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Loufas ◆TTnPTs4wAM 13スレ目本編

(312)
「本当は、気が付いてたのではないですか?」
少しの静寂の後、壁に寄りかかって休んでいたフルキフェルが声を上げた。
「一目で僕の事を見抜いたあなたが、どうしてそんな嘘を?」
「…この老いぼれを買いかぶっておいでのご様子ですな」
相変らず飄々とした爺さんだが、目が笑ってない。いや、それもいつもの事と言えばそれまでだが…

「あなたや赤い鎧達は、面白半分でこの世界に干渉して、一体何をしようと言うのですか!?」
こいつは要らない事を言って敵を増やすタイプだな、とふと思う。
それがさっき俺がやった事と同じだと気が付いて、思わず苦笑いが漏れた。
「フルキフェル様、主人に仕えることが面白半分であるかどうか知らぬ貴方はありますまい?」
それじゃ水掛け論だろう、と思った。爺さんがこの手の議論に乗ること自体がそうあることじゃない。

「坊ちゃま、少し先を行っていただけませんでしょうか?フルキフェル様は私がお連れ致します」
あっそう、とだけ言って、出来るだけ気にしない様子を装ってラディールの手を引いて先に歩き出す。
「ゆっくりで良いぜ。どうせ向こうの思い通り、順調に足止めされてるんだ。ジタバタしても仕方ない」
「あぁ、それは少々誤解がございますな」
俺が振り返ると、爺さんは少し難しい顔で言葉を選んでから、先を続けた。
「此度の件、どうやら傍観者が多いようでございます」



(313)
「傍観者が望む事ってのは、どういうもんかねぇ?」
随分と先に歩いてから、退屈そうに隣を歩くラディールに声をかけた。
「事態が面白くなればいいって思うでしょうね、普通」
なるほど、そんな面白半分の奴が混ざってるんじゃ考えても仕方ない。
「要するに、コロロカに入ったときのガルカは赤い鎧の一味で、お爺さんがあえて無視したって事よね」
「そういう可能性があるって話だな。本当のところは爺さんにしかわからんさ」

まぁ、良く考えてみれば妙な話だとは思ってた。アルテパのやり方と比べて、本当に子供だましだ。
「ただ私たちが遅れていくだけで、面白い状況が出来上がるとあのガルカは考えた、と」
「虚仮にされたもんだな。それとも、役者が揃わない舞台には興味が無いってか…」
我侭な子供を相手にしてる気分ね、とラディールはため息混じりに言った。
そりゃ仕方ない。連中の好きそうなおもちゃが、俺の手元にあるんだから。

「そういえばあのガルカ、落盤がどうとか言ってたじゃない?私たちがコロロカに来るのがもう少し遅かったら…」
今まで通ってきた遠回りの道の、さらに遠回りをさせられたかも知れない、と言う事か…
「まぁ不幸中の幸いってのは、全体で見りゃ結局不幸なんだけどな」
「なに言ってるの?」
「…いや、なんでもない」



(314)
通路の奥から響いてくる足音に気が付いたのは、それからすぐだった。走っているわけでもなく、むしろゆっくりと近づいて来ている。
チラッとラディールの方を見てみると、大仰に両手を挙げてウンザリするような仕草をした。
「別に悪い事してる訳じゃないでしょう?すれ違うだけかもしれないわ」
「ま、そりゃそうか。むしろ今まで誰ともすれ違わなかったのがおかしかったんだよな」

やがて見えてきた人影は、長身で耳が長く伸びている。どうやらエルヴァーンのようだ。
あからさまにこちらの様子を窺っているが、特に物騒な様子も無い。
気にせず通り過ぎようとしたところで、そのエルヴァーンの方から声をかけてきた。
「あの〜… 失礼ですが、もしかしてシュヴィヤール卿ですか?」
「あぁ、そうだけど…」
そう答えると、そのエルヴァーンは少し大仰に喜んだような顔をして、自己紹介を始めた。
「よかった!私はサンドリア領事館で働いているシャンテーヌという者です!到着が遅いもので、様子を見に来たところなんですよ!」
そう挨拶したかと思うと、次の瞬間にはラディールの手を取って膝を突いている。
「美しいお嬢さん、道中ご無事でなによりdrftgyふじこlp;@」
爆発にも似た破裂音と共に、そのシャンテーヌとかいうエルヴァーンの頬に強烈な張り手が決まっていた。

「…何?この馴れ馴れしい生き物は?」
「今、領事館員だって言ってたじゃねぇか…」




(315)
「ふ、ふふふ… 流石ですね、美しいお嬢さん…」
なんだかゾンビみたいに不自然に立ち上がりながら、相変らず訳のわからない事を口走っている。
しばらくユラユラ揺れたかと思うと、背中を壁に預けて
「こんな強烈なビンタを喰らったのは… ゲフッ… 領事の、就任の時以来ですよ…」
聞いてもいない事を血を吐きながら説明してる。別に知りたくもないんだが…

「しかぁし!こんな僻地で口うるさいオバサンと小娘に小突き回されて数年!このくらいd…」
ガキン、と洞窟の壁につるはしを突き立てたような高い音が響き渡る。
実際に壁に突き立てられていたのは両手斧で、それはさっきから無意味にアクティブな男の顔のすぐ横にあった。
ラディールは相変らず笑顔だ。これ程迫力のある笑顔を見る事は、おそらくこの先何年生きていてもそう無いだろう。

しばらく呆気に取られてその様子を見ていると、ラディールが満面の笑顔で振り向いた。
「ねぇ、コイツ赤い鎧の仲間だと思うの。とりあえず痛めつけて情報吐かせない?」
「いやいやいやいやいや、ちょっと落ち着け!」
ようやくラディールが短気を起こしたらしいという事を理解した俺は、とりあえず壁から両手斧を引き抜こうとする手を止める。
シャンテーヌと名乗ったエルヴァーンは泡を吹いて白目を剥いている。
「…こんな奴が相手なら楽なんだけど、なっと」
そう言いながら、後ろからそのエルヴァーンの両肩に手をかけて活を入れた。




(316)
「手を握られたぐらいで、こりゃあやりすぎたなぁ」
意識を取り戻したシャンテーヌの怯える様子を見ながら、ちらりと嫌味を言ってみる。
顔半分がオークの顔になったかのように派手に腫れ上がっていたが、ケアルを施すことで腫れは随分収まった。
ケアルを唱えたのは勿論ラディールだが、その際にも汚い物を見るような目でシャンテーヌを見ていた。
「腹も立つわよ!こっちは疲れ果ててるって言うのに、いきなりアレってありえないでしょう!?」
あぁ、随分とストレスが溜まってるようだ。俺も気を付けよう…

「…で、シャンテーヌだっけ?」
「はい…  あぁ!と、とにかく早く領事館に行ってください!昨日から領事が不機嫌で大変なんですよ!」
「そうか、俺はコイツが不機嫌でなんだか怖いよ」
ジロリ、とラディールの視線が刺さる。背筋が凍るような気分だ。
「そうじゃなくって!あぁ、もう… とにかく急いでください!!」
そう言うと、シャンテーヌが俺の手を引いて走り出そうとする。
「待って、まだ後ろに連れがいるの。置いてはいけないわ」
ラディールの声に驚いたのか、いきなり手を離して大人しくなった。 
「そ、そんなぁ…」




(317)
「よし、んじゃ俺たちは先に行くから、あんたは後ろにいる連れを領事館まで連れてきてくれ。それならいいか?」
「はい!是非一刻も早く領事館に行って下さい!で、連れの方はどのような方ですか?」
シャンテーヌは心底ホッとしたように安堵の顔をしている。そんなに怖い領事なのか…
「1人は老人、1人は若い男。両方ともエルヴァーンだ。若い男はあんたの髪型に似てるな」
それだけ聞くと、快活な返事を残してシャンテーヌは走って行ってしまった。

「領事って、そんなに怖い人なのかしら?」
「さぁ?会った事ないし、俺は知らないなぁ」
と、そこまで言って、サンドリアを出るときに宰相が言っていた言葉を思い出した。
俺の事を『家出少年』と言ってたとかなんとか…
今の俺は、少なくとも少年と呼ばれるような歳ではない。とすると、昔の俺の事を知っている人間だという事になる。
とは言え、そう考えても該当しそうな人間はたくさんいる。
「とりあえず名目上の上司だから、遅参の言い訳くらいは考えなきゃなぁ…」
「そうよねぇ、そのまま話しても信用してもらえないでしょうしねぇ…」

無難な言い訳を話し合ううちに、いつの間にか周りの壁の色が変わった。洞門は抜けたようだ。
やがて水路に架かった橋の向こうに大きな鉄格子の扉が見えてくる。
ここからか本番だという緊張感からか、バストゥークに着いたと言う事実には特に感慨は無かった。




(318)
ツェールン鉱山を抜けてバストゥーク鉱山区に出た頃には、日は既に傾きかけていた。
鉱山区、と言う割には立派な競売の建物があり、その近辺にはバザーを行う冒険者の姿もある。
威勢の良い怒鳴り声と、石畳を踏む雑踏が鳴り止むこと無く聞こえてくる。
「とりあえず、領事館に行かなきゃいけないのかしら?」
あたりの様子を見ながら、ラディールが声をかけてくる。
「ヒロやマルトの足取りも、領事館に行きゃ何か掴めるだろ」
足を止めることなく、そう告げて商業区へのゲートをくぐり橋の方へ向う。

商業区は鉱山区の喧騒に輪をかけたように賑やかだった。
特に広場の噴水付近は多くの冒険者が行きかい、叫ぶような声でテレポを求める声も聞こえてくる。
「落ち着かないところね」
「ジュノに次いで技術の高い都市だからな。施設も揃ってるし、必然的に人も集まる」
人が集まれば、その闇で暗躍する連中も集まる。天晶堂がわざわざ支店と銘打って拠点を置くのも頷ける。

広場を抜けて大工房の近くまで来ると、人の喧騒よりも歯車の駆動音が鳴り響くようになった。
蒸気を利用した大掛かりな施設は他国に類を見ない。バストゥーク隆盛の証と言えるかも知れない。



(319)
大工房の中に入ると、歯車の音が内部で反響して一段と耳に付くようになった。
「…うるっさいわねぇ、どうにかならないのかしら?」
苛立った声を上げるラディールに少しだけ視線を送って、俺は歩を緩めず先に進む。

と、不意に足に何かが当たる感触と「キャン!」という子犬のような鳴き声が聞こえてきた。
足元を確認すると、銀色の何かが足にくっついている。良く見るとタルタル族のようだ。
膝を着いてかがみこみ、取りあえず両手で犬を抱え上げるように持ち上げてみる。
「すまない、ボーっとしてた。大丈夫か?」
正面から見てみると、どうも女の子のようだ。目をぱちくりさせた後、俺の顔を見て何処か怯えたような顔をした。
俺が不思議そうにその顔を覗き込んでいると、やがて我を取り戻したタルタルが口を開いた。
「あの…ごめんなさい、大丈夫です。下ろしていただけませんか…?」
俺がそっと彼女を地面に置くと、ペコンと一つお辞儀をして走り去ってしまった。

走り去った方向に少し視線を送っていると、後ろからせせら笑うような笑い声が聞こえた。
少し口角を引き上げながら振り返り、ラディールに首を振って見せてみる。
「…なぁ、俺の顔ってそんなに怖いかな?」
「怖いわね、表情が無いから鋭い部分だけ余計に目立つ感じ。さっきからずっとそんな顔よ?」
張り詰めた何かを振り払うようにゆっくりと首を振りながら、苦笑いと共に深いため息が漏れた。




(320)
リフトを上がってそのまま正面に進むと、やがて大統領府を臨む大工房の屋上に出た。
工房と名を冠する建物に政庁を置くと言う当たり、技術力への矜持が窺える。
そのまま右手前にあるサンドリア領事館へと足を向けた。

「で、言い訳は大丈夫?」
「いや、なんかどうでも良くなってきた」
他に考えることが多すぎる。
ふーん、と興味なさそうに言うラディールも、多分そう思ってるんだろう。彼女はそれ以上何も言わなかった。
短いやり取りの後、領事館のドアに手をかけて勢い良く開いた。

「こんにちは、何か御用ですか?」
エルヴァーンの若い女性が、こちらを見ながら声をかけてくる。
「ファーロス・S・シュヴィヤールだ。こっちでしばらく世話になる事になってると思うんだけど」
「お、お待ちしてました!ささ、奥へ…」
そう言ったかと思うとすかさず俺の背後に回って、背中を押しながら奥へ行くように促す。
正面に見えた壁を回って奥へ行くと、そこには機嫌の悪そうな女性が机に積まれた書類の山と格闘していた。
こちらに気がつくと、どこか意地悪そうに口元をゆがめて席を立ち上がった。



(321)
「やぁ、家出少年。どの面下げて帰ってきたか知らないが、おねしょ癖は治ったのかい?」
そう言い放つ領事の顔を見て、誰だったか、と考える。
ラディールがこっちを見て、「知り合い?」と小さな声で聞いてくる。うーん、と首をひねってそれに答えた。
しばらく無言で領事の顔を凝視していると、領事が手で荒っぽく自分の前髪を下ろした。
「あ…」

「サーヴァエ・E・パレーデだ。忘れた訳じゃ無いだろう?」
「…えぇ、覚えてますよ。領事を務めているという事は相変らず独り身のようで… 安心しました。世の中に不幸な男は1人でも少ない方が良い」
目尻のつりあがった鋭い目から、これまた鋭い視線が投げられる。
「あの、知り合いなら紹介ぐらいしてくれても…」
空気を察したのか、ラディールが少し小声で呟く。

「…随分前に貴族の間で浮名を流しまくって、サンドリア社交界にその人ありと言われた大物だよ。人呼んでサディスティック・サヴィーってな」
「君のオムツを替えたこともある人間の悪口を言うのはいただけないな」
じわっと嫌な汗が流れるのがわかる。母親と仲が良かったのか、頻繁にうちに遊びに来ていた事は良く覚えているが…
「おねしょしたシーツを指差して、『地図を描いてたんだよ!』と力説していた可愛い少年は何処へ言ったのやら…」
さめざめと泣く振りをする領事。こういう芝居で男を落としまくってたんだから、男と言うのは本当に救い難い生き物だと思う。
2006年10月30日(月) 12:43:16 Modified by ID:W9u7kB7jCg




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