06年決算に向けて
2007.10.8一部修正
井奥まさき(高砂市議)
決算の花形は「滞納整理」と「入札/談合問題」だと思います。
いずれも予算段階では「これから努力します」と逃げられていたものが、結果が出ているわけですから、「行政はどう動いたか」「なぜ結果に結びつけられなかったのか」を議論する絶好の機会です。
■滞納問題の視点
払いたくても払えない人と資力があるのに払わない悪質な滞納者とを区別して対応する必要があります。
前者は相談を通じて解決を目指す「ヤサシサ系」で、後者は実態の把握と厳しい対応の併用による「キビシイ系」で対応する必要があります。
まずはヤサシサ系から
・「グレー金利問題」が大きくなった状態で多重債務者の相談業務を充実し、相談に乗りながら滞納整理にもつなげようという動きがあります。
資料にもつけましたが、金融庁がかなり力を入れています。各市町村にDVDも配布しています。
マニュアルも金融庁のHPに掲載されています。
実績では滋賀県の野洲市が有名です。
相談業務でのポイントは認定司法書士との連携です。法改正により簡易裁判所で140万円以下の問題では認定司法書士は弁護士のような活動(本人の代理訴訟)をすることができます。
特に地方では弁護士が市外にいることが多く、迅速できめ細かい対応がしにくくなっています。
認定司法書士なら弁護士より数も多く、その分丁寧な対応が可能です。
市内の認定司法書士の把握や連携(加えて弁護士とも)がどれくらいできているかのチェックが必要です。
次にキビシイ系
まずは実態把握が必要です。
・市の滞納状況の資料は最低限必要です。滞納額を集めるとその巨額さに圧倒されます。
わかりやすい市税、国保料だけでなく、下水道の未接続や貸し付け金の焦げ付きなどという部分も入れれば大きなものとなります。
・重複悪質滞納者(私の命名 複数にまたがって滞納している悪質な滞納者)をあぶり出す必要があります。個人情報保護で阻まれるケースが多いのですが、その気になれば少なくとも行政だけでも実態把握ができるはずです。
次に厳しい対応ができる体制づくりです。
例えば、小田原市の氏名公表条例はその最先端でしょう。また暴力的な言動に対応するために警察との連携や市職員に警察OBや出向者がいる場合はその人との連携が重要です。
※他にも都道府県との連携も増えて来ています。下の香川県だけでなく、千葉県なども行っています。近畿は少し不熱心に見えます。
香川県滞納整理機構
http://www.pref.kagawa.jp/zeimu/kikou/kikou.shtml
■入札談合問題
・実態を明らかにすること 個別工事の落札率の資料
また、最近は委託契約関係にもメスを入れる必要がある
・最近の入札改革の結果、「高い工事は高い落札」「低い工事は叩き合い」
という傾向もある。そのあたりも注意してデータを読む
・入札改革はさまざまな手法が産み出されている。次の姿勢に向けた提言を
・予定価格の事前公表/郵便入札/インターネット入札/総合評価型入札 などなど
■健全化法への対応
そして、最後に06年度決算のトピックとして自治体健全化法への対応があります。一つは「実質公債費比率」や各会計の「実質収支比率」(これを連結したものに一定の計算をしたものが使われる)をチェックする必要があります。また、それらも含めて5年後あたりをめどとした先の見通しが必要です。そうした再建には以下の視点が必要だと思います。
1)財政悪化の原因をつきとめ、不足額を明確にすること
2)不足額に見合う分だけの削減目標を大きな項目に沿って立てること
2)について言えば
<1>歳入の増加 (不用土地の売却、滞納整理)
<2>新規事業の抑制 (ハコモノの見直し、イベント関係など無駄な事業の廃止や休止)
<3>経費の削減
<4>人件費の削減
<5>市民負担 (料金の値上げや市民サービスの削減)
<6>財政対策=新たなる借金など