◆第七話「爆弾太平記」

「なっるっみっさ――ん!」
「最新情報です! 野原さんに襲われたまま意識不明だった園部隆司さんが意識を取り戻しそうらしいですよ」
「あ そうだ ねっ鳴海さん 一度ピアノじっくり聴かせてくださいよ
 知ってるんですよ―― かつては「天使の指先」 日本ピアノ界を背負って立つとまで言われてたんでしょ」
「…あのー」
「どーして包丁に桐ダンスなんですか?」
「ね―― 聴かせてくださいよー」
「…うう……
 ああ…! なんてひどい…
 食べるものも食べず尽くして尽くして今日までお役に立ってきたのにこの仕打ち…!」
「(ええ――い くらえ ひよのぱんち!)」
「早く会場の人を避難させてください…
 警察にも連絡を忘れないでくださいね(にこ)」
「ま いいじゃないですか 爆弾は解除できるんですから」
「犯人は知恵と勇気があれば解除できると言ってます なら鳴海さんにはできるんです」
「ねぇ 鳴海さん
 鳴海さんはどうしてピアノをやめたなんて言うんです?
 練習は隠れてやってるし 今でも天才と呼ばれるだけの腕は持ってるじゃないですか」
「…………」
「―鳴海さんはお兄さんのこと嫌いなんですか?」
「本当ですか?」
「それって――」
「さっすが鳴海さん!」
「大丈夫です! 鳴海さんはこんなとこで死ぬ人じゃありません」
「んーっ」
2006年06月08日(木) 23:57:25 Modified by hiyono_serifu




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