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“客人”と“来訪者” 後編

星と細い月だけが照らす森林。視界は極めて悪い。
「こんなに暗いんじゃ、王錫がどこにあるのかわからなさそうだけど」
「それは心配には及ばぬ。王錫に填められたピエールエランは、自ら輝く秘石。このような闇の中でも……見えぬな」
「見えないね。……っていうか、普通埋めたりとかするんじゃない?こういう場合」
「むう……それもそうか」
「探してみよう。多分、何か目印みたいなものとか作ってるはずだし」
「ふむ、しかたないな」
しかしどうにも視界が悪い。何か明かりでもあればいいんだけど……。
それでも辺りを見回しながら、ひた歩く。ここにはモンスターもいないし、他の冒険者が立ち寄ることも……一部を除いては、ない。
どうやら今はその時でもなかったみたいで、本当にこの場所は静かだった。

静かな夜の森に、ただ静かな足音が響いている。
「……おい、シェティ。ここに何か掘り返したような跡があるぞ」
「え?」
暗がりでよくは見えないけれど、そこには確かに何かを掘り返した跡があった。
「まさか、王錫はすでに……」
『王錫ハ……ドコダ』
地の底から響くような声、そして、突如として雰囲気が変わり。
「シェティ!後ろだっ!」
振り向くまもなく、衝撃と痛みが背中に降りかかってきた。
倒れこみながら垣間見えたのは、大鎌を携えた骸骨と、人。それは……人の形をした異形。ダークストーカーだった。
続けて聞こえる呪文の詠唱。あの骸骨は、鎌を携えた魔法使い。ならばこれは……。
「離れてっ!ヴィジャルタール!!」
「何……っぐ、ぁぁぁっ!?」
私達のいた空間そのものを、鋭い風の刃が薙いで行く。風の範囲魔法、エアロガ。どれだけの威力かはわからないけれど、体中を切り裂かれる痛みは確かなものだった。
でも、立ち上がれないわけじゃない。槍を杖にして立ち上がると、すぐさま剣による斬撃が襲い掛かってきた。
「っ……ヴィジャルタール!大丈夫!?」
「これしきで、この私が倒れるかっ!」
これだけ吼えられるのなら、ひとまずは安心だろう。剣の一撃を受けとめた槍の柄に力をこめる。じりじりと、剣が押し返されていく。
よかった、それほど強い相手じゃない。……いける。
「ヨコセ……王錫。オォォォォヲヲ!!」
「なんなの……こいつっ!」
耳に届いたその声は、ざわざわと鼓膜を削るように響いてくる。嫌悪感を抱えながら剣を槍で押し返す。
「王錫に惹かれて……王侯貴族の亡霊でも、出たのだろうっ」
ヴィジャルタールも、大鎌を振り上げた骸骨を相手に剣を振るっている。
「昔の王様とか、貴族だってこと?……なんだか、ちょっと倒すの気がひけるけど」
「闇に堕ちた者、だっ!倒してやることが、何よりの供養だっ!」
振り上げられた大鎌を剣で打ち払い、がら空きになった胴に蹴りをいれ。押し倒した骸骨の体に何度も何度も剣を振るう。
その度に骨はひび割れ、骨片が散っていく。どうやら向こうも何とかなりそうだ。ならば私も、いつまでも鍔迫り合いばかりをしてもいられない。
「てっ……ぇやぁぁっ!」
踏み込みながら槍を振るう、剣ごと敵の体を弾き飛ばして私は跳んだ。その体がたたきつけられた木ごと貫いて、落下の勢いを載せた槍を深々と突き刺した。
時を同じくして、ヴィジャルタールの剣もむき出しの頭蓋骨を撃ち抜いていた。
「ふぅ、これで終わり、かな?」
「どうやらそのようだ、やはり、私の敵ではなかったようだな」

カカカカッ
それは、ひび割れた髑髏が笑う声だった。
「こいつ……まだ動くかっ!」
剣を引き抜き、再び振り下ろそうとしたその時。空気が変わった。重く冷たい、ただたっているだけで、力を奪われていくような……いや、この脱力感は、現に力を奪われているんだ。
ブラッドセイバー。周囲の敵から見境なく生命力を奪う技。大分レベル差も開いていたんだろう。私には、それほどの影響を及ぼさなかったのだけど。
「なんだこれは……力が、抜ける?」
「ヴィジャルタールっ!」
崩れ落ちたヴィジャルタールの体めがけて、追い打ちの鎌が振り上げられていた。
助けに入ろうとした私を阻んだのは、敵の振るった大剣だった。
「邪魔……しないでっ!!」
再び剣を槍で受ける。じりじりと押し返してはいるものの、ブラッドセイバーの影響か、さっきのようには力が入らない。
打ち砕かれた頭蓋骨や、ひびの入った胸骨は、奪い取った生気によって復元していて、再び振り上げた鎌がヴィジャルタールに振り下ろされた。
「くっ……ぐぅっ!」
地面を転がり、振り下ろされた鎌を避けた。しかしそれでも分厚い鎧を切り裂いて、鎌はヴィジャルタールの背を抉っていた。
まずはこいつを片付けて、すぐにヴィジャルタールを助けないと。でも、そんなことをしている間にやられてしまったら……?
焦りがさらに力を奪う、押していたはずの槍もいつしか押し返されている。
そしてまた追撃の鎌が、ヴィジャルタールに振り下ろされようとしている。
どうしたらいい、どうしたら……。

「気を逸らすなシェティっ!」
振り下ろされた死神の鎌を、剣を両手で握って受けて。ヴィジャルタールが叫んだ。
「騎士たる者……そうやすやすと心を乱すなっ!お前も騎士、であろうっ!!」
確かに私は竜騎士だけど。なんだかそれはそれで違うような気がしないでもない。
でも、これだけ吼えられるならきっと、大丈夫。
槍を握った手のひらに力を込めて、一歩。深く足を踏み出した。
鍔迫り合いでは不利と悟った敵は、大剣を大上段に振りかざし、振り下ろそうとしたそのとき。

跳躍。

振り下ろされる剣の軌跡と交差するように、私の体は宙を舞った。
高く、もっと高く。それでも倒すべき敵を見失わないようにして。
程なく重力は私を捕らえ、落ちていく。敵の姿をその目に捕らえたまま。

「やぁぁぁっ!!」
そして、降り注ぐ。渾身の一撃がかわされて、隙だらけとなっていた敵の脳天に。
落下の勢いを込めた一突きを、繰り出した。
敵の体をしっかりと足で踏みしめ、槍を引き抜くとともにバク宙の要領で離脱。

その一撃を受けて、敵はずるずると後退。木に背を預けて、膝をついた。
「これで……トドメっ!」
立場は逆転。今度は私が槍を構えて、後はただ貫くのみ。
「諦……メヌ。王錫。今一度……オォォォヲオヲヲ!!!」
恐ろしいほどの執着と怨恨。それが突き動かしたのか、掲げたその手に蠢く闇。
それが、槍の軌跡と交差して放たれた。

突き出した槍を容易く弾き、そしてなお勢いは削がれることなく私の体を打ち抜いた。
激しい衝撃、そして痛み。食いしばった口の中に、血の味が混ざっていた。
槍がこぼれ落ちそうになる、地に膝をついてしまいそうになる。

「カハ、カハハッ!コレデ……王錫、アガッ?!」
それでも、倒れるにはほど遠い。この命を絶つには、ほど遠い。
嗤う黒い顔面に槍を突き立てて。
「……無駄」
槍を引き抜き、再び構える。気力は十分。

「無駄無駄!」
槍が二度閃く。大剣を抱えた両手がちぎれ飛ぶ。
「無駄無駄ぁ……」
さらに、二度。深々と貫かれた胴を境に、その体が二つに別れ。
「無駄ァっ!!」
ありったけの力を込めた最後の一撃が、分かたれた上半身の真心を貫いて。
「はぁ……は、ぁっ」
人の形をなした異形は、持ちうる全ての力を失い、黒い煙になって消えていった。

「………」
王錫を求めて、こんなところまで出てくるなんて。
いったいどれほどの因縁が、執着があったのか。私にはわからない。
そもそも、サンドリアの歴史なんて、ほとんど知ってないのだから。
そういえば、ヴィジャルタール・カフューはサンドリアの英雄だったらしい。
調べてみたら、本当のヴィジャルタール・カフューのこともわかるかもしれない。
……と、そこまで考えて。

「ヴィジャルタールっ!!」
気がついた。よく考えたら彼は手傷を負ったまま、苦戦していた様子もある。
加勢に向かった方がいい。

「アルタナの光を剣に宿して、遍く邪悪を打ち払え!!セラフ……ブレードっ!!」
十字に走る光。そして崩れ落ちる骸骨。
「【えーっと・・・】」
「おお、そちらも片付いたか。シェティ」
「……あ、うん。楽勝だよ。うん」
「そうか、ならばよかった。……ん?いや待て、なぜ私がヒュームの女の無事を喜ばねばならん」
生返事を返すのが精一杯だった。
「私としたことが、まさかヒュームの女の心配などをするとは……ぶつぶつ……ぼそぼそ」


………まさか本当に、あんな叫びをする人がいるなんて。
いろいろとショックで、傷の痛みも忘れて私はしばらく立ちつくしていた。
これが、テラーという状態異常なのかもしれないと思った。
2009年04月13日(月) 16:03:01 Modified by gungnir18




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