◆第十五話「信じる者の選択」

「決着はまだついてませんよ」
「鳴海さんはあなたに負けていません だからもう一度勝負です」
「(むっ)」
「いい気にならないでください
 鳴海さんにはあなたを倒す剣があったんです
 あなたはそれをどうにかかわせただけで 鳴海さんを本当に殺すことができなかったじゃないですか」
「どうして本物の毒を使わなかったんです?
 どうしてどちらかが確実に死ぬ勝負をせず 安全なトリックに頼ったんです?
 鳴海さんを倒したいなら 自分の強運を信じて本当に命を賭けて勝負すればいいのに あなたはトリックでごまかしました
 …あなたはわかっていたんです
 小細工抜きで勝負すれば 自分は絶対鳴海さんに負けると 毒を引き当てるのは自分だと
 あなたは鳴海さんの力をおそれた
 爆弾は怖くなくても 鳴海さんは怖かったんです
 最初に逃げたのはあなたの方ですよ
 胸を張って勝ち誇らせはしません」
「私も殺す気ですか? 今里先生のように」
「そのセリフを待ってました
 (にこ) …って言ったら驚きます?
 これまでの会話… しっかり録音させてもらいました!」
「今里先生を殺したと認めましたね? それに私を殺すとも発言しています
 これらの証拠能力低くありませんよ?
 部屋に入ってからずっと回してたんですけど なかなか決定的なセリフを言ってくれないんで困ってたんです
 注意してたんでしょうけど 最後の最後 気を抜きましたね
 これで理緒さんを捕まえる足がかりができましたよ」
「うふふ
 切り札は最後までとっておくものですよ!」
「…ええ 望みはひとつ 理緒さんと鳴海さんの再戦です」
「鳴海さんのことですよ? お気に召しません?」
「ひゃっ」
「鳴海さん!」
「あら これでも控えめですよ?」
「鳴海さん 逃げてください!
 それがある限り私は安全です!」
「はやく!」
「はやく!!」
「(にこ――――)
 クマもいちころ 最大電圧100万ボルト! 特製スタンガンです!」
「あら 常に持ち歩いていないと護身用の意味ないじゃないですか」
「ま そういうことですね」
「(にこ)
 私が人質にされた方が鳴海さんに気合が入るでしょ?」
「落ちる時はいっそどん底まで落ちた方がいいんです
 はい上がる距離が長いほど 男の子はずっと強く素敵になりますから」
2006年06月11日(日) 00:14:49 Modified by hiyono_serifu




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