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609 ◆dWeYTO/GKY第11話05

 翌朝は軽い頭痛と、二日酔いの介抱で始まった。
 オグビィはあれほど飲んだのに、涼しい顔で朝食を済ませると船の様子を見てくると出て行き、パンをスープに浸してどうにか詰め込んだおれが、イッチの面倒を担当させられた。

「おい、船に乗るんだろ。早く起きろ」
 寝台でぐにゃぐにゃしているイッチの頬を軽くぽんぽんと張って覚醒を促す。
「うーやめろおお〜、頭に響くニャ〜」
 眠気と頭痛が半分半分、といったような反応。
「ったく、弱いならほどほどにしとけよな」
 毒づくおれに、イッチは掛け布を引き上げて頭まで隠す。
 思えば長旅をしてきた疲れもあるのかもしれない。いずれにしても、頭を隠した代わりにむき出しになった下半身をなんとかしろ。あと希望を言わせて貰えば下着とか半端をせずに最初から全裸で寝ろ。
「九州男児は飲むと決めたらとことん飲むものでゴワスにゃ〜」
「お前名古屋人じゃなかったのかよ」
 掛け布をひっぺがしながら言葉でも追い討ちを掛ける。
「いんにゃ、よこはま〜」
 あっけに取られたおれから掛け布を引っ手繰ると、もぞもぞとそれに包まる。
 こいつはホントに何者なんだ。

 結局イッチが起きたのは太陽が高く上ってからで、機航船も出港した後だった。
 戻ってきたオグビィは、イッチの様子を見てもさして驚くでも落胆するでもなく、笑っただけだった。
 いつもの事なのかもしれない。



 昼食を胃に入れていると、支度を終えたイッチが出てきた。
「おいすー。んで、船は?」
「もう出ちまったよ」
 横目でじろりと睨んでやったが、イッチは特に気にする風でもなくテーブルに着く。
「そっか。んで次は? 明日?」
「昼過ぎに一本出る。実のところを言うと、こちらの方が都合がよいかも知れぬ」
 昼間からワインを飲りながら、オグビィが答える。セルビナについてからというもの、この老人の飲み物といえば、稽古の後以外は全て酒という気がする。
 肝硬変も間近に違いない。それともガルカだけに生まれた時から硬いんだろうか。
「都合が? どうして?」
 老人の健康よりも正直、そちらの方が気になった。
「朝に出た機航船がな、冒険者優待の船だからよ」
 老人の話では、冒険者支援政策の一環として開放されている船はごく一部なのだという。
 他の定期便にも乗れない事はないが、割高になるし、船室は貨物だらけで手狭になるのだという。
 冒険者優待と言えば聞こえはいいが、船室に武器と鎧で武装した集団が土足でどかどかと踏み込むのでは運べる品も運べなくなる。その為、優待の船を用意して実質それ以外から冒険者を締め出そうというわけだ。
「なんニャそりゃ、どこが都合がいいんニャ」
 イッチがもっともな異論を唱える。
「冒険者を乗せる船は、連中の管理下にあるのだ。早々問題にはならぬだろうがな、念に念を押すなら、避けた方がよい」
 イッチと顔を見合わせ、ひどく納得してしまった。
 冒険者優待の船は航路も異なり、わざとバストゥークやウィンダスに寄港せずにマウラに向かう。大した荷がなく武装した人間が乗っている公算が大きい為、海賊ももっぱら別の船を襲う。
「密約か何かがあるのか知らぬがな、冒険者を乗せた船が海賊に遭うても嫌がらせをされる程度よ」 オグビィの言葉はどこか重々しく、顔は苦々しかった。



「海賊か……。やっぱ冒険者向けの奴の方がいいんじゃないかニャ?」
 イッチが首をすくめる。破天荒な言動の割に、こういうところは慎重だ。この世界に放り出されて、生き延びてきた経歴は伊達ではないというところか。
「全ての船が海賊に襲われるわけではない。それに、仮に我らが海賊ごときに遅れを取ったとしても、三人減るだけで済む」
 笑い混じりで軽く言う、その内容はあまり軽くなかった。
「なんだよ、秘密結社でもやってんのかお前ら」
 それを聞いたイッチが、目を丸くした。
「なんニャ、そんな事も話してなかったんニャ?」
 ん、まあの。オグビィは唸るように答えて、そっぽを向いた。
「まずはこやつを鍛えながら見極めようと思うてな」
 嘘だ。それ絶対に忘れてた人間の態度だ。

 しょーがねーなー、と溜息をついてから、イッチは少し真面目な顔でこちらに向き直る。
「オレ達はニャ、来訪者のリンクシェルを作ってる。リンクシェルっつっても別にパールを配布してるわけじゃない……前は配ってたんだが、危ないからやめたんニャ」
 ログを取られるとか、そんな理由か。マティエールの爺さんがそんな事を言っていたな。
「そんなもの作ってどうするんだ」
 答えは予想がついていたが、敢えて訊いてみる。が、その答えは予想とは違うものだった。
「決めてない」
 んー、とイッチは少し考えてから、
「ひとまず、こっちに来て一人寂しく死んでいくのは悲しいだろ。特に赤い鎧着た怖い連中もいる事だしさ。だから固まって身を守る、てのが当面の目的だニャ。やりたい事があるなら、そいつはそいつで好きにすればいい」
 オグビィはそれを、苦い顔で見ていた。爺さんからすれば、もっと別の事を期待しているのかもしれない。



 おれたちが港に着く頃、目的の船は既に桟橋に入っていた。目まぐるしく貨物が運び込まれ、便乗する人間がちらほらと乗船手続きをする窓口に集まっている。
 手続きを済ませて粗末なタラップで船に乗り込もうとしたところで、見知った顔に出会った。タルタル女性の二人連れ。一人は白魔道士で、もう一人は戦士だろう。
「ユリフィナじゃないか。何やってんだこんなとこで」
 呼ばれたポニーテールのタルタルが振り向き、パッと表情を輝かせる。
「ヒロちゃん! 久しぶりだね、元気にしてた?」
 まあ、そこそこ。そんな曖昧な回答をしていると、向こうにいたリポケケが嬉しそうに両手を挙げる。
「あのね、ユリフィナね、見送りに来るはずだから〜って言って、朝の船に乗らなかったんだよ。向こうで約束があるのにねー」
「シャールカーンの事か、見送りって?」
 ユリフィナが耳まで真っ赤になって、リポケケを黙らせにかかる。その様子が変におかしくて、笑ってしまった。幸せそうで何よりだ。

「そ、そんな事よりヒロちゃんはどうなの、あの背の高いエルヴァーンの人とっ」
 ルーファスさんだっけ、と強引に話題を変えてくる。
 一瞬意味が分からず面を食らったが、すぐに思い出した。そういえば勘違いされたままだったな。
「こいつはノンケでも平気で食っちまうミスラなんだぜ?」
 ニヤニヤしながら、ボソッとイッチが呟いた。くそが、と舌打ちをして、この誤解を解く決心を固める。
「あのな、おれは雄なの。だからあいつはただのツレ。今頃バストゥークで可愛い妹とキャッキャウフフしてるよ」
 またまたそんな〜、と笑うユリフィナは、おれが真顔で、
「なんなら触って確かめてみろ。ちゃんとついてるから」
 そう言って仁王立ちするまで、おれの話を信じなかった。結局おれのセクハラには引っ掛からなかったが、おれのイチモツに手を伸ばしかけ、ユリフィナはもう一度耳まで真っ赤になった。
 なんだこの萌えキャラ、新手のスタンド使いか? やたら琴線に触れるものがあったらしいイッチが、おれにしきりに耳打ちをした。



「どきなお客人、乗らねぇなら消えとくれ!」
 不意に甲高い声で注意をされて、慌てて船に乗り込んだ。
 女みたいな細腕の小柄な水夫が、大きな荷物を担いで乗り込み、荷を船室に積み上げると再び出て行った。
 あんなガキでもいっちょまえに働いてるんだな。

「急ぎの用事なら、テレポで帰ればいいだろうに」
 慌しい荷積みの様子を眺めながら、尋ねた。
 その問いに、リポケケは満面の笑みを浮かべながら、ユリフィナははにかみながら、同じものを見せて答えた。

 釣竿だ。
 おれは海よりも深く納得した。


609 ◆dWeYTO/GKY第11話06?
609 ◆dWeYTO/GKY まとめ
2009年08月10日(月) 16:55:52 Modified by jikyaramatome




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