このウィキの読者になる
更新情報がメールで届きます。
このウィキの読者になる
最近更新したページ
最新コメント
【AH協会】 by awesome things!
609 ◆dWeYTO/GKY小ネタ by check it out
609 ◆dWeYTO/GKY第9話02 by check it out
609 ◆dWeYTO/GKY第9話08 by awesome things!
775 ◆dWeYTO/GKY第1話06 by awesome things!
775 ◆dWeYTO/GKY第1話02 by check it out
609 ◆dWeYTO/GKY第6話02 by awesome things!
リンク
まとめサイト
http://ss.ga4.net/

2ちゃんねる
http://www.2ch.net/

FF11の板(蟹)
http://yy10.kakiko.com/ff11ch/

ネ実
http://live19.2ch.net/ogame/

ワイルドカード(アイコン素材)
http://www.aurora.dti.ne.jp/~keiko-t/
Wiki内検索

Loufas ◆TTnPTs4wAM 10スレ目本編

86 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/22(木) 20:38:00.41 ID:LTEfnARO
(248)
右腕にかかる重さが、急に軽くなった気がした。
目をやる余裕はないが、赤い鎧が黒い何かの水面部分より上に顔を出しているようだ。

「順番は前後したが、約束は約束じゃからな」
老人が楽しそうな声で呟く。
「書き換えは完了した。この空間を切り離し、もろとも奈落に墜とす。脱出じゃ!」
その声と共に、俺と赤い鎧は光に包まれた。

不意に、あたりに草の匂いが立ち込める。
穏やかな風と太陽の光が、何故か現実感のない一枚絵のように見えて呆然と立ち尽くしていた。

ポコン!

後頭部を何かで軽く叩かれたような衝撃でようやく我に帰った。
「・・・あれ? 俺は、どうしてここにいるんだ?」
見回してみると、どうもラテーヌの谷底らしい。遠くにはエルヴァーンとタルタルの集団、それにヒロとフルキフェルが見えた。
「心臓の部屋でカーディアンに蹴躓いて、黒い奴と赤い奴がいて…」
「君が、黒い奴―――禍神を一人で倒したんだ。その物凄い篭手と体術で」
いつの間にか隣にいたエルヴァーンが口を開いた。

87 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/22(木) 20:38:22.97 ID:LTEfnARO
(249)
「俺は全然、憶えていないんだが・・・」
「全てのモンクが目指すという、“無我の境地”というやつか? なんにせよ君は英雄だ。世界を救ったんだから」
白々しい、と思わないのだろうか。明らかに何かを誤魔化そうとしている。
いくらなんでも、若年性認知症でもなければここまでキレイサッパリ忘れたりもしないだろう。

急に、一つの可能性に気がついて背筋が凍った。
しまった、やられた…
ようやく、記憶を操作されたかもしれないと思い至った。
このエルヴァーンは、確か赤い鎧を着ていたはずなんだ。老人にしても得体が知れない。多分『フェイト』の関係者だろう。
だが、このエルヴァーンの妙な信頼のまなざしと言い、老人の屈託のない笑顔と言い、どうも害意があるようには見えない。
何なんだろう…

篭手の振動も止んでいる。
と言うことは、とりあえずこの篭手が感知した何かってのは消滅したらしい。
「ま、いいか。こうして怪我一つ無いんだからな」
この赤い鎧を着ていたエルヴァーンと俺が何かと戦って、多分勝つことができたんだろう。
面倒になってそれ以上考えるのはやめた。何かがあったのは間違いないが、問い質した所で口を割る連中でもなさそうだ。

88 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/22(木) 20:39:03.62 ID:LTEfnARO
(250)
ため息をつきながらヒロとフルキフェルの元に歩み寄ろうとすると、向こうもこちらに歩いてきた。
フルキフェルが引きずるようにしてヒロを連れて来た、と言ったほうが正しいのかもしれないが。
「おつかれ」
ヒロが口を開く。
「あぁ」
俺も短く返事をした。コイツのいいところは、あれこれと口煩くないところだ。

「こちらの用事が済んだら、ルテ経由ですぐに追いつきますから。それまで、絶対死にそうになったり、死んだりしないでくださいね」
「別に、そこまで深追いするつもりじゃねーから、まあ心配すんなよ」
そう2人が短く言葉を交わすと、ヒロは俺からはなれて歩き始め、フルキフェルは何か呪文を詠唱し始めた。

何かがあったらしい。
だが、それを尋ねるよりも早くフルキフェルの魔法が発現した。

89 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/22(木) 20:39:21.93 ID:LTEfnARO
(251)
「おっと、これは失礼しました」
どこかに到着したのと同時に、フルキフェルの声が聞こえる。
遠くに大地が避けたような地形が見える。ということはホラの遺跡か…
わざわざこっちに飛んだのは何故だろう?
「どえらい失礼だっぺ!全く、驚かさないで欲しいだっぺ。修復が終わっていたからよかったっぺけど、もしも修復前にテレポなんかしてたらどこに飛ばされたか解ったもんじゃないっぺよ?」
下から聞こえた声につられて見下ろしてみると、タルタルが3人、こちらに向かって大声を上げていた。
「それはすみませんでした。ですが私も急いでいたので…」

一通りの謝罪をしたフルキフェルは俺を促してからチョコボに乗り、サンドリアへ戻ると言った。
あそこから歩いても時間はかからないはずだ。チョコボに乗って戻る必要があるというのは、よほど一刻を争う場合でない限りありえない。

「…なぁ、なんで急いでるんだ?」
チョコボを併走させるようにして、フルキフェルに声をかける。
「えーっと…ほら、ラディールさんが心配してるんじゃないかなぁって…」
「お前、嘘が下手だなぁ… それに、ヒロは何処へ向かった?」
「あー…なんか、用事ができたそうですよ?」
なんだか馬鹿らしくなってきた。

90 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/22(木) 20:39:59.22 ID:LTEfnARO
(252)
「聞き方を変えようか、何があった?」
そう言うと、フルキフェルは手綱を引いてチョコボを止めた。俺もそれに倣って立ち止まる。
「ルーファスさん、落ち着いて聞いてくださいね。それと、必ず一度サンドリアに戻ると約束してください」
妙な迫力を纏わせながら、フルキフェルが前置きをする。
「…わかった」

「エルリッドさんの居場所が分かりました。ヒロさんは先に向かっています」
「何処だ!?」
「言えません。サンドリアに戻ってください」
「どういうことだよ!!」
「言えばあなたは直接向かってしまいます! …今、しかも何の作戦もないままあなたを送り出すことはできません」

確かに、俺も相当消耗してる自覚はある。その判断は正しいんだろう。
だが、どうしてそれをこの二人が知っていて、しかも一度サンドリアに戻ろうとするのか…
「…戻ったら、話してくれるんだろうな?」
「勿論です」
フルキフェルはまっすぐに俺を見て静かに、だが強くそう言った。
「わかった。少し飛ばすから、付いてこいよ」
一先ず全ての疑問を押しとどめて、俺とフルキフェルは一路サンドリアへの道を急いだ。

91 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/22(木) 20:40:44.65 ID:LTEfnARO
(253)
すっかり薄暗くなったロンフォールの森を一目散に抜け、サンドリアの城壁が見えてきた。
だが、この門から入ってしまうと街中を走る時間が惜しい。
「フルキフェル!屋敷へ直接行ける抜け道があるから、そこに向かうぞ!」
少し離れた所にいたフルキフェルに大声で声をかけた。

東ロンフォールに入り、門よりも北にある城壁の片隅でチョコボを降りる。
「ルーファスさん?」
フルキフェルもチョコボを降りているが、何か不思議そうな顔をしている。
俺は黙ったまま城壁の一部を力いっぱい押し込んだ。
ガコッという何かが嵌まるような音と共に、城壁が少しだけ内側に下がる。
そこに地下へ続く階段が現れた。
「降りるぞ。入ったら、右手にあるレバーを引いておいてくれ。入り口が隠れる」
「…あ、はい!」
そう言いながら、明かりもない通路を駆け抜ける。

通路は一本道で、しかも俺はガキの頃何度もここを通っている。いまさら迷いようもない。
やがて、暗闇の中で四角形に切り取られたかのような、扉の輪郭が見え始める。
取っ手のある部分に手をかけて力いっぱい引き開ける。明かりのともった部屋の内部が見えた。

92 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/22(木) 20:41:15.29 ID:LTEfnARO
(254)
「お帰りなさいませ、坊ちゃま」
爺さんが、まるでここから入ってくるのを分かっていたかのように待ち構えていた。
出た場所は、シュヴィヤール邸の応接間にある暖炉だ。
帰ってきたときに、爺さんに使えるかどうかを確認した隠し通路。まさかこういう使い方をする事になるとは思わなかったが…

「あぁ、ただいま。早速だけど、出かける支度を… ん?」
「ごしゅじーーーん!!」
暖炉から這い出してきた俺に、白いふわふわした生き物が抱き付いてきた。
「モーグリ!」
「心配したクポよぉぉ!!」
「悪かったなぁ、北サンドリアに放り投げたまま行っちまって…」
「記憶の結晶化と再構成も上手く行ったクポ?」
「あぁ、もうすっかり俺の頭の中だ」
俺は自分の頭を指差しつつ、そう言って微笑んだ。

「ルーファスという名前の冒険者を尋ねて回っているモーグリがいると聞きまして、もしやと連れ帰ってみたのでございますが…」
マティエール爺さんも嬉しそうに言う。
「事情は大体お伺いいたしました。坊ちゃまが冒険者になって以来付き添っていたそうですなぁ…」
俺は苦笑いをした後、そんな事を話している場合じゃない、と話を切った。

93 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/22(木) 20:41:45.55 ID:LTEfnARO
(255)
「爺さん、旅の準備をしてくれ。フルキフェル!約束どおり戻ってきたし、さっさとエルリッドの居場所を…」
「バストゥーク、でございましょう?」
爺さんが、まるで当然のようにそう呟いた。
「何故それを…」
フルキフェルも驚いているようだ。どうやら違う筋から同じ情報を得ていたらしい。

「出立の準備は既にできております。爺とマルトもご同道いたします」
「屋敷は?」
「丁度、留守番を得たばかりでございましょう?」
爺さんは俺の胸に納まっているモーグリを指差した。
「大丈夫クポ!このお屋敷の事は大体聞いたクポ!」
「そっか、んじゃ頼む」
そう短く言って、応接間のドアから出ようとしたときに、丁度ドアが開かれる。ちょっと見慣れない格好のマルトが、大荷物を持ってそこに立っていた。
「あ、ルーファス様、お帰りなさいませ」
いつものメイド服ではなく、ウォーアクトンの裾をフレアスカートのように繕った装備で、白い太ももが覗いている。
両方の肩には見慣れない大砲のような装備が二丁、その弾であろうものが腰のベルトに大量にささっていた。

フルキフェルが、着替えてくると言い残して屋敷を出て行くのと、俺が深いため息をついたのがほぼ同時だった。

411 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/26(月) 16:21:14.61 ID:k0mIY3ou
(256)
降って湧いたような状況で、この手回しの良さは普通じゃない。
爺さんは何かを急いでいるようにも見える。爺さんはこういうとき、最も時間がかかって確実な手を選択するタイプだ。
この老人にしては珍しく、焦っているようにも見える。
事態は急を要する、という情報を得ているのかもしれない。

そもそも情報の出所が複数あって、それがこちらに有利な情報だという事も不自然だ。
爺さんの方はともかく、ヒロはどうやってこの情報を知りえたのだろう。
あるいは、無秩序に流されている情報である可能性だってある。
その場合、十中八九罠だと思っていい。

「ルーファス!聞いた!?」
ラディールがいつの間にか応接間のドア近くに来ていた。
「…なぁ、爺さんがエルリッドの居場所が分かったって言い出したのはいつごろだった?」
「そうねぇ、確かあなたが出かけるって大声で言ってからしばらく経った頃だと思うけど… そう言えば、何処に行ってたの?」
「ちょっとラテーヌへ散歩しに、ね」
それなら私も誘ってくれれば良かったのに、と言って彼女は拗ねたような表情をした。

412 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/26(月) 16:21:34.41 ID:k0mIY3ou
(257)
「爺さん、ちょっといいか」
そう言って応接間の中に取って返し、マティエールの前で腰を屈めて顔を近づける。
「ヒロに、エルリッドの情報を流したのは爺さんの差し金か?」
「私めではございませぬが… 恐らく、『フェイト』の何者かでしょうな」
「何故そう思う?」
「知り得る者がそれくらいでございましょう。さらに言えば、かの組織も一枚岩という訳ではございません」
「内部抗争か… お題目が立派な割に俗っぽいことやってんなぁ」
「お恥かしいことでございます」
「もう一つ、何故そんなに急いでる?」
爺さんの目つきがにわかに厳しくなる。多分、俺が最初にこの話を聞いていたらこんな感じだっただろう。
話に乗り遅れてしまっている分、この状況の異様さが目に付く。

「はっきり言って胡散臭すぎる。その情報が真実だとしても、何らかの罠である可能性だってあるだろう」
「知られるのを承知でバストゥークに潜入した以上、何らかの用意をしている事は間違いございません」
随分と引っかかる言い方をする。
「妙な言い方をするなぁ。それじゃまるで、『フェイト』の支援がないままで黒髪野郎が個人的に動いてるようにも取れるぜ」
「その通りでございます。それだけに、何をしでかすか把握しきれないのでございます」

413 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/26(月) 16:22:06.09 ID:k0mIY3ou
(258)
うーん、と唸りながら頭を掻いて、ちょっと頭の中を整理する事にした。
今の話からすると、どうもエルリッドをさらっていった黒髪野郎は組織に仔細を告げずにバストゥークに潜伏したらしい。
しかも多分、それほど機密性の高くない方法で。
それ自体に関しては、まぁ腕を切り飛ばされてそれなりに消耗していたのだから仕方がないとして、そこで何をしてるのか…
いや、それは考えても仕方がない。だからこそ爺さんも気にしてるんだろう。

良く考えてみれば、エルリッドがさらわれてから既に丸2日経ってる。いや、今夜が明ければ3日になるか…
「…それじゃぁ、そもそも今の段階でエルリッドが無事だと言う確証は?」
「街で見かけたと言う情報がございます。どうやら、特別拘束されることも無く自由になされているご様子のようで」
「はぁ…?」
思わず、間抜けな声がでてしまった。
「記憶を操作された状態なのでございましょうな」
なるほどね、そういや連れて行かれたときもその状態だった。

「なら、そこまで急ぐ必要はないなぁ…」
「坊ちゃま!お嬢様の危機に何と悠長な!」
「考えても見ろよ。手駒を遊ばせてるって事は、今日明日に何かをしようって訳じゃないんだろ。だったらしっかり準備してからでも…」
「ですから出立の準備は既に整っていると申し上げました」
表情には出していないが、爺さんは内心気が気でないのだろう。こういう物言いをする爺さんを、俺は初めて見たような気がする。

414 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/26(月) 16:22:39.79 ID:k0mIY3ou
(259)
「それよりも問題なのは、エルリッドが俺を…  あー…、なんというか、俺を俺の仇だと思ってることだ」
そういえば、エルリッドがさらわれた段階で既に洗脳されていた事は爺さんに話してない。
案の定、爺さんは鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている。
「なんと言うか、『ファーロス』を殺したのが『ルーファス』だという記憶を植えつけられた状態らしくってな… さらわれる直前には、俺と戦ったりもしてるんだよ」
「何故そのような大事な事をお話くださいませんでした!!?」
「いやぁ、そりゃ言い辛いだろうよ。妹と戦いました、なんてさぁ…」
爺さんは顎に手を当てて考え込んでしまった。

「…なぁ爺さん、黒髪野郎が個人で動いてるんだったら、少し揺さぶりをかけてから出発したほうが良いんじゃないか?」
「と、申しますと?」
「うーん… 例えば、ファーロス・S・シュヴィヤールがバストゥークに行く、というような情報を流すんだよ」
エルリッドが自由にしているのであれば、その噂を耳にすることもあるだろう。
そうすれば、もしかすると植えつけられた記憶との矛盾に気がつくかもしれない。
「一番困るのは、エルリッドが俺を仇と思って仕掛けてくる可能性があることだからなぁ」
「情報戦でございますか…」
「黒髪野郎にしても俺が『ファーロス』だと知っているかどうかに関わらず、エルリッドを丸め込むために『ファーロス』に接触する可能性だってある」

415 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/26(月) 16:23:28.62 ID:k0mIY3ou
(260)
「ただいまもどりました〜」
応接間のドアが開かれ、フルキフェルが入ってきた。着替えてくると言っていたのに服装は特に変わってない。
いや、そう言えばヒロと分かれるときにルテに飛ぶとか言ってたから、着替えて来ると言うのはジョブチェンジしてくると言う意味だったんだろう。
「丁度良いや、ちょっと話を聞いてくれ。それとラディールとマルトも呼んでもらえるか」
とりあえず、話してみて意見を求めるのが賢明だろう。あまり杜撰でもいけない。

一先ず考え付いた作戦を話し、嘘の情報を流す事については全員の賛成を得ることができた。
「…では、どうやって情報を流しましょう?」
「それなんだよなぁ… 俺がお尋ね者じゃなけりゃ宰相に頼んで、本当に臨時大使館員にでもしてもらえばいいんだけど」
「あぁ、それなら問題ありません。ルーファス殿の容疑は既に晴れております。宰相も一度顔を見せよと仰せでした」
「それ、早く言えよ…」
アレだ、俺たちはチームワークは悪くないが情報共有がまるでできてない。

「だったら話は早い。宰相に協力してもらおう。フルキフェル、帰ってきたところ悪いけど城まで付き合ってくれ。それと爺さんもかな…」
「私は?」
「ラディールは、マルトと少しゆっくりしてな。これから忙しくなるし…」
どうせ、偽情報なんてのは小細工に過ぎない。行って無事に済むわけはないのだから、少しでも休んでおいた方が良い。
よく考えてみれば、俺も足元が覚束ないほど疲労している。もっとも、今はそんな事を言っている訳にも行かないが。

416 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/26(月) 16:23:50.72 ID:k0mIY3ou
(261)
登城するのに一応正装に着替える事にした。
冒険者としてではなく一騎士としての登城だから、さすがにいつものような格好では行けない。
「では、お館様がお使いでございました礼服をご用意いたしましょう」
そう言うと爺さんはいそいそと応接間のドアから出て行った。俺とラディールも同じ様に自室に向かって階段を上がる。

「ルーファス、これどうしたの?」
脱いだ上着を見ながらラディールが声をかけてきた。
「鋼板がキレイに切られてるわね…」
「あ、本当だ…」
何だろう、これは…
「…散歩に行ってたのよね?」
「あぁ、そうなんだけどなぁ。いつの間に切れたんだろう…」
多分、オルデールの中で戦ったときのものだろう。俺も詳細は忘れてしまっているから分からないが。
ラディールの疑うような視線を避けながら、爺さんが出してきた赤い色のアクトンに袖を通す。

「お、ピッタリだな」
鏡の前で一回転して、おかしくないかどうかを確認する。
「お嬢様も新しいお召し物を着られたときに、そのように一回転する癖がございましたなぁ…」
「いや癖というか、確認するだろうよ、普通…」

417 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2006/06/26(月) 16:24:13.87 ID:k0mIY3ou
(262)
玄関から外に出たときにはもうすっかり夜も更けていた。
「宰相様なら、恐らくまだお城においででしょう」
フルキフェルはそう言うと、先行してスタスタと歩きだした。どうも口調が違う気もするが、この際気にしない事にしよう。

俺もそれに従って、居住区の北サンドリア出口に向かって早足に歩を進める。
流石にちょっと疲れが出ているせいか、歩いているだけなのに息が切れてきた。
「坊ちゃま、お疲れのご様子でございますが…」
「気にしなくて良い。寝る時間も惜しいからな」
とは言え、正直ちょっときつい。
北サンドリアに出て、そのまま真っ直ぐに城へ急ぐ。
フルキフェルは随分と前を歩いているようだ。それとも俺が歩くのが遅いだけか…

やがて城に入ると、いつもの位置にいつもの人影があった。こんな夜更けまでご苦労なこった。
「10年ぶりと言うべきか、2日ぶりと言うべきか… ともかく息災で何よりだ」
「えぇ、言い付けに背きました件につきましてはお詫び申し上げます」
宰相に何か変わったところはない。良く考えてみれば、俺がサンドリアに戻ってきたのは宰相やクリルラの身を案じてのことだったが、この様子だと特に何もなかったようだ。

「気にする事はない。で、わざわざここに来たからには何か用があるのだろう?」
本当にこのオッサンは話が早くて助かる。俺はニヤリとしながら話し始めた。
2006年07月08日(土) 12:05:33 Modified by bumotogobu103




スマートフォン版で見る

×

この広告は60日間更新がないwikiに表示されております。