井奥まさきの資料集 - 市民病院の再提言に向けて

市民病院再建に向けて


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2007年11月16日
高砂市議会 市民ネット提言
井奥雅樹、秋田さとみ、木谷勝郎、鈴木利信

■7つの重点提言

・破綻回避のために30億円規模の市税投入準備を

ただし、市民への広報、原因の究明と繰り返し防止策など前提条件整備を
  不良債務は単年度で解消するルールづくりを

・市民への説明会を早急に開催すること

市長、管理者、院長が出席し、小学校区単位で

・経営責任者として平成19年度中、遅くとも市税投入までに病院管理者を置くこと

・最低限の数値目標を設定し、達成されない場合は経営形態見直しをすべき

 2年[平成21年]で赤字半減(単年度5億円赤字)、5年[平成23年]で黒字転換

・病床数削減を始めとして現実的な規模を設定し、徹底した経費削減を

経費削減目標を5年で市税投入の1/3の10億円と明確におくこと

・医師確保に向けて新制度創設(勤務条件緩和)などさらなる努力を

・計画策定後には外部監査を実施し、さらに専門家による監視体制を

  遅くとも市税投入前には実施し、赤字の原因究明を行うこと


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■目次
1)一般会計の特別繰り入れの必要性 30億円規模の市税投入の準備を

企業会計の原則をはずした異例な決定であることを確認
「独立行政法人」など次のステップにも必要な投入
健全化法クリアーの範囲の最低10〜15億円
他の15〜20億円は無利子貸付として準備を

2)特別繰り入れの条件作りを

以前の経営健全化計画(1/3自己解消)を比較しても異例
病院会計だけでないという議論
前提条件を整えて投入を

3)投入の前提条件 原因の究明と反省、今後の繰り返し防止策を 

[A]数値の表面に見られる悪化原因 医師不足と病床数稼働率など指標の悪化
[B]「病院管理者未設置」による責任者不在
・経営方針が未熟、現状把握をせずに拡大路線へ
   今後の新規事業においても慎重さが必要
[C]規模の議論
・過大な施設となっている現状、そして公的な役割とは
[D]不良債務発生のシステム

4)提言

[A]2年間で赤字半減目標 10億を5億に
計画の批判  年3億円の売り上げ増は非現実的
達成できない場合は「独立行政法人化」など経営形態の変更を

[B]市民への説明会実施を
院長と市長の出席にて小学校区単位で

[C]平成19年度中、遅くとも市税投入までに病院管理者の設置のめどを
事務職中心の存在としても(想定 市や県の退職OB、民間の経営経験者)

[D]不良債務の発生しないルール化
毎年度3月補正にて不良債務分の相当額を予算化する
決算段階で再度精査し、毎年の発生額をゼロにする。

[E]病床数削減、規模縮小と現実的な規模を設定した徹底した経費削減を
いずれにしても総務省の方針で不可避

[F]計画策定後は外部監査を実施し、監視のための専門委員会の設置を
2年の目標を監視する委員会を

[G]医師確保に向けて新制度創設などさらなる努力を
目標を絞った明確な獲得計画を
勤務条件の緩和といった条件面での整備を

[H]独立行政法人化、民間譲渡の研究を
芦屋市の視察や職員との話合いなど2年後に目標値達成できない場合の備えを

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1)一般会計の特別繰り入れの必要性 30億円規模の市税投入を

企業会計の原則をはずした異例な決定であることを確認

 特別委員会の議論を通じて、悪化した市民病院の経営改善のためには一般会計よりの特別繰り入れを認めざるをえないことは明らかになった。もちろん、これは異例な決定である。
 企業会計である市民病院は本来は「独立採算」が原則であり、「公的にやむをえない」として繰り入れるお金(高砂市では6億程度)以外は独立運営採算をしなければならない。
 その本来の繰り入れすら国の曖昧な基準を良いことに高砂市では年8億円のような手厚い繰り入れ実績がある。

 にもかかわらず、平成19年(2007年)度で繰り入れをしてなおかつ10億円の赤字が見込まれ、非常に危機的な状況にある。
原則論を貫いた場合、平成19年度末時点で年25億円にも達する不良債務(現金収支の悪化)は利子だけで年4500万円以上(利率1.8%ベース)にもなる。
 これでは病院の再建はとうてい見込むことができない。

 また国は「自治体財政健全化法」の準備をすすめており、企業会計単独でも健全化計画を策定することとなっている。25億円以上の不良債務は医業収益に対して50%以上なり、とうていクリアーできるとは思えない。

 上のような状況を考えて、一般会計の特別繰り入れはやむをえないものと考える。
 さらに後ろで述べるように「独立行政法人化」「民間譲渡」といった公立病院の最後の事態となった場合にも、清算のためには最低限50億円(不良債務解消プラス退職金)の繰り入れが必要である。そうした点を考えれば、不良債務額を解消することはいずれにしても市の責務で行わざるをえない状況である。
 逆に現在の案のような年3億5000万円ずつというような逐次投入は利子発生も含めて状況をさらに悪化させる可能性がある。

 私たちは30億円規模の市税投入準備をやむをえないと考える。

ただし、実務的にはこれは二段階がのぞましい。第一段階として、財政健全化法対策分として10億円〜15億円程度は投入(基準が30%とすると17億円)。第二段階としては最終的な投入に向けて、一般会計より無利子貸付という形で処理しておき、利子軽減に努め、最終的に投入するというものである。
 いずれにしても、準備は十分に進めつつ、国の動向をよく見極めて判断していくべきであろう。

2)特別繰り入れの条件作りを


 しかし、繰り返すがこの決定は異例で特別の事態である。
 例えば高砂市で平成6年度に策定し、翌年度より実施した第四次経営健全化計画においては、不良債務額の約35億円の約1/3、11億円以上を独自解消とし、努力の結果それを実現させた。
これは国の財政健全化法の方針に従ったものである。
国の方針では「経営健全化計画に基づいた不良債務額解消のため、不良債務額の2/3を限度として一般会計が繰り出すこととする」としている。

 今回は全額を財源投入するのであるから以前と異なっており、その規模は史上空前である。

 この投入で年3億円(一般財源ベース1億円)と言われている高砂市の投資的経費は、現状のままではさらに削減せざるをえない。
 もし救済額が30億円(全額一般財源)と仮定すれば、事業費ベースでは30年分もの投資的経費(学校耐震、道路建設)に値する極めて巨額のものとなる。

 もちろん、高砂市の他の会計でも政策的判断としてそうした「特別繰り入れ」を行っており、市民病院だけを「悪者」にすることは公平性を欠くという見方はある。
 例えば、国保特別会計では1億円以上、下水道特別会計も10億円以上の「特別繰り入れ」を毎年行っている。
 どちらも本来は「国保料」や「下水道料」でまかなうべきものであるが、政策的判断で「すべてを市民負担にするのは厳しすぎる」として国の法定繰り入れ以上の投入を行っている。
 それに比べれば、見えない赤字として不良債権を放置してきた市の責任も大きい。

 今こそ根本的に「ゼロからの出発」として状況を整え、新院長のもと「背水の陣」の覚悟で病院再建にのぞむべきである。
 そして、市はきれいごとや国の政策「だけ」に責任を押し付けるのではなく、特別繰り入れにいたった原因を解明し、かついくつかの前提条件を整えて「特別繰り入れ=不良債務に対する公的資金投入」をすべきである。

3)投入の前提条件 原因の究明と反省、今後の繰り返し防止策を 


 行政の悪い癖は「現状は◎◎だから仕方がない」として現状追認の議論が先行してしまい、反省や総括がおろそかになる点である。
 そもそも「なぜ」10億円もの単年度赤字が発生する事態となったのかを深く追求すべきである。
そして、そこで改善すべき点を明確にし、繰り返し防止策や対応策を講じることである。

[A]数値の表面に見られる悪化原因 医師不足と病床数稼働率など指標の悪化

 ■医師不足

 最大51人が36人までに減少した。1人あたり1億円以上の売り上げが見込まれる中でこの減少はあまりに大きかった。
 しかし、これをさして「医師不足解消」というだけの議論はあまりに表面的すぎる。
 医師不足解消に向けて市民病院側が当時の玉田院長をはじめとして努力を重ねてきた。にもかかわらず、この事態となった原因を深く追求しなければならない。
 その点をさして「国の政策失敗」をあげる意見もある。しかし、国の政策失敗は一面の真実であるとしても、それは国レベルの問題である。市としては「市からの実態の報告」などで厚生労働省の政策に対して現実を訴えるにしても、それだけでは問題は解決しない。
 医師不足のもう一つの原因として、市の医師給与の低さと勤務状況の過酷さがあげられる。
 まず、医師給与の低さについて。
 ようやく平成19年(2007年)9月議会で結論がでて「県レベル最低」の医師給与が「県レベル平均」程度まで引き上げられたが、なぜこれだけ遅れたのかが理解できない。
 すでに平成19年(2007年)1月時点で当時の玉田院長より表明があり、その場では異論なく進んで来た問題である。
 もちろん議会では「給与の値上げの前提条件として健全化計画の方向性を示せ」「一律値上げではなく、仕事量の反映を」という意見があったが、全体の雰囲気としては給与アップに反対するものではなかった。(事実、上の提案は全会一致で可決)
 市は責任追及を伴うシンドイ作業を先送りしたいがために作業を遅らせ、さらに事実上議会の指摘を無視する形であいまいな決着をつけてしまった。責任は大きい。説明責任を嫌うあまりに課題を先送りする悪い習慣は改めなければならない。
 次に勤務条件の過酷さについて。
 勤務条件の過酷さに関しては、いくつかの資料で示されており、一例では36時間勤務の実態も示された。医師不足による特定の診療科への負担増が医師の退職を招き、さらなる医師不足につながる現実がみられる。
 給与条件の改定のみならず、勤務条件の緩和についても抜本的な対策がのぞましい。例えば、
応援医師による勤務の緩和や国で議論されている「クラーク制」(事務補助)、女性医師確保のための施設整備など次々と新しい手段が望まれる。

 ■病床稼働率をはじめ各種指標の悪化
 最大350床の高砂市民病院であるが、平成19年度上半期の実績では「稼働率60%=210床」となっている。
 他の指標もすべて悪化している。当たり前の話だが「高砂市民病院の経営状況は悪い」のである。しかし、これまた「状況の把握」には役立っても、「指標の向上を」というのは同義反復に近い。
 例えば病床稼働率の悪化については「病床数削減」などの根本的対応が必要である。
[B] 「管理者未設置」による責任者不在
 病院企業会計の全部適用をおこなった時点で病院管理者の設置は法的な条件であり、それが初期をのぞき未設置の状態が続けてきたことについて猛省が必要である。もちろん、かつても現状も「医師経験者による管理者」設置が困難な状況であることは理解する。
 しかし、対応策としては「一部適用に戻す」「市の職員による管理者」というような手段があったはずである。
 まずは法的な整合性すらおろそかにする姿勢、未設置の状況を前例として追認してきた姿勢が問われる。
 さらにその弊害として経営方針の未熟さがあげられる。例えば以下の例を見れば、迷走を続ける市民病院の姿が見えてくる。これはひいては市民の信頼をなくし続けている原因ともいえる。


・鳴りもの入りで導入した医療機器が使用されていない、あるいは売り上げの意味をなさない存在になっている例(例えば泌尿器科の結石破砕装置など)
・女性外来をさんざん宣伝したあげく、医師不足で機能していない例
・医薬分業を実施したため、薬価による利益が失われ、さらに人員整理もままならないため薬剤師の人件費が無駄になった例

 しかも、これだけの失策をくりかえしておきながら、最低限の俸給カット等といったこともおこなわれず、誰も責任をとっていない。こうした責任が明確になっていない点が市民病院の最大の問題点である。
 最終案では新規事業(透析センター)導入があげられているが、慎重な議論と行政の徹底した説明責任と責任体制(目標と達成できない場合の責任所在)を明らかにすべきであろう。

 なお、総務省のガイドラインでは最終責任者は「市長」となっていることも注意が必要である。
[C]規模の議論
 
 高砂市民病院は荒井の現在地に移転した際に病床数を増設している。そもそも高砂市民病院と加古川市民病院が同規模ということ自体が現在の自治体規模(加古川市は高砂市の2倍以上)から考えても整合性がない。
 さらに建物も維持費がかかるものとなっている。さまざまな歴史的経緯はあるにしても、現在において高砂市民病院の規模が過大であることをまずは認識しておくべきである。
 具体的には病床数削減、診療科の統廃合や空き病棟の活用ということになろうが、まずは「過大」であるという認識から出発しないと間違いを繰り返すこととなる。
 最終案にも記載しているが、「医療圏域単位の役割分担」も含め、公的病院としての高砂市民病院の役割をきちんと認識すべきである。
 私たちは市民ニーズは「終末医療の受け皿」「夜間救急」にあると思うが、現実的に何ができるかも含め市民ともよく話合うべきである。
[D]不良債務発生のシステム
 不良債務は赤字の状態が深刻で、現金不足している状態である。すなわち「単年度赤字が積み重なり、内部留保金すら食いつぶして現金が足りない状況」である。当然、翌年度で解消する見込みがない場合は何らかの議論をしないといけないはずである。
例えば、埼玉県春日部市では不良債務の発生が2年程度続いた後、大議論をして市税投入を行った。
こうした市税の投入には、市議会を通じて大きな議論となるであろうし、独自解消を宣言するのなら計画の達成度が求められる。
 高砂市民病院の問題点は、このシンドイ議論を回避して「議論抜きの不良債務増大」という方向に走ってしまったことである。
 単年度赤字が問題となっている自治体は全国で3/4に達しているが、実は不良債務額を発生させている病院は1割程度であるという事実が高砂市の特殊性を浮き彫りにしていく。
 この事実を真摯に受け止め、再発防止につとめるべきである。

4)提言

3)にもいくつか述べているが、市民病院改善のための提言を以下にまとめる。
[A]2年間で赤字半減目標 10億を5億に 5年間で黒字転換
 市は最終案で計画を示しているが、まだまだ現実離れをしているといわざるをえない。
例えば
・研修医が平成19年度で高砂市民病院でマッチングゼロ、東播磨全体でも苦戦という厳しい状況にも関わらず、医師数増大を安易に計画化している
・売り上げを年間3億円ずつ伸ばしているが、医師数ともマッチせず非現実的
 さらに問題は計画に対して何の担保もなく、「計画が達成できませんでした。厳しい状況です」というだけに終わる可能性が大きいことである。

 私たちは現実的で揺るぎない経営の数値目標を立てるべきと考える。
それは 2年間で赤字半減(赤字5億円) 5年で黒字転換 である。

 市は「2年間で赤字は4億2000万円」としているのであるから、本来は容易に達成できるはず
であるが、現実はかなり厳しいと思われる。しかし、あらゆる手段をとりつつ、この目標に向けて努力すべきである。管理者設置の際には、この目標を示して達成を約束する人材を置くべきである。
 そして、この目標が達成できない場合は「独立行政法人化」など根本的な経営形態変更を考えるべきである。

[B]市民への説明会実施を
 特別委員会で約束したにもかかわらず実現していない「市民への説明会」を早急に実施すべきである。最終案を示して市民に現状を理解していただくべきである。
 新院長や新管理者、市長は説明会の機会を増やし、できれば小学校区単位で年1回以上は実施し、市民病院の現状への理解と市民への啓発に努めるべきである。特に勤務医の労働緩和のためには「夜間の1次病院的使用をやめていただく」啓発に力を入れるべきといえる。
[C]平成19年度中、遅くとも市税投入までに病院管理者の設置のめどを
 すでに述べたように、責任体制の明確化、そして方針決定の責任のためにも病院管理者を設置すべきである。ただ、「医師を連れてくるスーパー管理者」をイメージしても多分無理であろう。
例えば市や県の退職OB、民間の経営経験者のような事務職中心の存在としても置くべきである。それでも不在の場合は公募などの方法も考えるべきである。それが院長の負担を減らし、市民病院の信頼向上にもつながる。
 ただし、管理者の法令上規定された権限(人事権、勤務条件の設定、予算原案編成権など)を実質的に最大限保障しなければならない。
[D]不良債務の発生しないルール化
 以下のようにルール化し、不良債務が発生しないようにすべきである。
 (ア)毎年度3月補正にて不良債務分の相当額を予算化する
 (イ)相当の理由(翌年度で解消見込み)があればそれを報告して投入はしない
 (ウ)決算段階で再度精査し、毎年の発生額をゼロにしていく
 なお、上には不良債務相当額を一般会計で積み立て、無利子貸し付けすることも含めている。
いずれにしても、毎年きちんと議会と議論をするというルールを徹底すべきである。

[E]病床数削減、規模縮小と現実的な規模を設定した徹底した経費削減を
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経費削減目標を5年で市税投入の1/3の10億円と明確におくこと''

総務省は「病院健全化ガイドライン」について11月現在も議論をしており、12月中には結論を出す。これによると「20年度中の策定」「数値目標の設定」「70%以下の病床稼働率が3年続いた場合は削減」という方針が出されている。
まず、市はこのガイドラインに沿った計画づくりを反映させ、来年度中に「さらなる最終案」として新計画策定をすべきである。
例えば数値目標で言えば、総務省のガイドラインにあるように医業収益、経常収支比率、職員給与比率などの目標設定が必要である。
 特に職員給与費比率は5年後(平成23年)の目標を50%以下とすべきである。(ちなみに全国の黒字病院の例では、給与比率は50%以下)

 いずれにして規模の見直しは必然である。高砂市は現在の350床と現実に稼働している210床の間の現実的な目標を設定してそれに合わせた人員体制や経費節減を行うべきである。

 私たちは経費削減目標を現在の倍である「5年で10億円」とすべきと考える。これは30億円の市税投入額の1/3にあたる。この程度の自助努力は必要であろう。

 例えば清掃や受付業務等の委託費も根本的に見直す必要がある。人員についても早期退職勧奨も含めて「めざすべき人数」設定とそれに向けた努力をすべきである。
 診療科においても産科など現実的に稼働していない診療科も判断の時期が来たのではないか。
 なお、給食調理員の民間委託のように一般会計の民間委託計画と整合をとらざるをえない場合は一般会計からの補助金(通常の繰り出しや不良債務解消のための繰り出しとは別)も考えるべきである
[F]計画策定後は外部監査を実施し、監視のための専門委員会の設置を

 自治体財政健全化法では「健全化の場合の外部監査による監査実施」が入っている。高砂市民病院は先取りして外部監査を受けるべきである。Eに書いたようなさまざまな経費節減を産み出すためにも外部の指摘が必要である。
 また、2年や5年の目標を設定した場合に監視のための専門委員会設置は総務省のガイドラインでも盛り込まれる予定である。これも先取りして実施すべきである。
 国からの「指示待ち」に終わる自治体であってはいけない。
[G]医師確保に向けて新制度創設などさらなる努力を

 医師給与改善は医師確保の最低条件を整備したにすぎない。今後も労働環境の整備も含めてさらなる改善の努力をすべきである。すでにあげたように応援医師による勤務の緩和や国で議論されている「クラーク制」(事務補助)、女性医師確保のための施設整備など次々と新しい手段が望まれる。平成20年度予算までには最低1本の新規施策を提示していただきたい。
 また、厚生労働省の研修医マッチング資料によれば、高砂市民病院だけでなく東播磨全体が苦戦している。
 通常の大学病院だよりの獲得では限界がある。目標を絞った明確な獲得計画が必要となる。例えば、女性医師に絞った獲得計画など必要ではないか。
[H]独立行政法人化、民間譲渡の研究を

 高砂市民病院はすでに「破綻」状態であり、いわばNOVAのように「再生に向けて最後の大規模市税投入」をしたと理解すべきである。新院長のもと、最後の努力をしていきそれでもどうしようもなくなった場合について「危機管理」として独立行政法人化や民間譲渡の研究は平行して市の本体=企画総務部が中心になった特別チームなどにおいても続けるべきである。
 例えば、芦屋市など先進事例の視察などは必然である。