◆第二話「踊り場の見えざる手(後編)」

「カナちゃん カナちゃん いいかげんに辻井クンに告白しなよ
 え〜〜でもわたしこわいよ
 なんで? 「好きです つきあって」って言うだけじゃない
 だけどだけど 告白して「ゴメン」なんて言われたら… フツーにお友達でもいられなくなるし…
 なら辻井クンのこと あきらめるの?
 そ…それはー
 じゃ告白する気はあるんだ
 う…うん
 合格発表になると自分で受験番号確認できないってやつね! よしっ このミズエさんがひとはだ脱いじゃいましょう!
 わたしがカナちゃんのかわりに辻井クンに気持ちを伝えてあげる
 ほんと?
 うまくいったらVサインしてあげるからカナちゃんはそれを遠くで見てから出てきてはっぴっぴね♡
 だめだったら冗談で言ったことにして辻井クンごまかすから 後でそんなに気にせず友達でいられるでしょ
 C棟の裏庭ってあんまり人いないし C棟6階非常階段の踊り場からなら辻井クンにも気づかれず裏庭を見渡せるから カナちゃんが見守るのにぴったりよ
 ―――以上 ひよの劇場でした♡」
「だあってこんなちんぷな青春の1ペェジ 真面目に解説されるの恥ずかしいじゃないですかー」
「なに言ってるんですかー 凝ってこそ芸ですよ」
「企業秘密です」
「とっちゃうんですかー?」
「宗宮さんは事件の日 謎の呼び出しを受け 6限の後 教室を離れています
 当然 眼鏡の入った鞄は教室におきっぱなし 気づかれず すりかえるチャンスはありました」
2006年06月08日(木) 23:47:20 Modified by hiyono_serifu




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