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緑茶 ◆vUu2nK2xdY ヘキサガンの女

1レス20行で物語を書いてみよう、という個人的実験で書き連ねたものです。

ヘキサガンと海賊のような帽子がトレードマークの
ジョブで言うとコルセアになる、ちっこい女の子の…
うわなにwすrやm発砲はdめdyふじk…
…コルセアの女性の物語になっております。

…だから悪ノリは駄目なんだって。




第一話


ある街で男が二人睨み合い、その周りを群衆が取り囲んでいました。
「どうしたんですか?」通りかかった一人の小柄な女性の冒険者が尋ねると、近くの店の主人が答えました。
「喧嘩だよ。まったく周りの迷惑も考えちゃいねぇ。どうだい冒険者なら二人を止めてくれないか?」
彼女は少し考えて、手のひらを出して返事をしました。
「わかりました。まわりに迷惑をかけないようにやるので、報酬は前払いでいいですか?」
店の主人は「うまくやってくれよ」と、いくらかの金貨を渡しました。
彼女は群衆をかき分けて二人の男の前まで行くと、背の高い二人を見上げて言いました。。
「どちらが強いんですか?私は強い人が好きなので、勝った方にこの金貨を差し上げますよ」
先ほど店主から受け取った金貨を見せると、チラリと二人とも視界に入れて言います。
「ッハ!オレの方が強いに決まってるだろ!」彼は腰に刺した曲刀を抜きます。
「んだと?やってやろうじゃねぇか!」と、こちらは背負った大剣を担ぎました。
群衆が刃物の光に声を飲み込み、息を止め静まり返ります。
男二人が動き出すよりも早く、「ダンッ!ダンッ!」と、重く空に響き渡る音が二回しました。銃声です。
彼女の持つヘキサガンと呼ばれる銃の六つある銃口のうちの二つから硝煙があがっています。
男二人の鼻から上が、元の形も分からないほど崩れ、鮮血で染まっていました。
「なんだ…避けられたらどうしようかと思ったけれど。二人とも弱いですね。この金貨は私が貰います」
力なく、そして無造作に倒れた二人からは当然返事はありません。
群衆も、店主も口をあけて、まるで蝋人形のように驚いた表情で立ちすくんでいます。
彼女は本来自分の住む世界ではないこのヴァナ・ディールの美しさを誇りに思っていましたが、
そこに住む人々には然して興味がありませんでした。

投稿日: 2006/11/02(木) 16:40:06.47





第二話


 コンシュタットと呼ばれる高原の夜。本来はこの世界の住人ではない小柄な女性が一人崖を背に座っていました。
 彼女は崖の岩肌と同色のマントと海賊のような帽子で全身を覆い闇に紛れ夜露を凌いでいます。
 視線の先には誰が点けたか分からない焚き火が周囲を照らしていましたが、その光は彼女の所には届きません。
 しばらくすると、誰もいない焚き火に、一組の男女がやってきて、周りに置かれた薄い石に腰をかけました。
 「危険だな」と闇に紛れた彼女は思いましたが口には出しません。どうやら男女二人は恋人同士のようです。
 手を取り合い愛でも語り合っているようですが、無表情に見ている彼女には二人の声は聞こえません。
 男の方がズボンのポケットに手を伸ばし何かを取り出そうとした時です。
 彼の上半身は左右二つに分かれました。男女の後ろから現れた一匹のクゥダフと呼ばれる亀に似たモンスターの、
 その自身の長さほどもある大剣の一振りによるものでした。
 赤い血しぶきを全身に浴び、悲鳴を狂った表情で女があげるよりも早く、クゥダフの大剣が女を薙ぎます。
 再度クゥダフが大剣を振りかぶった時、重い発砲音と共にヘルメットとその下にある頭が砕け散りました。
 先ほどまで闇に潜んでいた彼女がヘキサガンと呼ばれる六つの銃口がある銃をホルダーにしまいながら言います。
「しまったな…クゥダフのヘルメットは高く売れるのに…粉々だ…こちらはどうかな?」
 左右二つに分かれた男の手を開くと指輪がありました。満月の光を仰いで彼女は指輪の価値を見ます。
 真剣な表情が、フッと緩み「やれやれ」といった感じで独白しました。
「どうやら、これは店に売りに行く必要もなさそうですね。捨てちゃいましょう」
 帽子を正しマントを羽織りなおして一言呟き彼女はその場を去ります。
「やはりヴァナ・ディールは美しくあるべきだ」
 あとには無残な男女の亡骸だけがありました。そこから伸びた腕は夜空の星を掴むかのようです。
 そして、女の方の薬指には"店に売りに行く必要もない指輪"が輝いていました。

投稿日: 2006/11/03(金) 01:11:40.88





第三話


 一人の男がヘキサガンと呼ばれる銃口が六つある銃を持った女性から、必死で逃げていました。
 ワジャーム森林と呼ばれる木々の茂ったあるところで袋小路に捕まり退路を断たれ追い詰められます。
 男が振り返ると、やはり銃をまっすぐ向けて間を詰めてくる女性がいました。
 男より少し小柄な女性は本来この世界の住人ではありませんでしたが、さも慣れた感じで言います。
「あまりこういう事はやらないんですけど、個人的な事情があって、つい請け負ってしまいました」
 蕃国と呼ばれる敵軍と密通しているとのことで、男が所属する国から彼女に抹殺の仕事が回ってきたのです。
 二回トリガーが引かれると、男の両脚が血で染まり、衝撃と痛みで後ろに崩れるように倒れました。
 「墓標にはなんと入れますか?」と言いながら、さらに二回の発砲音が辺りに響きます。
 両腕も撃たれた男が息も絶え絶えに「国で最初の和平交渉を試みた男、ここに眠る…がいいかな」と答え、
 彼女が「わかりました」と返事をした時には既に男の頭と胸にも赤い穴が開いていました。
「いやぁ、今回は簡単な仕事だった。さぁ、帰りますか」
 彼女は大の字に横たわる男を背に、銃を腰のホルダーにしまうと彼の所属していた国を目指して歩き出しました。

 暫くして、彼女はさも満足と言った表情で自らが殺した男の所へ戻ってきました。
 地面を掘り、遺体を埋葬し、墓標を立てると彼女は海賊が使うような帽子を脱ぎ礼儀正しく頭を下げます。
「あなたは本当に素晴らしい人だった、おかげで今の私がここにいるというのも過言ではない」
 仰々しく彼女は言うと、その場を立ち去り、二度と訪れることはありませんでした。

 彼女が誇りに思うヴァナ・ディールの美しい夕日がワジャーム森林を染め上げる中、一つの墓が立っています。
 墓標には『二日ぶりの食事代になった男、ここに眠る』と記されていました。

投稿日: 2006/11/03(金) 09:42:14.56





第四話


 ある街で六つの発射口がある銃を腰のホルダーにぶらさげた少し小柄な女性に声がかけられます。
「そこのヘキサガンを持った冒険者さん、それはチョコボの卵じゃないかね?うちので厩舎で育てないか?」
 彼女は手にした卵を確認してから、"チョコボ乗り場"と書かれた看板がある店の入り口に立つ男に答えました。
「ええ、そうらしいですね。ですが、これからパラダモの丘まで出かける所ですので…」
 どうやら店員らしい男が、はっ、とした表情を浮かべて、手のひらをポンと叩いて納得します。
「パラダモの丘から見える美しい満月にかざしたチョコボの卵からは素晴らしいヒナが生まれるって話の!」
 彼女は子供のような笑顔で「はい、今から期待していたりなんかします」と少し照れながら返しました。
 「だがよ?満月は明後日だぜ?今から行くには少し早すぎねぇか?」と訝しげな表情で男は言います。
 「ですから、足の速いチョコボは使わずに歩いていきます」と彼女は背負った荷物を見せるように体を捻ります。
 そのまま、振り返ることなく街の出口を目指し歩き始めました。そんな彼女に男は手を振って送っていました。

 二日後、彼女は丘の頂上で腕を空に伸ばし、海賊のような帽子を枕にして仰向きに寝そべっていました。
 先ほどまで空を隠していた雲は晴れて、片目を閉じた彼女の瞳には全天を覆うほどの星と二つの満月が見えます。
 一つは周囲の星の輝きを隠すかのように煌々と光る満月、もう一つは彼女が手にしたチョコボの卵でした。
 彼女は仰いだ腕を下げます。「素晴らしい。本当に素晴らしい満月だ。期待して此処まで来た甲斐があった」
 もう一度彼女が腕を上げた時には、その円の一部を欠けた卵がありました。そして彼女は満足そうに言います。
「やはり、先に茹でてきて正解だったな。この夜空は一晩中こうして見ていたいものだ」

 パラダモの丘の上で一人空を見ながら寝そべっている彼女は本来この世界の住人ではありませんでした。
 ですが、こんなにも美しい夜空の見える、このヴァナ・ディールという世界をとても誇りに思っていました。

投稿日: 2006/11/05(日) 10:11:12.96





第五話


 タロンギ大渓谷という荒涼とした大地に一組の男女がいました。二人は息を潜めて草むらに隠れています。
 女性は獣人族のヤグードと呼ばれる鳥人間のようなモンスターに手にした銃で狙いを定めていました。
 彼女はヤグードに一気に間合いを詰めると、その四肢に向かって削り取るようにトリガーを引いていきます。
 ヘキサガンと呼ばれる彼女の持つ銃は、六つの銃口がある特殊なものでした。重い発砲音が鳴り響きます。
 六本の硝煙が上がった時には、四肢を失った烏人間と、そこから流れる血の池が出来ていました。
 一方男性は、そんな彼女を取材するために付いてきた、ある国の記者でした。メモを取りながら男が言います。
「すごい腕前ですね。今回の仕事は女盗賊からの依頼でしたっけ?そんな数珠何に使うんでしょうね?」
 「さあな」と答えて、彼女は手際よくヤグードから数珠を取り上げ、そして羽根を毟り取り始めました。
 不思議がっている男が質問するより早く「裁縫ギルドにもっていって矢羽根になるんだ」と続けて言います。
「矢羽根ですか、ヤグードの羽根を使った弓矢で、ヤグードが撃たれるのを想像すると、何かキモチ悪いですね」
 彼女は手を止め、腰のホルダーにかけた銃を抜き男の眉間に向けました。その目はとても冷徹なものでした。
「誰が何を使おうと、一つの命が無くなる事には変わりない。私は殺した相手を上手く使う…それだけだ」
 台詞の最後には表情を崩し、にこっ、と笑って見せました。しかし男は、震えた手からペンを落とします。
 岩の隙間に落ちてしまったペンを見て「すまない、筆ならあるが使うか?」と男に差し出しました。
「あ…あ…ありがとうございます。…でも、これ墨がないと使えな…あ…まさか…」
 男がゆっくりと顔を動かします。その視線の先には"上手く使われる"ヤグードの死体がありました。

 ―編集長へ―
『赤筆で失礼します。海賊のような帽子にヘキサガンをもった女冒険者の取材の件ですが、
 自分は今後彼女についていく自信がないので辞退させて頂きます。そして、すみませんが暫く休暇を貰います』

投稿日: 2006/11/07(火) 19:57:44.74





第六話


 ある病院の一室。蛍光灯の白い光で満たされ、命の律動、電子の鼓動の音だけが一定のリズムを刻んでいます。
 白いベッドの上には一人の女性。繋がれている何本ものコードやパイプから、その容体が伺い知れました。
 頬は痩せこけて以前の面影はなく、命を繋ぎとめる薬の副作用で、手入れをされていた髪は見る影もありません。
 その虚ろな彼女の瞳は見慣れた白い天井を見据え動きません。……いつから、こうなってしまったのか?
 ……いつから誰もこなくなったのか?……いつから私は過去の人なのか?……いつから…いつから……。
 思考を巡らすも体は永久の眠りへと彼女を誘います。それは最初で最期の今際の眠り、帰らぬ旅への第一歩。
 そして視界が全て闇に包まれた時、命を示す電子の鼓動が止まりました。
「―――って、夢か…よかった。」
 彼女の瞳に煤けた梁に弧を描く天井、揺らめくランプ、そして天井扇が映りました。
 そこはアトルガンという国の冒険者用宿泊施設モグハウスの一室。彼女は草色のベッドの上にいました。
「いや、夢というより現実か。過去だか未来だか…やれやれ、慣れない所で寝るもんじゃないな。…よっと」
 跳ねるように起き上がると、全身を伸ばすようにストレッチをし、ホルダーのついたベルトを腰に締めました。
 気付けに軽くはたいた彼女の頬は少し紅潮し、寝癖のついた髪は取り合えずといった感じで櫛を通します。
 枕元に置いてあった銃口が六つあるヘキサガンと呼ばれるものを取ると、何度か抜き撃ちの確認をしました。
「さて―――と、まずは朝ごはんを食べに行こうかな」
 外に出ると早朝の風が体を撫で、彼女は頭に置いた海賊のような帽子を飛ばされないよう軽く押さえました。
 彼女は夢に見た現実世界の人間であり、本来はこの世界の住人ではありません。
 ですが、その命ある限り、このヴァナ・ディールの世界を旅し、生き抜くことを自分の心と手にした銃に誓ったのです。
 朝日を全身に浴びるように、美しい世界の全てをその身に受け入れるように彼女は言いました。
「おはよう。ヴァナ・ディール」

投稿日: 2006/11/28(火) 16:13:32.01





第七話


「ようこそ冒険者さん、朝早くからご足労おかけしまして、ありがとうございます。この国、サンドリアの今の
 時期のこの時間はまだ寒いでしょう。自己紹介の必要はございませんよ、あなたの噂は街でも広まってい
 まして、なんでも手にした六つの銃口のある武器の名前から"ヘキサガンの女"と名が通っておられるとか。
 噂には尾鰭が付くと言いますが、良い話から、ゾッとする話、さらには実は異世界から来た人だなんて、そん
 な眉唾話まで私の耳にも入っておりますよ。ええ、仕事の依頼の方はもちろん簡潔に説明しますとも、他の冒
 険者さんよりも、更に煩わしいのがお嫌いだと聞き及んでいますからね。いや、しかし、実際にお会いすると
 思っていたよりも小柄ですな、それでいて銃の名手というのが尚素晴らしい。その海賊の様な帽子もお似合い
 ですよ。おっと、話が横道にそれましたかな。そうそう、自己紹介がまだでしたね、わたくしはこの屋敷の主
 で、妻と十人の子供と三十人の召使い、そして庭を通る時にご覧になったでしょう、あの毛並みも美しく血統
 書のついたチョコボたちに囲まれて暮らしています、いやぁわたくしは幸せ者ですよ。そうでした、いつまで
 も玄関ホールで立ち話というのも悪いですので、奥の部屋にでもいって、お茶でも飲みませんか。良い茶葉が
 手に入りましてね、きっとあなたも気に入ると思いますよ。遠慮することはございません。我が家だと思って
 おくつろぎください。一息ついた後には、子供部屋を回ってあなたの事を紹介しましょう、きっと子供たちも
 喜びますとも、皆冒険者に少なからず憧れていますからね。そうしたら昼食もご馳走しますよ、わが家のシェ
 フが腕によりをかけて街のレストランにも負けない品をお出しすることができますから。そしたら、午後ゆっ
 くりと今回の仕事の依頼の話を、っと、話はそれますが、私も昔は世界を旅することに憧れていましてね、あ
 なたの見たこのヴァナ・ディールの世界の話も聞いてみたいと常々思っていたのですよ、もしよろしければ、
 仕事の話は、そうですね、夕飯の後にでもどうでしょうか、遅くなるようでしたら寝室の用意もさせますよ。
 どうなされました?どちらへ…えぇ!?帰るですって?どうしてですか、何かご不満でもございましたか?」

投稿日: 2006/12/02(土) 02:25:40.61





第八話


 ある日の朝、アトルガンと呼ばれる国の片隅にある一軒の茶屋に一人の男がやって来て、店主に訊きました。
「マスターちょっと聞きたいんだが、今ここらへんに居るはずの『ヘキサガンの女』って奴を見なかったか?」
 店主は少し困った顔をして、店のカウンターに肘を掛けてモーニングコーヒーを飲んでいる女性に尋ねます。
「そこの冒険者さん、朝起きてからこの店に来るまでに、彼女の顔を見ましたか?」
 すると尋ねられた女性は思い出すように悩んだ後、「今日はまだ彼女の顔は見てないな」と答えました。
「だ、そうです。彼女は有名人ですからね、貴方の知る彼女の特徴を街の人に聞けばすぐ分かるでしょう」
「特徴……あ。あぁ、もちろん知っているとも。知っているさ。もしここに来たら、マウラって港町から彼女に
 仕事の依頼がある。ってのを伝えてくれないか? じゃ、じゃあな。よろしく頼んだぜ」
 男が去ってしばらくした後、今度は鼠に似た獣人、キキルンと呼ばれる小人がやってきました。
「あたくち、ナシュモというミナトマチからきて、『ヘキサガンのオンナ』とよばれるヒトをさがしていますの。
 それで、テンチョーさんは、ナニかごぞんじありませんですの?」
 店主は先ほどの男と同じようにカウンターにいる女性に尋ね、そして彼女も同じように答えます。
「そうですか、あたくちトクチョーもナニもちらないので、トクチョーからききまわりますの。もしカノジョがココへ
 きたなら、ナシュモからチゴトのイライがあると、ツタエてくださいですの」
 小人は深々と礼をして街へと消えていき、そしてカウンターに居た女性はカップを見て店主に言いました。
「私はウソをついてしまったみたいだ。『彼女』の顔はカップの中のコーヒーに映っていたよ」
 そして女性は海賊の様な帽子を頭に乗せ、銃口が六つある武器"ヘキサガン"が腰にあることを確認しました。
「――さて、ごちそうさま。やっぱりコーヒーはちょっと苦手だ。でも良い香りだったよ」
「ありがとうございます。ところで、ヘキサガンの彼女は結局どちらへ行かれるのでしょうかね?」
「ナシュモに行くんじゃないかな。その街の近くのカダーバの浮沼に咲く蓮の花は幻想的で美しいらしいしね」

投稿日: 2006/12/04(月) 18:33:57.51





第九話


 世界にとって異質なものは忌み嫌われる、ヴァナ・ディールという世界に置いてもそれは同様で、その意識は
暗闇の中で、孤独は恐れず、ただ退屈という理由で己を手にする人を待ち続けました。
――それはある晴れた昼下がりの事でした。男と女のある会話が聞こえてきます。
「勧誘されないように一人用のリンクシェルが欲しいって? どう使うのかは勝手だが……安くはないぞ?」
「ええ、これぐらいしか手持ちがないんですけど……足りないですよね?」
「ちょっと足りねぇなぁ。……あぁ、あまり勧めないが曰く付きので良いなら、それでも売れるな」
「じゃあ、それでお願いします。耳に付けられれば何でも良いんで」
「そうかい? あんたも大変だねぇ、ヘキサガンの通り名は勧誘も伊達じゃない……ってか?」
 どうやら、その忌み物にも陽の目が当たる時が来たようです。
「じゃあ、これ。御代は普通の半分で――使い方は分かるな? この魔法の貝を開封して耳につけるだけだ」
 リンクシェルとは、現代世界でいう無線機とそのコミュニティのエンブレムの役割を果たすもので、その世界では
多人数コミュニケーションツールとして使われています。しかし、今日彼女は彼女一人だけを表すエンブレムとして、
そのリンクシェルを購入したのでした。なぜなら彼女は本来その世界の住人ではなく、また世界の住人らとの会話
に興味がなかったからです。
 彼女は曰く付きのリンクシェルを開封し、その中にあるパールの一つを耳に付けながら独白しました。
「やれやれ、これで色々な勧誘を簡単に断れる……かな。昼食抜いた分ぐらいの働きはしてくれよ?」
 すると、聞く相手のいないはずのパールから返事が返ってきます。
『おう、任せとけ。泥舟に乗ったつもりでいてくれや。へへへ』
 それが海賊のような帽子を被った彼女と、<Carcinogen>と名づけられたリンクシェルとの最初の会話でした。
――それはヘキサガンと呼ばれた彼女の頭を悩ませた、ある晴れた昼下がりの事でした。

投稿日: 2006/12/18(月) 02:04:15.25





第十話


 夕暮れにはまだ少し早いジュノと呼ばれる国のとある酒場に一人の女性がやってきました。酒場の主人は「い
らっしゃいませ」と軽く会釈をしてグラスを拭く作業にまた戻ります。彼女はカウンターテーブルの前に座ると、腰
に下げたヘキサガンと呼ばれる六つの銃口がついた武器をテーブルの上に置き、それを分解し始めました。
「大丈夫とわかっていても、たまにはメンテナンスをしたくなるのさ」
 と、店主が尋ねる前に彼女は答えました。すると店主は少し驚いたあとに微笑んで言います。
「さすがに世界を渡り歩いている冒険者さんだけありますね。勘が鋭いのは見聞が広い証ですよ」
「そんなことはないさ、あなたも色々な客から世界の色々な話を聞かされているんだろう?」
 謙遜して訊き返すも彼女の手は止まらず、そして店主の方も、それを気にすることなく答えます。
「そうですね。先日もこんな話を聞きましたよ。――東方の果てにある国の王様が『美しい国にする』とスローガン
を打ち立て、それを実行に移したそうです。冒険者さん、具体的に何をしたか分かりますか?」
 彼女はとぼける様に「んー、国民全員で掃除をしたり、環境整備でもしたりしたのかな?」と応えました。
「そういう事もきっとしたのでしょう。ですが、聞き及んだ話によると、まず言葉使いを美しくしたそうです」
「それは……つまり、???????とか????な??????????とか言うと――?」
「極刑だそうです、死刑です。そして、美しい言葉を使う人しかいなくなると、次は容姿が宜しくない人に美容整形を
勧めたそうです。この時点で王様が整形に失敗して過去の人物になったそうです。それから――」
「いや、もういいよ。メンテナンスも終わったし……その話のラストはきっと――『そして、国に誰一人としていなくなり、
原生林の広がる美しい国になりました』とかかな?」
「さすが冒険者さん、勘が鋭い。まぁ、全てはここで聞いた眉唾物の酒の肴話ですが……実を言うと……」
「実を言うと、あなたは以前その話の国に居たんだろ、よくある話さ」と、言い彼女は店を出て行きました。
 それからしばらくして、その日も昨日と変わらない夜の帳がジュノの街に下りたのでした。

投稿日: 2007/01/16(火) 02:30:47.03
2007年01月20日(土) 23:26:46 Modified by ID:ZQCwcnVLDQ




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