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Loufas ◆TTnPTs4wAM 17.5スレ目本編

183 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2007/02/11(日) 14:47:45.95 ID:nHfb3G0F
(372)
「オッサン、今からあのミスラを大人数で捕まえることになるが手を出さないで見ててくれ。仮に助けを求められても、だ」
さっき話してた声よりも低く、俺はそう言った。
オッサンは興味があるのかないのか分からないような生返事を返してきた。
返事を聞いてすぐグラスに残っていた酒を全て飲み干してから、領事に背中を向けたままの格好で右手を高々と上げた。

一瞬の間があって、椅子が激しくガタガタと動く音と甲高い叫び声が耳に入ってくる。
その間も、俺は振向かないままに事態が収まるのを待っていた。

「お前は手を出さないのか?」
「出しちゃ不味いんだよ」
そう言って、俺はカウンターにひじを付いたまま後ろの騒動に耳を傾けていた。

しばらく喧騒が続く中、やがてオグビィがふと口を開いた。
「ルーファス、どうでも良いことかも知れんが」
「ん?」
「あのミスラ、逃げ遂せるぞ」
その言葉に慌てて体を翻すと、既にミスラは体にまとわり付く人間を振り払いながらドア付近まで進んでいた。
正確には、ミスラの動きを捉えきれずに多くの人間が翻弄されていたと言ったほうが正しいかもしれない。
手がかりを逃がす訳には行かないと俺が動いたのと、蒸気の羊亭のドアがミスラによって開かれたのがほぼ同時だった。

184 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2007/02/11(日) 14:48:11.22 ID:nHfb3G0F
(373)
「跳ね橋の方だ!」
ミスラが駆け出す方向を確認して、声を上げる。
するとミスラの動きに翻弄されていた密偵たちが我先にと蒸気の羊亭から左に折れて駆け出す、と思うとその足はそこで止まったようだった。
外から、わずかだが剣が鞘から抜かれるような音がした。

「なんですか!あなたたちは!?」
そう叫ぶ凛とした声には聞き覚えがある。
声に釣られ足を止めた密偵たちを掻き分けて外に出ると、そこにいたのは紛れもなくエルリッドだった。
まだ俺には気がついていないらしく、剣を抜いてあたりを牽制しながらじりじりと後ずさりして逃げるタイミングを計っている様だ。
サンドリアで連れ去られたときに着ていた例の新素材で作られた皮鎧に剣を佩いただけで、盾は持っていない。
ミスラの方は、そのエルリッドよりも少し後ろで心配そうに様子を見ている。

「エルリッド・S・シュヴィヤールだな」
俺が、できるだけ感情を排した声を上げる。
同時に、密偵たちが俺の前を空けてエルリッドと正面から向かい合う形になっていた。
「悪足掻きはするなよ、お前をサンドリアに連れて帰る」
俺も面食らっているが、エルリッドも同様かそれ以上に動揺しているようだ。
「ルーファスさん…なんであなたがここにいるんですか!?」
「今はファーロス・S・シュヴィヤールだ」

185 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2007/02/11(日) 14:48:46.88 ID:nHfb3G0F
(374)
こちらに突き出されていた剣の切っ先がわずかに下がったように見えた。
「俺は、ルーファスでもあるしファーロスでもある。もっとも、今はそのどちらでもないのかもしれないが…」
だから、エルリッドの植えつけられた情報がそもそも間違いなのだ、と俺は説きたい所だった。

だが次の瞬間、わずかに下がった切っ先が鋭くこちらに向けられる。
その瞳には何か強い感情が宿っているように見えた。
「兄を殺して名前を奪った、という事ですか!!」
ああ、そう取ったか…

「あなたは、どこまで私を貶めれば気が済むのですか!」
その言葉と同時に剣がそのまま俺に向かって突き出された。

身を屈めてその軌道から自分の体を外し、がら空きになっている胴にタックルを見舞う。
左手でそれを防ぐようなしぐさを見せたが、盾もなく腕のみでは受けきれなかったらしく、そのまま後ろに大きく跳ぶ。
と同時に突き出した剣を振り下ろそうとしたようだが、こちらの勢いが勝り叶わなかったようだ。

着地して態勢を立て直し、背筋を伸ばして俺の方をまっすぐに見つめながら、彼女は再び口を開く。
「私は…あなたを許しません!」

186 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2007/02/11(日) 14:49:10.93 ID:nHfb3G0F
(375)
再び、エルリッドの剣が大きく振りかぶられる。
既に周りには野次馬が集まっていて、先ほどの密偵たちもいつの間にかそこに紛れて息を潜めているようだ。

「だから、誤解だって言ってるだろう!お前の兄貴は死んじゃいない!」
殺気を放ち始めたエルリッドに向かって、俺は声をかける。
「なら何故あなたがシュヴィヤールを名乗るのですか!?」
「本人だからに決まってんだろうが!」
「まだそんな事を!!」
言い終わるのが早いか、猛然と俺に向かって突進してきた。

ふと、横合いから激しく風を切る音が聞こえ、そして何かが金属的な音を立てて床に突き刺さった。
丁度エルリッドと俺との間合いの中間地点に、石畳の床から生えたかと思うほど、ルーンチョッパーが深々と刺さっている。
「お嬢様!お止めください!」
ルーンチョッパーの乱入で突進を止めたエルリッドが、その声を聞いて狼狽したように腕を落とした。
「マティエール…あなたまで…?」

「お嬢様、私めが坊ちゃまを見紛うとお思いでございますか?」
「あなたは本当の事を知らないから…!」
そう言って、エルリッドは再び構えを取った。

187 Loufas ◆TTnPTs4wAM [sage] 2007/02/11(日) 14:49:45.70 ID:nHfb3G0F
(376)
「何れにせよ、観念なさい。話ならあなたが納得するまで何度でも聞かせてあげるわ」
ラディールが、俺の前に踏み出してルーンチョッパーを引き抜きながら言う。
「っく…」
臍を噛んだような表情を作ったエルリッドは、わずかに後ろで見ているミスラを確認したようだ。

次の瞬間、こちらに何かを投げつけてから身を翻して走り出した。同時にラディールも駆け出そうとする。
だがそれを追うことより、俺はその投げつけられた物の形に意識を奪われていた。
こぶし大の黒い塊。そして、それと同様にゆっくりと宙を舞っている金属のレバーのようなもの。


「伏せろぉぉぉ!」
そう叫んでから、俺はエルリッドの後姿を確認する。
既に飛空挺乗り場のあたりだろうか。随分と足の速いものだ。横にはあのミスラの姿も見える。
元気にしているのなら、それだけでもいいような気がしている。だが、誤解だけは解いておきたい気もする。


やがて視界で捕らえていた後姿と俺の思考は、閃光と轟音にかき消されていった。
2007年05月29日(火) 22:29:09 Modified by jikyaramatome




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