◆第十六話「敗者ばかりの日」

「遅いです!
 VIPをなんて扱いですか」
「あッ パンと牛乳!
 朝は卵におみそ汁に豆腐に海苔ですよ! 非常識です!」
「(むっ) バカとはなんですか
 私が捕まってあげなかったらそっち側がかなり不利になってたんですよ
 感謝してもらいたいところです」
「…でも できるならただですませたいんでしょ? 理緒さんは重傷ですし
 それにあなた達はまだ 鳴海さんに何かを期待しています
 なら私を今殺せはしません 理緒さんとの再戦が終わるまで安全です」
「それより 鳴海さんの行方はつかめたんですか?」
「…ふうん あなた達の情報網はたいしたことないんですね
 手近にこんな軟禁場所を確保できるのはある程度資金がある証拠ですし 組織力もあると考えられます
 でも人員は不足してるみたいですね」
「ここにいるといろいろ考えるんですよ
 最初出会ったブレード・チルドレンの人達があなた達と接点があったとは思えません
 つまり「ブレード・チルドレン」はひとつのまとまった集団になっていないようです
 さらに… 子ども達を殺そうとする人や脅迫のネタにする人 やけに情報を知っている先生の存在…
 混乱しきってますね
 さらに注目すべきは あなた達はこの状況の主導権をまったく握ってないことです
 あなた達は問題が発生して初めて動き それも誰かを殺すことで収束させています
 解決法としては最悪ですね
 すべての状況を把握してるなら問題が発生する前に対処できますし
 十分な権限があるなら殺さなくても押さえつけられるでしょう
 ところが物事はあなた達の知らないところで動き その被害が自分達に及ぶ前にどうにか対処してる バタバタしてます
 実際あなた達は 嵐の中の小舟みたいなんじゃありませんか?」
「…鳴海さんも状況に翻弄されてますけど 負けないくらいあなた達もひどいところいるんじゃありません?
 浅月さん あなた達はその場所から抜け出そうと 必死で何かと戦ってますね
 そしてその戦いに勝つには 絶対 鳴海さんが必要なんじゃありません?
 …それも今の鳴海さんじゃなくて… もっと強く成長した 鳴海 歩という人が」
「…戦わなきゃ 幸福にはなれないんじゃないですか?」
2006年06月11日(日) 00:15:39 Modified by hiyono_serifu




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