325風609 ◆dWeYTO/GKY第10話
===Area：Bastok Tenshodo's Storage Area===
橋を渡って天晶堂の倉庫エリアに入った。
爆発が起きた頃は建物の向こうにわずかに見えていた火は、もう自分達を赤く染めて熱風が頬に感じられるほど近くまで来ている。
天晶堂の人達がおおわらわで消火に当たっている。来訪者でない彼らからすれば、瞬きした次の瞬間いきなり火の海だったんだろうか。
あの中に知り合いがいなければいいけど…
Hiro: ルーファス達を頼む！
火の方に気を取られていたら、不意に怒鳴り声がした。
Furcifer: 分かりました、ヒロさんも気をつけて！
フルさんがすぐに倉庫に走り出す。
カラミヤ君はというと、火事の方を見ながら手を開いたり閉じたりしている。
Aotsuki: カラミヤ君はどうするの？
Hiro: すぐ追いつく。フルキフェルの方頼むわ。
Aotsuki: 一人で平気？過信してるみたいだけど、赤魔道士は魔法が強いだけって事忘れてない？
Hiro: 魔法も強くねーよ。いいから行けって。
さらりと言われて、ちょっとカチンときた。彼は本当に赤魔道士をやってたんだろうか。
彼はしかめ面でぐいとこちらに顔を寄せると、いつもの不機嫌そうな声で言う。
Hiro: これだと決めた奴にはついていくけどな。気安いわけねーだろ、ばか。
Aotsuki: 何、それ。
言いかけたが、後が出てこない。口だけが空しくぱくぱく開いたり閉じたりしただけ。
意識した訳じゃないけど、その通りなのかもしれなかった。
Hiro: ──おれの仲間を頼むよ。
彼はもうこちらを見ていなかった。
Aotsuki: カラミヤ君はどうするの？
再度問いかけると、振り返って言い返す。
Hiro: ヒロだっつってんだろ。
Aotsuki: いいから教えて。
Hiro: チッ…… バックドラフトごっこ。
それだけ言うと、彼はもう振り返らなかった。
さっさと燃え盛る火事場の方に走っていく。
Aotsuki: …バックドラフトごっこ？
相変わらずよく分からない言葉を使う。
要は消火を手伝うって事だろう。そう言えばいいのに。
Aotsuki: だったら尚更、ボクだってそっちの方が……
言いかけてやめた。そりゃカラミヤ君の方についていった方が気が楽だ。
だけど、自分に期待される役割をそれで決めていい訳がない。
===Area：Bastok Tenshodo's Storage Area===
フルキフェルにはすぐ追いついた。
倉庫は半ば倒壊して、あちこちに火が見える。
倉庫の周りには死体がゴロゴロ転がっていた。
Aotsuki: これ…二人が？
Furcifer: 恐らく。目だって外傷がないのがルーファスさん、剣で切られたのがマティエールさんでしょう。割合で言えば３：１…といったところですか。
Aotsuki: すごい…。二人でこんなにリンク処理が出来るんじゃ、ボク達が来た意味って…。
Furcifer: ともかく合流しましょう。
頷き、緩めていた歩を早めて再び走り出す。
===Area：Bastok Tenshodo's Storage Area===
倉庫の中に入ると、二つの人影が立っていた。
一つはマティエールさん。もう一つはエルヴァーンの……あれってＡＡ？
ＡＡは巨大な盾と血に塗れた長剣を手にしていて、そこから数歩ほどのところ、マティエールに庇われるようにして、背中を真っ赤に染めたルーファスが倒れていた。
Matiere: 剣をお引き下さい、お嬢様！ この方はファーロス様ではありませんか！
Eltrid: 世迷言を。うつけたのですか、マティエール！
Matiere: この方はファーロス様であり、同時にルーファスでもあるのです。
Eltrid: お前が傍にいて、何故気づかないのです。お兄様の体を、この男が動かしているという事を。
お嬢様と呼ばれたＡＡが、呆れたような、諦めたような表情で剣を引き寄せた。
まずい、意固地になってる。あれじゃ、説得できない。
Matiere: 全て終わったのです、お嬢様、全て終わったのです。
Eltrid: いいえ、まだ終わっていません。兄の遺体はまだ動いている。まだ動かされている。
平行線の会話が続く間も、倉庫の倒壊は続いている。
ただでさえあちこち崩れて不安定になっているというのに、火がその堅牢な構造を侵し、崩壊を手助けする。
Eltrid: そこをおどきなさい、マティエール。これは命令です。
Matiere: 畏れながらそれはお聞きできません。剣をお引き下さい、エルリッド様。
ギリ、とエルリッドが歯噛みして、剣を後ろに引く。収めるのではなく、不忠な下僕にいつでも突き出せるように。
不意に、上の方に気を引かれた。梁の一つが火で支えを失い、落下しようとしている。エルリッドはそれに気づいていない。
Furcifer: 二人とも、上です！
Furciferの連続魔！
悲鳴じみた叫びに応じて、二人が上を見上げる。低く構えていたマティエールはともかく、剣を突き出す動作に入りかけていたエルリッドは前にしか動けない。
そして皮肉にも、その軌道はマティエールさんに塞がれていた。
Furciferのエアロ�靴�発動。
→Falling Debrisに、337ダメージ。
魔法のターゲットが存在しません。
魔法のターゲットが存在しません。
魔法のターゲットが存在しません。
Furciferのストーン�靴�発動。
→Falling Debrisに、425ダメージ。
魔法のターゲットが存在しません。
Eltridの攻撃→Matiereに737のダメージ。
EltridはMatiereを倒した。
Furciferのエアロ�靴�発動。
→Falling Debrisに、518ダメージ。
魔法のターゲットが存在しません。
魔法のターゲットが存在しません。
Furciferのストーン�靴�発動。
→Falling Debrisに、318ダメージ。
FurciferはFallingDebrisを倒した。
フルキフェルの魔法で瓦礫が砕かれていく。全てが砕け散って視界が晴れたその下では、マティエールが腹のあたりを押さえて膝を突いていた。
剣で切り払う事だって出来たかもしれないのに、主人に剣を向ける事をよしとしないで、自らその切先に貫かれても主人を身を挺して庇ったのだ。
Furcifer: アオツキさん、三人をお願いします！
先の崩落を機に、倉庫の火の回りは早まり、崩壊も勢いを増している。エルリッドを止めても、崩壊に巻き込まれては元も子もない。
フルキフェルの判断は、自分は倉庫の消火に回るべき、というものだった。
でも、倉庫の火を止めたところで、エルリッドが二人に止めを刺してしまったら、やっぱり元も子もない。
Aotsuki: 分かった。でもコンバートは使わないで！
あれで倒れられたら、目も当てられない。
それだけ言うと、武器を抜いて駆け出す。唇を噛んで自分が手に掛けた相手を見下ろしていたエルリッドが、新手に対して体勢を整える為に大きく下がった。
Matiere: ……アオツキ殿──
呻き声が聞こえて、少し安心する。
Aotsuki: あなただって無事では済まないんですよ！ 今はとにかく外へ！
Eltrid: この機を逃せば後はない。汚名を雪がぬまま家名を残すくらいなら、取り戻してここで滅びた方がましです！
Aotsuki: まだやる気なんですか、お兄さんを切って、マティエールさんも傷つけて、何が名誉だ！
Eltrid: 黙りなさい！
Eltridの攻撃。→幻影1体がAotsukiの身代わりとなって攻撃を受けて消えた。
Aotsuki: どこがどう繋がるっていうんですか、あなたはただ感情をぶつけたい衝動を、家を守る責任感にすり替えているだけだ！
Eltrid: 下郎に分かろう筈もない！
Aotsuki: 言ったな、この分からず屋！
Aotsukiの攻撃。→Eltridに0のダメージ。
Aotsukiの攻撃。→Eltridに0のダメージ。
Eltridの攻撃。→幻影1体がAotsukiの身代わりとなって攻撃を受けて消えた。
巨大な盾に阻まれて、ろくに刃が届かない。それでも歩兵用としては大きすぎる盾のおかげで、向こうもこちらの動きについてこれないのが救いだ。
救いなんだけど、甲冑が頑丈すぎて時折刃がエルリッドの体を捉えてもろくにダメージを与えられない。
確かに相手を切り伏せるわけにもいかないとはいえ、このままでは埒があかない。
Eltridの攻撃。→幻影1体がAotsukiの身代わりとなって攻撃を受けて消えた。
あれこれ考えている間にも、空蝉は削られていく。向こうは忍者との戦い方を心得ていて、張り替えもままならない。
Aotsukiは、Aotsukiに空蝉の術:弐を唱えた。
Eltridの攻撃。→幻影1体がAotsukiの身代わりとなって攻撃を受けて消えた。
Eltridのシールドバッシュ。→Aotsukiに37のダメージ。
Aotsukiの詠唱は中断された。
最後の分身が消されると同時に、巨大な盾を押し立ててそのまま体当たりをしてくる。
Aotsuki: 今ので37！？ 表示バグってない！？
衝撃に涙がにじんで、目の間あたりで火花が散った。
数歩下がりながらぼやく。
オートアタックではあるまいし、すぐ次が来るはずだ。咄嗟に両手を引き上げてガードの体勢を作ると、その先に既に低く構えて必殺の突きを繰り出そうとするエルリッドが見えた。
Furciferのバインドが発動。
→Eltridにバインドの効果。
Eltridの攻撃。→Aotsukiに、ミス。
殺られた、と思った瞬間、エルリッドが何かに蹴躓いたように前のめる。
大慌てで鉤縄を引っ張り出すと、夢中で投げつけた。
盾があるので完全ではないけど、絡め取られて動きが鈍る。
Eltrid: っっがぁぁぁぁっ！！
FurciferのスリプルIIが発動。
→Eltridにスリプルの効果。
意味のない雄叫びと、フルキフェルのスリプルはほぼ同時だった。
彼女の顔からフッと険が取れ、地面に突っ伏す。
Furcifer: 危なかったですね……
Aotsuki: 最初からこうすればよかったのに。
青い顔で微笑むフルキフェルに、思わず恨み言が出た。
Furcifer: そうもいきませんよ。でもアオツキさんのおかげで、崩落には随分時間を稼げました。エルリッドさんは眠っているだけだから、念の為縛っちゃって貰えますか？
Aotsuki: 分かった。マティエールさんとルーファスさんをお願いするね。
エルリッドの剣を蹴り飛ばすと、手早く両手を縛る。人を縛った事はなかったけど、こんなものだろうか。
みるとエルリッドの肌には赤みが戻ってきていて、ＡＡモードではなくなっている。ひょっとすると縛らなくても平気なんじゃなかろうか。
縛り終えたあたりで、フルキフェルが戻ってきた。
Furcifer: どうですか？
Aotsuki: こんなもんでどうかな。眠らせただけなのに、動かないね。大丈夫かな……
Furcifer: 心配だけど、今は好都合ですね。それじゃここが崩れる前に運び出しましょう。足の方、お願いできますか？
Aotsuki: 運び出す？ エルヴァーンの女の人を、甲冑着せたまま？ 冗談でしょ？
笑顔のまま首を振るフルキフェルが、この上なく憎たらしく見えた。
609 ◆dWeYTO/GKY まとめ
橋を渡って天晶堂の倉庫エリアに入った。
爆発が起きた頃は建物の向こうにわずかに見えていた火は、もう自分達を赤く染めて熱風が頬に感じられるほど近くまで来ている。
天晶堂の人達がおおわらわで消火に当たっている。来訪者でない彼らからすれば、瞬きした次の瞬間いきなり火の海だったんだろうか。
あの中に知り合いがいなければいいけど…
Hiro: ルーファス達を頼む！
火の方に気を取られていたら、不意に怒鳴り声がした。
Furcifer: 分かりました、ヒロさんも気をつけて！
フルさんがすぐに倉庫に走り出す。
カラミヤ君はというと、火事の方を見ながら手を開いたり閉じたりしている。
Aotsuki: カラミヤ君はどうするの？
Hiro: すぐ追いつく。フルキフェルの方頼むわ。
Aotsuki: 一人で平気？過信してるみたいだけど、赤魔道士は魔法が強いだけって事忘れてない？
Hiro: 魔法も強くねーよ。いいから行けって。
さらりと言われて、ちょっとカチンときた。彼は本当に赤魔道士をやってたんだろうか。
彼はしかめ面でぐいとこちらに顔を寄せると、いつもの不機嫌そうな声で言う。
Hiro: これだと決めた奴にはついていくけどな。気安いわけねーだろ、ばか。
Aotsuki: 何、それ。
言いかけたが、後が出てこない。口だけが空しくぱくぱく開いたり閉じたりしただけ。
意識した訳じゃないけど、その通りなのかもしれなかった。
Hiro: ──おれの仲間を頼むよ。
彼はもうこちらを見ていなかった。
Aotsuki: カラミヤ君はどうするの？
再度問いかけると、振り返って言い返す。
Hiro: ヒロだっつってんだろ。
Aotsuki: いいから教えて。
Hiro: チッ…… バックドラフトごっこ。
それだけ言うと、彼はもう振り返らなかった。
さっさと燃え盛る火事場の方に走っていく。
Aotsuki: …バックドラフトごっこ？
相変わらずよく分からない言葉を使う。
要は消火を手伝うって事だろう。そう言えばいいのに。
Aotsuki: だったら尚更、ボクだってそっちの方が……
言いかけてやめた。そりゃカラミヤ君の方についていった方が気が楽だ。
だけど、自分に期待される役割をそれで決めていい訳がない。
===Area：Bastok Tenshodo's Storage Area===
- nearby 358 Warehouse---
フルキフェルにはすぐ追いついた。
倉庫は半ば倒壊して、あちこちに火が見える。
倉庫の周りには死体がゴロゴロ転がっていた。
Aotsuki: これ…二人が？
Furcifer: 恐らく。目だって外傷がないのがルーファスさん、剣で切られたのがマティエールさんでしょう。割合で言えば３：１…といったところですか。
Aotsuki: すごい…。二人でこんなにリンク処理が出来るんじゃ、ボク達が来た意味って…。
Furcifer: ともかく合流しましょう。
頷き、緩めていた歩を早めて再び走り出す。
===Area：Bastok Tenshodo's Storage Area===
- Inside 358 Warehouse---
倉庫の中に入ると、二つの人影が立っていた。
一つはマティエールさん。もう一つはエルヴァーンの……あれってＡＡ？
ＡＡは巨大な盾と血に塗れた長剣を手にしていて、そこから数歩ほどのところ、マティエールに庇われるようにして、背中を真っ赤に染めたルーファスが倒れていた。
Matiere: 剣をお引き下さい、お嬢様！ この方はファーロス様ではありませんか！
Eltrid: 世迷言を。うつけたのですか、マティエール！
Matiere: この方はファーロス様であり、同時にルーファスでもあるのです。
Eltrid: お前が傍にいて、何故気づかないのです。お兄様の体を、この男が動かしているという事を。
お嬢様と呼ばれたＡＡが、呆れたような、諦めたような表情で剣を引き寄せた。
まずい、意固地になってる。あれじゃ、説得できない。
Matiere: 全て終わったのです、お嬢様、全て終わったのです。
Eltrid: いいえ、まだ終わっていません。兄の遺体はまだ動いている。まだ動かされている。
平行線の会話が続く間も、倉庫の倒壊は続いている。
ただでさえあちこち崩れて不安定になっているというのに、火がその堅牢な構造を侵し、崩壊を手助けする。
Eltrid: そこをおどきなさい、マティエール。これは命令です。
Matiere: 畏れながらそれはお聞きできません。剣をお引き下さい、エルリッド様。
ギリ、とエルリッドが歯噛みして、剣を後ろに引く。収めるのではなく、不忠な下僕にいつでも突き出せるように。
不意に、上の方に気を引かれた。梁の一つが火で支えを失い、落下しようとしている。エルリッドはそれに気づいていない。
Furcifer: 二人とも、上です！
Furciferの連続魔！
悲鳴じみた叫びに応じて、二人が上を見上げる。低く構えていたマティエールはともかく、剣を突き出す動作に入りかけていたエルリッドは前にしか動けない。
そして皮肉にも、その軌道はマティエールさんに塞がれていた。
Furciferのエアロ�靴�発動。
→Falling Debrisに、337ダメージ。
魔法のターゲットが存在しません。
魔法のターゲットが存在しません。
魔法のターゲットが存在しません。
Furciferのストーン�靴�発動。
→Falling Debrisに、425ダメージ。
魔法のターゲットが存在しません。
Eltridの攻撃→Matiereに737のダメージ。
EltridはMatiereを倒した。
Furciferのエアロ�靴�発動。
→Falling Debrisに、518ダメージ。
魔法のターゲットが存在しません。
魔法のターゲットが存在しません。
Furciferのストーン�靴�発動。
→Falling Debrisに、318ダメージ。
FurciferはFallingDebrisを倒した。
フルキフェルの魔法で瓦礫が砕かれていく。全てが砕け散って視界が晴れたその下では、マティエールが腹のあたりを押さえて膝を突いていた。
剣で切り払う事だって出来たかもしれないのに、主人に剣を向ける事をよしとしないで、自らその切先に貫かれても主人を身を挺して庇ったのだ。
Furcifer: アオツキさん、三人をお願いします！
先の崩落を機に、倉庫の火の回りは早まり、崩壊も勢いを増している。エルリッドを止めても、崩壊に巻き込まれては元も子もない。
フルキフェルの判断は、自分は倉庫の消火に回るべき、というものだった。
でも、倉庫の火を止めたところで、エルリッドが二人に止めを刺してしまったら、やっぱり元も子もない。
Aotsuki: 分かった。でもコンバートは使わないで！
あれで倒れられたら、目も当てられない。
それだけ言うと、武器を抜いて駆け出す。唇を噛んで自分が手に掛けた相手を見下ろしていたエルリッドが、新手に対して体勢を整える為に大きく下がった。
Matiere: ……アオツキ殿──
呻き声が聞こえて、少し安心する。
Aotsuki: あなただって無事では済まないんですよ！ 今はとにかく外へ！
Eltrid: この機を逃せば後はない。汚名を雪がぬまま家名を残すくらいなら、取り戻してここで滅びた方がましです！
Aotsuki: まだやる気なんですか、お兄さんを切って、マティエールさんも傷つけて、何が名誉だ！
Eltrid: 黙りなさい！
Eltridの攻撃。→幻影1体がAotsukiの身代わりとなって攻撃を受けて消えた。
Aotsuki: どこがどう繋がるっていうんですか、あなたはただ感情をぶつけたい衝動を、家を守る責任感にすり替えているだけだ！
Eltrid: 下郎に分かろう筈もない！
Aotsuki: 言ったな、この分からず屋！
Aotsukiの攻撃。→Eltridに0のダメージ。
Aotsukiの攻撃。→Eltridに0のダメージ。
Eltridの攻撃。→幻影1体がAotsukiの身代わりとなって攻撃を受けて消えた。
巨大な盾に阻まれて、ろくに刃が届かない。それでも歩兵用としては大きすぎる盾のおかげで、向こうもこちらの動きについてこれないのが救いだ。
救いなんだけど、甲冑が頑丈すぎて時折刃がエルリッドの体を捉えてもろくにダメージを与えられない。
確かに相手を切り伏せるわけにもいかないとはいえ、このままでは埒があかない。
Eltridの攻撃。→幻影1体がAotsukiの身代わりとなって攻撃を受けて消えた。
あれこれ考えている間にも、空蝉は削られていく。向こうは忍者との戦い方を心得ていて、張り替えもままならない。
Aotsukiは、Aotsukiに空蝉の術:弐を唱えた。
Eltridの攻撃。→幻影1体がAotsukiの身代わりとなって攻撃を受けて消えた。
Eltridのシールドバッシュ。→Aotsukiに37のダメージ。
Aotsukiの詠唱は中断された。
最後の分身が消されると同時に、巨大な盾を押し立ててそのまま体当たりをしてくる。
Aotsuki: 今ので37！？ 表示バグってない！？
衝撃に涙がにじんで、目の間あたりで火花が散った。
数歩下がりながらぼやく。
オートアタックではあるまいし、すぐ次が来るはずだ。咄嗟に両手を引き上げてガードの体勢を作ると、その先に既に低く構えて必殺の突きを繰り出そうとするエルリッドが見えた。
Furciferのバインドが発動。
→Eltridにバインドの効果。
Eltridの攻撃。→Aotsukiに、ミス。
殺られた、と思った瞬間、エルリッドが何かに蹴躓いたように前のめる。
大慌てで鉤縄を引っ張り出すと、夢中で投げつけた。
盾があるので完全ではないけど、絡め取られて動きが鈍る。
Eltrid: っっがぁぁぁぁっ！！
FurciferのスリプルIIが発動。
→Eltridにスリプルの効果。
意味のない雄叫びと、フルキフェルのスリプルはほぼ同時だった。
彼女の顔からフッと険が取れ、地面に突っ伏す。
Furcifer: 危なかったですね……
Aotsuki: 最初からこうすればよかったのに。
青い顔で微笑むフルキフェルに、思わず恨み言が出た。
Furcifer: そうもいきませんよ。でもアオツキさんのおかげで、崩落には随分時間を稼げました。エルリッドさんは眠っているだけだから、念の為縛っちゃって貰えますか？
Aotsuki: 分かった。マティエールさんとルーファスさんをお願いするね。
エルリッドの剣を蹴り飛ばすと、手早く両手を縛る。人を縛った事はなかったけど、こんなものだろうか。
みるとエルリッドの肌には赤みが戻ってきていて、ＡＡモードではなくなっている。ひょっとすると縛らなくても平気なんじゃなかろうか。
縛り終えたあたりで、フルキフェルが戻ってきた。
Furcifer: どうですか？
Aotsuki: こんなもんでどうかな。眠らせただけなのに、動かないね。大丈夫かな……
Furcifer: 心配だけど、今は好都合ですね。それじゃここが崩れる前に運び出しましょう。足の方、お願いできますか？
Aotsuki: 運び出す？ エルヴァーンの女の人を、甲冑着せたまま？ 冗談でしょ？
笑顔のまま首を振るフルキフェルが、この上なく憎たらしく見えた。
609 ◆dWeYTO/GKY まとめ
2008年01月31日(木) 16:03:07 Modified by akamanbow