みどり・市民派をめざす 井奥まさきが収集した情報、書き込んだ情報を整理して公開するために作った公開用のウィキです。

9月議会で決算委員会が設置され、12月議会で議論される議会が多いかと思います。
関西ブロックで行われた勉強会をもとに、決算のしくみと切り取る視点について振り返ってみたいと思います。

決算の流れ

自治体の予算は3月当初予算より始まります。ここで年度当初の大きな方針が示され、議論となります。それを審議する3月議会が一番重要な議会と言われるゆえんです。
その後、6月・9月・12月・3月と修正、すなわち補正予算の審議を行います。
そして、3月31日に会計年度の締め切りとなり、5月31日までの2カ月で整理します。
この期間を「出納閉鎖期間」といいます。
 そして、3カ月以内に出納長または収入役により決算書が作成されます。作成された決算書は、首長から監査委員に回され、監査委員の意見書とともに議会にまわされます。
 議会では「決算特別委員会」を設置して議論をしますが、ここで注目したいのは議会が不認定しても長は責任は負わないことです。
 これは、予算では「暫定予算」などの措置となることと比べると大きな違いです。
決算は軽く見られる?

議会ではついつい予算に注目が集まります。花形の予算に比べ、決算は「どうせ不認定でも同じ」「すでに執行したことなので、今さらチェックしても仕方がない」という雰囲気が行政・議会とも強いようです。
しかし、予算はあくまで「見積もり」に過ぎません。例えば、10万円の予算があったとしても、1)5万円しか使わず、5万円余る(不用額といいます)場合 と、2)足りなくなり、5万円を予備費から流用して15万円使った場合 では違いがあるはずです。
決算ではそこを見ることから始まります。
 私のアドバイスとしては、予算段階での議論を再度決算で検証することです。予算では「執行の段階で留意したい」などという返事で逃げられがちです。あなたが得意とするテーマで予算段階において質問した内容を再度点検してみてください。
決算は「政策・事業評価」の絶好の機会

 もう一つ、決算において最近重要になってきているのは「政策・事業評価」だと思います。いくつかの自治体で「事業評価制度」を導入しています。しかし、そうした制度がなくても「政策・事業評価」は決算委員会でも可能だと思いますし、重要になってきています。地方自治法では「主要な施策の成果を説明する書類」の添付が義務づけられていますが、不十分な場合が多いと思います。追加資料を要求、あるいは事前に調査して決算額に見合うだけの成果が上げられているかをチェックすべきです。
 たとえば、建設された道路の交通量、委託金(清掃なども要チェック)の執行状況。
自治体間で行われている「協議会」の事業効果 などがあげられます。
財政的悪化にともなう予算編成テクニックを見抜け

不景気や過大な公共事業による財政悪化にどの自治体も悩んでいます。しかし、自治体財政では「赤字予算」はほとんど認められず、歳入と歳出を合わせる必要があります。そのため、予算における「歳入の水増し」「歳出の過小評価」が行われている可能性が強くなっています。こうした予算編成上のテクニックを見抜き、正直な財政状況を出させる必要があります。
特に歳入は案外見落とされがちですが、「税収入」「地方交付税」「諸収入」には注意が必要です。
実は予算段階から決算段階において、歳出には「不用額」と呼ばれる「あまり」が必ず発生します。それを見込み、歳入を過大に計上し、決算でつじつまを合わせようとするテクニックです。
また、当初予算においては歳出を少な目に見積もり、補正で追加するという方法もよく取られているようです。(例えば、生活保護費・道路補修費など)
これらをチェックし、なおかつ「起債(交際)制限比率」「経常収支比率」「基金の取り崩し状況」といった財政指標をチェックすることも重要です。
決算審査のさまざまな視点

予算審議でもそうですが、いくつかの視点をもってチェックすると全体像が見えやすくなります。まず、1)全体論点で議論する方法 と 2)個別論点で議論する方法 があります。全体論点は「三位一体改革への備えは」「窓口対応は」などといった前号でいう「アピール型」に近いものです。こちらはそれぞれの議員の個性でできるでしょう。
今回は、2)の個別論点で議論する視点をいくつかあげてみます。

1)前年度決算と数字を比べる これはできれば範囲を絞って5年くらい調べた方がいいでしょう。また、カン・項・目といったくくりではその年の事業によって大きな変動があり議論の意味がありません。
2)予算流用・予備費充用を点検する 早めに予算補正できなかったか、再流用はなかったかを議論します。
3)不用額を点検する 予算と執行の段階の差が不用額です。他にも範囲を絞り(例えば下水道事業費)執行の時期をチェックすることで、よく言われる「3月の公共工事」の実態について議論できます。額が多すぎる部局は「予算のかかえこみ」をしがちなところ。警告すべきでしょう。
4)税などの滞納額と対策を点検する 私は「悪質滞納者」と「どうしても払えない人」を区別して議論する必要があると思います。「特別な事情」の連発がないかもチェックが必要です。

下調べが重要


さて、いずれにしても予算審議や一般質問にも通じる「職員との情報交換」「資料を読みこなす目」が必要だと思われます。また、必ずこうした時に問題になるのが「議論を許す議会の制度と雰囲気」があるかどうかです。みなさんの健闘をいのります。ぜひ各地の事例をお寄せください。

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