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緑茶 ◆vUu2nK2xdY 15スレ 「とりあえずの最終話」

「じゃあ、ボクはコーヒーで」
子供のような身長に白い羽をつけた帽子と首のネクタイが目立つコート、そして揃いのズボン、篭手、具足が
赤色と黒色で配色された一式でデュエルアタイヤと呼ばれる装いの彼は店員の注文に大げさな身振りをつけて
答えた。
「なら私はもう一杯チャイを貰うわ」
帽子は似ているがこちらはワーロックシャポーに、少し肌を露出させ体のラインがわかるナラシンハベストと
ワーロックタイツ、清潔感を感じさせるエラントカフス、そして足を長く見せるクリムゾングリーヴという組合せで
着飾り、お尻に生えた尻尾をユラユラさせながら店員に付け足した。
注文を取った店員が戻ったカウンターからはコーヒーの香ばしい匂いがアトルガンと呼ばれる国の風に運ばれ
てくる。二人がいる店は庶民や傭兵の憩いの場、茶屋シャララトだった。
「う〜む」と唸りつつ靭皮紙に黒インクで書かれた文章を真剣に読むのはコーヒーを頼んだ方である、子供の
ような身なりでも既に成人である彼はタルタルという種族であった。対してチャイを頼み、自分の書いた物語を、
どう評価されるのか不安と期待に駆られているのはミスラと呼ばれる種族であり、ネコ人間と評せば簡単だろう
か、今は帽子で隠れているが頭の上に耳がついており、先ほどの通り、お尻には尻尾が揺れている。
十数枚の靭皮紙をめくる音だけが無言の二人の間を流れてゆく、ミスラは運ばれてきたチャイに口をつけ、
空に流れる薄い雲を見上げて読み終わるのを待っていた。
「なるほど…仕事にも就かずに何をしていると思ったら、こんなところで、こんなものを書いているとは…」
読み終わった開口一番の台詞はグサグサと心に突き刺さる辛辣なものだった。


 「こんなところで」の台詞に関しては、ここアトルガンという国を内包するヴァナ・ディールという世界に
居ることは彼女にとっても不可抗力だったが、その前後の台詞だけで落胆させるには十分であった。
 しかし、無謀なまでの前向きさが自慢の彼女は、即座に開き直りズレた言い訳を返す。
 「だってー、家のことはモーグリがやってくれるし、何もしようと思わなければ暇なんだもん〜」
 事実彼女の蓄えは、何もせずに毎日の食事だけに費やせば向こう10年分ぐらいは手元にあったので、
貯蓄を増やそうと思わなければ暇であることは確かだった。
 その言葉に多少なりとも呆れ、コーヒーで一度喉を潤し、少し間を空けて話を切り出す。
 「まぁ、そういう事を言ったわけじゃないし。ボクもここにいる以上、仕事の方は無断欠勤だろうし…
どうこう言う積もりはないんだが…」
 チャイを淹れたカップの手が止まり、ホッとしたのも束の間、続々と愚痴と質問が繰り出される。
 「最初の話のタルタル、これってこの前のバハムート戦のボクでしょ?」
 「まぁ、それは良いとして、この兄妹の話の続きはどうなるの?」
 「んでもって、この話の台詞もボクが実際に言った台詞を使ってるし…」
 「あと、こっちの姉弟の話の続きも気になるし…」
 「それと、からくり士のオートマトンの名前がクロだけど、ファミレス話に出てきた猫と関係あるの?」
 矢継ぎ早にぶつけられた問いに「おおう」と後ずさりしたくもなったが、逐一丁寧に説明と謝りを入れていく。
 続いてネタバレだからと誰も聞いていないのに手に持っていたチャイのカップを置き、耳打ちで続きを話すと
「ほほう」やら「ふむふむ」やら「なるほどー」などと驚嘆と納得を重ねて、話が終るとタルタルは満足したように
座りなおし、頭に手を当てて思考を巡らした。
 本日何度目かの無言の空気が流れる。


 いくらかの雲が流れた後、結んでいたタルタルの口が開き衝撃的な台詞が出た。
 「よく知らないんだけどさ、この先の話って『自キャラになった』っていうお題?…から逸脱しすぎて、全然
普通の物語にならない?」
 再び無言の空気が流れ、言われた方は素っ頓狂な顔になる。そして台詞の意味が頭を駆け巡り、理解という
単語へたどり着くと顔が引きつりだし、付け足した語尾と共に小声が漏れる。
 「そういえば…そうだ……にゃ」
 理解したことを言葉にすると急に現実味を帯びたのか、悶絶するかのように頭をかかえ体をうねらせる、追い
討ちを掛けるように、タルタルは幼いその顔に似合わず、きつい言葉の弓を引く。
 「んでもって、話の発想は面白いと思うけど、文章力が追いついてないね、語彙も少ない感じだし。まともな
文章かけるようになってから続き書いたほうが良いんでない?」
 『的を射た発言』とはまさにこの事、悶えるミスラの体にグサリと刺さったかと思うと、ビクン!と動きが
一瞬止まる。狩人が狙いを定めて撃った矢のようだった。
 「ほ…ほら、少なからず続きを読みたいと期待してくれてる人の為にも…」
 息も絶え絶えな口から、反撃の台詞が飛ばすが……。
 「一銭にもならない文章に何を言うか、そんなんだから就職できないんじゃない?」
 このタルタルには心のクリティカルポイントが見えているのだろうか、その台詞が終ると息絶えたミスラが
茶屋シャララトに横たわっていた。トンベリというモンスターが使う急所突きという技でも、こう美しく決めるのは
難しいだろう。
 しばらくして「うぅ〜」と呻きながら身を起こし覚悟の台詞を口にする。
 「分かったわ…ならせめて『とりあえずの最終話』だけでも書いて読者を納得させるわ…」


 アトルガン地方では珍しくないコリブリと呼ばれる鳥の鮮やかな色をした羽根を飾ったペンを手に取り、
未だ白紙の靭皮紙に『とりあえずの最終話』を書き始めた。
 紙の上で羽根がフィナーレを踊る様子に満足したのか、席を立ち幕引きの時間を尋ねる。
 「どれくらいで書き終わる?」
 手の動きと靭皮紙に向かった視線はそのままでミスラが答える。
 「そうね……昼食込みで7時間14分ジャストで書き終わらせるわ!」
 一旦高まった集中力を切らすまいと、席を立ったタルタルはシャララトの中央にある少し開けた場所で魔法の
確認などを始めた。宣言した時間ならば日が落ちる前には書き終わる、そうなれば、こちらも出来ることをやっ
ておこうとの考えだった。


 しばらくして昼食。シャララトにはデザートこそあれ、主食となりうるものが売っていなかった。
 「何か買ってくるけど、何にする?ボクはとりあえず山串を食べてみたいんだけど」
 そう言われてペンについた羽根で顔を撫でながら考える。目の前のタルタルがヴァナ・ディールへ来る
数週間前から彼女は食べ歩きツアーと銘打って一人であちらこちらの特産品や食品を食べてきた。
そのメニュー達が頭をよぎった。
 「ほら、私の主食は活字だから、お腹空かないの……いや、ウソ。ジョークだから…カルボナーラで…」
 冷たい目を察知したミスラがすぐさま訂正したメニューを言った。


 「書き終わったー!」
 原稿となっている靭皮紙の隣には甘い香りを漂わせるシュトラッチやイルミクヘルバスのデザートの皿が置か
れていた。ご褒美と言わんばかりにミスラが舌出し唇を舐め、手を伸ばす。口に運べば、至福という名の栄養が
体中を走り、表情には笑みが溢れる。
 一人悦に入っているミスラにタルタルが念を入れる。
 「この話は一旦終るのかもしれないけどさ、文章力を上達させたいなら、どんどん書いていかないとダメだと
思うんだよね。次の話とか考えてる?」
 至福の源となるデザートを口へ運ぶ手が止まり、目線を少し上にやって考える。再度シュトラッチを口へ運んだ
スプーンをくわえながら『題名:街』とだけ記した。すると二人の間に置かれた靭皮紙の上から重なるように
夕日に映る人影が伸びてきた。座っている二人が見上げると、そこには水着姿に刀を差しヤグードドリンクを
両手に持った女性が立っていた。
 「…あれ?…え?…本当に居るの?」
 タルタルが混乱しながら、先ほど読んでいた物語の文章と見比べている傍らで、女性二人は
「ひさしぶり〜バレたかぁ」に「あなた、やっぱり〜、大学以来?変わったわね〜」などと談笑していた。
 話が一段落し「これから祝勝会だから、またね〜」と水着姿の女性が姿を消すと。ミスラはタルタルに
満面の笑みと共にウィンクをして台詞を放つ。
「ふふッ、全部がフィクションとは言ってないでしょ?」


投稿日: 2006/10/27(金) 00:11:42.63
2006年10月27日(金) 17:40:52 Modified by ID:ZQCwcnVLDQ




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