福井の笠原さんの文章です。
お金が利子を生む,というのは,経済のあくなき拡大を前提としています。小生は経
済の専門家ではないので詳細は省きますが,借りたお金に利子をつけてお金を返すと
いうのは,借りた時点よりも収入,経済活動が成長してはじめて可能なことです。
(なお,国債に利子をつけて返すことが何を意味するかについては,小林代表がブロ
グでまとめておられますので,そちらをご覧になるとよいでしょう。)
そして,5%の利子を返すことですら,かなりの経済成長が必要になってきます。
しかし,サラ金の中には年に数十パーセントの利息をとっているところが少なくあ
りません。
そこで利息制限法という法律の第1条は,利息の限度を15%(貸付額100万以上),
18%(10万以上100万未満),20%(10万未満)に制限し,利率が極端に高くならな
いよう配慮しています。
実は利息制限法1条には第2項があり,「債務者は,前項の超過部分を任意に支払った
ときは,同項の規定にかかわらず,その返還を請求することができない」と規定され
ているのですが(おそらく自民党が貸金業に言われて作った規定でしょう),最高裁
昭和43年11月13日判決は,支払った利息を同法所定の利率に計算し直したら元本の支
払済みになっている場合,仮に任意に支払ったとしても利息の払いすぎだということ
を知らずに利息を払ったのであれば,払いすぎた利息を返還請求できると判示してお
り,利息制限法1条2項の適用範囲を大幅に制限しています。
ところが,貸金業法43条により,利率などを詳細に記した書面の交付など,一定の
要件を満たした場合には,最大限40%(近年の法改正で29.2%まで下げられました
が)までは利率を取ってよいことになってしまいました。この利息制限法と貸金業法
の制限利率の間,もしくは利息制限法上の限界と出資法上処罰の対象となる利率の間
の金利を俗に「グレーゾーン」といいます。
ところが,近年,最高裁は貸金業法43条の適用範囲を厳格に解釈し,ほとんどの場合
に同法を適用除外とし,少しでもサラ金渦が生じないよう努めるようになってきまし
た。
これに対しサラ金各社は,自民党に熱心な献金でもしたのか,自民党からは民事、
刑事のルール統一が叫ばれるようになりました。
これは,一見グレーゾーン廃止のように見えますが,これは決して「貸金業法(も
しくは出資法)」の利率を利息制限法並みに下げる,というものではなく,逆に利息
制限法上の利率を貸金業法並みに上げようとするものです。
さらに、現在、経済産業省の現役官僚(?)の石川和男氏が、単独で出版した「多
重債務者を救え 貸金業市場健全化への処方箋」には、「IT特定貸金業制度」、
「与信業の上限金利規制統一法の制定」について、言及されております(その前の2
冊の「銀行とノンバンクの融合」、「ノンバンクの進化形」は石川和男氏と、野尻明
裕氏(元大蔵官僚、現ニッシン取締役)との共著)。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wsho...
ところが,この「多重債務者を救え」はタイトルと裏腹に,IT特定貸金業制度と
して、ITで17条書面、18条書面を送付の電子化を認め(=貸金業法の適用範囲
を広げる)、さらに、上限金利規制統一法で、元本区分にわけて年30〜45%の規
制1本にするという恐るべきものです。
自民党におけるサラ金議員の代表格としては,鹿児島選出の保岡議員が挙げられます
ので,彼の言動を追ってみましょう。
彼は、貸金業問題ではよく「資金需要」というキーワードを使います。
まず、経済活動上優良な人であろうとそうでない人(不良な人も含むようです)であ
ろうと、外部の資金が必要な場面が存在する。
優良な人であれば低金利の業者でも貸付を行い、資金調達をすることが可能であ
る。
しかし、そうでない人に対してはある程度高い金利の業者しか貸付を行わない。不
良な人に対してはさらに高利の業者しか相手にしない。
仮に金利を低レベルに規制し、それを超過する場合を違法とすれば、不良な人の資
金需要を満たすことはできなくなるし、不良な人が資金需要を満たそうとするとき、
違法な業者に走羅ざるを得ないことになる。
これは経済活動上不良な人を方の枠からはじき出すことにほかならないが、そのよ
うな事態は好ましくない。
付け加えますと、議員は、「資金が逼迫していて、1000万円を1週間だけでも借り
たい人がいる。そのような人が50万円の利息を支払って借りるという道は閉ざすべき
ではない」という例をよく言います。
しかし,そもそも、実際に借りた人が1週間後に1000万円を返せるものでしょう
か。
なお,小泉首相は大蔵族議員としてつとに知られていますが,銀行とサラ金はツー
カーの関係にあります。
例えば,大手消費者金融プロミスは三井住友銀行の系列です。このほか大手行では、
三菱UFJグループがアコムやプロミスとともに消費者ローンを展開しています。
パチンコ屋の近くを見ると,そこにはサラ金のATMが集中しています。パチンコ
代を借りるための借金など,まともに審査して拒否するべきでしょう。
また,80歳近く,ほとんど収入がないお年よりが車を買いたいと融資を申し込ん
だため,やはりさほど収入のないお子さんを保証人にして融資するという非常識なこ
とも行われています。そもそも,このようなお年よりが車の運転をしないといけな
い,ということ自体おかしな話です。
そういえば,こんなキャッチフレーズがあったような……「お金はなくても見栄は
ある!。」
要するに,浪費を煽ることによってこの業界は成り立っているのでしょう。
また,生活保護を考える前にサラ金に手を出すようなことがなぜ起こっているのか,
これについても注意が必要だと思います。
お金が利子を生む,というのは,経済のあくなき拡大を前提としています。小生は経
済の専門家ではないので詳細は省きますが,借りたお金に利子をつけてお金を返すと
いうのは,借りた時点よりも収入,経済活動が成長してはじめて可能なことです。
(なお,国債に利子をつけて返すことが何を意味するかについては,小林代表がブロ
グでまとめておられますので,そちらをご覧になるとよいでしょう。)
そして,5%の利子を返すことですら,かなりの経済成長が必要になってきます。
しかし,サラ金の中には年に数十パーセントの利息をとっているところが少なくあ
りません。
そこで利息制限法という法律の第1条は,利息の限度を15%(貸付額100万以上),
18%(10万以上100万未満),20%(10万未満)に制限し,利率が極端に高くならな
いよう配慮しています。
実は利息制限法1条には第2項があり,「債務者は,前項の超過部分を任意に支払った
ときは,同項の規定にかかわらず,その返還を請求することができない」と規定され
ているのですが(おそらく自民党が貸金業に言われて作った規定でしょう),最高裁
昭和43年11月13日判決は,支払った利息を同法所定の利率に計算し直したら元本の支
払済みになっている場合,仮に任意に支払ったとしても利息の払いすぎだということ
を知らずに利息を払ったのであれば,払いすぎた利息を返還請求できると判示してお
り,利息制限法1条2項の適用範囲を大幅に制限しています。
ところが,貸金業法43条により,利率などを詳細に記した書面の交付など,一定の
要件を満たした場合には,最大限40%(近年の法改正で29.2%まで下げられました
が)までは利率を取ってよいことになってしまいました。この利息制限法と貸金業法
の制限利率の間,もしくは利息制限法上の限界と出資法上処罰の対象となる利率の間
の金利を俗に「グレーゾーン」といいます。
ところが,近年,最高裁は貸金業法43条の適用範囲を厳格に解釈し,ほとんどの場合
に同法を適用除外とし,少しでもサラ金渦が生じないよう努めるようになってきまし
た。
これに対しサラ金各社は,自民党に熱心な献金でもしたのか,自民党からは民事、
刑事のルール統一が叫ばれるようになりました。
これは,一見グレーゾーン廃止のように見えますが,これは決して「貸金業法(も
しくは出資法)」の利率を利息制限法並みに下げる,というものではなく,逆に利息
制限法上の利率を貸金業法並みに上げようとするものです。
さらに、現在、経済産業省の現役官僚(?)の石川和男氏が、単独で出版した「多
重債務者を救え 貸金業市場健全化への処方箋」には、「IT特定貸金業制度」、
「与信業の上限金利規制統一法の制定」について、言及されております(その前の2
冊の「銀行とノンバンクの融合」、「ノンバンクの進化形」は石川和男氏と、野尻明
裕氏(元大蔵官僚、現ニッシン取締役)との共著)。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wsho...
ところが,この「多重債務者を救え」はタイトルと裏腹に,IT特定貸金業制度と
して、ITで17条書面、18条書面を送付の電子化を認め(=貸金業法の適用範囲
を広げる)、さらに、上限金利規制統一法で、元本区分にわけて年30〜45%の規
制1本にするという恐るべきものです。
自民党におけるサラ金議員の代表格としては,鹿児島選出の保岡議員が挙げられます
ので,彼の言動を追ってみましょう。
彼は、貸金業問題ではよく「資金需要」というキーワードを使います。
まず、経済活動上優良な人であろうとそうでない人(不良な人も含むようです)であ
ろうと、外部の資金が必要な場面が存在する。
優良な人であれば低金利の業者でも貸付を行い、資金調達をすることが可能であ
る。
しかし、そうでない人に対してはある程度高い金利の業者しか貸付を行わない。不
良な人に対してはさらに高利の業者しか相手にしない。
仮に金利を低レベルに規制し、それを超過する場合を違法とすれば、不良な人の資
金需要を満たすことはできなくなるし、不良な人が資金需要を満たそうとするとき、
違法な業者に走羅ざるを得ないことになる。
これは経済活動上不良な人を方の枠からはじき出すことにほかならないが、そのよ
うな事態は好ましくない。
付け加えますと、議員は、「資金が逼迫していて、1000万円を1週間だけでも借り
たい人がいる。そのような人が50万円の利息を支払って借りるという道は閉ざすべき
ではない」という例をよく言います。
しかし,そもそも、実際に借りた人が1週間後に1000万円を返せるものでしょう
か。
なお,小泉首相は大蔵族議員としてつとに知られていますが,銀行とサラ金はツー
カーの関係にあります。
例えば,大手消費者金融プロミスは三井住友銀行の系列です。このほか大手行では、
三菱UFJグループがアコムやプロミスとともに消費者ローンを展開しています。
パチンコ屋の近くを見ると,そこにはサラ金のATMが集中しています。パチンコ
代を借りるための借金など,まともに審査して拒否するべきでしょう。
また,80歳近く,ほとんど収入がないお年よりが車を買いたいと融資を申し込ん
だため,やはりさほど収入のないお子さんを保証人にして融資するという非常識なこ
とも行われています。そもそも,このようなお年よりが車の運転をしないといけな
い,ということ自体おかしな話です。
そういえば,こんなキャッチフレーズがあったような……「お金はなくても見栄は
ある!。」
要するに,浪費を煽ることによってこの業界は成り立っているのでしょう。
また,生活保護を考える前にサラ金に手を出すようなことがなぜ起こっているのか,
これについても注意が必要だと思います。