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Loufas ◆TTnPTs4wAM 16スレ目本編

(350)
詳細の作戦に関しては後日と言うことで適当にあしらった。
時間がないと思って強行軍でバストゥークにやってきたものの、思ったよりも時間がある。
今はその状況をどれだけ有効に使えるかという事に思案を向けるべきだ。

「天晶堂を敵に回さずに運ぶ事は出来ないもんかな」
ふと、ヒロが妙な事を言い出した。
「どうしたんだ、ヒロ。お前こそらしくないぞ。アオツキに当てられたのか?」
おどけて言って見るものの、本当にそうだとすれば厄介な話だ。

ヒロが言うには、例の黒髪の男は天晶堂に客分として迎えられているらしい。
奇襲をかければ天晶堂を敵に回す事になる。それを避ける方法は無いだろうか、と言いたいようだ。
確かに、神殿騎士の身柄を押さえている不届き者だけに的をかければ天晶堂を相手にする必要は無い。
さらに言えば、天晶堂としては客分として迎えた男を快く思ってはいないそうだ。
「それは面白い案だな…」
そう言って、しげしげとヒロを見た。意外と頭が回るようだ。
しかし、それは同時にこっちの状況を相手に直接知らせる結果になる。相応の準備をさせるのに十分な情報を与えると言うことだ。
「試してみる価値はあるかもしれない。しかし、うまく行かなかった時はこちらが先制の一撃をもらう事になるぞ」
出来れば赤鎧以外の連中は相手にしたくない。ただでさえ状況が不安定な中で、これ以上不安要素は抱えたくないというのも本音だ。



(351)
気になったのは、黒髪の男が客分として迎えられ、尚且つ鼻つまみ者として扱われている点だ。
赤鎧のバックボーンは天晶堂だと言ったのは爺さんだが、それも俺は完全に信じていた訳ではなかった。
その疑問が、今回の情報で再び首をもたげ始めた。
客分という以上社員ではない。それはあの黒髪の男は天晶堂に所属していないと言う事になる。
つまり、天晶堂はバックボーンと言うより協力関係にあるというだけではないのだろうか。

爺さんが話した事は多分に事実を含んでいたが、それは真実には程遠いのかもしれない。
やはり万全を期すなら、爺さんに本当の事を話してもらうのが手っ取り早い。

しばらく考え込んでいると、ヒロが焦れたような視線を送っているのに気がついた。
「考えとくよ、少し結論は待ってくれ」
俺がそう言うと、ヒロは「分かった」とだけ言ってすぐさま立ち上がりドアに手をかけた。
「今日はここに泊まっていけ、まだ空室ならあるはずだ。代金は領事館あてにつけてくれていい」
時計を取り出して時間を眺めるヒロは、それに従う気があるのか無いのか、少し考えているようだ。
「ちょっと野暮用があるんだ。朝また来るよ」
「あれだけの事があったのに、まだ一人で出歩くつもりなのか」
あれだけ、と言うのはあくまで憶測に過ぎない。だがどうせ死に掛けたのだろう。



(352)
「俺より自分の心配をしたらどうだ」
相変らずの憎まれ口だ。多少は元気が戻っているらしい。
「奴らの天網は恢々、疎にして漏れまくりだ。別におれ達の居場所を捕捉する便利魔法なんてものを使ってる訳じゃない。
聞く限り、あんたらこそ連中に居場所を嗅ぎつけられてばっかりじゃないか。どういうルートで情報が漏れてるのか、本気で考えた方がいいぞ」
そう言うと、手にかけていたドアを勢い良く開き部屋を出て行った。

「いっそ魔法なら諦めも付くんだがな…」
そう呟いて、俺は背もたれに寄りかかった。
鞄から紙煙草を取り出してみるが、例によって火はない。
良く考えてみると、煙草を口にしたときは何故かフルキフェルが火をつけてくれていたから火打石を常備していなかった。
宰相にもらった煙草盆の中にあったライターもサンドリアのモグハウスに置きっ放しだ。
仕方なく、天井から下がっているランプのガラスを少し上にずらし、火に煙草の先をかざした。

わかった事はそれほど多くないが、考えるべき事は山積というところだ。
状況は相変らず悪い。確証のある情報が少ないのだからそれも仕方ない。
分かってる範囲で最も憂慮すべきことと言えばこちらの内情ときている。
フルキフェルはヘロヘロ、ヒロは無鉄砲、爺さんは隠し事が相変らず多そうだし、さらに1人訳の分からない人間が増えた。
頭を掻きながら、ランプの明かりに照らされて紫に見える煙草の煙を眺めてため息をついた。


(353)
しばらく宙を眺めて、やがて視界に紫煙がなくなった事に気がつく。
煙草1本分の時間で思案がまとまる訳もなく、先ほどと同様の方法で煙草に火をつけて、また椅子に座り込んだ。
いや、ここで考え込んでいる限り1カートン吸っても思案がまとまる訳はない。
ならばどれから手を付けたものだろうか。

廊下から僅かに聞こえる話し声が止んだ事を確認して、ドアを開ける。
選択肢は3つ。
ヘロヘロのフルキフェルを問い詰めるか、正体不明のネカマの出自を明らかにさせるか、爺さんに腹を割ってもらうかだ。
少しドアを出たところで考えて、爺さんの部屋を目指した。

爺さんの部屋の前で一呼吸置くと、ドアが開かれた。爺さんが丁度開けたのだ。
「そろそろ見えられる頃と思っておりました」
そう思うなら自分から部屋に来たらどうだろうかと思う。この使用人の不遜振りは如何なものか。

促されるままに部屋に入ると、テーブルの上にはバストゥークの地図が広げられていた。
ご丁寧に旧港地区の辺りに印が付けられている。それを見てようやく確信できた。最初にここに来たのは正解だった。



(354)
「さっきヒロから聞いた情報に引っかかる部分があってな」
テーブルの前で立ち止まり振り返ると、ドアを閉めてこちらに向いている爺さんと正面から向かい合う形になっていた。
「天晶堂の件だ。エルリッドはバストゥーク支店で客分として迎えられている男と一緒にいるそうだ」
「なるほど、それは困った事になりましたな」
さも悩ましげに顎に手を当てて考える素振りを見せた。だが、これが演技なのはテーブルの上の地図を見れば分かる。
問題は、何故これをしまわずにここに置いたままにしておいたか、という事だ。

もしかすると釘を刺しているつもりなのかもしれない。この程度の事は造作もなく知ることが出来る力を持っている、と。
となると、ここで話をする気はないということだろうか。だが、それでは収まりが付かない。
「赤鎧連中のバックボーンは天晶堂だとすれば、それが客分に迎えられているのは不自然だな」
「そういう事も、時にはございます」
「なら聞くが、天晶堂が出来る前はどうだった?爺さんは100年以上前から連中とつるんでたんだろ?」

爺さんは考え込む演技を続けながら、視線をふと逸らした。
「何故そのような事を?」
深いため息と共に出てきたのはそんな言葉だった。
天晶堂がバックボーンと言うのは嘘ではないだろうが、全てではない。どうやらその勘は当たっていたらしい。



(355)
「そろそろ本当の事が聞きたくなったんでね」
テーブルの脇に置かれた椅子に腰掛けながら、そう切り出した。
爺さんは向かい側の椅子に腰掛けて、視線は机上の地図に向けられたままで目を合わせようとはしない。
珍しく、何かを躊躇しているかのような素振りだ。
「こんなものを俺に渡して、一体何をさせたいんだ?」
例の篭手が付けられたままの右手をテーブルに置き、できるだけ声を荒げないように気を使いながら、そう言った。

「…あの男、シュムサザと申します。彼がサンドリアにいた事は全くの偶然でございました」
そこからかと突っ込みたくなるのを抑えて、さも当然とでも言う顔をして続きを促す。
「そして、この10年間サンドリアに寄り付かなかった坊ちゃまがサンドリアに戻り、そして来訪者となった事も運命の悪戯としか言いようがございませんな」
「…何が言いたい?」
「シュムサザがお嬢様をさらったところまで、それは抗いようもない運命であったと言えましょうや」
この爺さん、自分で何を言っているのか分かっているのだろうか。

「此度の件で、坊ちゃまに奪取していただきたいものは2つございます。一つは当然エルリッドお嬢様でございますが、もう一つ…」
爺さんはテーブルに置かれた地図の、印が付けられた場所を指差した。
「ここに保管されている、シュムサザが集めた物を手元に置いていただきたいのでございます」
どうやら正気らしい。老人の妄言と言うわけではない事はわかるが、妄言であった方が気が楽だったかもしれない。
2007年01月28日(日) 01:43:29 Modified by ID:W9u7kB7jCg




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