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Loufas ◆TTnPTs4wAM 8スレ目本編

115名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM 投稿日: 2006/06/05(月) 11:25:27.39 ID:VLwAUifZ
(226)
ラテーヌ高原に入ったところで、チョコボを止める。
「おい!何やってんだよ!」
「…振動が止まった」
龍の頭から発せられていた振動がピタッと止んでしまった。
左手を重ねてみるが、先ほどのように映像が流れ込んでくることは無かった。

「なんだよ〜、手遅れ?」
「そもそも空振りってのもあるかもな。第一、何が起こってるか確認もしないで飛び出してくるのが間違いなんだよ」
「んじゃ、なんだったか確認くらいはした方がいいんじゃねぇの?」
「いやぁ… ラディールに黙って出てきてるから、あんまりゴチャゴチャやって帰ると後が怖いんだよなぁ」
いや、ある意味もう手遅れと言う可能性もあるんだが…
「そっか、怒ったら怖そうだもんな… でもなんだったんだろう、あれ」
「強烈にイメージに残ってるのは空間の歪みだな。人が数人いたけど、それはあまり重要じゃなかった気がする」
「んじゃ、その歪みに篭手が反応したって事か」
それは分からないな、と言う代わりにお手上げのポーズを取ってみる。この篭手のことは俺にもよく分からない。

ラテーヌからロンフォールに流れ込む風は若干の湿気を含んでいるようで、柔らかい気がする。
「とりあえず、行くだけ行ってみよう」
向かい風の中、さらにチョコボを走らせて谷間の下にあるオルデール鍾乳洞の入り口に進路を取った。


116 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/05(月) 11:25:56.96 ID:VLwAUifZ
(227)
「今は、ここは立ち入り禁止だ」
谷間に下りる経路には演習中の騎士団がいた。チョコボの前に立ちはだかって帰るように促している。
「…中では何を?」
「国家機密だ」
機密って言っちゃダメだろ…、と思いつつ、結局ここで何かが行われているらしいと言うことは理解できた。

納得した振りをして一度チョコボを向きを元来た方向に取って返した後、反転して騎士の横を一気に抜ける。
悲鳴を上げながら盾を構える騎士に、悪いな、と声をかけてそのまま谷間の底へ駆け出した。
俺が難なく通り過ぎたのを見て、後ろからヒロも付いてきたようだ。
谷底に降りても騎士団が数名いたが、ただ怪訝な顔をするだけで俺たちを止める様子はない。

鍾乳洞の入り口まで来たところでチョコボを降り、中に入ろうとしたところで背後からいくつかの悲鳴が響いた。
慌てて振り返ると、そこにはあの流れ込んできた映像で見えたタルタルの少女達がいた。
俺たちの後ろから来た、という感じではない。中から出て来たのだろう。

「ルーファス!こいつらアレだ!さっき見えたえいz…」
「分かってるよ。適当に話聞いておいてくれ。俺は先に行くから」
今重要なのはこいつらじゃない。俺の直感がそう告げていた。
だが鍾乳洞に入ろうと駆け出した途端、俺は何かに思い切り鼻をぶつけて大きく仰け反ってしまった。


117 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/05(月) 11:26:24.51 ID:VLwAUifZ
(228)
ぶつかった何かに手を伸ばしてみると、そこには視覚的に何も認められないものの、確かに壁が存在していた。
くっそ、顔を突き出して走るもんだから思い切り鼻をぶつけちまったじゃねぇか…
振り返るとヒロが笑いをこらえてプルプルしてるのが見えた。

しかし、これは何だろう。透明だが、俺がぶつかってもビクともしない程の強度の壁。結界か何かだろうか。
そのまま透明な壁を触って見ると、どうも入り口全体に広がっているらしい。
「パントマイムの練習か?」
「…お前、後で分かってんだろうな?メイド服でこき使ってやる」
そう言いながら右手を透明な壁に当てていると、再び龍の頭が振動を始める。それと同時に、壁の中に右手が沈み込んでいくのが分かった。

そのまま体全体が壁の中に入りきった途端に、強烈な悪寒を感じた。篭手の振動も再び強くなってきている。
振動が止んだのは何か ─ 恐らくこの壁で遮断されたせいだったのだろう。
後ろでは、今度はヒロが透明の壁をペタペタと触っている。
「パントマイムか?」
そう言ってみるものの、どうも聞こえていないらしい。俺は後ろの少女達を指差してから手のひらを広げて見せる。
ここで彼女たちの話を聞いて待ってろ。そう伝えたかったが、上手く伝わっただろうか。


118 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/05(月) 11:27:06.08 ID:VLwAUifZ
(229)
鍾乳洞の中に入ってみると、入り口近辺にいたはずのコウモリやカニの姿がない。
奥から染み出すように流れてくる悪寒は徐々に強くなっているように感じられる。
何かが起きているの事はもう疑いようがない。足取りは自然と速くなった。

大きなカーブを描いた通路を駆け下りていく。ここにもゴブリンが群れを成していたはずだが、やはりいない。
この気配を恐れてどこかへ逃げたのだろうか。だが、少し進んでみるとそういう訳ではないことが分かった。
せまい通路を抜けた先の少しだけ開けた場所に、ゴブリンやコウモリ、それにこの鍾乳洞に生息していたあらゆるモンスターの死骸が転がっていた。
何かに引き寄せられて、ここで一度に命を奪われたという感じだろうか。血は流れていないし外傷もない、奇妙な死骸だ。
まるで生贄にでもなったかのような死体の横を通り過ぎ、さらに通路を進む。悪寒はさらに強くなるばかりだ。

感覚だけを頼りに進んでいたが、それもある程度進んでみると全く頼りにならなくなった。
気配が強すぎて探りようがない。さらに言うと、なんだか妙な気配が増えたような気がする。
地図で確認してみると、どうもここは『人体洞』と呼ばれるオルデールの心臓にあたる場所らしい。
この先は行き止まりだし、だからと言って見回す限り気配の元と思われるものはない。

ここまできて空振りな訳はないんだ。必ず何かあるはずなんだが…


119 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/05(月) 11:28:33.25 ID:VLwAUifZ
(230)
途方に暮れながら、もう一度あの映像を思い出してみる。
確か、何処からか陶器のような壁の部屋に入っていったはずなんだけど…

少し考えてから、壁に手を置いて部屋を一周してみる事にした。隠し部屋ならそれで分かるはずだ。
手始めに手を置いたところで、いきなりガクッとバランスを崩してしまった。
手が壁をすり抜けている。ここだ…
そのまま勢い良く体ごと壁に入った途端、今度は何かに思い切り躓いてしまった。
「ぅわっとぉぉ!!」
止まることができずに一回転して受身を取る。

立ち上がって見回してみると、いくつかの人影を見つけることができた。
座っているあごひげの見事な老人、それに赤い鎧を着たエルヴァーンと、なんだか分からない黒い何か ──
悪寒の原因はどうもあの黒い何からしい。だが、その目の前に立つ赤い鎧からもただならぬ気配を感じる。
老人は俺を一瞥して、さも面白そうに笑い始めた。
「あー… なんか取り込み中のところ悪いんだけどさ、こいつ何?」
「禍神、と言う。何かの縁じゃ、貴方もやってみるかね?」
かしん?ケンドー・カシンの友達か?それにしちゃ雰囲気がヤバ過ぎるな。
俺が苦笑いをすると、老人はさらに言葉を続けた。
「プライマルアーツを持つ者と奴ならば、あるいは倒すことも叶うかも知れぬな」


516 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/10(土) 02:33:32.86 ID:JSRs9Egp
ちょっと予告編がてら一つだけ投下します。

─────────────────────────────────────────────────

(231)
篭手の振動が波打つような圧迫に変わった。リズムに合わせるように鼓動を打っている様にも感じる。
同時に俺の体にも変化があった。今まで感じたことがないほど体が軽い。さらに喩えようもないような高揚感が俺を包み込む。
少なくとも俺は、こういうグロい生き物や絶体絶命のスリルを楽しめる性格じゃないはずなんだが…

右手の甲にある龍の頭の口が、僅かに広がっているようにも見える。笑ってるのか?
そう思った瞬間、龍の口が大きく開いた。どうも俺の考えていることが分かるらしい。なら、お前は何がしたい?
そう念じると、また口を閉じて笑うように口の端を歪める。わかるだろう、ってか。
耐え難い高揚感を隠しつつ、眼前で繰り広げられている死闘に目を移した。

黒くてグロい造りの何か─ 禍神と言うらしい─ と赤い鎧は激しく斬り合っている。実力伯仲と言う所だろうか。
僅かにグロい生き物の方が優勢のようにも見えたが、何合か剣を合わせるうちにその状況も変化して行く。
そこに目を移した途端、再び波打つような高揚感に襲われる。


── そうか、アレを食いたいのか。


567 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/10(土) 21:53:34.84 ID:JSRs9Egp
(232)
「逃げろ、タイガー!」
叫び声で我に帰ると、目の前で赤い鎧が胴を串刺しにされていた。
タイガー、とは俺のことだろうか。そういえばパンサーマスクを被ったままだった。

生憎と、逃げるのはもう沢山なんだ。
視界を広げるためにパンサーマスクを自ら剥ぎ取り、禍神と赤い鎧の姿を正面から見る。
胴を刺されたはずの赤い鎧はすぐさま立ち上がって、気合と共に禍神に切りかかっている。ダメージはそれほどないらしい。
だが息が切れているのか動きに精彩を欠いているようにも見える。

「伏せろ!」
前に飛び出しつつ声をかけて、左手の拳を握り何もない空間に裏拳を放つ。
その瞬間、左の篭手にある龍の尻尾が俺の身長ほどの太さに肥大して禍神の身体をなぎ払った。
同時に右手で、呼びかけに答えて伏せている赤鎧の襟を掴んで後ろに引きずる。
轟音と共に禍神は壁際まですべる様に吹き飛んだものの、倒れてはいない。
俺は赤鎧を引きずったまま適当な距離をとって構え直した。
龍の尻尾は一通り払い終わるとすぐに元の形に戻る。便利と言うか、正直気持ち悪いと言うか…

「息を整えてな」
そう赤鎧に言い捨てて、俺は禍神に向かって一直線に駆け出して行った。


568 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/10(土) 21:54:39.95 ID:JSRs9Egp
(233)
禍神は右手に持った剣を上段に振り上げて、駆け寄っていく俺に振り下ろすつもりでいるらしい。
俺はその場で飛び跳ねるように右に大きく移動し、側面からさらに殺到する。
その体制とこっちの位置なら、必ず袈裟切りに振り下ろすはずだ。

剣の間合いに入ったところで、予想通り凄まじい勢いで風を切る音と共に袈裟切りの斬撃が振り下ろされる。
左手を禍神の脇から滑らせるように上げて、同時に身体を大きく沈めて避ける。
羅刹作務衣の右肩にある鋼板に剣がかすって、チーズでも切るように綺麗にスライスされて飛んでいく。
そのまま左手で振り下ろしきった禍神の右手を押さえ、脇腹に後ろ回し蹴りを叩き込んだ。

禍神が少し後ずさりした後、今度は俺の頭に目掛けて逆袈裟気味に剣を払う。
前に踏み込みつつ身体を沈めてこれを避けて、横に伸びた禍神の腕で鉄棒のように逆上がりをして後頭部に蹴りを入れる。
そのまま手を離して転がるように後ろに回りこむと、俺の姿を見失ったのか禍神が左右を見るように首を動かす。
一足飛びに背後に近寄り、背骨に目掛けて8回拳を叩き込む。
僅かにうめき声を上げ、身体を捻って振り向くと同時に剣を横薙ぎに払ってきた。
振り向く動作と同じ様に俺も背後を取り続けるように移動し、払い終わる右手に向かって右足の前蹴りと、さらにもう一発左足で回し蹴りを見舞う。

そこまでやって、一度後ろに向かって飛び退る。まるで効いてる様子がない。
最後の攻撃で剣を落としてくれる事を期待したが、それも叶わなかった。


569 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/10(土) 21:56:40.06 ID:JSRs9Egp
(234)
先制攻撃といっても、しっかりと対応した動きをしている。一筋縄には行かないか…
何かしようとした際の対応が早いため連続で攻撃もさせてはくれない。だったら、先に攻撃をさせて後の先を ── 要するにカウンターを取るしかない。

だが、そうやって攻撃を繰り返してみてもそれが効果があるようには見えなかった。
少なくとも、これでダメージを与えることができたとしても決定打にはならないように思えた。
だとすれば、結局はこの篭手頼みになるのか…

「…もう大丈夫だ」
横から不意に声をかけられるが、禍神から目を離す余裕が無かった。
声の主は、恐らくさっきの赤い鎧だろう。
「寝ててもいいんだぜ?」
「馬鹿な、一人で勝てる相手ではない」
「んじゃ共同戦線と行こうか。俺が注意を引く。とどめはあんたに任せる」
2人になって状況が変わるだろうか、と考えても見たが、結局のところやってみるしかない。
それに、コイツの剣。あの禍神の気配とはまた別の、妙な気配がする。
もしかしたら、コイツの剣なら致命傷を与えることができるのかも知れない。

「当てにさせてもらうぜ、『フェイト』さんよ!」
精々の皮肉を口にして、俺は再び禍神に向かって走り出した。


570 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/10(土) 21:57:20.65 ID:JSRs9Egp
(235)
禍神に走り寄ると見せかけて、進路を僅かに右に取り、剣の間合いの外にいる事を確認して、左手を外側から内側に大きく振る。
さっきと同じ様に巨大な龍の尻尾が出現し、禍神の正面から後ろに向かってなぎ払われる。

が、今度は吹き飛ばなかった。代わりに禍神の足ものと床がガコッと言う音を立てて少し沈んだ。
禍神は龍の尻尾を左手で掴んで、振り回すように投げ飛ばした。瞬間、俺の体が髭の老人の方へ吹き飛ぶ。
マズい!と思った瞬間に、赤い鎧が禍神に向かって剣を突き出していた。
不意を付いたらしく、鍔迫り合いで押しているようだ。
俺は着地した場所から一直線に赤い鎧の背中目掛けて走り出し、そのまま赤い鎧を飛び越えて禍神の顔面に飛び蹴りを食らわした。

仰け反るような仕草を見せたものの、次の瞬間には左手で赤い鎧を殴り飛ばし、俺の脇腹を剣の柄で弾き飛ばした。
ガードを入れる余裕も無かった。着地よりも先に壁にぶつかり、痛みで顔が歪むのが自覚できた。
壁にぶつかって地面に落ちるまでにチャクラのイメージをする。場所は脇腹。最低限動くのに支障がないようにイメージをしながら。
ガキッと骨が動いた感触があった。どうも一撃であばら骨を持っていかれたらしい。

地面に落ちて膝を付いてへたり込む所に、禍神が剣を突き出してきていた。
素早くつま先を立てて、座ったまま体全体を捻るように回転させ、左手の裏拳と右の肘を側頭部に間髪いれず叩き込む。
禍神の剣は俺がいた場所のすぐ横の壁に深く刺さった。
回転の余勢を駆ってそのまま横に飛び退くと、赤い鎧が禍神の背後から剣を振りかぶっているのが見えた。
そのまま、赤い鎧は禍神の左腕を肩口から切り飛ばした。


571 名前: Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 投稿日: 2006/06/10(土) 21:59:08.77 ID:JSRs9Egp
(236)
瞬間、絶叫のような空気の振動が洞窟内に響き渡った。さすがに片腕を切断されたのは堪えたらしい。
その絶叫を聞いて、何故か生ぬるい官能のような感覚が体中に走る。
あぁ、どうもこの篭手に宿る意思は筋金入りのドSらしい。高揚感は収まるどころかさらに高まっている。

重力に引かれて一度は地面に落ちた禍神の左腕は、切り口から伸びてきた血によって元の位置に引き上げられた。
赤い鎧もその様子を見て飛び退る。
「おいおい…」
「ああいうものだ」
赤い鎧は動揺も見せず、静かにそう言った。壁から剣を引き抜いて振り返った禍神の顔には怒りのような表情を見て取ることができる。
感情ってのは一応あるんだな…

「次で決める。長期戦になって不利なのはこちらだ」
赤い鎧のエルヴァーンは、汗まみれながらしれっとした表情でそう言う。
そもそもコイツは信用できるのかどうかも分からないが…
「そりゃいい、こっちもそろそろ限界だ」
いい加減、こんな妙な感覚に支配されるのは終わりにしたい。

細かい打ち合わせなんてものは必要ないだろう。俺が引き付けて赤い鎧がとどめを刺す。シンプルなもんだ。
俺はゆっくりと禍神に向かって歩き出した。
2006年06月13日(火) 00:48:31 Modified by meku924




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