「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『アリス! 
 子どもじみたおとぎ話をとって
 やさしい手でもって子供時代の夢のつどう地に横たえておくれ
 記憶のなぞめいた輪の中、彼方の地でつみ取られた巡礼たちのしおれた花輪のように』

【ルイス・キャロル著 「不思議の国のアリス」巻頭詩 より】



「格差ってさ……案外身近な所にあるもんなのね」
「何のこと?」
「寺島さんよ。
 何てゆーの、生きてる世界が違うってゆーの? 
 同じ日本に住んでて、ああも別次元の生き方してるとさ……否応無しにも上流階級の世界とアタシら庶民の世界とじゃ、
 こう、何かしら感覚が違うとゆーかさ。そーいうの、思い知らされちゃわない?」
「そうかなぁ」
「そうよ!」


よく晴れた休日の昼下がり。
【Δサーバー 水の都マク・アヌ】にて。
橋の袂で語らう男女。1人は山吹色にも似た紅い双剣士の少年PC。
もう1人は桃色の髪が特徴的な重剣士の少女PC。両者のPC名をそれぞれカイト、ブラックローズと言う。
2011年、春。
クビアとの最終決戦から約4ヵ月後――――――――


「本名で登録しちゃったり……方向オンチだったり……
 その辺はまぁ、アタシも理解がないワケじゃないんだけどさ。
 同じ女子高生なのに何であーも寺島さんとあたしは違うのかなーって……」
「……それさぁ。
 単にブラックローズが対抗心燃やしてるだけなんじゃないの、良子さんに」
「何ですと〜っ!?」
「(それミミルの口癖だし)」


ぶっちゃけ暇だ。
大魔王を倒した後の勇者が事実上の職無しになるのと同意義である。
半年近く《The World》で戦いを繰り広げた反動だろうか。
今や八相もクビアもなく、再誕によって完全体となったアウラの加護を受けた《The World》。
もはや勇者は不要の存在。
あれ以降、モルガナの残滓たるウイルスバグの出現も滅法減った。
ブロックローズに破壊してもらった黄昏の腕輪に代わり、アウラより新たに与えられた薄明の腕輪もここ最近使用した覚えがない。
だからこうして休日、仲間と連絡を取り合ってルートタウンで駄弁ることが出来る。
平和だ。
天気の良い休日、部屋に篭ってネトゲーと言うのも勿体無い気がしなくもないが
最近は専ら《The World》で過ごすのがデフォ、カイト自身も気づかぬ間にネトゲ廃人への道を歩み始めているやもしれない。


「寺島さんの通ってる学校……福岡の最馬女子大付属高校、だっけ?
 やっぱ学食とかまで豪華だったりするのかしら……
 どっかのレストランから引き抜かれた凄腕の料理人とかがランチ作ってたりしてさ……
 そんでもってグラウンドやプールや校舎もメチャクチャ広くて……
 挨拶は『ごきげんよう』、上級生を『お姉様』とか呼んでたり――――――――――――
「マリみてじゃないんだから(汗)」
「だって! 
 アタシみたいな庶民はお嬢様校に対して、そーいうイメージしか沸かないんだからしょーがないでしょ!? 
 悪い!? あぁ悪ぅございましたっ!!」
「怒らないでよ……参ったなぁもう」


男にとってどうでもいいことでも女にとっては重要な問題らしい。
特に仲間内でもブラックローズが良子に対して敵対心とまでは行かないまでも対抗心を燃やしているのは明らか。
それも【Ω 激怒する 合わせ鏡の 聖女】以来、ずっと。
あれから既に4ヶ月経ったし、そろそろブラックローズもあの時のことを忘れた頃だろうと思いきや……
何とも、女の執念深さには恐れ入る。
まぁ、あの時はカイトがブラックローズではなく良子の選んだ道を選択したのも今に至る要因の1つなワケだが。


「(女の子って面倒だなぁ)」


などと絶対に口には出さないが、ムキーッと怒りを顕にするブラックローズを見ながらそんな失礼なことを考えてしまう勇者であった。
だが、どうか誤解しないでほしい。
彼はまだ14歳。
女性の心理を理解するにはもう少しの年月と経験を要するだろう。
いくら特別な力を持っていて、いくら強いPCを操れても、だ。


「てゆーか。アンタ自身はどーなの」
「どうって?」
「そりゃ……アレよ。寺島さんのコト、ど、どー思ってるの、ってゆーか……」
「うーん。良い人だと思うけど」


礼儀正しく、柔和で、しかも美人。
少なくともカイトからしてみれば、悪くないように思えた。


「……だ〜か〜ら〜っ、そーいう意味じゃなくてっ! 
 ああもう、まどろっこしいわねぇ! アンタ、ワザとやってんじゃないでしょうねっ!?」
「いや。至って真面目」
「……(ホントかぁ〜?)」


どんなに強くてカッコよくても……彼はまだ少しばかり子供。
ブロックローズこと速水晶良もそれは判っている。
相手は自分より2つも年下の中学生。
自分は高校生……お姉ちゃん、だ。
こう見えて先輩から付き合わないかと告白されたことも数度ある。
なのに、現状は年下の少年に自分がお熱と言う……しかも本人は全く気づく素振りがない。
メールにて気持ちはそれとなーく伝えたと思ったのだが……分かってやっているのならば大した役者だ。
しかし直接本人に「あんた、あたしのコト好きよね?」と聞く度胸は残念ながら、ない。
つまりは良子をダシにさり気なく聞いてみよう……という何とも姑息と言うか遠回しな作戦を実行するに至った次第である。


「あ。でも確かにちょっとズレてるとこあるかも、良子さん」
「へ、へぇ〜。どんなトコが?」
「うん。一緒にラーメン食べに行った時のコトなんだけど……」
「!?」


今、彼は何と言ったのか。一緒にラーメン食べに行った……とか言わなかっただろうか。
いや、言った。


「ちょ、ちょっと待って……アンタ、ソレ……いつの話……?」
「えーっと……春休みに入る、ちょっと前……かな? 
 良子さんからメールが来てさ。
『修学旅行のお土産をお渡したいので福岡までご足労願えませんか?』って言われて。
 最初は『郵送で構わないよ』って言ったんだけど、良子さんも引き下がらなくて……結局OKしたんだ。 
 そしたら何日か経って、ホントに福岡行きの航空券(往復)が送られてきちゃって……あれは驚いたなぁ(笑)」
「(笑)じゃな〜いっ!!!」


矢継ぎ早に語るカイト。
やられた。
寺島良子……何と用意周到なのか。
財力にモノを言わせ(?)、カイトに航空券を送り自身のテリトリーに誘い出す……!
しかも自分に知られずに、だ。
道理でこの前、数日に渡ってカイトと連絡がとれなかったワケだ。
自分の感知できない所でそんな面白可笑しなイベントが起きていたなど、晶良にとっては寝耳に水である。


「……い、一応最後まで聞いてあげるから……続き」
「うん。まず福岡空港に着いたら、やけに人だかりが出来ててさ。
 誰か芸能人でも来てるのかな? って思ったらロビーに出た途端に全身黒づくめの人達が僕の前に整列して現れたんだよね。
 新手のスタンド使いの襲来かと思って一瞬僕も身構えたんだけど 
『カイトさんですね? 良子お嬢様の命によりお迎えに上がりました』って言われて……良子さんの身内の人だって分かったんだよ」
「……」
「ブラックローズ、聞いてる?」
「き、聞いてるわよ」


良子を警護するSPの存在は話には聞いていたが……
わざわざカイト1人を迎えるためにSPを何人も空港によこした、と言うのか?
いかつい黒ずくめの男達が空港のロビーに居れば注目を集めて
人だかりが出来るのも頷ける。
一体彼らは誰を出迎えるのだろう?と皆気になるはずだ……まさか、たった1人の中学生の出迎えとは夢にも思うまい。
これが……格差ッ!
庶民の晶良では決して真似の出来ぬ、上流階級の良子だからこそ可能な限定スキル。


「でっかい車に乗せられて1時間くらい……かな。
 良子さんのお屋敷に着いて……あ、そのお屋敷ってのがすごくて。
 三千院のお屋敷と良い勝負だったねアレは。やっぱり、お金のある人は違うよ」
「(三千院って何処の誰……?)」
「もう夜になっちゃってたんだけど、良子さんが玄関で出迎えてくれたんだ。
 和服を着て待っててくれて……何て言うか、本物のお嬢様を見たの初めてで上手く言葉が出なかったなぁ……綺麗だったし。
 ゲームの時とはまた違った可愛さって言うか、綺麗さって言うか」
「ふ、ふーん……。へぇ〜。で?」
「ゲームやってた時は気づかなかったんだけど
 いざ間近で話をするとコードギアスのナナリーに声がソックリなんだよね、良子さん(笑)」
「(それは中の人が同じだからでしょ……名塚ァ〜!)」 
「でも誤解しないで。僕に妹属性とかないから。
 ほら、ハルヒでキョンが長門に『眼鏡属性ないし……』って言ってたのとニュアンスは同じで――――――――――
「妄言は結構よっ!!!」


もうツッこむ気力すら失せようとしている。
有り得ない。
寺島さんに先を越された……このアタシが?
そんなコト……絶っっっっっ対にっ、無いっ!!!
少なくともカイトと苦楽を共にした年月はブラックローズが仲間内でも一番長いのだ。
だからパートナーとしての誇りと言うか、女の意地と言うか……とにかく、ぱっと出のお嬢様などには負けてはいないはず。
が、何故だろう。
カイトの話を聞いていると、どんどん自分が負けているような気持ちになってしまうのは。
庶民には庶民のプライドがある。
いくら格差があるとも、上流階級には無いものを庶民の自分は持っている(はずだ)。
そう思ってはいるものの、反面、無性に心配が込み上げて来ているという矛盾。
彼に悟られてはダメだ。
慎重に、続きを聞かねばならない―――――――。                                                             【 TO BE CONTINUED... 】

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