みどり・市民派をめざす 井奥まさきが収集した情報、書き込んだ情報を整理して公開するために作った公開用のウィキです。

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私たち市民派議員の大きな流れとして、行政に「情報公開と市民参加」を求めるものがあります。その市民参加=政治を市民に取り戻すという目的のために、情報公開は非常に大きな要素となります。「知らない」ものに参加したり意見を言ったりできないわけですから。
そして、その情報公開をきちんと行政に行わせるためには「情報公開条例」は大きな武器となります。今回はその情報公開条例をめぐる論点を整理しました。

論点1 情報公開条例の制定・改訂について


総務省の調査によると、2001年4月1日時点で都道府県・区では100%となっているものの、市では約98%と制定されていない自治体がわずかながら存在します。
町村にいたっては、町で60%台、村で40%台とまだまだ制定が十分ゆきとどいていないようです。
一方で情報公開条例は先進的な自治体が国より率先して制定してきたという流れがあります。先進的な自治体とそうでない自治体では全国的に条文を比べてもその差は大きなものがあります。
私と仲間は今回北海道研究集会で町長が講演した北海道ニセコ町の条例を高く評価しています。その他にも逗子市や川崎市の条例には先進的な部分が含まれています。
制定が行われていない自治体は制定をもとめ、すでに制定されている自治体も改訂の時期をとらえて先進的な部分の採用を議論すべきでしょう。
質問 ・情報公開条例の制定(改訂)のタイムスケジュールはどうなっているか ・先進自治体の事例の研究は進んでいるか

論点2 目的について〜「知る権利の明記」〜


情報公開について「隠しているものをあばきたてる」というイメージがあるとすれば、非常に一面的だと言えます。行政が情報を公開することで住民に判断の基準が生まれ、行政と住民が互いに対等な立場で議論ができるというのが大きな目的です。
「知る権利の明記」は国の情報公開条例でも議論となりましたが、この文言は、?「知る権利」が憲法で保障されていて、情報公開条例はその具体的な形とするのか、?情報公開条例によってはじめて権利が発生するかの論点を示すものです。
しかし、ただ単に条文に織り込むかどうかというような技術的な問題としてはいけないと思います。情報の共有化とそれに伴う対等な議論の保障を短い言葉で表しているということを指摘しておくべきだと思います。
ニセコ町の条例は前文をもうけ、「まちづくりの基本は、その主体である私たち町民が自ら考え、行動することにあります。」とした始まりの格調高い宣言となっています。
その他では第1条の「目的」にどのような文章をおくかに工夫がみられるようです。
質問 ・(知る権利がない場合)短い言葉で情報共有の市民権利をあらわすことができる文言である「知る権利」を明記するつもりはないか ・(ある場合)運用の中できちんと反映がされているか

論点3 情報開示の範囲


情報公開条例が制定されたとしても、その対象が狭く判断されるようではかえって害のあるものとなります。そうした意味で非開示事項の部分は大きな議論となります。
「原則公開」の中で例外規定をどのような範囲で、どのような文言で言うかが議論となります。「国・県との関係の部分」「存在の有無の非通知」「意思形成過程」といったところが基本的な論点です。
最近の論点としては、個人情報保護条例との関係がどうあるべきかということがあります。情報公開条例では「原則公開」、個人情報保護条例では「原則非公開」となるこのせめぎあいが問題です。むやみと個人情報が出るべきでないという点から言えば、情報保護は手厚くすべきですが、一方でそれを理由に何もかも情報非開示となるようではいけません。個人情報を「個別権利型」とするか「プライバシー保護型」とどちらを取るかで大きく変わります。最近では、公務員情報は原則公開となっていあmす。
個別事例で厳しく判断すべきですし、最後の手段として不服申し立て〜審査会の流れがきちんと条例に保障されていることが必要となります。
なお、ニセコ町の先進事例として、「存在しない文書を求められた場合、新たに作成してでも公開する」というものがあり、実践的な条文といえます。
質問例 ・非開示部分の考え方と運用方針は ・個人情報保護に自己決定権の考え方を盛り込んではどうか ・審査会のメンバー構成はどうなっているか、公平な審査は保障されるのか

論点4 情報提供の範囲 公文書室


条例はある意味で「最低限これだけは出しなさい」という基準を決めるものであり、その以上の自主的な判断で「提供」を行うことは必要といえます。
この論点を集約するものとして、「公文書館(あるいは室、スペース)」設置問題があります。先進市に行くと一階のわかりやすく明るい場所に資料室を設置し、市の各種計画などが展示されています。条例にこれらの設置推進、あるいは提供施策の推進をうたった事例もあります。
質問例 ・公文書室設置の考えはないか またもっと利用しやすい場所への転換は考えないか ・情報提供をもっと積極的にすべきではないか ・職員の情報公開への意識向上はどうなっているか

論点5 対象の設定


情報公開の対象として、まず「議会を含めるかどうか」は大きな論点となります。せっかく行政が先進的な条例を制定しても、議会がその水準に追いつかないようでは何のための市民の代表かわかりません。独自条例が理想ですが、そうでなくても実施機関の項目に含めるべきでしょう。都道府県の場合は警察情報をどうするかが大きな問題となっています。
次にいわゆる第3セクターも含めた市の関連団体があげられます。
これは大きく3つのカテゴリーに分けられるでしょう。
一つは市の100%出資の団体。施設管理関連団体などがあります。
二つ目は市が多く出資している団体。土地開発公社や商業振興のための団体などがあります。
三つ目は市が一部出資している団体、補助金を交付している団体。各種協議会など無数にあります。
一つ目は当然市と同等に扱うべきですが、「義務規定」ではなく「努力規定」になっている例が多いようです。
二つ目と三つ目のカテゴリーは大変線引きが難しいのですが、例えばニセコ町では2分の1を基準として「努力規定」と「町が所有している情報の開示義務」を条文に入れています。また三つ目にも切り込んでいます。「町から1会計年度の間に100万円以上の補助金を受けている団体」に対しては開示努力を求めるようになっています。
質問例 ・市の関連団体の情報公開をどう考えるか ・先進事例のように一定程度市が出資している団体は公開を要請すべきでは

論点6 さまざまな論点と運用


他にも「開示対象者」「電子情報開示」「職員研修」などさまざまな論点があります。
それらといままでに述べた論点を包括するものとして、「条文に書き込むか運用でいくか」ということがあります。私たちが先進事例をもとに質問をすると、行政側は「わざわざ条例化しなくても運用できちんと対処します」という答弁でひとまずかわそうとするようです。
それに対しては、個別事例の積み上げが一番効果的です。逆にせっかく条例を作ったのに一件も請求がないようでは説得力に欠けます。
運用の実態を適宜チェックするとともに、市民も巻き込んで「情報公開を使ってみる」運動をすることが必要でしょう。
例えば一部で行われている「情報公開ツアー」は啓蒙の意味でも効果的です。
情報公開については、今後も特集も含めて取り上げていきたいと思います。各地の事例、議会での議論があればぜひお寄せください。
情報公開ツアー
日時を決め、行政の情報公開室前に集合して、集まった人それぞれが情報公開を行います。日時はマスコミなどでも告知をして、当日飛び入りも受け付けます。
特に「なんびとたりとも」と開示対象者を限定していない自治体ならば市外在住者も請求できます。特に情報公開条例の活用が遅れている自治体で実施されることをおすすめします。
質問 ・情報公開の件数は またその具体的中身は ・電子情報に対してどのように対処していくか

情報センター松谷さんより論点提起
情報公開と議会の関係

隠された論点として、市民部局と議員個人の関係があります。議会の調査権は個人にどこまで保障されるのかという点です。少数派議員が資料請求をしても「議会の承認をとって」とか「情報公開条例を使って」とかの対応をされる場合がまだ多く見られます。 基本的には条例のレベルで議員には情報公開すべきです。 では、条例のレベル以上の市民が手に入らない情報ももつべきでしょうか。「市民が誰でも手に入る情報と同じレベルしか持たないのならば、議会の役割がなくなる」という主張する人もいます。 徹底した情報公開がなされた場合、議会とは、議員とは何かという問題がつきつけられるわけです。 私はそこで議員の役割が現状の情報収集から情報加工能力に変わると思っています。

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