自然失業率
しぜんしつぎょうりつ


 自然失業率とは、長期的に見て、インフレ率に関係なく、一定の水準で存在する失業者の割合のことをいいます。完全雇用が達成される状態にあっても、産業構造の変化や技術革新の進歩、人口の高齢化、社会保障(失業保険)の充実など、社会や経済の構造上の理由からどうしても避けられずに存在してしまう失業率のことです。ただし、短期的にみれば、実際の失業率は景気の変動に応じて自然失業率より高くなったり低くなったりします。英国の経済学者フィリップスは、景気が悪くなれば失業率が高まってインフレ率は低くなり、景気が過熱し失業率が低くなればインフレ率は上昇するというように、失業率とインフレ率の間にはトレード・オフの関係があるとしましたが(これをフィリップス曲線といいます)、これに対し、M.フリードマンは、長期的にみれば、失業率はインフレ率に関係なく一定水準(自然失業率)に安定する(長期フィリップス曲線は垂直になる)と主張しました。また、フリードマンたちマネタリストは、ケインジアンが主張する非自発的な失業率をなくすためのマクロ政策には意味がなく、むしろインフレを増幅させるなど経済の不安定性を招くことになると批判しています。

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