、なによりボリュームが大きいのだ。
 メニューを見て目を白黒させている姉妹を尻目に、三田はさっさと三人分の注文を済ませると、あとは傍らに置いた小さなノートパソコンを睨んでいた。
 程なくして運ばれてきたステーキは、姉妹がこれまで見たこともないような巨大なものだった。
「こんなの、食べられません…」
「全部食べろとは言わん。だが、腹いっぱいになるまで食べろ。ああ、野菜も食うのを忘れるなよ。肉ばっかりではいかん」
 そう言うと、三田は猛然とステーキを食べ始めた。それを見て、姉妹も恐る恐る料理に手を伸ばした。
「おいしい…」
 ひとくち口にした途端、文の口からそんな言葉が漏れた。厚さのわりに柔らかい肉は、これまで食べた食事で一番おいしい様に思えた。
「お姉ちゃん、おいしいよ!!」
「うん…」
 清香も同感だった。食べる前は、ただその大きさに圧倒されていたが、今ではその大きさが嬉しくかった。
 十数分後、姉妹は空になった皿を見つめてただ驚いた。おいしかったステーキもそうだが、それをあっさりと食べつくしてしまった自分たちも驚きだった。
「食べ終わったか? 美味いだろう、ここの肉は」
「はい、とてもおいしかったです」
 清香がすぐに答え、横の文に視線を送った。振られた文も、急いで言った。
「おいしかったです! ありがとうございます」
「そうか、腹はいっぱいになったか?」
 そう言われると、もっと食べたいと文は思った。しかし、それを正直に言うのも憚られて、「ええと…」と口ごもると清香を見た。
 清香も文の言いたいことは十分わかっていた。こんなご馳走なら、もっと食べたいに決まっている。
(しっかり言わなきゃ、この人だって「主張しろ」って言ってたじゃない…)
「おいしかったです。でも、もっと食べたいです」
 清香は勇気を奮い立たせて言った。文も、こくこく、と頷いた。
「そうか… だが、肉ばっかり食ってたら身体に悪いな…」
 姉妹は期待を外し、悲しそうな顔をした。
「デザートを頼もう。好き嫌いは無いな。…あ、君。食後のコーヒーと、少しボリュームのあるデザートを… うん、それでいい」
 そう言って三田はさっさと注文を済ませると、自分はまたノートパソコンを睨み始めた。
 清香は、もうどんな顔をしていいかわからなくなった。
 程なくしてデザートが運ばれ、姉妹の前にはそれぞれ大きなパフェが1つずつ置かれた。

「これ、食べてもいいんですか?」
 今まで写真でしか見たことの無いような豪華なパフェに、文は思わず三田に聞いていた。
「ん? 食べたくないか?」
「い、いえ! 食べたいです!」
「だったら、さっさと食べろ」
 眉根を寄せた三田の言葉に、「はい、いただきます!」と返事をして、文は猛然とパフェを掻き込み始めた。清香も甘い味に頬が緩むのを感じながら、パフェを食べ始めた。
 パフェはあっという間に無くなり、2人は自分たちの食欲にまたしても驚いた。
「食べたか? じゃあ、出るぞ」
 そう言うと、三田は荷物をまとめてさっさとレジへ向かった。清香も、文の口の端についたクリームを取ってやって、慌てて三田の後を追った。
 会計をすませ、ステーキハウスを出て車に乗ると、三田は次の目的地を言った。
「次は買い物に行く。着くまでに必要なものを考えておけ」
「必要なものですか?」
 意味がよく分からず、清香は三田に聞き返した。
「そうだ。衣料品や生活雑貨? まあ、そこらへんだ。必要と思ったら迷わず買え」
 そう言われて、確かに歯ブラシも何も無いと清香は気付いた。
「家具ももう少し買わんと足りないだろう。箪笥と机と… おい、ちゃんと控えておけよ」
 三田にそう言われたが、清香は困ったように首を振った。
「でもメモが無いので…」
「携帯は?」
「持っていません」
「じゃ、それも追加だな」
 あっさり言うと、三田は車を発進させた。
「あの、お金は…」
 清香がおずおずと言うと、三田は眉根を寄せて清香をチラリと見た。
「お前は自分が何だと思っているんだ?」
 そう、それが知りたい、と清香は本心から思った。

 買い物はスムーズには終わらなかった。姉妹は、自分の買い物をしたことなどほとんど無かったから、何を買えば良いか悩んだ。途中から三田は姉妹に探させるのをあっさり諦めると、自分で次々と必要なものをピックアップしていった。
「部屋に時計は無かったな。柱時計と目覚まし時計を一つずつ選べ」
「財布はこの棚から選べ。何? 値段なんぞ見なくてよろしい」
「30分やるからこのフロアで服を10着ずつ選んで来い。…ああ、下着はこっちで用意する」
 携帯もおそろいのものを買ってもらい、きゃあきゃあ、と騒いで嬉しがった。(後に三田が受信専用に設定し直して、多少へこんだ)
 終始こんな調子で、目の回る思いだった。
 だが、これまで憧れても、絶対に得られなかった物品が、あっさりと自分たちの手に入っていく様はまるで夢のようで、次第に2人は笑顔で買い物を楽しむようになっていった。
 買い物が進むにつれて、三田への警戒心はどんどんと薄れていった。特に文は三田によく懐き、荷物を持ちたがったり、率先してカートを押したりして、なんとか気に入られようと必死になった。三田も相変わらずの眉根を寄せた顔をしていたが、特に迷惑そうではなかった。

 結局、すべての買い物が済んだのは、日が完全に沈み、月が大きく昇ってからだった。
 車に荷物を積み込めるだけ積み込んで、残りは配送の手続きを取ると、三田は今度は中華料理屋に連れて行き、米飯を中心とした料理を頼んだ。
 姉妹は料理が運ばれてくると、自主的に料理を選り分けて、甲斐甲斐しく三田の世話を始めた。だんだんと、どんなところを頑張ればいいのか、理解してきたのだった。三田も別段嫌がる素振りもしなかった。
 食事が終わると、最後に三田はスーパー銭湯に向かい、しっかり身体を洗ってくるよう告げると、男湯の中に消えていった。
 女湯の中で戸惑いながら身体を洗った2人は、ようやく落ち着いた湯船の中で今日の出来事を話し合った。
「いい人だったかも。三田さん」
 文がぼんやりと呟くと、清香が「そうね…」と返事した。
「少なくとも、私たちが路頭に迷うことは無くなった、と思うわ」
「三田さんの機嫌が良い限り?」
「うん、一生懸命ご奉仕しなきゃね」
「メイドさんだね」
「メイド…」
 そう言って清香は渋い表情になった。
「メイドは旦那さまに手篭めにされるものよね…」
 清香は三田が用意した下着を思い出していた。風呂から上がったら着るように言われて渡されたそれは、恐ろしいほどに扇情的な色と形をしていた。
「文ちゃんはどんな下着もらったの?」
「え? 普通にスポーツブラとパンツだったよ。縞々が可愛かった」
「ああ、そう…」
(私は特別…? 年長だから覚悟を決めろということかしら…)
「私はいいな…」
「え、何が?」
「手篭めにされても…」
 清香はびっくりして文を見た。
「どうして?」
「だって、それでおいしいご飯を食べさせてくれて、色んなものを買ってくれてるんなら…」
「それは…」
 清香は数瞬悩んだ。体を捧げるだけなら、まだ耐えられるかもしれない。しかし、清香はそれとは違う別の恐怖を感じていた。
「どんな仕打ちを受けるのか、わからないのよ…?」
「それでも…」
 文は、熱に浮かれたように呟いた。
「それでも、こんな贅沢できるんだったら、何されたって嬉しいよ…」
 清香はその言葉は否定することができなかった。

 姉妹が風呂から上がると、先に上がった三田が、休憩室でやはりノートパソコンを睨んでいた。
「何をなさってるんですか?」
 興味を持って清香が尋ねると、三田は「仕事だ」と短く答え、ノートパソコンを閉じた。
「出るぞ。湯冷めせんようにな。…ああ、清香は助手席に座れ」
 車に乗り込もうとすると、清香を助手席に座るように命じた。清香は黙ってそれに従った。
「ふあ… ごめん、お姉ちゃん…」
 帰りの車の中で1人で後ろに座った文は、疲れが出たのかあっという間に眠ってしまった。
「あの… どうして助手席なんですか?」
 三田との沈黙に耐えかねてそう尋ねた。
「帰りがけにスーパーの場所を教える。明日の朝食までは用意するが、昼飯からはお前たちに作ってもらう。しっかり場所を覚えておいて、明日の午前中に買い物に行け」
「はい」
 しっかりと答える清香に視線をやると、三田は薄く笑って言った。
「ところで、渡した下着はきちんと着けているか?」
「え? は、はい」
「見せてみろ」
「……ええ!?」
 清香はびっくりして三田を見たが、三田は眉根を寄せて「早くしろ」と言うだけだった。
 覚悟を決めた清香は、スカートをゆっくりと持ち上げて下着を露出した。
 白地のそれはかなりのローライズで、深いハイレグの切れ込みが申し訳程度に股間を覆うだけのものだった。
「よく似合ってるじゃないか?」
「………」
「おい、褒めてるんだぞ?」
「あ、ありがとうございます…」
 顔から火が出そうだったが、こらえてそう言った。
「も、もういいですか?」
「まだだ」
 必死な清香の言葉をあっさり切ると、三田は冷酷に告げた。
「ショーツも下ろせ」

「ショーツも下ろせ」
 清香は、最初何を言われたのか分からなかった。
 しかし、頭が三田の言葉を理解すると、頬が、かぁ、と熱くなり、思わず三田に訴えていた。
「で、できません! どうしてそんな。あ…」
 そこまで言って、清香は自分の立場をようやく思い出した。
「あ、文が見ています…」
「よく寝ている。とっととやった方がいいんじゃないか?」
 三田は後ろをチラリと見て、明らかに機嫌が悪そうな声で言った。
(どうせ、もう一度は見られているんだから…)
 清香は、強引にそう自分を納得させて、覚悟を決めてショーツを下ろし始めた。膝まで下ろして三田を見たが、何も言わないので、思い切って足首まで下ろした。
「下ろし、ました…」
 息も絶え絶えに言うと、三田はさらに「足を開け」と命じた。清香はもうわけが分からなくなって、素直に足を開いた。暗い車内のせいで、清香の股間は闇に染まって見えなかった。しかし、三田は躊躇無く左手をそこに突っ込み、指をもぐりこませた。
「ひっ!」
 清香は小さい悲鳴をあげた。あまりの出来事の連続に、完全に頭が混乱していた。
「黙っていろよ。妹が起きるぞ…」
 そう言うと、三田は指を蠢かせはじめた。中指でクリトリスを探り当てると、包皮の上から軽く擦り始めた。
「ああ…」
 清香は未知の感覚に戸惑った。三田が何をしているかは感覚的に理解できたが、それによって沸き起こる衝動を理解できなかった。
(何!? これ、何!?)
 三田が指を細かに動かすたびに、得体の知れない感覚が清香を襲った。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ… ふ、あっ!」
 それまで擦るだけだった三田の指が、出し抜けにクリトリスをつまんだ。突然の刺激の変化に大声を出しそうになって、両手で口を塞いで必死に堪えた。
「声が出そうか? スカートでも咥えておけ」
 清香は命じられるままスカートを咥えた。
「自慰をやったことはあるか?」
 清香は激しく頭を振った。その答えを三田は意外に感じた。三田が弄った秘所はすでに濡れており、とても処女の反応とは思えなかった。ひょっとして、1人で開発していたのかとも思ったが、どうやらそうでもなさそうだった。

(嘘をついているのかな…? それとも、こいつはとんだ拾い物をしたのかな?)
 三田は車が赤信号で止まったのを機に、器用に片手で清香の胸のボタンを外すと、ブラジャーをたくし上げて胸をはだけさせた。そして胸に手を置くと、すでに硬くしこっている乳首を手のひらで潰すように弄り始めた。
「ん…… ふぅ… はぁぁぁ…」
 クリトリスの強烈な刺激からゆるやかな刺激に変わり、清香は大きく息をついた。
 ひとしきり胸を揉むと、不意に三田は手を放し手をハンドルに戻した。刺激が止んで、清香はようやく視線を三田に向けることができた。
「…終わりですか?」
 ほっとした声で問うと、三田は薄く笑って首を振った。
「いや、ここからは自分でしろ。弄る場所は分かっただろ? 家に着くまで続けるんだ」
「そ、そんな!」
 清香の抗議の声を無視すると、三田は冷たく一言、「やれ」と命じた。何を言っても無駄だと悟ると、清香はおずおずと自分の身体を弄り始めた。
(どうして、こんな事しなくちゃならないの…)
 清香は悲しみを堪えて指を操った。さっき三田に弄られたときは、正直に言えば気持ちよかった。だが、そこを自分で弄って気持ちよくなれるとは思わなかったし、自分でするなんてはしたないと思うからだ。
 しかし、
(あれ、あれ…?)
 そんな清香の気持ちとは裏腹に指は軽快に踊った。まるで、昔から知っていたかのように、彼女の指は的確に性感帯を刺激し、冷めかけていた情動をあっさりと蘇らせてしまった。
(どうしよう… 気持ち良い、気持ち良いよ…)
 強烈に襲い掛かる快感に、清香の思考はとろとろと溶け始めていた。指先と秘所の感覚だけが強まり、他の感覚がぼんやりと曖昧になっていく。最初に感じていた嫌悪感や悲愴感を快楽がおおい、塗りつぶしていった。
 その様子を見て、三田はいよいよもって確信していた。恐らくは初めての自慰で、ここまで感じることのできる女は滅多にいないように思った。これなら、身体を開く努力は少なくて済むと思い、三田は薄く笑いを浮かべた。
「自慰は、初めてなんだな?」
 霞んだ思考に届いた声に、清香は蕩けた顔で頷いた。
「じゃ、イッた事もないか?」
「い、イッたこと…?」
 清香は荒い息を吐きながら、ふるふる、と首を横に振った。
「そうか…」
 そう呟くと、やおら手を再び伸ばすと、秘所を弄っていた清香の腕を押さえた。
「あ…」
「これだけじゃイケない。両手で胸を弄れ。あと、口はスカートを噛んでおけ、強くな」
 言われるがままに、清香は両手で胸を押さえると、スカートを強く噛み締めた。
 それを見届け、三田はハザードランプを点けて車を路肩に止めると、おもむろに清香の身体に手を伸ばした。そして、左手で目を、右手で秘所を覆うと、静かに言った。
「目を閉じろ。感じるままに、感じろ」
 三田は右手でクリトリスを優しく包むと、包皮で包まれたそれを、あっさりと剥いた。
 清香の背筋を鋭い電流の様なものが走った。それは、これまで散々に乱れた清香の思考を完全に覆った。
(何!? 何なの、これ!? 知らない。こんなの知らない…!)
 明らかに様子の変わった清香を見て、三田は止めをさすべく、剥けたクリトリスを一気に擦り上げた。
「…あっ!」
 その瞬間、清香の頭の中で小さな爆発がいくつも起こった。思考どころか感覚も快楽で覆い尽くされ、考えたくとも何も考えられない。
 身体も過敏に反応し、背は弓の様に反りあがり、まるで糸が切れたかの様にドスンとシートに腰を落とした。目を覆った手をどかしてみると瞳は完全に焦点を失っており、口は半ば開いて、とろとろ、と涎が流れていた。
「おい、清香?」
 声を掛けてみたが、返事はなかった。どうやら、気を失っているらしかった。
「初めてで、これか? 喜ぶべきか悩むべきか…」
 呆れて呟くと、失禁しなかったことに実はホッとしながら、三田は車を再発進させた。

 ザザザザザッ……
 車が屋敷の駐車場に着くと、三田はウェットタオルで清香の身体を拭いて服を調えてやった。
「おい、起きろ」
 妹と違って眠りは浅い方なのか、清香はすぐに目を覚ますと不思議そうにあたりを見回して、三田を認めると顔を真っ赤にした。
「あ、あの、私…」
「俺は荷物を持っていかにゃならん。お前は妹を起こして連れて来い」
 それだけ言うと、三田はさっさと荷物を持って屋敷に向かった。
 まだ恥ずかしさが抜けない清香は、三田の顔を見ずに「はい…」と返事をすると、砕けそうな腰に力を入れて車を降りた。
 それから、苦労して後部座席から文を引っ張り出すと、慣れた調子でおんぶして屋敷に向かった。
 玄関から入って、人の気配のする方に行くとそこはダイニングで、三田が荷物を適当に置きながら入ってきた清香たちを見た。
「そいつ、どうした?」
 文に目をやって、三田が聞いた。
「文ちゃん、一度寝付いたらなかなか起きてくれないんです。だから、たいてい私がこうやって寝かしています」
「やっかいな体質だな、まあいい。ベッドに寝かして来い。そのままじゃ重いだろう」
 言われた通り、清香は自分たちの部屋に行くと、備え付けてあったダブルベッドに文を寝かし、そのままダイニングに戻った。
 三田は清香に椅子に座るように指示し、自分も向かいの席に座った。
「まあ、分かると思うが、ここがダイニングでそこがキッチンだ。明日から使うことになるんだから、レイアウトはしっかり覚えろ。…そういえば、お前たちは料理はできるのか?」
「はい。施設では持ち回りで料理をしていましたから、一通りはできます」
「よし。ああ、カロリー計算は… 流石に無理か。とりあえず、明日からは肉と野菜中心の食事を心がけろ。あと、量は残ったって構わないくらい作れ」
 三田の言葉に、清香はいちいち頷きながら「はい」と答えた。
「よし、じゃあ、今日はもう寝ろ。明日は7時に起きるように。妹もちゃんと起こせよ」
 それを聞いて、「はい。おやすみなさい」と礼をして背を向ける清香に、三田は思い出したように声をかけた。
「ああ、そうだ。清香」
「はい?」
「気持ちよかったか?」
 不意を付かれて、清香は思わず黙りこくった。しかし、あのときの自分の感情を否定することもできず、黙って頷いた。
「そうか。それなら、明日から1日1回自慰をしてイクことをノルマにしろ。忘れたりサボったりしたらお仕置きだ」
 それだけ言い捨てると、三田はさっさと立ち去ってしまった。
 清香は予想外の言葉に、へなへな、と腰を落とし、しばらく呆然としていた。


 翌朝、朝の光が差し込む部屋で、文は姉が設定した目覚ましよりもずっと早く目を覚ました。
 枕元の見慣れぬ時計を見ると、午前6時を差していた。いつもの時間だと確認して、文は上半身を起こし、大きく伸びをした。隣には、清香がまだ寝息を立てている。部屋にベッドは一つだけだったが、キングサイズのダブルベッドらしく、2人が並んで寝ても全く狭く感じなかった。
 やけに爽快な目覚めだった。少なくとも、将来の不安に怯えたここ数日は無かった目覚めだ。
 文は不思議な体質で、一度寝入ってしまうと「てこ」でも起きないが、身体が朝の匂いを感じ取ると勝手に起きてしまうのだ。おかげで、朝寝坊をしたことは無いが、逆に夜更かしもあまりできず、そこが密かな悩みだった。
 耳を澄ましてみると、もはや飽きるくらい聞きなれた姉の寝息が聞こえてきた。首を巡らすと、隣には疲れ落ちたように眠る姉の顔が見えた。
 姉の清香は、妹の自分から見ても十分に美人だと思う。だが、全身から漂う悲壮感が、それを台無しにしているとも思っていた。
 よく寝ている姉を起こさないように文はベッドから離れると、しばらく悩んだ後、勇気を出して部屋の外に出ることにした。
 屋敷の中はまだ薄暗かったが、人の気配を感じると、自然と足はそっちの方に歩いていた。耳を澄ますと、かすかに水の音もする。
 ドアの開いた部屋を見て覗き込むと、そこは洗面所で、三田が上半身裸で顔を洗っているところだった。
 男の裸にドギマギしながらも、文は思わず「おはようございます!」と元気良く挨拶していた。
 三田は顔を洗う手を止めて悠然と文の方を向くと、「ああ、おはよう」と短く答えた。
「もう、起きたのか?」
「私、朝起きるのは得意なんです」
「そうか、便利な身体だな」
「はい。…三田さんも早いですね」
「私はあまり眠る必要が無いだけだ」
 そう言うと不意に三田は黙り込み、考え込むような表情になった。
「『三田さん』はいかんな。普通なら、そう呼んでも差し支えないだろうが、あいにくとそういう関係ではないはずだ」
「それじゃあ、何て呼べばいいんですか?」
「それくらいは考えろ」
 言われて、文は困ってしまった。なかなか、しっくりとした呼び方が見つからず、年相応のトレンディー・ドラマ的知識を総動員して、文は言った。
「ご、ごちゅじんさま?」
「噛んでるぞ」
「うう… それじゃ、それじゃ、旦那さま!」
 無我夢中でそう叫ぶと、三田は「ふむ」と呟き、一つ頷いた。
「そうだな、まるで大正浪漫だが、まあいいか。清香にもそう伝えておけ」
「は、はい…」
 予想外に承認されてしまって、文は内心では大いに慌てた。だが、この人がそう言うなら仕方がないと、試しに言ってみることにした。
「わかりました、旦那さま」
(あれ、意外と自然かも…)
 言ってみてから、文はそう思った。確かに三田は風格があったし、まるで自分がメイドの様で面白かった。
「うむ。では、文、顔を洗って着いて来い」
 そう言うと、三田は洗面所を出てドアを閉めた。文は急いで顔を洗うと三田の後に続いた。


 三田は文をキッチンに連れて行くと、細々と指示を出し始めた。
「今日はパンにするが、朝は米でもパンでもどちらでも良い、好きな方を用意しろ。
 それと、私は朝から食う性質(たち)だから、パンだけは論外だ。サラダと副菜はしっかり準備しろ。今日は、そうだな… 冷蔵庫からハムを出せ。あと、卵もな。どう調理するかは任せる。

 私はサラダを準備する。ああ、パンは6枚全部焼け。…今から焼くなよ、冷めてしまう」
 文は忙しく立ち回りながら、三田が、スタタタタッ、と赤パプリカを千切りにしてテキパキとサラダを作る様をみて目を丸くした。
「料理が得意なんですね…」
 感心したように文が言うと、三田は「そうか?」と答えた。
「得意なつもりは無い。私には料理を作ってくれる人がいなかった。だから自分で覚えた」
 三田はそっけなく言った。文はその言葉に不思議な共感を得たが、それに思いをめぐらす前に、「早く手を動かせ」と三田に叱責されて、慌ててハムを切り始めた。

 朝食はすぐに出来上がった。大き目のサラダボウルいっぱいのグリーンサラダに、これまで文が嗅いだことがないくらいいい匂いのする

肉厚なハムエッグが食卓に並んだ。
 既に時刻は7時を過ぎていたが、まだ清香が起きてくる気配は無かった。
「清香が遅いな…」
 柱時計を見て呟いた三田に、文がフォローするように言った。
「お姉ちゃんは朝が弱いです。だから、いつも私が起こしています」
「…バランスのとれた姉妹だな」
 昨晩は、清香が文をベッドまで運んだのを思い出して三田は言った。
「じゃあ、姉さんを起こして来い。私は新聞を取って来る。…ああ、顔を洗わせろよ」
 そう言われると、「はい!」と元気良く文は答えて、跳ねるようにダイニングを出て行った。

 三田が新聞を取って戻ってくると、ダイニングには青ざめた顔の清香が立っていた。
「も、申し訳ありません! 寝坊してしまいました!」
 思いっきり腰を折って清香が謝罪すると。文がごにょごにょと何かを耳打ちした。
 すると、清香は驚いた様に顔を上げて、恥ずかしそうに「だ、旦那さま…」と付け加えた。
「低血圧なのか? まあいい。明日からはしっかり妹に起こしてもらえ。罰は… 後だな」
 三田の最後の言葉に、清香は一瞬身体を強張らせた。文も疑問に思ったが、三田が「パンを焼け」と命令したので、慌ててそれに従った。
 パンが焼けて食卓に並ぶと、三田はおもむろに食事を始めた。姉妹は行儀良く「いただきます」と手を合わせると食事を始めた。
 朝食は無言で進んだ。三田は進んでしゃべろうとしなかったし、姉妹は、今回も目の前の食事を詰め込むのに、いっぱいいっぱいだった。
 姉妹が、ふうふう、言いながら朝食を片付けると、三田が言った。
「清香、そこの戸棚に林檎が入っているから剥いて出せ。文は茶を入れろ。湯飲みは適当に使え」
「ま、まだ食べるんですか…?」
「食え」
 すぐに諦めると、清香は果物ナイフを探し出して林檎を剥き始めた。かなり手馴れた様子で、あっという間に形の整った林檎が並んだ。

ほどなく文もお茶を人数分淹れてきた。
 本当はおなかいっぱいだったが、三田の無言のプレッシャーに負けて、姉妹は、しゃくしゃく、と林檎を食べ始めた。
(…小動物に餌をやってるみたいだな)
 姉妹の様子に、三田は唐突に思った。
「…牛とは言わんが、犬程度にはなってほしいな」
「はい?」
「いや、なんでもない。朝食が済んだら、あとは勝手に動け。今日から私は家事をしないから、屋敷の管理はお前たちに任せる。いいか、

落ち度の無いように自主的に動けよ。落ち度があったら、その都度罰を与える。それが過ぎればここを追い出す。分からないこと、必要なことがあれば遠慮なく聞け。ただ、くだらんことならそれも落ち度だ。わかったか?」
「「わ、わかりました…!」」
 三田に圧倒されて、清香と文は同時に即答した。
 ただ、清香の頭の中は、今日の寝坊がどの程度の落ち度なのかと不安でいっぱいだった。
「結構。では私は自室に居るから、買い物に行く前に一度清香が来い。カードを渡す」
 そう言うと、三田は大量の新聞を抱えてダイニングを後にした。
 残された姉妹は、お互いに顔を見合わせると、とりあえず、と朝食の片付けを始めた。
「この後はどうするの、お姉ちゃん?」
「そうね… お掃除、お洗濯、お買い物、かしら? …なんだか、いつもと変わらない気もするけど」
 施設では身の回りは自分でするのが当たり前だったから、姉妹にとって家事は日常だった。
「それだけでいいのかな? ご、ご奉仕とかしなくていいのかな?」
 文の言葉に、清香はびっくりして妹を見た。
「だってさ! 旦那さまは自主的に動けって言ってたし、私たちは、その、“そういう目的”でもらわれて来たんだし…」
 妹の物言いに清香は頭が痛くなってきた。話しの内容もそうだが、妹から明らかな思慕の念を感じたからだ。
 自分もそうだが、文は父親の顔すら知らない。施設には同年代の男性は居なかったから、三田にあっさりと靡いてしまう気持ちもわからないでもなかった。
 しかし、昨晩の車内の記憶と感触が清香に危機感を持たせていた。もし、文がそんなそぶりを見せれば、三田がどんな要求を出すか想像もできなかった。
「…馬鹿なこと考えるのは止めなさい。変にアピールして失敗したらお終いよ。それに、文ちゃんにはまだ早いわ」
「お姉ちゃんはいいの?」
 その言葉に清香は激しく狼狽した。しかし、文が昨晩のことを言っているわけではないと気付くと、感情を隠して言った。
「…私もよ。身体は大事にしよう? 求められない限り、そういうのは無し。ね?」
「……うん、わかった」
 清香が優しく諭すと、不安も大きかったのか、文は素直に頷いた。
 しかし、清香は既に辱めを受けている。謀らずもそれを文に隠してしまい、清香の胸は、理由のわからない罪悪感でいっぱいになった。

 お風呂やトイレ、居間の掃除、お洗濯を終えると、清香は言われた通りに三田の部屋を訪れた。文には玄関で待ってもらった。
「…失礼します」
 ノックをして入ると、三田は巨大な机に置いた3台のディスプレイを凝視していた。
 その迫力に圧倒されながら、清香は気を利かせて淹れてきたお茶を三田の机に置いた。
「…ああ、すまんな」
 ようやくディスプレイから目を離すと、三田はお茶を一口啜って「買い物か?」と清香に尋ねた。
「はい、2人で行ってきます」
「うん、そこに地図がある。道筋はマーカーで塗っておいたから、迷うことは無いだろう。それと、これがクレジットカードだ。お前に預けるから食費・雑費はこれで払え。常ににチェックしているから変なことには使えんからな」
 そう言って差し出されたカードと地図を、清香は恐る恐る受け取った。
 これで終わりかな? と安心していた。しかし、
「ほう、ちゃんとスカートを穿いてきたか。いいぞ、きちんと自分の立場をわきまえているようだな」
 という言葉に、頭が殴られたような衝撃を受けた。
「わ、私は…」
「下を全部脱いで足を開け、立ったままでいい」
「まだ、お昼ですよ…」
「それがどうした? 言っておくが、これは寝坊のお仕置きだ。拒否は許さん」
 そう言われては反論のしようが無く、清香は少しでも早く終わるように覚悟を決めてスカートとショーツを脱ぐと、震える足を、スッ、と開いた。
 昨晩は闇に紛れて見えなかった清香の秘所を確認すると、ぴっちりと合わさった割れ目を、くぱぁ、と押し広げた。
 清香はあまりにもの恥ずかしさに泣きそうになったが、両手で顔を覆って必死に耐えた。
 そんな様子を面白そうに見ながら、三田は広げられた秘所に指を置いて、ゆっくりと上下に擦り始めた。最初は乾いた感触しかなかったが、いくらも経たないうちに、敏感なそこはかすかな水音を立て始めた。
(やはり、こいつの感度は一級品だな。よくもまあ、今まで手付かずだったものだ…)
 この身体を思う存分調教できるかと思うと、三田は笑みを消すことができなかった。
 三田は滴り落ちようとする雫を指ですくうと、清香の顔の前に差し出した。
「おい、見ろ」
 清香は恐る恐る目から手を外すと、目の前にはぬらぬらと光る指が見えた。
「少し弄っただけで、もうこれだ。お前は相当いやらしい身体をしているな」
「…そんなことありません!」
「そう思うか? まあいい、これから嫌でも思い知ることになる…」
 そう言うと、三田は卵型のローターを取り出すと、二、三度秘所に擦り付けて慣らすと、ぬぷっ、と秘所の中に潜り込ませた。
(え!? 何!? 何を入れたの…!?)
 痛みは感じなかったが、強烈な違和感を感じて清香は慄いた。何を入れられたのか訊きたかったが、あまりに恐ろしくて訊けなかった。
 清香の混乱を無視して、三田はバンドを取り出すとそれでコントローラーを太ももにしっかりと固定した。
「スカートを穿いていいぞ」
 まだ、混乱しながらも、清香は三田に従ってスカートを身に着けた。続いてショーツを取ろうとしたが、脱いだはずのショーツが見当たらなかった。
「あの、ショーツは…?」
「ショーツは無しだ。代わりにいい物貰っただろう? 今日はそれをつけて過ごせ。夜に外してやるから、文が寝付いたらここに来い」
「そんな…」
 あまりの宣告に清香は絶句した。
 固まってしまった清香を面白そうに眺め、三田は手元のスイッチを操作した。すると、清香の中にあるローターが、ジィィィィ…、と振動を始めた。
「ヒッ! いやぁぁぁぁぁ!」
 悲鳴を上げて清香は膝を折った。
「お願いします… 外してください…」
 息も絶え絶えに清香は訴えたが、三田は冷酷に「駄目だ」と首を振った。
「しばらく我慢していろ、そのうち慣れるだろ。ほら、買い物に行って来るんだろう。妹を待たせるんじゃない」
 そう言い放つと、三田はさっさと清香を部屋の外に追い出し「夜に来い」と言い残すとドアを閉めた。
 廊下に取り残された清香は、恨みがましい目でドアを見ると、何とか平静を装って文の待つ玄関へと足を進めた。

「遅かったね?」
 玄関で待ちぼうけていた文が、清香を見てそう言った。
「うん、カードの使い方を教えてもらっていたから…」
 来る途中で考えていた言い訳を言うと、文が「ふーん、カード?」と訊いた。
「クレジットカード。ちょっと、どきどきするね」
「見せて見せて!」
「後でね。さあ、早く行きましょう。お昼ごはんに間に合わなくなっちゃう」
「うん、そうだね」
 そう言うと、文は清香の顔をまじまじと見つめた。
「ねぇ、お姉ちゃん、顔が赤いよ?」
「…そう? 長袖はもう暑いかしら。何でもないから気にしなくても大丈夫よ」
 そう言うと、清香はさっさと歩き出した。
(やだ… 顔に出てるの?)
 実のところ、歩いていないと足が震えてきそうで怖かった。ローターはいまだ震え続けていて、絶え間無い快感を清香に送り続けていた。ショーツも穿いていないから、愛液が滴り落ちないかが心配でたまらなかった。
「あ、待ってよお姉ちゃん」
 いつもより、姉の何かがおかしいと感じながらも、それが何なのかわからないまま文は歩き始めた。

 それからは我慢の連続だった。
 スーパーでは買い物で気が紛れたが、屋敷に帰ってからはどうしても意識してしまった。
 昼食の調理中も、昼食中も、屋敷の掃除をしているときも、卑猥な責め具は清香を苛み続けた。
(文にだけは…)
 午前中に吐いた嘘が辛かった。文に助けを求めたくてもできなかった。
 文の前では気を張って何とか平静を保っていたが、不意に1人になると快感に耐え切れず、昨日覚えたばかりの自慰をしたくてたまらなくなった。
 そんな衝動が起こるたびに指を噛んで耐えてきたが、そろそろ夕食の準備、という時間になって、とうとう耐え切れなくなった。
(少しだけ… 1回だけ…)
 夕食の準備を始めた文に断りを入れると、トイレに入って便座に座り、まずは太ももまでべったりと濡らしていた愛液をトイレットペーパーで拭った。
「こんなに…」
 自分の体液でぐじゃぐじゃになったトイレットペーパーを見て、不意に三田のセリフがよみがえった。「お前は相当いやらしい身体をしている」と。
 否定したかった。でも、認めるしかなかった。清香の心は悲しみに押しつぶされながらも、肉体は快感を求めて動いていた。
 持っていたハンカチを口に咥えると、震える手で股間を覆った。秘所のローターが振動しているのを感じる。少し指を動かすと、その途端、何か熱いものが秘所から噴き出た。
(オ… シッコ…?)
 既に意識が混濁している清香は、それが何なのか確かめないまま淫核を探し当てて、乱暴に、ぐにゃり、と押しつぶした。
(あ、あ… 来る、来る…!)
 初めに小さい波が襲った。それが何度も通り過ぎたと思ったら、最後に大きな波が体中を駆け巡った。
「あ、あ〜〜〜〜〜!」
 口からハンカチが滑り落ち、清香の口から艶声が漏れた。身体は意思に反して過敏に反応し、背が弓の様に反りあがり、突然糸が切れたように便座に崩れ落ちた。
「はぁ、はぁ、はぁ… 気持ちよかった…」
 思わず呟いてしまうほど快感が強かったが、昨日より心構えを強くしていたおかげで、なんとか失神せずには済んだ。
「1日、1回…」
 三田の命令を思い出す。初めは嫌だと感じていたそれが、今では心のどこかで歓迎しているのを感じて、清香は呆然となった

「私は、いやらしいんだ…」
 何故か諦観した気持ちになって、トイレットペーパーで再び濡れた太ももや指を拭くとトイレを出た。
 出た途端、脅えたように立っている文と目が合った。
(え!? 何で文が…)
 清香は軽く混乱し、ついで(聞かれた!)と思い、恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になった。
「お、お姉ちゃん、今日おかしかったから、か、体、悪いんじゃないかと思って、心配で…」
 文がつっかえつっかえ言った。
「そしたら、聞こえちゃって…」
 そう言って、文は下を向いて黙り込んだ。清香は頭が混乱して、声を掛けようにも何を言っていいのかわからなかった。
 姉妹が硬直している間に、三田がひょっこりと現れた。トイレの前の2人を見て、すぐに状況を理解したのか、苦笑すると言った。
「なんだ、我慢できなかったのか、ん?」
 水を向けられ、恥ずかしさに消えてしまいそうになりながら、清香は「はい…」と声を絞り出した。
「あ、あの!」
 突然、我慢できなくなったのか、文が声を出した。
「お姉ちゃん、辛そうです! その、い、イジメないでください…」
 三田とのやり取りで何かを感じたのか、文は頭を下げて頼んだ。
「…お姉ちゃんを助けたいのか?」
「はい…」
「それなら、清香、文に取って貰え」
 三田が面白そうに言うと、文は不思議な顔をして言った。
「取る? 何を?」
「そ、それだけは止めてください! 妹に見せるなんて…」
 清香は必死に訴えた。たとえ妹だろうと、いや、妹だからこそ、自分のいやらしい所を見せたくなかった。
「清香、せっかくの文の気持ちをフイにするつもりか? 今外さないと、黙ってした罰で明日もつけてもらうぞ」
「そんな…」
 清香は絶望感を感じた。今日だけでも地獄だったのに、明日もなどとは絶対に嫌だった。
「お姉ちゃん、私頑張るから…」
 文としては、姉を助けたい一心での言葉だったが、それは清香を追い詰めるだけだった。
「さあ、清香。文にきちんと見せて、何を外してほしいのかしっかり言え」
 畳み掛けるように三田が言うと、とうとう観念した清香が文に向き直った。
「文ちゃん、あんまり見ないでね…」
 そう言うと、スカートをそろそろと持ち上げて自分の秘所を露わにした。
 まさか姉がそんな行動をするとは思わず、また、ぬらぬらと濡れ光る秘所を見て、文は思わず息を飲んだ。
「お姉ちゃんの、あ、あそこから紐が見えているのがわかる?」
「う、うん、見えるよ」
「それを引っ張って。そしたら、その、出てくるから…」
(ああ、恥ずかしい… 消えちゃいたい…)
 羞恥と快感に、清香は気が遠くなるのを必死で堪えてた。
「ひ、引っ張るよ…」
 文が勇気を出して掴むと、それは何かでヌルヌルと濡れていて掴みにくかった。
「文、ゆっくり引っ張ってやれ」
 三田が冷酷に声を掛けると、それを合図に、文は言われた通りにゆっくり引き抜き始めた。
(あ、ああ… お願い、文ちゃん、早く、早くして…!)
 ゆっくり引き出されると、それだけ広く長く刺激を受けるが、最早声もでない清香はただひたすらに念じるしかなかった。
 ほんの数秒のはずなのに永劫にも思える時間が経って、清香の秘所からローターが滑り出た。と同時に、ローターで堰き止められていたのであろう愛液が、とろとろと零れ落ちて、床に小さな水溜りを作った。
 文がローターの振動に慄きながらコントローラーも外すと、清香は膝を折って床にへたり込んだ。
「お、お姉ちゃん! 大丈夫?」
 ローターを三田に渡すと、文は清香に駆け寄った。清香はぜいぜいと肩で息をしながらも、妹を不安にさせまいと無理やり笑顔を作って「大丈夫よ」と言った。
「予定より早く外してもらえてよかったな、清香。さて、まだ夕食準備の途中だろう? 2人とも料理に戻れ。 …ああ、清香は辛いんだったら少し休んでいてもいいぞ」
 三田がそう声を掛けると、清香は再び「大丈夫です」と言って立ち上がった。そして、恥ずかしさなのか怒りなのか、「失礼します」とだけ言うと、足早にこの場を去った。文も慌てて、「失礼します、旦那さま」といってそれに続いた。
 1人残された三田は、「いちいち良い反応をするやつだ」と漏らしながら、清香が濡らした床をしばらく見つめると、ため息と共にそれを拭き始めた。

 夕食の雰囲気は気まずかった。三田は全く気にしていない風だったが、姉妹はお互いに気まずかった。そのため、目の前の料理に集中してしまい、結局今日もいつもよりずっと余分に食べてしまった。
 食後、文は風呂を沸かしに行き、清香が1人で黙って後片付けをしていると三田が声を掛けた。
「何だ、お前怒っているのか?」
 その言葉に、一瞬洗う手を止めて清香は答えた。
「…いいえ、覚悟はしてました。私たちは売られてきたんですから… でも… でも… 文にやらせたのはひどいです! あの娘はまだ幼いのに、あんなことをさせるなんて…」
「いずれは知ることになるし、今から慣れておいたほうが良いだろう?」
 その言葉を聞いて、清香は三田に向き直ると、突然土下座を始めた。
「旦那さま! お願いします! 文には… 文には手を出さないでください。変わりに私がふたり分引き受けます。どんなことをされても嫌と言いません。お願いします! お願いします!」
 清香は必死に額を床に擦りつけた。文が三田に対して特別な感情を持ち始めているのを痛烈に感じていた。それだけに、文がどこまでも堕ちていきそうで恐ろしかった。
 そんな清香を見て、三田は胡坐をかいて座ると、あごを掴んで無理やり清香の顔を上げた。
「まあ、とりあえず土下座はやめろ。私はそれを見ると腹が立つ。私が腹が立ったらどうなるかは言ったな」
「は、はい!」
「よし、では言うことがある。『どんなことされても嫌とは言わない』と言ったが、それは最初から当たり前のことだ。お前はもう少し覚悟が足りない。だが、安心していいぞ。私は女性を辱めるのは好きだが、いたぶるのは好きではない。大切なお前たちを傷物にしたりはしない」
 そんなこと言われても、清香はちっとも安心できなかった。
「文についても同じだ。どちらも特別扱いはしない。ただ、まあ、確かに文は幼くはあるな」
 そう言われて、清香は意外に思った。三田がそんな風に言うとは想像していなかった。
「食指が動かんのは事実だ。だから、しばらく私は放っておく。いいか、手を出さないのとは違うぞ。ただ、単にやる気が起きないだけだ」
 予想外の言葉に、清香はその場で頭を下げ、「ありがとうございます!」と叫んだ。
「土下座は止めろ。…それとな、お前本当に嫌なのか?」
 意味がわからず、清香は首をかしげた。
「まあいいか、これから嫌でも思い知ることになるだろう。 …さて、風呂から上がったら文も含めて話があるから、2人で私の部屋に来なさい」
 そう言って、三田は立ち上がると去っていった。清香は文のことで嬉しく思いつつも、今度は何をされるんだろうと不安にも思った。

 三田の後に風呂に入った後、2人は三田の部屋を訪れた。お互いに何をされるか不安だったが、清香は三田の言葉を信じようと思った。
 ノックをして入ると、三田はかなり大きめのビンを持って、側面に張り付いているラベルを熱心に読んでいた。
「来たか。とりあえず、2人とも座りなさい」
 そう言って2人を座らせると、文に持っていたビンを手渡した。ビンはズシリと重く、危うく文はそれを取り落としそうになった。
「それはお前にやるから、毎日忘れず使え」
「え?」
 そう言われて、しげしげと文もラベルを見たが、英語で書かれていてわけがわからなかった。
「あの、これなんですか?」
「ん? 読め…ないか、そりゃそうか。まあ、簡単に言えば豊胸剤だ」
「ほうきょうざい?」
 そう言われても、漢字変換できなかった文は鸚鵡返しに訊いた。
「お姉ちゃん、ほうきょうざいって何?」
「ええと、豊かな胸だから、胸が大きくなる薬、かしら?」
 清香が自信なさそうに言うと、三田が「そうだ」と肯定した。
「ま、簡単に言えば、それを塗り続けると胸が大きくなる、らしい」
「わぁ!」
 文は単純に嬉しいらしく、きらきらした目でビンを見つめた。それから、思い出したように訊いた。
「あの、お姉ちゃんは?」
「清香には無しだ。…一応理由はある。その薬は推奨15歳以下だ。それ以上には効き目が鈍るらしい。それと、微量だが興奮剤が入っているから、おそらく耐えられなくなる。不眠症になんかなりたくないだろう」
「えと、はい…」
 何だか言っていることの半分もわからなかったが、とりあえず文は頷いた。清香は、なぜだか自分が馬鹿にされているような気がして、憮然とした表情になった。
「使う時間はいつでもいいらしいが… そうだな、寝る前にお姉ちゃんに塗ってもらえ。清香、塗るときはビニール手袋を忘れるなよ」
 その言葉に、姉妹は顔を見合わせた。
「あの… 自分で出来ますよ?」
「いや駄目だ、清香がしろ。ほら、今日は見ておいてやるからここでしろ」
「え、ええ!?」
 驚いた2人だったが、何を言っても無駄だと思い知ったのか、お互いに目配せをすると素直に従って準備を始めた。
「上着は、脱いだほうがいいよね… ブラジャーも…」
 文は度胸が据わったのか、躊躇いながらも上着とスポーツブラを脱いで上半身裸になった。最初は手で胸を隠していたが、三田が見ているとわかると、ゆっくり手を下ろした。
(胸は、やっぱり大きいほうがいいのかな?)
 そんなことを考えた。

 そうしているうちに、ビニール手袋を着けた清香がビンを片手に文の前に立った。
「そこに立ったら見えないだろ。清香は座って、文は清香の膝に座れ」
 清香はため息を吐くと、空いている椅子に座って「はい、あやちゃん」と膝を叩いた。文も慣れた様子で清香の膝に座り背を預けた。
「じゃあ、塗るよ?」
 そう言って、清香は両手に薬を付けると、文の乳房を両手で覆い塗り始めた。小振りな乳房は、あっという間に薬まみれになった。
「終わりました…けど?」
「清香、言わなくてもわかるだろう?」
 三田にそう言われ、清香は(ああ、やっぱり)と思うと、文の耳に口を近づけた。
「文ちゃん、痛かったら言ってね」
「え、何をする…の。 …あっ!」
 文が言い終わらないうちに、清香は昨晩に自分の胸でしたように手を動かし始めた。
 初めはゆっくりと優しく、次第に力強く。清香にその気は全く無かったが、リズミカルに動くその指は、明らかに官能を刺激する動きだった。
「文、どんな感じだ?」
「…ぬるぬるして、くすぐったいです」
「他には?」
「…うぅ。わかりません」
 本当は、揉まれる度に胸の奥がじんじんと響き、幼い官能が無理やり呼び起こされていた。
(ああ、見てる。旦那さまが見てる…)
 うっとりとした表情で三田を見つめ、文は熱っぽい息を吐いた。
(まあ、ある程度は予想していたが、妹も同じ性質か… 予定を繰り上げてもいいかもしれんな)
 半分呆れながらそう思うと、三田は時計をチラリと見て言った。
「よし、そのくらいでいいだろう。文、服を着ろ」
 2人で遠い目をしていた姉妹は、三田の声で、はっ、と我に返ると、慌てて身体を離して身支度を整えた。
「5分だな、それぐらい揉んでいれば十分だ。その薬は部屋で保管しろ。
 明日の予定は今日と同じだ。ただ、朝食はお前たちで用意しろ。朝食の時間は7時。その時間に私を起こせ。
 清香、明日は寝坊するなよ。文、お姉ちゃんをしっかり起こせ。では、おやすみ」
 そこまで一方的にまくし立てると、三田は姉妹をさっさと部屋から追い出した。2人は「おやすみなさい…」と頭を下げると、お互いに顔を見合わせて、頬を染めながら部屋に戻った。

 姉妹は部屋に戻ってすぐにベッドに入ったが、昨日とは違ってなかなか寝付けなかった。今日も色々なことがあって疲れているはずなのに、2人とも妙に興奮して眠れないのだ。
(ああ、私はなんて馬鹿だ! もう、馬鹿! 馬鹿!)
 そんな中で、清香は自己嫌悪の真っ最中だった。
(なんであんな風に揉んじゃったんだろ… フリだけしておけばよかったのに…)
 三田がどんな狙いで自分に揉ませたかは、ぼんやりと気付いていたが、馬鹿正直にそれに乗ってしまった自分が情けなく、文に申し訳なかった。
「ねぇ、お姉ちゃん…」
 突然、文が清香に声を掛けてきた。動揺しながらも、それを必死で覆い隠し清香は答えた。
「…どうしたの、文ちゃん?」
「今日は、その、大変だったね」
「そう、だね…」
 そう言って、しばらく沈黙が流れた。
「……ないの」
「え、何?」
 良く聞き取れなくて、清香は文の方を向いた。文はこちらを、妙に熱っぽい目で見ていた。
「身体が熱くて、眠れないの。なんだか、胸もどきどきするし…」
 そう言って文は、熱っぽい息を、はぁ、と吐いた。その仕草が妙に色っぽくて、清香は胸の鼓動が早くなるのを感じた。
「お姉ちゃん、お願い。何とかして… このどきどき、止めて…」
 そう言われて、清香は大いに慌てた。自分が妹の官能に火をつけたのは感覚的に理解できたが、だからと言って、それをするのはひどく躊躇われた。
 混乱して言葉を出せない姉に、文は懇願するように言った。
「…辛いよ」
 そう言われて、清香は心を決めるしかなかった。全ては三田の言うがままになった自分が悪いのだ。そう思い決めて、清香は文をそっと抱きしめた。
「文ちゃん、そういう気持ちになったら、必ずお姉ちゃんに言ってね。お姉ちゃんがちゃんとしてあげるから、自分で弄っちゃだめよ…」
 それは、文が自分の様に官能へ堕ちないためだった。自分がコントロールしなければならないと強く思った。

「うん、お姉ちゃん…」
 そう言うと、文は安心したように清香の胸に顔を埋めた。
 小さいときから、文はお姉ちゃん子だった。物心ついたときから両親のいなかった文にとって、自分を無条件で愛してくれる姉の存在は、強烈な依存の対象だった。
 それはお互いに、どこか肉親の情を超えていた。
「文、力を抜いてね…」
 清香はさっきの様に文を背後から抱くと、片手で文の胸のボタンを外してそっと手を差し入れた。スポーツブラの上から優しく胸を揉んでやると、文は気持ちよさそうに鼻を鳴らした。
(ああ、文。可愛いわ…)
 自分の指が動くたびに甘く啼いて反応する文は、まるで愛玩動物のようで、いつもとのとは違った愛おしさを感じた。
「文、きもちいい?」
 清香がそっと耳元に問いかけると、「うん、きもちいいよ…」と文はうっとりした声で答えた。
 その声がたまらなく愛おしくて、清香は自分でも思ってもみないことを言った。
「ね、キスしようか?」
「ふぇ? ん、いいよ…」
 とろけた目で文は姉を見上げると、文は何のためらいも無く目を閉じて口唇を差し出した。
「ん…」
 清香は唇を合わせ文の身体抱きしめた。唇の柔い感触と甘い文の匂いが、自分の理性をとろとろに溶かしていくのを感じた。
「んっ、んん… ぷはっ」
 散々唇を吸ってから口を離すと、文はとろんとした目付きで、「お姉ちゃんのえっち…」と呟いた。
「もう少しだからね…」
 清香は文が昂ぶってきたのを感じると、片手を文のショーツの中に滑り込ませた。
「あ、そこは…!」
「大丈夫、力を抜いて…」
 そう言ってもう一度キスをすると、清香は指を妖しく動かし始めた。
「あっ! そこ、お姉ちゃん… 駄目、駄目だよ…!」
 股間からの甘い刺激に、文は思わず清香の手を押さえようとした。その手を優しく押さえて、清香は手加減無しで文の秘所を嬲った。
「ふああーーー!! それ! それ駄目! お姉ちゃん、駄目だよーーー!!」
 突然激しくなった刺激に耐え切れず、文は四肢をばたつかせて抵抗した。清香は足と手を身体に絡めて文を押さえ付けると、「大丈夫…」と耳元で囁くと、これで最後とばかりに指で秘所をかき回した…!
「ひっ!! 〜〜〜〜〜〜!!」
 一瞬息を吸い込むと、文は声にならない悲鳴を上げた。清香は、文の身体のそこかしこが痙攣しているのを感じた。
(私もこんな感じなのかしら…?)
 興味深く文を見守っていると、波が去ったらしい文が、「ハァハァ…」と荒い息を吐きながら、目の焦点を清香に合わせた。
「おねえちゃん… 気持ちよかったよ…」
 そう言うと、文はそのまま満ち足りたように眠りについた。
 清香は文の服を調えてやると、文の愛液でぬらぬらと光る指を見つめて呟いた。
「いやらしい、女だわ…」

 姉妹が屋敷に来て1ヶ月が過ぎた。
 その間、色々なものが変化した。
 まずは服装だが、姉妹に庭仕事をさせ始めることも考えて、三田は適当な作業着を姉妹にカタログから選ばせた。
 ところが、文が「可愛かったから」と言って選んだ服はなぜかメイド服で、まかせっきりにしていた三田と清香は、届いた大量のメイド服を見て、各々ため息を漏らした。
「なんで文に選ばせた?」
「社会勉強だと思って…」 
 姉妹の体格も変わっていた。栄養事情が良くなったせいか、骨ばっていた身体には柔らかい肉が付き、女性らしい膨らみが全身に目立つようになって来た。
 特に、文の胸は急激な成長を見せた。それまで、せいぜいAカップ程度だった胸は、瞬く間にCカップまで成長し、服の上からでもわかるほどに張り出していた。
 文は素直に喜んでいたが、妹にあっさり差をつけられた清香は複雑だった。
「AA…」
「お、お姉ちゃんもすぐに大きくなるよっ!」
 その清香は、この1ヶ月で散々に嬲られていた。
 三田の宣言通り、1日1回は三田の目の前で自慰を強要され、三田の癇に障ることがあれば容赦無くローターで責められた。ショーツはそのたびに奪われていたが、途中から「しばらく何も穿くな」と宣告され、常にノーパンで過ごさなければならなかった。
 それからは三田からの陵辱の度合いも高まり、不意に呼びつけられては自慰を強要されることもしばしばだった。
 姉妹の夜の睦み事は、あれから数回あった。文も我慢しているのはわかったが、それでも耐え切れないときは清香も答えた。
 そうして、性に対して抵抗感を無くしつつある姉妹を見て、三田はそろそろ良い時期だと思い始めていた…

 その日の夜も、清香は呼び出されて三田の自室を訪れた。三田はいつものように椅子に座っていた。
 三田は清香が入ってくるなり自分の隣に立たせると、一言、「見せろ」と言った。
 もう十分に躾けられた清香は、躊躇いもせず「はい、旦那さま」と言うと、スカートを上げて足を開いた。
 三田が露になった秘所に無造作に手を伸ばすと、清香はまるで何かを期待するかのように「ああ…」と吐息を漏らした。それを聞いて、三田は決断した。
「文を連れて地下室まで来い」
 そう言うと、三田はさっさと部屋を出て行った。清香は地下室の場所は知っていたが、これまで入室は固く禁止されていた。
(たぶん、とうとう…)
 清香は1人覚悟を決めると、文を呼びに行った。

 姉妹が初めて地下室を訪れると、そこはまさに“そういう部屋”だった。
 部屋のそこかしこに設置された数々の器具。もとは高級家具だったろうに、作り変えられて拘束台と化した皮製のベッド。そして、壁に掛けられた用途もわからない道具の束。姉妹は、これから自分たちの身に降りかかる運命に震えた。
「服を脱いでそこに立て」
 2人は、これまでとは違う三田に不安を感じながら、染み付いた服従心で服を脱ぎ始めた。
 裸で並んだ姉妹をじっと見つめて、三田は「ふむ」と納得したように頷いた。
「ようやく食べごろになったな。随分と女らしくなったじゃないか」
 そう言われて、姉妹は(とうとう来た!!)と身体を強張らせた。姉妹は、お互いに目配せをすると、清香が進み出て言った。
「旦那さまに捧げる覚悟はできています。ですから、どうか私たちを大切にしてください。どうか、飽きて捨てないでください…」
 それは夜毎話し合っていたことだった。純潔を捧げるからには、この人に長く大事にして欲しかった。
「まだそんなことを考えていたか… まあ、それは安心しろ。お前たちは良くやっている。滅多なことが無い限り手放す気はない」
 その言葉に、姉妹は明らかに安堵した。
「さて、今日から本格的にお前たちを躾ける。もちろん奴隷としてだ。まずは挨拶からだ。…そうだな、清香、やってみろ」
 突然名指しされ、清香は驚きつつも答えた。
「お、おはようございます、旦那さま」
「全然ダメだな」
 三田は面白そうに言った。
「え?」
「奴隷が立って挨拶するのか? 跪け!」
 突然三田が大声で叫ぶと、清香は雷に打たれたように跪いた。慌てて文もそれに倣った。
「土下座は嫌いだと前に言ったな? あれは弱者が土下座を武器にしているからだ。本当はそうではない。土下座は服従の証だ。見も心も捧げる覚悟をした者のみ、土下座は相応しい」
 そう言うと、跪いている清香に一枚の紙を渡した。
「これが挨拶だ。ほら、清香。姉が手本を見せてみろ」
 紙に書いてある内容を読んで、清香は改めて自分たちに何を求められているのかを悟った。紙を文に手渡すと、覚悟を決めて語り始めた。
「い、卑しい奴隷の清香です。これから旦那さまに奉仕させていただきます… どうか、このいやらしい身体を存分にお使いください…」
 言い終わると、清香は深々と座礼をした。それから恐る恐る顔を上げるた。

「途中で顔を上げたから60点だな。次、文やってみろ」
 そう言われて、文は困ったように三田を見た。
「よ、読めません、旦那様…」
 そう言われて、思わず三田は苦笑した。
「まあ、仕方がないか。文は思うように言ってみろ」
「はい、えーと、その…」
 文は必死に頭を巡らした。
「い、いぢめてください…」
「…………」
「…………」
 場が無言になった。
「まあ、いいか… そういう気持ちは大事だ」
「はい……」
 自分が外した答えを言ったとわかって、文は、しゅん、とうなだれた。
「挨拶の後は奉仕だ。清香…」
 そう言うと、三田は清香の肩に片足を、どかっ、と置いた。
「舐めろ」
「え…?」
「わからんか? 服従心が足りんな。おい、土下座しろ」
 混乱したまま清香が額を床につけると、三田は清香の頭を足で踏みつけた。
「あっ!!」
「これでわかったか? 舐めろ」
 ようやく、三田の言わんとしていることを理解した清香は、のろのろと顔を上げると、舌を伸ばして三田の足を舐め始めた。
(うぅ、気持ち悪い…)
 思ったよりは変な味はしなかったが、足を舐めるという行為は、背筋が逆立つほど屈辱的だった。
「どうだ、惨めか?」
「………はい」
「だろうな。だが、奴隷としては失格だ。主人の足ぐらい喜んで舐めろ」
 そう言って三田は足を引いた。足舐めから解放された清香は、荒く肩で息を吐いて、「はい…」と答えた。

「次、文やってみろ」
「は、はい!」
 文は三田に擦り寄ると、犬がミルクを飲むように、ぴちゃぴちゃ、と音を立てながら足を舐め始めた。
「はっ、はっ、はっ…」
 姉よりも嫌悪感が無いのか、それとも三田に精一杯アピールしているのか、文は積極的に舌を動かした。
「ははっ、まるで犬のだな。そのまま、ケツを振ってみろ」
 文は言われた通りにお尻を左右に振った。そうすると、自分が本当に犬になったように思えてきた。
「次はしゃぶってみろ」
 三田がそう言ってつま先を上げると、文は躊躇いも無くそれを口に咥えた。
 じゅぶじゅぶ、と音が立つほどに熱心に吸い上げる。文の心には、(ああ、そうか… これがご奉仕っていうんだ…)という漠然とした理解が広まっていた。
「よし、もういいぞ。文はおしゃぶりが上手だな」
 そう言って、三田は文の頭を撫でながら褒めた。最初、あっけにとられた表情をしていた文だったが、褒められたという事がわかると、ぱぁぁ、と顔を輝かせて喜んだ。
「今度はこっちだ、できるな?」
 そう言って三田は己のペニスを取り出して文に見せ付けた。後ろで清香が、はっ、と息を飲むのが聞こえた。
 さすがに文は躊躇したが、それでも「ご奉仕します…」と言うと、あっさりとペニスに手を伸ばした。震える手でまだ萎えているそれを持ち上げると、チロチロ、と2、3度舐め上げた。
「ううぅ…」
 低く呻いてから、文は困ったように三田を見上げた。
「まずは全体を丁寧に舐めろ。それから咥えてみろ」
 そうアドバイスを受けて、文は再び、チロチロ、と舐め始めた。
(なんだか、すごく生臭い… でも、何でだろ、嫌な匂いじゃない…)
 初めはゴムのような感触にびくびくしていたが、次第に気にならなくなってきた。不意に、文はペニスが最初と較べて大きくなっていることに気付いた。
(あ、大きくなってる… よ、よーし…)
 文はいったん口を離すと、精一杯大きく口を開けてペニスを飲み込んだ。
(お、大きい…!!)
 文の年相応の口に三田のペニスは大きすぎた。それでも必死に鼻で息を吸うと、口をもごもご動かしてペニスを刺激しようとがんばった。
「ふーっ! ふーっ! ふーっ…」
 鼻息荒く奉仕を続ける文を楽しそうに見ると、三田は頭を撫でて文の動きを制した。
「よく頑張ったな、偉いぞ」
 また三田から褒められて、文は嬉しそうに鼻を鳴らした。
「じゃあ、手を降ろして身体の力を抜け。息をゆっくり整えろ」
 そう言うと、文は手をだらん、と垂らして息を整えた。
「よし、絶対に力むなよ…」
 三田はそう言うと、おもむろに左手で文の鼻をつまみ、右手で後頭部を押さえると、力を込めて強引に文の顔を自分の腰にくっつけた。
 当然、喉奥深くに進入したペニスは気道を塞ぎ、文は呼吸ができなくなった。
(い、き… 息ができない…!!)
「んごぉーーー!!! おーーーー!!! おーーーー!!!」
 力むなと言われても無理な話だった。文は手と足をばたばたと振り回して抵抗した。しかし、三田はがっちりと固定して離さなかった。
「文ちゃん!!」
「黙っていろ!!」
 三田は制止したが、構わず清香が文を引き剥がそうとした。三田は舌打ちを一つすると、清香を容赦なく蹴り飛ばした。
「きゃあ!!」
「そこで大人しくしていろ!! お前が余計なことをすると、妹が死ぬぞ」
 そう言われて、清香はビクリと震えて動けなくなった。
(あ、あ… 頭がぼーってなる… ふわふわ、してる…)
 すでに文の手足は止まり、食道はびくびくと痙攣している。
(そろそろか…)
 三田がそう感じると、それまで、かっ、と見開いていた文の目がだんだんとあがり始め、ついには、くるん、と裏返った。
 その瞬間、三田は文の頭を離すと、間髪入れずに半開きになっている文の口を自分の口で覆い、思いっきり吸い上げた。それまで行き場の無かった文の吐瀉物が、引きずられるように喉の奥から溢れてきた。
 三田はその最初の波を吸い取って吐き捨てると、倒れる文をうつぶせにひっくり返した。
「ごぼお、ごぼっ! ごぼ……!!」
 瞳から光を失ったまま文は嘔吐を続けた。さらには、下も緩んだらしく、しゃぁぁぁぁぁ、と音を立てて失禁した。

「ああ、文ちゃん…」
 変わり果てた妹に近づくと、清香は汚れた口を拭ってやり、いまだ尿を垂れ流す股間に服を丸めて押し込んで流れを止めた。
「…酷い、こんなの酷い、あんまりです!」
 清香が殺気に満ちた目で三田を見ると、三田はペットボトルの水で口をゆすぎながら答えた。
「そうか? 俺はご褒美のつもりなんだがな…」
 三田はとぼけた風に言った。
「さて、次はお前の番だ。ベッドにあがって四つん這いになれ」
「い、嫌です…」
「舐めた口を叩くな。その格好で放り出してもいいんだぞ」
 そう言われて、清香はあるだけの服を文に掛けてやって、のろのろとベッドに上がった。
「四つん這いだよ、早くしろ」
 のろのろと動く清香の尻を、ぴしり、と叩くと、清香は「ヒッ!」と小さく悲鳴を上げて四つん這いになった。
「そのまま腕を後ろに回せ。両方だ」
 清香はぶるぶる震える身体を精一杯動かして、腕を後ろに回した。その瞬間、三田は清香の両腕を拘束具で固定した。
「えっ!?」
 驚く清香を尻目に、今度はアイマスクを取り出すと、がっちりと清香の視界を覆った。
(み、見えない…!)
「何をするんですか!?」
 急に視界を遮断され、清香は抗議の声を上げた。しかし三田はそれに答えず、次に両足を開いた状態でバーに固定すると、最後に鎖つきの黒皮の首輪を取り出して清香の首に巻き、ごつい南京錠で、がちゃり、と錠をした。
(何!? 今の音…!? な、何がどうなってるの!?)
 清香の混乱と恐怖はピークに達していた。あとほんの少し不安な出来事が起これば、失禁してしまうかもしれなかった。
「お、お願い… 酷いことはしないで…」
 息も絶え絶えに清香は懇願した。その瞬間、
「あん!!」
 と、清香は甘い声を上げた。自分のクリトリスを、柔らかい何かが撫ぜたのだ。
「あん、あん…!!」
 それは一度では終わらず、何度も淫核を擦り上げると、次にヴァギナ全体を刺激が襲った。
(これ、もしかして舌!? 旦那さまがおまんこ舐めてるの!?)
 そう考えると、途端に強烈な快感が脳髄に炸裂した。それまで舐めていた舌が引っ込むと、今度はクリトリスを強烈に吸われた。
(あ、駄目だ…)
「あ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
 我慢する間もなく清香はイッた。
 普段ならここで三田は刺激をやめるが今日は容赦が無かった。ヴァギナから舌が離れたかと思うと、今度は両の乳首を、こりこり、と刺激され始めた。
「駄目っ! 駄目っ! もう、無理! イキましたぁ! 旦那さま、私イキましたぁ!!」
 どんなに叫んでも三田の手は止まらなかった。ほどなくして、ヴァギナへの刺激も始まり、清香はあっさりと2回目の絶頂を迎えた。
「〜〜〜!!! …またイッた、イキました! お願いです、許してください! 旦那さまぁ!!」
「…回数を数えろ」
 三田がぼそりと言うと、清香が「2回、2回イキましたっ!!」と叫んだ。
「これからもちゃんと数えろよ」
 そう言うと、三田はいったん刺激を止めた。ようやく落ち着けた清香が、「はぁはぁ…」と荒い息を吐いて、「は、い…」と返事をした。
(これで、終わり…?)
 甘い期待に首を巡らしたが、依然として視界は真っ暗だった。
(あ、でもこれからって…)
 そこまで考えを巡らせた時、清香は腰を、がしっ、と掴まれた。
(え?)
「貰うぞ、お前の処女」
 あっさりとそう言うと、そそり立った剛直を、まっすぐ清香のヴァギナに突き立てた。
「あ…」
 痛みを感じる暇も無かった。ただ、異物が、そこにあった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 清香は声の限り絶叫した。這ってでも逃げ出したかったが、腰をがっちりと掴まれていては無理だった。
 初めて男を受け入れたと言うのに、痛みが全く無いのも不安だった。

「痛くないみたいだな? 動くぞ」
 三田はあっさりと言うと、猛然と腰を打ちつけ始めた。
「はっ!! はっ!! はっ!!」
 膣壁が擦り上げられ、体奥を突き上げられる。まったく味わったことのない快感に、清香は完全に錯乱した。
(駄目っ…! またイッちゃう!!)
「あーーーー!! さんかいめ! さんかい、イキましたぁ!! もう許してくださいぃぃぃ!!」
 それにも答えず、三田は無言で腰を動かし続けた。
(嘘…!? もう無理、無理なのに!!)
 清香は逃げようともがくが、全身を拘束する責め具に体の自由を奪われていては、身をよじることしかできなかった。
「よ、よんかいめぇ!! あ、ごかい!! イッた!! つづけてイキましたっ!!」
(もう… 限界…)
 絶頂が繰り返し訪れ、清香の意識は限界を超えた。
 清香があっさりと意識を落としたのを見ると、三田は無言で首輪につながれた鎖を手に取ると、思いっきり引っ張った…!
「げぼぉ!!」
 強制的に覚醒させられ、清香は一瞬自分の身に何が起きたのかわからなかった。
「え… え?」
「続けるぞ」
 無慈悲にそう言い捨てると、三田はまた猛然とペニスをピストンさせ始めた。
(そんな… また、また…!!)
「嫌ぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!」
 地下室に、清香の大絶叫が響いた。

 …遠くから、姉の声が聞こえる。かすかに聞こえるそれを頼りに意識を取り戻すと、文の耳に姉の叫び声が聞こえた。
「じゅうな゛な゛がいぃぃ…!! あ゛あ゛、ゆるじで、ゆるじでぐだざいぃぃぃ…」
「お姉ちゃん!!」
「たすけて、たすけてぇ…」
 視界を奪われている清香は、文が覚醒したことにも気付かず、うわごとのように懇願を繰り返した。
「ん、起きたか…」
 文に気付いた三田が、さすがに少し疲労したのか、疲れた声で言った。
「よし、清香。あと3回イッたら許してやろう。さあ、お願いしろ」
 そう言われ、清香は残る力を振り絞って叫んだ。
「だ、旦那ざまぁ!! メス犬の清香をもっとぎもぢよくしてくだざいぃ!! 旦那さまのおちんちんできもぢよくしでぐだざいぃぃぃぃ!!!」
 まさか姉がそんなことを叫ぶなど想像もつかず、文は衝撃を受けて口を覆った。
「よし、えらいぞ清香」
 三田は清香の頭を優しく撫でると、腕の拘束具を外してそれぞれの手を持つと、まるで荒馬の手綱を引くように猛然と腰を打ちつけ始めた。
「な、なにこれ!! 深い!! 深すぎるぅ!! 駄目!! すぐに、すぐにイキます!!」
「数えろ」
「はいぃ!! じゅうはち、じゅうはちかいです!! また、またイク!! じゅうきゅうがい、いぎまじだぁ!!」
 数えるごとに、清香の体は二度三度跳ねて、快感のすさまじさを体現していた。
「よし最後だ!! 全部受け止めろ!!」
 これまで耐えに耐えてきた三田も、己の精を解き放ち、清香の体奥向けてすさまじい勢いでザーメンを放出した。
(あ、何!? 中で熱い、熱いのがっ!!)
 子宮に熱いほとばしりを感じ、清香はこれまでにないほどの絶頂を迎えた。
「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
 魂消るほどの絶叫を上げて、清香は二、三度全身を痙攣させると、糸が切れたように崩れ落ちた。
 三田がようやくペニスを引きずり出すと、ヴァギナの奥から注ぎ込まれたザーメンが、ごぷり、ごぷりと逆流を始めた。
 一部始終を見届けた文は、姉の凄まじい痴態にがたがたと震えていた。
 そんな文に、ベッドから降りてペットボトルの水を飲みながら、三田が言った。
「文、お姉ちゃんのおまんこから精液を吸い出してやれ」
「え!? そんな…」
「このままだと、妊娠してしまうかもしれないぞ」
「妊…娠!」
 嘘だった。三田は殺精剤を常用しているし、姉妹にも隠れて避妊剤を服用させていた。
 しかし、そんなことは知らない文は混乱した意識も手伝って、慌てて清香に駆け寄ると、数瞬の躊躇いの後に、清香のヴァギナに口を付けて思い切り吸いついた。
 途端に、口の中にどろどろとした液体が流れ込み、その独特の臭みに顔を歪めながらも、思い切って飲み込んだ。
「んく… んく… 変な味ぃ…」
(でも、これが旦那さまの精液…)
 そう思うと、不思議と気にはならなかった。
「んく、んく、んく… はぁはぁ… んく…」
 必死になって、何度も吸い付いては飲み干しているうちに、ようやく三田のザーメンを全部吸いだすことができた。
「よし、良く頑張ったな」
 三田がそう言って文の頭を撫でてやると、文は嬉しそうに目を閉じて鼻を鳴らした。
(こいつ、本当に犬みたいだな… そのうち…)
 三田が内心何かを決心していると、それまで気を失っていた清香が「う〜ん…」と身を起こした。
「文、お姉ちゃんのマスクと足の棒を外してやれ。首輪はそのままで鎖だけ外してやれ」
 文はそれに「はい、旦那さま」と答えると、まだ朦朧としているらしい清香に、「じっとしててねお姉ちゃん」と声を掛け、器用に足のバーとマスクを外していった。
「え、文?」
 焦点の合わない目で文を認めると、清香は顔を真っ赤にした。
「み、見ないで…」
 その言葉に、三田は思わず笑ってしまった。
「ふはははは!! いまさら何を言ってるんだ! お前はもう散々恥ずかしい姿を晒してるじゃないか」
「そうだよ、お姉ちゃん。いまさらだよ」
 三田どころか、文にまでそう言われて、清香はへこんだ。
「相変わらずのド淫乱だな。初セックスで20回イキか…」
「…淫乱とか、言わないでください」
 清香が拗ねたように言った。三田は、「クク…」と笑うと、2人にそれぞれペットボトルを手渡した。
「水分はしっかり取っておけ。あと、そこはシャワーに続いているから、シャワーを浴びたらこの部屋を片付けて上がって来い」
 そう言うと、三田は地下室から出て行った。残った姉妹は、それぞれにため息をつくと、後片付けに動き始めた。

 次の日、いつものように早起きした文は、清香を起こすと、朝食の準備を姉に任せて、三田を起こしに行った。それは、ここ数日からの日課になっていた。
「旦那さま、起きてください」
 軽く揺すると、三田はすぐに目を覚ました。
「…文か?」
「はい、おはよう…ございます」
 文は、一度言葉を詰まらせてから挨拶をした。それは、三田の肥大化したペニスを見てしまったからだった。
 一瞬、何事かといぶかしんだ三田だったが、文が頬を染めているのを見てニヤリと笑うと、立っている文を跪かせて、直立したペニスを露出させた。
「文、今日から毎日これにも挨拶しろ」
「は、はい…」
 三田の意図を察した文は、「ご奉仕します…」と恭しく頭を下げると、昨日の記憶を思い出しながらペニスを舐め始めた。
 チロチロ、チロチロ、と全体を丹念に舐め回すと、昨日よりもさらに濃い三田の味を感じた。
(うわぁ、凄い…)
 意を決して大きく口を開けて飲み込むと、えずく喉を何とか鎮めて、できる限りのど奥まで咥えこんだ。
(うぅ、やっぱり奥までは無理だよう…)
 文が(それでも咥えたまま)三田を情けなさそうに見上げると、三田は優しく文の頭に手を置いて言った。
「別に昨日と同じ事をしなくてもいい。先っぽをもぐもぐしてみろ」
 そう言われて文は口を戻すと、先端のくびれているところを甘噛みして、言われた通りもぐもぐとしてみると、三田が気持ちよさそうにうめき声を上げた。
 それを聞いて嬉しくなった文は、顎が疲れるのも気にせずに奉仕を続けた。
「よし、なかなかいいぞ… 舌も使え…」
 三田から出される命令をこなしていくうちに、文は自分も興奮していくのを感じた。
「そろそろ出すぞ。全部飲み干せよ」
 三田が宣言すると、文はいっそう動きを早くした。
「よし、出すぞ! 飲み込め!」
 三田は、最後は昨日のように文の顔が腰に当たるまで突き込むと、勢い良くザーメンを放出した。
 喉奥まで突かれて目を白黒させながらも、文は必死の思いでそれを飲みつくした。
「けほっ、けほっ…」
 ようやく口を解放してもらうと、文は逆流しそうになる喉を必死に宥めた。

「あの、旦那さま…」
 朝食の席に着くと、清香がおずおずと切り出してきた。
「これは、いつ外していただけるんでしょうか?」
 清香は、自分の首に巻かれた首輪を指差して言った。
「妙なことを言うな。お前、自分で自分のこと雌犬だって言ってたじゃないか。犬には首輪だろ」
「そ、そんな…」
 清香が絶句すると、三田は笑って言った。
「まぁ、外出するときは外してやる。ただし、別のものを着けてもらうがな」
「別のもの…」
清香は何かに気をとられた様に、ぽけ、と聞き返した。
「嬉しそうだな?」
「そんなこと… ないですよ…」
 清香は慌てて頭を降った。顔が赤くなっている。
 お姉ちゃん、嬉しそうだなあ、と文は思った。

 昼食後、屋敷をあらかた掃除した後で、姉妹は一息をついた。(地下室の掃除は、2人とも無言で黙々と行った)
 いつもだったら、清香が仕事をしている三田にお茶を持って行き、2人で買い物に出かける時間だが、朝の一言がひっかかり、清香はどうも気が乗らなかった。
「…ねぇ、今日は文ちゃん1人で行ってきてくれる?」
 清香が、ぼそっ、と呟くと、文はお茶を飲む手を休めて言った。
「でも… それだと、旦那さまと2人きりになるよ?」
「ああ、そっか… そうだね…」
 文は軽い嫉妬心から言ったのだが、清香には伝わらなかった。
(文ちゃんにカード使わせるのも怖いし)
 そう無理やり結論を出すと、清香はお茶を飲み干してトレイを手に立ち上がった。
「行くの?」
「うん。文ちゃんは買い物籠持ってきてね」
「ふーん、わかった」
 すこしだけ不機嫌な返事をして、文は出て行った。
 清香はいつもだったらそれに気付くはずだったが、今日は何か熱に浮ついた顔で三田の自室に行くと、遠慮がちにノックした。

「失礼します、旦那さま」
 返事を待たず(最近でいつものことだった)部屋に入ると、三田はいつものようにパソコンを複数台立ち上げてディスプレイを睨んでいた。
「お茶をお持ちしました、旦那さま」
「…ん」
 それだけ言うと、三田はディスプレイから目を離さずに湯飲みを取り、お茶を一気に呷った。そして、湯のみをトレイに戻して、
「うん…」
と、またそれだけ言った。
 しばらく無言の時間が過ぎた。
「あ、あの旦那さま…」
 耐え切れなくなって、清香がおずおずと声を出した。
「首輪を外して欲しいのですが…?」
「3684」
「はい?」
「だから、南京錠の番号は3684だ」
 清香の問いかけに、三田はやはり画面から目を離さずに答えた。
「見ての通り、今は忙しい。勝手に外して、勝手にしてくれ」
 そう言うと、いかにも煩そうに手をひらひらと振り、清香を部屋から追い出した。
 追い出された清香は、釈然としない思いを抱きつつ文の待つ玄関へと向かった。
(何よ… あんな言い方しておいて… 期待、させといて…)
「あ、お姉ちゃん…?」
 やって来た清香の首に首輪がついているのを見て、文は不思議そうに首をかしげた。
「外してもらえなかったの?」
「…ん、何が?」
「首輪…」
「…別に」
 そっけなく答えると、清香はそのままの格好で歩き出した。
「お、お姉ちゃん、着替えないの?」
 文は外出着に着替えていたが、清香はいつものメイド服で、しかも首輪も嵌めたままだ。
「…いいじゃない、別に変じゃないし」
(な、何でお姉ちゃん、怒ってるのかな…?)
 清香の言葉に明らかに怒気を感じて、文は内心ドキリとした。
 清香が怒ることなど滅多にない。それだけに、文は何も言えずにいた。
(でも、その格好はまずいと思うけど…)
 文は改めて姉をみてそう思った。
 文自身も変わったと思うが、妹の目から見て、姉もこの数週間でがらりと印象が変わって見えた。
 痩せすぎで貧相な印象だった顔は、食生活の変化と屋敷での(ある意味)メリハリの効いた生活のせいか、鼻筋の通った少し物憂げな美少女のそれに変化していた。
 コンパスのようだった脚もむっちりした女性の膨らみで包まれて、スカートからスラリと伸びたそれは、文でさえため息が出るほどだった。
 しかも今の清香は、文おススメのメイド服を着ている。どうせ屋敷でしか着ないなら、とノリノリで発注したそれは、作業着専門店で売っていたせいかフリルも少ない実用的な作りをしていた。
 屋敷の中では、何とか違和感なく着れるが、一歩でも外に出ると、とてつもなく場違いで浮いて見えた。さらに、スカートの丈は普通の膝丈なのだが、モデル体系で腰の高い清香が着ると、ミニスカートの様に足がむき出しになった。。
 とどめは昨日から着けている首輪だった。黒革のそれ自体は強弁すればアクセサリーに見えなくもないが、正面にごっつい南京錠が掛かっていると、もはやギャグにすら見えなかった。
(ダメだ… この格好を人前に晒すのは、本格的にダメだ…)
 冷や汗をだらだら流しながら必死で頭を巡らす文をよそに、清香はスタスタと歩き続けた。文は何か言おうとしたが、重苦しい雰囲気に何度も言葉を飲み込んだ。
(ああ、もうスーパーが目の前… お姉ちゃん、そんなに大股で歩いたらお尻見えちゃう… って、あっ!!)
「あーーーーー!!!! お姉ちゃん!!!!」
 何かに気付いた文が、突然大声を出した。
「大声出さない!! …どうしたのよ?」
「ご、ごめんなさい。ええと、今日、お姉ちゃん、パンツ、穿いてる…?」
「…………あぁ」
 聞き終えて数瞬考え込んでから、清香はようやく納得したように頷いた。
「穿いてないわ」
「まずいよ!」
「大丈夫よ。今日はローター入ってないし、ノーパンはいつものことでしょ?」
(うわ… 妙な度胸がついちゃってる…!)
 確かに清香の言う通り、最近の姉は常にノーパンだったが、スーパーに来るときはズボンや脛まで隠れるロングスカートを穿いていたから覗かれる心配は無かった。
 しかし、今日は清香仕様のミニスカートだ。実際、屋敷ではしゃがむとモロ見えになることが度々あった。
「…お姉ちゃん、しゃがむと見えちゃうから、絶対にしゃがまないでね!」
 文が、これだけは…! という思いで言った言葉も、「わかってるわ」と軽く聞き流して、清香はあっさりとスーパーの中に入って行った。
(逃げたい…)
 突然降って沸いた不幸に、文は逃げ出したい気持ちを必死に抑えて姉の後を追った…

 スーパーに入った瞬間、店内全ての人間の視線が姉妹に集中した、ように文は感じた。
 生鮮食品だけでなく、家電やDIY商品、ペットショップなども内包している平屋の店内はかなり広く、また、平日の昼間でもかなりの人で賑わっていた。
 そんな中に突如現れた、ミニスカメイド服の美少女は否が応でも目を引いた。
(うわぁ… レジのお姉さん、めっちゃこっち見てるぅ…)
 実は姉妹は知らいことだが、毎日決まった時間に来店する2人は、店内でちょっとした噂になっていた。普通なら学校に行っている年恰好の姉妹が、毎日来店するのが物珍しく思われていたのだ。
 それだけに、清香への注目度は、実は文の想像をはるかに超えて高かった。

「ちょっと、ちょっと、店長。姫ちゃん来たよ」
 サービスマネージャー(27)から声を掛けられた店長(32)が、おっ、という顔で品出しの手を止めた。30台前半で大型店への抜擢を受けた彼は清香がお気に入りで、かってに『姫ちゃん』とあだ名まで付けていた。
「でも今日はやばい感じ。スタッフ締めたほうが良いよ」
 そう言うと、サービスマネージャーはスタスタと歩き去った。何の事だ? と首を捻りながら周囲を見ると、デリカ担当(24)スタッフが棚の影からちらちらと覗いているのが見えた。
「おーら、仕事しねえで何やってんだよ?」
 気軽に声を掛けると、デリカ担当は素早く振り返って言った。
「店長、今日はマジやべぇです。可愛いとか、もうそんなレベルじゃないです…!!」
 やや興奮ぎみに語るデリカ担当を押しのけて、彼は棚の影から窺うとちょうど棚の野菜を物色中の清香が見えた。
「…何、あれ!?」
 思わず硬直して呟いた店長に、デリカ担当は、「わかんないっす」と答えた。
「でも、眼福っすね。あの生脚、すげえエロイ…」
「まあ、な…」
 呟いたその瞬間、清香が顔を野菜に近付けようと体を少し屈ませた。スカートの裾がわずかに持ち上がり、見えてる以上に太ももの奥が露出した。
 姉の行動に気付いた文が、慌てて姉の後ろに立って視線を遮ったが、凝視していた2人には一瞬見えてしまった。
「……………」
「……………」
「……………ぱんつ、穿いてなくないですか?」
「……………ハハ、まさか……」
 呆然とする2人の横を、カートを押した清香が通った。
「あ、いらっしゃい…」
 鍛えられた条件反射で挨拶を言おうとした店長だが、振り向いた清香を正面から見て、思わず言葉が消えてしまった。
(うおお… 姫ちゃんメイドバージョン!? しかも、ごっつい首輪に南京錠付きってどんなヴィジュアル系…?)
「あ、こんにちわ」
 店長だと認めて、清香は愛想良く返事した。
 ニコニコと微笑む清香に、(くはー、かわええ…)と内心ドギマギしながら店長は答えた。
「今日は鮮魚で特売かけるみたいだから、寄っていきなよ」
「あ、ウチ、ウチも特売かけますから、デリカにも寄ってね!」
「そんな予定聞いて… まあいいよ」
 清香は「そうします」と答えると、カートを押して歩み去った。背後は文ががっちりとガードしていた。

 それをぼんやり見送って、店長はサービスマネージャーの言葉を、あっ、と思い出した。
「おい! 事務所に男性スタッフ全員集めろ! ナウだ、ナウ! あと、店内放送使うなよ」
 渋るデリカ担当を「急げ、急げ!」と追い立てて、店長は他に覗いている者はいないかと、周囲に目を配った。
(みんな、自重しろよ… 無理か)
 とりあえず、目に付いた鮮魚担当(41)とペットショップ担当(25)を小突いて事務所送りにすると、サービスマネージャーが紙コップが乗ったお盆を持って近づいてきた。
「はい、これ」
「何コレ? て、試供品の健康茶じゃん」
「中身は水ね。これをぶっかけてこい」
「…何に?」
「あれに」
 そう言って、サービスマネージャーは相変わらずキワドイ行動を続ける清香を顎で指した。
「……で?」
「そしたら、あたしが着替えを持ってくから、着替えてもらおう。服は衣料品コーナーから適当に見繕ったから」
「…下着もある?」
「そりゃ、そこまで濡れたらも考えて入ってるけど…  何で?」
「いや、いい。行ってくる」
 そう言うと、店長はさっさとお盆を受け取ると、足早に背後から清香に近づいた。
 清香の後ろに注目していた文はその行動に気付いたが、何だろうと思う間もなく店長はわざと脚を絡ませると、コップの水を清香にぶちまけた。
「きゃあ!!」
「ああ!! たいへんもうしわけありません!!」
 うわー、大根… と思いながら、店長は頭を下げた。
「何やってるんですか! 店長!」
 計画通りにサービスマネージャーがやって来ると、店長はようやく頭を上げて清香を見た。
 美少女メイドは、びっくりした顔でこちらを見ていた。
(間近で見ると… やっぱ、すんげえ美少女だな…)
 目の前で見る清香の容姿に圧倒されていると、「着替えはこちらで用意しますから、試着室までどうぞ…」とサービスマネージャーが話を進めてくれた。
「え、でも…」
 突然のことに躊躇う清香に、渡りに船っ! とお店側の好意に気付いた文が畳み掛けた。
「そうしなよお姉ちゃん!! 風邪なんか引くと大変だよ!!」
「ええ、ええ。もちろんお召し物はこちらでクリーニングさせていただきますから、こちらへ…」
「ほら、カートこっちに渡して。お買い物は私が済ませとくから!!」
 強気な2人に押し切られ、清香は頭にはてなマークを出しながらサービスマネージャーに連れられて行った。
 2人が衣料品コーナーに消えると。文は大げさに頭を下げた。
「ごめんなさい!!」
「いや、いいですが…」
 お客のプライバシー、と思いながらも、店長は聞かずにはいられなかった。
「ひめちゃ… ええと、君のお姉さん、どうしたの?」
「…何だか、嫌なことがあったみたいで」
 ストレス発散にあのカッコ? という言葉を、店長は何とか飲み込んだ。
「とにかく、服はプレゼントするから、今日は着て帰って」
「そんな… 悪いです。お金は払いますから」
「いいって! いいって! 見てたやつ等から罰金取ればそんなのあっという間に集まるよ」
「…やっぱり見られてましたか」
「あ……」
 店長は自分の失言に気付き、押し黙った。
 しかし、文は明るく話しかけた。
「いえ、いいです。今日は生きた心地しなかったんだから」
「そ、そう? いや、君のお姉さんは美人だから、結構ファンが多いんだよ」
 またもや口が滑った。
「ファン…?」
「ごめん、忘れて… ええと、本当にお金はいいから!!」
 そう言い残して、店長は足早に去って行った。
 1人残された文は、
「へぇ、ファンか…」
 と、興味深く呟いた。

「お待たせ」
 しばらくして、普通の服に着替えた清香が(ただし、首輪はそのままだった)サービスマネージャーと共にやって来た。
「ごめんね、文ちゃん。」
「ううん、大丈夫、店長さんとお話ししてたから」
「そう、どんなこと話してたの?」
「お姉ちゃん、ファンがいるんだって」
「…ファン?」
 不思議そうに首をかしげる清香の横で、サービスマネージャーが「あの馬鹿コロス…」と忌々しげに呟いた。

 その頃、事務所では店長が男性スタッフの罵声に晒されていた。
「店長横暴!!」
「自分だけしっかり見やがって!!」
「俺、見てねえのに!!」
「あ、わし写メ取った」
「「「うおお!! じっちゃん、見せろ!!」」」
「アホか貴様らーー!!」
 
 さらに少し経って。
「あ、店長」
「何?」
「例のメイド服をクリーニング出したんですけど…」
「ああ、ご苦労さん」
「パンツが無かったんですよ。でも、ブラジャーとかすごい高級品だったし、紛失してたらまずいんで店内を探してみようと思うんですが」
「…見つからないと思うから、無理しなくていいよ」
「はぁ…」
 ごちそうさまでした。と、店長は心の中で手を合わせて拝んだ。

「それでね、お姉ちゃんのファンがいるんだって。お姉ちゃん、最近特にきれいな美人さんだもんね」
 帰り道、文は明るく話しかけた。
「ファンねぇ… ふーん」
 清香は、よく分からないという風に首をかしげた。巻かれた首輪が、ちゃりちゃり、と音を鳴らした。
「…あの、お姉ちゃん、明日はちゃんとした格好で行こうね」
 文がおずおずと言うと、清香は「そうね」と答えた。
「明日はちゃんとパンツを穿くわ」
「普通の服着ようよ…」
 ああ、姉は完全にそのテに目覚めたんだなあ、と文はしみじみと感じた。

 それから、数日たった。
 文は毎朝ご奉仕に行っていたが、それ以上特に三田は2人に構わなかった。
 どうも仕事が忙しいらしく、食事以外はほぼ部屋に篭りきりだった。
 清香は相変わらず首輪を外さなかったが、三田はそれを見ても何の反応もせず、清香は更なる落胆を味わうことになった。
 一向に首輪を外そうとしない(お風呂の時は外していたから、自由に外せることは文も知っていた)姉に、文は思い切って聞いてみた。
「ねえ、お姉ちゃん。どうして首輪外さないの? 重くないの?」
 夜、はだけた胸に豊胸剤を塗られながら文は尋ねた。
 真剣に聞いていることを感じたのか、清香も適当には答えず、「うーん…」としばらく考え込んだ。
「なんだか、首輪を外すと捨てられちゃいそうな気になって、ね… 私たちは、ほら、旦那さまのご機嫌次第なんだから、少しでも服従する姿勢を見せなきゃ」
 言葉にして話していくうちに、清香は大切な物のように首輪を撫でた。それを見て、文はとたんに姉が羨ましくなった。
「なんだか、お姉ちゃんだけ良いなあ。その… セ、セックスだって、してもらったし…」
 その時のことを思い出したのか、清香の顔が真っ赤になった。
「あはは… そういえば、処女を捧げちゃってたんだね、私。色んなことがありすぎて、うっかりしてたよ」
「き、気持ちよかった…?」
 清香は真っ赤な顔をさらに赤くして、しかし、どこかうっとりとした表情で言った。
「…ぅん、凄かった… こんなことあるんだ、ってびっくりした。…初めては痛いって聞くのに。あはは、旦那さまが言う通り、お姉ちゃん、淫乱だね…」
 悟ったように言うと、指に力を込めて文のおっぱいを揉みしだき始めた。
「あん…」
「おっきくなったわねー、文のおっぱい。今、カップいくつ?」
「んぅ… Dカップ… でも、ブラジャーきついからもう少し大きいかも」
「すごいなー、いいなー…」
 不意に悪戯心が浮かんで、清香は両の乳首を、きゅ、と掴むと、軽く捻り上げた。
「やぁん… 乳首弄っちゃ、やぁ」
「1人だけこんなに大きくなっちゃって、お仕置きしないと…」
 捻る力を徐々に強めると、豊満に育った文の胸が歪に形を変えた。
「痛いよ、お姉ちゃん…」
 口ではそう言ったが、文は全く抵抗しようとはしなかった。それどころか、もっと弄ってとばかりに胸を張って突き出した。
「なぁに? どうして欲しいの?」
 清香は乳首から指を離して聞いた。
「いじわるぅ…」
「言わないとわからないでしょ。ほら、どうして欲しいの?」
「…おっぱい。文のおっぱいをいじめてください… つまんだり、捻ったりして、弄って欲しいの…」
「フフ… 文、可愛い…」
 清香は優しく文にキスをすると、覆いかぶさるように文をベッドに押し倒した…

 ぴちゃ、ぴちゃ、と子猫がミルクを啜るような音が部屋に響いた。
 文は仰向けに潰れたカエルのような姿勢をしていた。重力に逆らって、ツン、と上を向いた乳首を、清香が交互に舐めていた。指は空いたほうの乳首と股間に伸び、休むことなく蠢いていた。
 既に何度もイカされた文は、半べそをかきながら姉に懇願した。
「ぐす… ぐす… お姉ちゃん、もう無理だよぉ」
 それに何も答えず、乳首から口を離すと、清香は躊躇いもせず頭を下げて文のクリトリスを口で咥え、ちゅう、と吸い上げた。
「あ! それだめ! イッちゃう!!」
 耐えられず、文はあっさり絶頂に達した。それでも清香は両手を文の腰に回して固定すると、舌を乱暴に動かしてクリトリスを弄り続けた。
「駄目だってばぁ!! イクの止まんなくなっちゃう!! やだぁ! やぁだぁ!!!!」
 魂消るように文は絶叫した。そして、「うわぁぁぁぁん…」と大声で泣き出した。
 そこでようやく清香はクリトリスから口を離すと、涙や鼻水でぼろぼろな文の顔を、チロチロ、と舐め始めた。
「ひっく、ひっく… ぐす… ふぅ…」
 舐められるのが心地良いのか、次第に泣き声が落ち着くと、精も根も尽きたのか、文は、すぅすぅ、と寝息を立て始めた。
 眠りに付いた文を見て、清香は、くすり、と笑うと、文が風邪を引かないように布団を被ってしっかりと抱き締めた。
「明日、首輪を貰おうね…」
 そう呟いて、清香もまどろみの中に心を落とした。

 次の日、文はいつもの通り日の出と共に目を覚ました。
 体を起こそうとしたが、何かでがっちりと拘束されていて体が動かない。
「ふぇ?」
 首を巡らすと、見慣れた姉の顔がアップで迫ってた。
「お姉ちゃん、起きて、おーきーてー」
 声を掛けて揺すると、清香は眠そうに薄目を開けた。
「んーーー…」
「お姉ちゃん、起きて。ほどいて」
 文が苦しそうに身をよじった。清香は2、3度瞬きしてしっかり目を開き、「おはよう、文…」と挨拶すると、腕をほどかずに、逆に文の体を引き寄せると舌を伸ばして文の唇を、チロ、と舐めた。
 何となく姉の意図を理解して、(仕方ないなぁ…)と口をおずおずと開くと、清香は乱暴にむしゃぶりつき、舌を思い切り口の中に割り入れた。
(え? え!?)
 突然のことに驚いて顔を離そうとするが、いつの間にか、にゅ、と伸びた清香の手が文の後頭部をしっかりと抑えていて、それを許さなかった。
(朝から… もう…)
 抵抗は無駄だと悟って文は体の力を抜いた。それに気付くと、清香の舌はいっそう激しく文の咥内を蹂躙し始めた。
 歯の表裏を丹念になぞり、染み出る唾液を啜り上げて飲み干すと、たっぷり1分以上舌を絡めてから、ようやく唇を離した。唾液の糸が、2人の唇からいやらしく伸びた。
「もー、朝からー」
 ようやく解放された文が、気持ちよさそうに伸びをしている清香にぶつくさ文句を言った。
「う〜ん、爽快! こんなに気持ちいい朝は初めてかしら?」
 知らないよっ、と文は口を尖らせた。
「うぅ、体がべとついて気持ち悪い…」
「旦那さまを起こす前に、シャワーを浴びてらっしゃい。お姉ちゃんはシーツを片付けるから」
「あー…」
 シーツは昨晩の情事の名残でガビガビになっていた。
「お願いします… シャワー浴びてくるね!」
 元気良く返事をして、替えの下着や今日のメイド服を引っ掴むと、文は部屋を出た。
 洗面所に入って、脱衣籠に服をぽんぽん放り込んでいると、幽鬼のような足取りで三田が入ってきた。
「あ…! おはようございます、旦那さま!!」
「………ああ、文か」
 徹夜でもしていたらしい、やつれた顔で三田は答えた。
「お、お仕事ご苦労さまです」
 なんだか、妙に申し訳ない気分になって、文は頭を下げながら言った。
「ああ… 一応、目処はついた。しばらくは暇だろう… 俺は今から寝るから朝食は必要無い。お前たちも今日は自由にしていていいぞ…」
 疲れいるわりに機嫌は良いのか、三田はぼそぼそと語った。
 どうも仕事は上手くいったようだ、と文は感じた。
「…何だ、お前もシャワーか? すまんが、後にしてくれ。先に浴びたい」
 三田がそう言うと、文は自然と、「あ、お背中流します」と言って、三田のシャツのボタンに手を掛けた。
「ん…? ああ、そうだな、頼む」
 三田が言うと、文は嬉しそうに「はい!」と答えて服を脱がしに掛かった。背が高い三田の上着を苦労して脱がすと、慣れた調子でベルトを外して、ズボンとトランクスとを一気に降ろした。まだ力ないペニスが目の前に現れて、文はぽっと頬を朱に染めた。

「ご奉仕は…」
「後だ」
 全裸になった三田は、さっさと浴室に入ると、浴椅子に腰を降ろした。
「し、失礼します…」
 おずおずと入ると、文はシャワーヘッドを取って温度の調整を始めた。施設では小さい子の入浴の面倒を見ていたが、当然大人の男性とは初めてだった。
 お湯を掛けます… と声を掛けてから、文は三田の体を塗らすとスポンジとボディソープを手に取った。
「文、スポンジを使わずに自分の体を使ってみろ。今からご奉仕だ」
 突然言われ文はびっくりしたが、気を取り直すと浴室に正座して、「ご奉仕いたします…」と深々と頭を下げた。
 しばらく悩んだが、とりあえずボディソープを手に取ると、背中から擦って洗い始めた。
「よいしょ、よいしょ…」
(大きいなあ…)
 三田の背中は広かった。文には父親の記憶は無かったが、もし居るのだったらこんな背中なのかなぁ、と漠然と思った。
「文、手だけじゃなくて、その大きな胸も使え」
 そう言われて、「う〜ん…」と悩んだ後に、文は両手でおっぱいを持ち上げると、乳首を背中に擦りつけ始めた。
(やぁん… コレ、乳首がコリコリってして、気持ちいいよぉ…)
 しばらくそうしていたが、堪らなくなって、文は両手を背中から正面に回すと、三田におんぶされるような格好でダイナミックに体を動かし始めた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
 熱で浮かされたあえぎ声を上げて、文は己の官能を高めていった。
「あぁ、旦那さま… キス、キスしていいですか…?」
 文がキスをせがむと、三田は文を正面に座らせた。
「始めろ。上手くできたらご褒美にキスしてやろう」
 文はすぐに得心すると、「旦那さまのおちんちんを頂きます」と頭を下げると、嬉々としてペニスを咥えた。
 始めはもごもごと亀頭を甘噛みすると、萎えていたペニスはすぐに大きく硬くなった。
(今日、は… 大きい…!)
 あっという間に口いっぱいに広がったペニスに歯を当てないように気を使いながら、文はゆっくりと頭を動かしてしごき始めた。舌も同時に動かすと、三田が「う…」と小さく呻いた。
(あ、旦那さま、気持ちいいんだ…)
 文はいったん口を離すと、息を整えると共に唾液を口いっぱいに溜めて、再びペニスを飲み込んだ。
 じゅぶ、じゅぶ、といやらしい音が浴室に響いた。

 しばらく、一生懸命に奉仕していたら、三田の手が、そっ、と文の後頭部に置かれた。三田の意図を瞬時に悟った文は、全身を脱力させて、喉奥を限界まで開いた。
「行くぞ…」
 静かに宣言すると、三田は手に力を込めて文の頭をゆっくりと体に引き寄せた。すぐにペニスは文の喉奥を蹂躙し、気道を塞いだ。
 文は大きな目を限界まで見開いて、鼻で荒々しく息をしてなんとか調子を整えた。
(つ、らい… でも、がんばる…!!)
 我慢していても涙が出てくる。何とか落ち着いたが、三田は両手で文の頭を掴み、小刻みに前後させた。
「おごぉぉぉ!!」
 喉奥をコンコンと突かれ、文はたまらず言葉にならない悲鳴を上げた。食道が蠕動を始め、胃液が逆流を始めた。
「あぐぅ… あぐぅ…!」
 吐く、吐く、と言いたかったが、出てきたのはうめき声だけだった。しかし、それを悟った三田は、「吐け」とあっさりと命じた。
(ああ、吐いてもいいんだ…)
 妙に安心した文が全身を弛緩させると、食道が、ビクビクッ! と痙攣して一気に胃液が溢れた。
(吐、く…)
 食道を駆け上った胃液は、口の端の隙間だけでは満足に出ることができず、鼻からも、ぶわぁ、と溢れ出した。
(いきできない…)
 気道を完全に塞がれた文は、それでも抵抗せずに鼻から胃液を吐き続けた。
 しゃぁぁぁぁぁ…
 下半身も緩んだのか、文は盛大におしっこを漏らした。
(あはぁ、おしっこもれちゃった… あったかいよぉ)
 酸欠に加えて頭を激しく振られたことで、文の意識は次第に混濁していった。
(あ… あたまがふわふわしてきた… きもちいい… ごほうしって、きもちいい…)
 完全に瞳の光を失い、吐瀉物と尿で体を汚しながら、文は自分の中で何かが目覚めるのを感じた。ひどい扱いを受けているとわかっているのに、自分の中の女は、もっともっと、と苦痛と快楽を求めた。
「文、出すぞ。全部飲み込め…!」
 三田が宣言して、思い切り喉奥まで突くと射精を始めた。精液が喉奥にぶち当たるのを感じながら、文は、ごくりごくり、と喉を鳴らして精液を飲み干した。飲み干してるからお腹に行っている筈なのに、文は精液がまるで頭の中に滲みこんでくるように感じた。
 射精が終わり、三田がペニスを、ずるずる、と引きずり出すと、糸が切れたように文は崩れ落ちた。

 はーっ! はーっ!と大きく深呼吸を繰り返すと、数分掛けて文はようやく落ち着いた。
「はぁ、はぁ、はぁ… ああ、旦那さまぁ…」
 媚びた声でそう呼び、文はのろのろと三田の足元まで這って行くと、目の前にある足の指をぺろぺろと舐め始めた。
「はぁ、旦那さま… 旦那さまぁ…」
 その姿はローティーンの少女には見えず、まさしく奴隷の姿そのものだった。
 三田は足を上げると、なおも舐めようとする文の頭を踏みつけた。顔を床に押し付けられ、文は「あはぁ」と嬉しそうな声を上げた。
「お礼はどうした…!」
 三田が厳かに言うと、文は慌てて御礼を言い始めた。
「ああ、旦那さま。文をいじめてくれてありがとうございます…」
「いじめられるのが好きか?」
「大好き… 旦那さまにいじめられるのが大好きぃ…」
 文は踏んでる足を舐めようと、必死で舌を伸ばした。
 三田は「フッ…」と鼻で笑うと足を退かした。縋り付こうとする文を邪険に振り払うと、「正座」と冷たく命じた。文は急いで正座すると、不安そうに三田を見上げた。
「避けるなよ…」
 そう言うと、三田は力を失ったペニスを文に向けると、勢い良く放尿を始めた。
「……!!」
 さすがに予想していなかったのか、文は、びくっ!と体を震わせ、しかし、そのまま動かずに、肩を震わせて耐えた。
「惨めか?」
 全て出し切ってから三田は尋ねた。髪の毛から尿を、ぼとぼと、と垂らしながら、文は微かに「はい…」と頷いた。
「だが、私は最高に気分が良い。約束だったからな…」
 そう言うと、三田は体を屈めて文に優しくキスをした。突然のご褒美に、文はびっくりした。
「あ、もっと…」
「もっと欲しいなら、もっと尽くせ」
 そう言うと、三田は浴室を出て、大声で清香を読んだ。
 ほどなくして、朝食の準備をしていたのか、メイド服にエプロンをつけた清香が飛んできた。
「呼びましたか、旦那さま…? きゃ! 文ちゃん…!」
 清香は見た目ぼろぼろな文の様子を見て悲鳴を上げた。
「いくら時間を掛けてもいいからきれいにしてやれ。あと、今日は一日自由だ。行きたいところがあるなら、昼過ぎからだったら連れて行ってやる。
 朝食・昼食は私に構わず何でも好きな物を食べろ。カードもいくらでも使って良い。それじゃ、私は昼まで寝るからな。起こすなら昼以降に起こせ」
 そう言うと、三田は素早く服を着てさっさと出て行ってしまった。
 残された清香は、きょとん、として文を見た。文は体に付いた黄色い液体をぺろぺろ舐めていたが、清香の視線に気付くとニコニコと微笑んだ。
「えへへ、キスされちゃった!」
 どんなキスをしたらこうなるのか? 清香はしばらく真剣に悩んだ。

 時間を掛けて文を洗い、用意した朝食を食べてから、姉妹はお茶を飲みながら、ぽけー、とリビングでテレビを見ていた。
「…どうしよっか?」
 いきなり1日暇と言われても、どうしていいかわからなかった。
「文はね、あのステーキ食べたい」
「ああ、それは名案かも」
 さて、そうなると三田が起きて来るのを待たなければならない。清香はその間に、文にある重大な確認を取ろうと思った。
「ねぇ、文。怒らないで聞いて欲しいんだけど…」
「どうしたの、お姉ちゃん、急に?」
 文は少し驚いて姉を見た。
「…逃げて、みる?」
 清香は静かに言った。初めは姉が何を言っているのかわからなかった文だが、だんだんと理解すると、目を丸くした。
「お姉ちゃん…!」
「落ち着いて聞いてね。今は三田さんも寝ているし、カードもある。止められる前に引き出せるだけお金を引き出したら、少しは余裕ができると思うの。
 そうして、今日いっぱい逃げられるところまで逃げましょう。生活は大丈夫。お姉ちゃんが風俗で働くから。変な言い方だけど、なんだか上手くやれそうな自信があるの。年は誤魔化せば何とかなるし… ね、どう?」
 話していくうちに、清香は(ああ、やっぱりなぁ)とあることに納得していた。
 それは、話の途中から文が瞳いっぱいに涙を浮かべて、いやいやと首を振っていたからだった。
「いやだよぅ… こ、ここから離れたくないよぅ… うぅ、ぐす、ひっく…」
 耐え切れずに、文は「うぇぇぇん…!」と泣き出した。清香は文を、そっ、と抱き寄せると、背中をぽんぽんと叩いてあやした。
「ごめんなさい、言ってみただけよ。文が、もしそう考えているなら、そうしようと思っただけよ。ええ、お姉ちゃんもここがいいわ。旦那さまは意地悪で厳しいけど、今までの誰よりも優しいわ… お姉ちゃんは、処女を捧げることができて嬉しかった」
 ぽんぽんと背中を叩かれて、しゃっくり上げながら文は頷いた。
「覚悟…と言うと変ね。今までは我慢していたけど、別に我慢する必要なんて無かったのね。旦那さまが望むことに、精一杯答えていこうね…」
「……うん」
 文はやっと笑顔を作って頷いた。
「ここで幸せになりましょう」
 そう言って、姉妹はお互いにしっかりと頷きあった。

「……なさま、……旦那さま」
 優しく声を掛けられて、三田は目を覚ました。薄ぼんやりした頭を巡らすと、床に跪いた清香が、そっ、と蒸しタオルを差し出した。
「どうぞ」
「ん… ありがとう。気が利くな」
「ありがとうございます」
 程よい温度の蒸しタオルで、きもち良さそうに顔を拭くと、タオルを清香に渡して三田は言った。
「なんだ、何かおねだりでもあるのか?」
「あ、はい。その、最初に行ったステーキ屋さんに連れて行って貰いたくて…」
 躊躇いながらも、清香ははっきりと言った。
 ああ、そういえば約束したな、と三田は思い出した。
「今は何時だ?」
「4時すぎです」
「ちょっと早いが、まあいいか」
 三田は苦笑すると、ベッドから降りた。
「よし、では行くか。用意をしろ」
 そう言って着替えようとすると、清香が進んでシャツのボタンに手を掛けた。
「なんだ?」
「お手伝いします」
 そう言って、朝に文がやった様に三田の脱衣を手伝った。掃除の時にでも把握していたのか、三田が指示する間もなく外出着を取り出すと、濡れタオルで寝汗を拭くなどして、甲斐甲斐しく世話をした。
「…まだその首輪をしてるんだな」
 清香の行動に半ば呆れながら三田が聞いた。
「はい。旦那さまが外せと言うなら外しますが、できれば付けたままでいさせて下さい」
「フッ、そうか。まぁ、遠出をするときは外せ。妙な女だな」
 そうこうしているうちに着替えが済むと、三田は清香に着替えて準備するよう命じた。
 三つ指をついて「失礼します」と頭を下げて退出した清香を見て、三田は頭を、かりかり、と掻いた。
「躾が強すぎたか…? まあいいか。なかなか良い買い物だったということだ。…勘違いだけはしてもらいたくないがな」

 ステーキハウスで食欲を満たすと、姉妹は郊外の室内プールに連れて行ってもらい、閉館までたっぷり遊んだ。(姉妹はせがんだが、三田はプールサイドで見てるだけだった)
 大胆なビギニを着た清香や、幼い顔に不釣合いな巨乳を持つ文に、周囲の視線が痛いほど集中した。
 仕舞いにはナンパ男まで現たが、これは重い腰を上げた三田が追い払った。
カロリーをいっぺんに消費すると、帰りの車の中で、文はまたも、すやすや、と眠りについた。それを見た三田は苦笑すると、車を止めて清香を助手席に呼んだ。
「こういう所は変わらんな」
「ええ、文ちゃんは図太いですよ」
「お前は変わったか?」
 そう聞かれて、清香は、すっ、とスカートを上げた。清香はパンツを穿いていなかった。
「私は、エッチになりました…」
「馬鹿言うな、お前は元からすけべだよ」
 そう言うと、三田は指をヴァギナに潜り込ませた。そこは、既にぐっちょりと濡れていた。
「ほら、舐めろ」
 湯気を立てる指を、清香は愛おしそうにしゃぶった。
「…旦那さま、お願いします… 今日は卑しい奴隷の清香を可愛がってください…」
「いやらしい上にわがままな女だな。妹が寝てるのを良い事に、ちんぽのおねだりか?」
「ああ、そうです… 清香はいやらしくてわがままな奴隷です… もう我慢できないんです。旦那さまのおちんちんが欲しい…」
 清香は切実に訴えた。
「フフッ、だそうだぞ、文」
 そう言われて、慌てて清香が振り向くと、頬を膨らました文がジト目で見ていた。
「…お姉ちゃん、ずるい!!」
「だ、だって文はもういじめてもらったでしょ!」
「そんなのおかしいよ! ねえ、旦那さま。喘いでばっかのお姉ちゃんより、ご奉仕できる私がいいよね?」
「な、何てこと言うの!」
「べーだ!!」
 急に姉妹喧嘩を始めた2人を見て、三田は煩そうに手を振って言った。
「今日は2人とも相手をしてやる、だが、これ以上騒ぐのならご褒美もお仕置きも無しだ!」
 その声に、姉妹は慌てて姿勢を正して、狭い車内で三田に向かって頭を下げた。
「ごめんなさい、可愛がってください…」
「ごめんなさい、いじめてください…」
 同時に、しかし微妙に違うことを言って、姉妹は「あれ?」とお互いに顔を見合わせた。
 三田は急におかしくなって、彼にしては珍しく「はははははっ!!」と大声を出して笑った。

   幸福姉妹物語<第2話>




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