プリンセス・プラスティック管理用用語集(β版) - 22世紀概論
 22世紀は、21世紀後半、テイ教授が論じ始めた超弦理論の決定的な結論、コンプレックス理論による量子論の解決と大統一理論へのロードマップ策定によって飛躍的な進歩を遂げた。量子デバイス自身は20世紀末から議論されていたが、特に核融合のさらに向こうのワームホール技術の発展は生活から宇宙開発、エネルギー問題?人口問題?をほぼ解決してしまった。
 とくにSC機関の発明は、夢物語であった核融合を巨大プラントではない形での導入を可能にし、本質的にはエネルギー問題である食糧危機も解決した。



 200億を越える人口は地球のみならずラグランジュ点に多く建設された宇宙立体区(宇宙都市)、月面・月面地下にまで及び、火星への観測隊常駐もあたりまえの上にテラフォーミングも計画が上がり、また、ワームホールシールドを使って太陽の表面に国際観測基地を作ることも出来るようになった。冥王星軌道の先にも天文観測基地と宇宙港が作られ、恒星間探査機も発進した。その広がった世界をMAGLEVに取って代わった重力子(人工コールドダークマター)によるDAGEX推進システムによる高速鉄道、そして軌道垂直線(軌道エレベーター)、そして有用微生物によって作られた安定化水素燃料(LHCP)を使った大圏往還機や、高度に進化した飛行船舶が結ぶ。



 そして、住居として2000メートルを超える高さの巨大立体都市・新淡路市など、環境建築が、解決されたエネルギー問題によって世界の各都市の新街区として建設されている。これらの都市の人口密度は非常に高いが、ホログラフィやグリッドと呼ばれる現実世界と切れ目なく繋がるほどに発展した仮想論理世界がその圧迫感を緩和している。

 しかし、この200億の人間の中には様々な考えがあり、さまざまな説得の技術も現れたが、人を愛することと人を憎むことは分け難く、肥大した多国統治システム?や、治安を守るための常駐監視システム、そして人類による野生地の乱開発や景観破壊が問題とされ、国連は様々な条約を結んで海岸線埋め立ての国際許可制による制限、立体区建設による人口の都市への集中による野生地保護、立体区や軌道垂直線への光学迷彩を応用した環境親和施策の義務化など、さまざまなはたらきを行っているが、問題はまだ解決していない。

 また、富の偏在も、20世紀以来の石油がLHCPに取って代わられたために起きる産油国の没落、砂漠緑化開発による新興国の台頭と、それにも関わらず覇権を持ち続けたい旧大国のエゴがぶつかり合い、特に中央アジアでは激しい混乱が生まれ、難民の流出や、その混乱のすきを使った、新たな麻薬とも言うべき不正脳磁データの生産による健康被害にまで発展した。そのために国連はUNOMA(中央アジア暫定統治機構)の設置によって混乱を収拾しようとしているが、民族や宗教を口実にした富の配分の問題は解決せず、多くの国連スタッフが犠牲になっている。

 そんな中、日本は21世紀中期、日本会戦と呼ばれる戦いで台湾と組んで中国・ロシアと戦い、激しい情報戦と、実際の都市爆撃による新潟?喪失の犠牲を払いながらも勝利し、その戦いで日本への援助を留保したアメリカの衰退に代わって空中空母を中心とした機動群を3大洋上に配置、アメリカは宇宙軍を分担することとする『アジア共同体』という多国家統治機構が誕生、民主化された中国やオーストラリアなどが幹事国を勤め、2142年現在は日本が幹事国となった。
 日本は大規模な行政改革を行い、情報公開の推進とともに調査諜報活動など行政情報の出入りを制御する内閣調査庁を創立、有力なアトラクターと連係し、日本会戦以来険悪な西ロシアとの関係を制御している。ヨーロッパでは欧州連合、アフリカではエジプトやサウジを中心とした北部アフリカ連盟などが存在している。

 世界の統治はツリー状ではなくネットワーク状になり、国家は残ったがNGOや企業もまた状況を複雑にする要素で、さらにアトラクター?と呼ばれる人間もいる。
 アトラクター?とは、あらゆるシステムへの侵入と応用を知悉した人間で、個人であるにもかかわらず大きな影響力を持ち、『一人だけの国家』に近いと考えられ、動向が注目されている。とくにドクター・ラッティは国際通貨政策を安定させる『インタースタビライジングシステム?』に介入し、莫大な利益を得て、さまざまな政治活動にその資金を投入している。
 対するライバル・近江秀美は東京大学で研究員をしながらも、画期的な『トゥルーステルス』、ほぼ発見されないまま11万トンの武装を別時空に装備し、自在にそこから攻撃力を引き出せる人間サイズ人間型の戦艦・シファリアス?シファミスフィを建造するアジア共同体の秘密プロジェクト『プリンセス・プラスティック計画?』に参加、彼女たちの特異な能力、人間としても戦艦としても航空機としても活動できる利点から、非対称紛争と呼ばれる22世紀現在の複雑な紛争の緩和解決に使えないかという目的を元に、テイ教授を誘うことで人間の謎、生命の謎を探求し、多大な成果を上げた。
 ラッティと近江はかつて新淡路工科大学?の講師として隣り合った研究室にいて、研究結果について議論し、互いを深く尊敬していたが、政治の立場上、対立することとなってしまった。

 多国籍統治機構、超国家の対立では、空中空母に搭載した戦闘哨戒機と無人機を駆使した制空戦、パワードスーツや戦闘エアバイクを駆使した立体戦、静粛性を飛躍的に増大させた潜水艦による海中戦などが予期され、そのなかで3大洋を制したアジア共同体艦隊であるが、シファとミスフィという飛躍的に強力な存在の誕生が、パワーバランスをさらに変える可能性がある。

 シファミスフィは女性型の外見と、とくに特殊作戦における浸透効果を上げるために人間同等の2佐として籍を持ち、支援巡洋艦<ちよだ>に居住する。戦闘時には鎧状の防御シールドを展開した姿となり、背中からバイオプラスティックの翼を広げ、磁力で結合したエレクトリックファンやロケットモーターの力で、ほぼ無限の行動力を手にしている。
 しかし、その力を使って自立して行動するための制御システムには、もっともハッキングされにくい『心』が必要となった。
 その装備した心を成長する過程で二人はNATAU(新淡路総合芸術大学)と防衛大学校に入り、シファ(BB-072)はまだ学生だった鳴門希介と、ミスフィ(BB-073)は卒業とほぼ同時に心の問題を抱えていた香椎のりこと出会い、親密な仲となっている。

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