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“客人”と“来訪者” 前編

「それじゃーまたね。おじさん、おねーさん」
「お昼ご飯、おいしかったよ〜」
「また遊んでねー」
「……助けてくれて、ありがと」
南サンドリアの門をくぐって、子供たちが駆けていく。そんな姿を見届けて。

「……それじゃ、私も行かなきゃな」
そう、私にはやることがあった。分かれてしまった私の子竜、オボロを探し出さないといけないんだ。
「何だ、シェティ。いったいどこへ行く?」
「アルテパ砂漠。あそこで私の仲間が待ってるんだ」
「砂漠だと?またずいぶんと酔狂なところへ行くのだな。まあよい。お前と連れ合うのもこれまでだな。まったく、ヒュームの娘子供ごときに、ずいぶんと引っ張り回されたものだ」
「はいはい、私はそこからチョコボに乗っていくから、それじゃあね。ヴィジャルタール」
ヴィジャルタールのバストゥーク嫌いにももうすっかり慣れきってしまって。右から左に受け流しながら歩き続けて競売前。
このままチョコボに乗ってしまえば多分もう、私はヴィジャルタールに会うことはなかったんだと思う。でも、そういうわけにはいかなかった。

「あれは……ナフュ!?ナフュではないかっ!」
突然、ヴィジャルタールが走り出した。目指す先にはエルヴァーンの女性。
知り合いでも見つけたんだろうか、ならなおのこと、これ以上ヴィジャルタールの相手をせずに済みそうだ。そんな風に安堵していたのだけれど。
「よかった……お前に会えて本当に良かった!やはりここは未来なんかじゃないのだな!」
「あなたは……?」
「何を言う、ナフュ。この私を忘れたのか?」
「あなたなんか知りません!それに、私の名前はフィヨンです!」
なんだか、風向きがおかしかった。

「お前までいったい何を言っているのだ、まあいい、家で少し眠らせてくれ」
「だから待ってください!いったい何を言っているんですかっ!」
………なにやら人も集まってきた。これは、ちょっとまずい。
「ちょっと、ヴィジャルタール。この人も困ってるじゃない」
さすがに、助け舟を出すべきだろう。……なんだか、ヴィジャルタールはまた勘違いをしているようだし。
「ええい、黙っていろシェティ!ナフュよ。何をわけのわからないことを言っているのだ」
相変わらずな様子のヴィジャルタール。だけれど、その相手の女性の様子がちょっと変わった。
「ヴィジャルタール?……この、人が?」
なんだか目をぱちくりさせて、驚いているようだった。
「いかにも、私がヴィジャルタールであることは、誰よりもお前がよく知っていよう?」
「……あなた。その名前が誰のことか、知っているんですか?」
「もちろん知っているとも。カフュー家最後の生き残り。ヴィジャルタール・カフューとは私のことだ!」
そんな言葉を聴かされて、意を決したように、その女性は小さく頷いて。
「もう、今はあなたにかまっている暇はないんです。急いでいるからどいてください!」
「ど、どうしたというのだナフュ!何か困ったことでもあるのか」
「それと……私はフィヨンですっ!」
びしりと一つ言い放って。彼女は去っていこうとした。当然というかなんと言うか、ヴィジャルタールは追いかけたのだけれど。
「どうしたんだい、フィヨン?ミルシェラールは見つかったのかい?」
もう1人、やってきたのはヒュームの男性。
「ロイド……」
「な……」
困った顔のフィヨン。驚いた顔のヴィジャルタール。そして、わけがわからない私。なんとも、奇妙な光景だった。



「……ふむ、では、王錫を盗んだのはそなたたちの弟だった、ということか」
「そして、その弟さんはある場所に王錫を隠した、ってことだね」
「しかもそこには怪物が出る、か」
結局どうなったかというと、フィヨンさんと、ロイドさん。ロイドさんというのは後からやってきたヒュームの男性の名前なのだけれど。
この二人が夫婦だ、なんてこと聞いた途端にヴィジャルタールは大激怒。結局天下の往来に放置しては置けないって事で、フィヨンさんの家に連れてきたわけなのだけれど。

「僕はこれからその場所に向かって、王錫を何とか城に戻そうと思ってる。王錫さえ見つかればミルシェラールの罪も軽くなるかもしれませんし、神殿騎士団も執拗には調査をしなくなるかもしれませんから」
「でも、ご先祖様からの言い伝えは……」
「フィヨン、気持ちはわかるけど、今はミルシェラールの方が大事だろ?」
何か言いたそうにしていたフィヨンさんも、結局は口を閉ざしてうつむいてしまって。

「シェティさん。あなたは冒険者ですよね。そしてヴィジャルタールさんも。自らその名前を名乗られるとは、相当の剛の方だと思いました。是非、僕たちにお力を貸してください」
確かに、怪物が出るようなところにロイドさん一人で行かせるのは危険すぎる。それに、王錫をこのままにしておくわけにもいかないし、ミルシェラールも放っておけない。
「わかりました。ロイドさん。私でいいならいくらでも力になりますよ。あなたも行くでしょう、ヴィジャルタール?」
なんとなくだけどわかったことがある。この人は、なんだかんだと口が悪い。ヒュームをずいぶんと嫌悪している。だけど、悪い人じゃない。困っている人を見捨てられるような人じゃない。

「そ、それはそうなのだが……いくら私が腕の立つ騎士とはいえ、剣の手入れなどそれ相応の準備というものが……」
と思ったのもつかの間、なんだか迷っている様子。
「勇者と同じ名前なんだから、助けてくれてもバチは当たらないんじゃない?」
腰に手を当て、グサリと言い放つフィヨンさん。
「ナフュ、何もそんな言い方は……」
「フィヨンです」
「……強気なところまで似ておる」
困ったように腰に手を当て頭を振って。

「ヴィジャルタールは勇者様なんでしょ。だったら困ってる人は助けてあげなきゃ、ね?」
「私が……勇者。この、ヴィジャルタール・カフューが、か?」
「ほかに誰がいるのよ、ヴィジャルタールは勇者の名前よ」
フィヨンさんのその一言で、ヴィジャルタールの顔が変わった。
なんだか迷っている様子から、妙な自信と確信に満ちた、そんな表情に。
「ふふ……そうか、そういうことか!やはりここは未来の世界だったのだな。そして私はヴィジャルタール・カフュー!誇り高きカフュー家が輩出した天才騎士!この私こそが、古の時代よりいざなわれしサンドリアの勇者なのだっ!」
天井を見上げ、拳を硬く握り締め。高らかにそう宣言するヴィジャルタール。……どこかおかしくなったんだろうか。
「は、はぁ……?」
なんだかよくわからない、といった様子でフィヨンさんもロイドさんも、もちろん私もヴィジャルタールを眺めていた。



「いかん、話が逸れたな。王錫を取り戻すのだったな。分かった、手伝ってやろう。弱き物を助けるのも、騎士の勤め、ましてや勇者であるこの私にとっては当然なことだ。それに、そもそもあれは私の……。いや、なんでもない」
「本当ですか!?ありがとう、助かります!この恩は一生……」
喜んで駆け寄ろうとしたロイドさんを手で制して、急に表情を堅くしたヴィジャルタールはこう告げた。
「が、バストゥーク人は信用できん」
「え?」
「我々高貴なるサンドリア人にとって、卑しきバストゥーク人どもは憎むべき存在である。だから、かような者を供にするのはご免こうむる」
「ちょっと、ヴィジャルタール!あなたまだそんなこと……」
「お前は黙っていろ、シェティっ!バストゥークの人間ではないと言えど、お前もヒュームであることに違いはないっ!」
「ちょっと、何よそれ!サンドリア人とかバストゥーク人とか、エルヴァーンとかヒュームとか、そんなこと関係ないでしょ!ロイドとシェティさんに謝りなさいよ!」
「……またナフュと同じ台詞を言っておる」

「……仲良くしてくれなくても結構です。でもあそこは危険な場所ですから、単独行動は危険です」
「確かに、怪物がいるという話をしておったな。で、場所はどこなのだ?」
「きっとあいつのことだから、龍王ランペールの墓を抜けた先にある森のどこかに王錫を隠していると思います」
「龍王ランペール?……ふむ、私が知らないということは、おそらく未来の王の名なのだろうな。……いたし方あるまい。ただし、バストゥーク人のお前!私に話しかけるでないぞ」
それだけを言い残して、ヴィジャルタールは出て行ってしまった。

「ちょっとヴィジャルタール!そんな言い方って……ああもう、どこ行くのよっ!」
龍王ランペールのことを知らないヴィジャルタールが、その墓の場所を知っているはずがない。なのになぜ先走るのか、なんとも頭が痛くなってしまう。
「ロイドさん、私、あいつを捕まえて森に向かいます。きっと、墓の場所なんて知らないでしょうしね」
「え、ええ。僕もすぐに向かいますから。お願いします!」
そして、私も飛び出した。


「ヴィジャルタールっ!!」
「……なんだシェティ。私の邪魔をするでない」
南サンドリア、競売所前。足早に歩いていたヴィジャルタールを呼び止めた。
「別に邪魔するつもりはないけど……あなた、お墓の場所知ってるの?」
「……知らんな」
なぜいまさら気付いたように言うのか、思わず脱力しそうになるのをぐっとこらえて。
「私が案内するよ、ついてきて」
腕をつかんで歩き出した。
この手を離したら、それこそどこへ行くのか分かったものじゃない。
「なぜこの私が、ヒュームなどに……ぶつぶつ」
もうこの手の発言も、お約束になってしまっている気がする。



東ロンフォール。私たちは龍王ランペールの墓を目指して走っていた。
チョコボに乗ろうかとも思ったのだけど、よく考えればヴィジャルタールには免許がない。
そもそもにして、冒険者ですらないのだ。こればっかりは仕方がないので、今も私たちは東ロンフォールの森を駆け抜けているのであった。
だけれども

「………」
サンドリアをでてからというもの、ヴィジャルタールはずっとこうだ。
森を見ては小さなため息を漏らしたり、何かに失望したような顔をしている。
「ヴィジャルタール?」
「……あ、ああ。なんでもない。気にするな」
毎度毎度この調子だ、気になって仕方がない。
「なんでもなくない!何かあったなら言ってよ。それとも、ヒュームの私と一緒に行くのはそんなに嫌?」
「……それも、無くはないがな」
無くはないんだ……なんとなく、嫌な気分にはなってしまう。
「それだけじゃ、ないってこと?」
「ああ、この森を見ろ」
両手を大きく掲げて、周囲の森を見回しながら。
私も続けて周りの森を見回してみた。……別段、いつもと変わらない気がする。
「別に、いつもの森だけど?」
「ああ、そうか。この時代の人間にはわからぬのだな」

そしてヴィジャルタールは話し出した。
東ロンフォールの森は、もとは王室禁猟区であって、今とは比べ物にならないほどの豊かな自然が保たれていた。
そして狩猟祭の時にだけ開放され、野生の鹿や雉など多彩な獲物が狩りを盛り上げていたということらしい。
それが今では悪食な大羊が我が物顔で闊歩して、挙句ゴブリンやオークまでもがいる始末。なんとも嘆かわしいことだ。
……と。そんなことを、まるで見てきたかのようにヴィジャルタールは言った。
「……あなた、もしかして本当に過去からでも来たって言うの?」
「何度もそう言っているではないか。……ああ、こんなところで油を売っている暇はなかったな。ほら、早く案内せぬか。シェティ」
「あ……うん。こっち」

川に沿ってしばらく歩いて、あとは道なりにひたすら歩いて。龍王ランペールの墓についたときには、もうすっかり陽も落ちてしまっていた。
「これが龍王ランペールの墓所か。……しかし、ずいぶんと簡単に入れたものだな。見張りの一人も立てておらぬのか」
「そりゃあ……まあ、別に出入りが禁止されてるわけじゃないしね」
「王の墓所だというのにか!?……信じられぬ、これでは墓を荒らしてくれと言っているようなものではないか」
この時は、私もヴィジャルタールも知らなかった。ヴィジャルタールは、一生知ることはなかったのだろう。
この墓所の地下深くには、この世でもっとも剛き龍。その一体が墓守として眠っていることを。

「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。早く行かないと。ミルシェラールを助けるんでしょ」
「……やはり、この時代には分からぬことが多いな。まあよい、今はミルシェラールを助けることが先決だ」
そして再び走り出す。ここを抜ければジャグナー森林。王錫は、きっとそこにある。
2008年12月01日(月) 21:45:43 Modified by gungnir18




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