「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『アンタね、やる気あんの?』
『うーん。温泉とかあんまり好きじゃないし……どこが嬉しいワケ?』
『嬉しい嬉しくないの問題じゃないっしょ!』
『それじゃあ何?』
『心意気よっ! 誰よりも先に犯人を見つけて温泉に入る!
 そして後から来た奴らに「どうぞ」と譲ってやる……はぁ〜何て快感〜♪』
『まあ……犯人探しの方は興味ないこともないけど……』
『だったら早く推理して』
『僕?』
『他に誰がいんの?』
『うーん……』

【カイト&ブラックローズ  OVA「.hack//GIFT」より】


蒼炎の旋風が吹き抜けるダンジョン内で、2つの影が陽炎となって対峙する。
1つはウイルスバグ。
大型モンスターにバグが感染、数々の修羅場を掻い潜ってきた
ブロックローズを疲弊させる程のパワーとスピードを持つ《The World》の敵。
もう1つは赤い双剣士の少年。
部屋中に燃え盛る蒼い炎を操る《The World》の救世主。
カイトの不意打ちによって腕部を蒼炎によって焼き尽くされたウイルスバグはゆらゆらと体躯を
震わせながら、さながら獲物を狙う猛獣の如く一歩一歩、それでいてカイトがいつ攻撃してきても
万全の態勢で反撃を加えることが出来るように近づいてくる。
進化している。
少なくともカイトが腕輪の力に目覚めた頃のウイルスバグとは違って、
今現在《The World》に生き残っているウイルスバグ、即ちモルガナの残滓らはカイトからの駆逐に対抗して知恵をつけたのかもしれない。
このゲームには不思議な自立性がある。
かつて拝火教とも呼ばれたゾロアスター教が光の神と闇の神の戦いを通して
善と悪の永遠の戦いを教義に取り入れた如く、このゲームもまた終わることの無い悪意が世界に存在しているのだろうか。
この、光と闇の果てしない闘争(バトル)のように。


「カイト、気をつけて! 
 そいつ見かけによらずムチャクチャ素早―――――――――――――


ブラックローズが口を開くのと同時にカイトとウイルスバグ、両者が動く。
彼女の忠告通りウイルスバグは巨体に似合わぬ俊敏さを持ち合わせていた。
今現在《The World》で確認されているジョブの中でも最速を誇るのは双剣士。
その双剣士のカイトに喰らいつかんとドスンドスンと豪快に四肢(腕は1本吹き飛んでいるから三肢だろうか?)を叩きつけながらウイルスバグが迫る。
だが攻撃は一向にカイトに届かず紙一重の所で全てがかわされてゆく。
半年前は全くのネトゲ初心者だったカイト。
だがこれまでに経験した幾つもの死闘が彼を強くした。
《The World》という世界限定ならば、彼に真っ向から対抗できるPCはヘルバくらいのものだろう。
単純な攻撃や見切りと言った戦術面から見れば、あの蒼天のバルムンクを凌ぐものさえ感じる。
モルガナは1つだけミスを犯した。
それは、あの時。
オルカがデータドレインされた時。
真っ先にオルカではなく、カイトをスケィスにデータドレインさせておくべきだったのだ。
そうしておけば、歯車が狂うこともなかった。
故にモルガナはカイトを恐れ、モルガナの残滓たるウイルスバグも、本能的に彼を―――勇者カイトを恐れるのである。


『■■■■■―――――――――――――――――――!!!!!』
「ハズレ」
『■■■!?』
「ウスノロ」


避けながらも間合いを詰め、いつの間にか相手の背後に。
イリーガルな力が充填を始め、ウイルスバグにとっては死の宣告とも呼べるアレが展開を始める。
カイトの右腕に輝く薄緑の発光体。
女神から与えられた「救い、滅び、どちらにもなる力」。
正しい者が使えば正しい力になる……ならば、その正しい者に滅ぼされる者は……必然的に悪と成るのか。
彼を追い詰めようとしていたはずなのに追い詰められていたのは自分。
ウイルスバグがそう判断するかしないか、
それとほぼ同―――――――――――'''データドレイン、発動!





蒼炎舞――――――





データドレインによってウイルスバグが貫かれるのと時を同じくして
部屋中の蒼炎がカイトの元に収束してゆく。
彼の全身を覆い、双剣に宿り、燃える炎の剣となって蒼く煌く。
ブラックローズはただただ見ていることしか出来ない。
あれは……本当にカイトなのだろうか。
自分より2つも年下の、友達思いではあるけれど女性の気持ちに疎い鈍感の……あのカイトなのか?
今の彼は全然違う人間に見えた。
そう、それこそ皆が言うように……勇者が実在するなら、ああいう姿をしているのかもしれない。





三 爪 炎 痕 !!!





蒼炎舞―――三爪炎痕。
より高温たる蒼い炎にて斬撃を見舞い、三つ又の刃にて刻む、全く新しいスキル。
言わばカイトのみに許された勇者専用スキルだ。
腕輪の力だけでも常軌を逸しているがこれに蒼炎の力が加わるとなると……もはや彼以上の怪物は《The World》に存在しないのではないか。
データドレインによってウイルスが除去され、
三爪炎痕により炎の中に崩れてゆくウイルスバグを見ていると……そんな杞憂さえ覚える。
決着は、瞬く間についた。


「……ふぅ」
「ア、アンタ……今の蒼い炎……なに?」


ウイルスバグは倒れた。
それを見計らって完治の水で全快したブラックローズが、恐る恐るカイトに近づいて尋ねる。
もしや腕輪の使いすぎで暴走しているのでは?
クビアとの戦いでも腕輪を破壊しなければ何が起こっていたか分からない。
ならば何故、アウラはカイトに再び腕輪を託したのか?
個人的に彼に思い入れでもある、とでも言うのか。
……ないない。
あってたまるもんですか。
相手は究極AIとは言え、飽くまでゲーム世界の住人、そんなことあるはずがない。


「何か、僕もよく分かんないんだけど(汗)
 ……気がついたら使えるようになってた……みたいな?」
「……みたいな?
 じゃないっちゅーのっ! アンタ、腕輪の次は蒼い炎? 勘弁してよ、ますますワケ判んなくなってきちゃうじゃんっ!!」
「うーん。まあ、助かったからいいじゃない(苦笑)」


呆れた。
ここ半年の戦いで散々非常識なモノを見続けたせいか、カイトにある種の免疫が出来てしまっているようだった。
あの蒼い炎、明らかに仕様外の力だった。
現にブラックローズが呪札や巻物で炎属性の攻撃をウイルスバグに見舞った時は
全然ダメージを与えられていなかったのに……あの蒼い炎は、大打撃を与えていた。
それに、カイトは自在に炎を操ってもいた。
ブラックローズも、あんな現象を見るのは今日が初めてである。
一体いつの間に……?


「ブラックローズが未帰還者になっちゃイヤだからさ」
「それは……まぁ……アタシも責任感じてるってゆーか……」


単独でダンジョンに潜らなければウイルスバグと交戦することもなかった。
或いは出会った直後に逃走、ダンジョンからオカリナで脱出していればこんな事態には
発展しなかったはずなのだ。
カイトに良子との逢瀬を聞かされ、そのウサ晴らしとばかりに暴れたツケがコレである。
弁解の余地は無い。
彼が助けに来なければ……今度は自分未帰還者になる番だったのだ。


「その、悪かった……わよ」
「何が?」
「アンタの話の途中で、勝手に怒って行っちゃったコト……」
「気にしてないって」
「アタシが気にすんの!」


いつもの彼だった。
少なくとも数分前までウイルスバグ相手に見せていた親の仇を見るような眼はしていない。
いつもの穏やかな彼の眼。
……そういう眼で見られると全部、話してしまいそうになる。


「アンタさ……。
 アタシと初めて会った頃は初心者丸出しって感じで、すっごく頼りないって印象だったのに……
 最近のアンタ、頼れるようになったってゆーか、リーダーシップを発揮し出すようになったってゆーか……」
「そうかな?」 
「そうなの! で……寺島さんとの話聞いてさ……ア、アンタとの付き合い一番長いアタシとしては、
 寺島さんにアンタ取られたみたいで、その……悔しかったのよ! ……そ、それだけよっ!? 他に深い意味はないんだからね!」
「まぁ、ブラックローズがそう言うんならそうなんだろうけど……でも悔しいって……(汗)」
「ア、アタシにとってみればアンタは弟みたいなもんだし、それくらいイイでしょ! 
 ……何か文句ある!?」
「ないけどさぁ……」


やっぱり女の子って面倒だなァ、と心の中で呟きながら
とりあえず事態が収集したことを喜ぶカイト。
“彼女”がブラックローズの危機を教えてくれなければ危なかった。
カイトは平静を装ってはいるものの、本当に間一髪のところでウイルスバグの魔手からブラックローズを救えたのである。
大切な人、仲間を守るための力が欲しい。
もっともっと強くなりたい。
そう思う心が奇跡を呼んだのかどうかは定かではないが……あの瞬間、カイトは無意識のうちに
蒼炎、燃え盛る蒼い炎をスキルとして操っていた――――――――――


「BBSの書き込みとかでアンタの噂とか見たり聞いたりするとね……
 誇らしく思う反面……何か寂しくも感じちゃうのよ……どんどん、アンタがアタシの知らない人になってっちゃうみたいでさ。
 ドットハッカーズのリーダーの赤い双剣士は向かう所敵なしの達人PC、
 頭も切れる上に度胸があり、ここ一番の決断力がすばらしい、しかも困っている者を見捨てない人情の人……とか」
「(うわー。ソレ思いっきりヤスヒコの流した噂だ……)」
「やっぱ……アンタも皆から勇者って呼ばれる方が、いい?」


彼は特別な存在なのかもしれない。
この世界に最も愛された異形。
これより長い年月もこの《The World》の守護神、勇者として在り続ける存在。
それがカイトなのだと、ブラックローズはアウラや八相、碑文を巡る戦いによって感じた。
良子だけではない。
世界(アウラ)にまで彼を取られてしまうのではないか。
そんな危惧。
だが――――――――


「1つ、大事なコト忘れてるよ」
「……?」
「僕がドットハッカーズのリーダーだとか、勇者だとか、そんなの関係なしにさ。
 ……“カイト”はブラックローズが一緒に戦ってくれなかったら、きっと途中で諦めてた。
 君がいつも励ましたり、怒鳴ったり、泣いたり、笑ったりしてくれたから……僕は、頑張れたんだと思う」
「……えっ? えっ、えっ?」
「ブラックローズだって弟のカズのためにあんなに頑張ってたじゃない。
 僕達はきっと、どっちが欠けててもダメだったんだよ。
 僕が諦めても、ブラックローズが諦めても、良い結果にはならなかったはずだ。
 君がいつも絶対に諦めずにいてくれたから、こうして《The World》は元に戻れたんだ。
 だから僕は胸を張って言える。僕の隣でいつも一緒に戦ってくれたブラックローズ……彼女は、僕の最高の相棒だって! ……ね?」
―――ばかぁ」


最高の相棒だと、彼が言う。
いや、言ってくれた。
HMDを着けているのも忘れ、頬を伝う涙をひたすらに拭う。
だが拭っても拭ってもすぐまた瞳から零れ落ちてくる。
人間が泣くのは、悲しい時と嬉しい時。
今は?
決まっている。嬉しいから泣いてるのだと。そう思う。


「あーもうっ、アンタのせいでティッシュが空になりそう……!」
「あ、ごめん。泣くくらい嫌だった?」
「嬉し泣きよ!」
「そ、そうなんだ」
「きょ、今日はもういい! アタシ、先にログアウトするからっ! バイバイ!!!」
「あ―――


とうとう耐え切れなくなったのか、
ブラックローズは精霊のオカリナを吹いて先にダンジョンから脱出してしまう。
ブラックローズのリアル、速水晶良はHMDを外すと大急ぎで洗面所に駆け込み
すぐさま涙の痕を洗い落とし、ゆっくりと顔を上げて洗面台の鏡を見た。
……何て赤く火照った顔。
テニスの練習の後だってこんなに赤くなったりしないのに。
それに動悸も試合の時よりも早い。ドキドキと高鳴って鳴り止む気配がない。
明らかに晶良の知る自身の反応とは違うもの。
……これが世間一般で言う、恋煩い?


「(ないないない、絶対違うんだから……!)」


相手は年下、2歳も年下、アタシにとっては弟みたいなもんなのよ!
好きか嫌いかって聞かれればそりゃ好きだけど、
でも恋愛対象の好きってのとはちょっと違う気もするようなしないような、
でも他の子に取られるのは絶対に嫌って言うか、アイツが他の子の話をしてるのを聞いたり、他の子と一緒に居るのを見るのは嫌って言うか……あぁぁぁ。
と心の中で念じつつ、じーっと鏡と睨めっこを続け、今の状態が早く終わらないかと待つ晶良。
そんな姉の奇怪な行動を、たまたま今日は《The World》にインしていなかったカズこと文和は「ねーちゃん何やってんだ?」と奇異の眼差しで見ていた……。





********************






「行っちゃった」


一応はフォローのつもりだったのだが、何が悪かったのか
彼女は再び自分の前から去ってしまった。
ただし、今度は怒りの感情はなく。歓喜とほんの少しの戸惑いを胸に抱いて。
結果はまあ……別としてだが。


「でも間に合って良かった。
 ブラックローズがここに居るって、アウラがメールで教えてくれてなかったら―――――


またヤスヒコのようにブラックローズが未帰還者になっていたかもしれない。
そんなことがあってはならない。
大切な友達を、仲間を、もう失うのはゴメンだ。
……だからあの蒼い炎の力に目覚めたのだろうか?


「さて……僕も戻ろっか」


目的は完遂した。
こちらも精霊のオカリナを吹き、ダンジョンを出よう。
アイテム神像の宝にも興味はないし。
そう思い、オカリナを吹こうとする―――――――と。
不意に。
クィッと。
オカリナを持つカイトの袖を、誰かが後ろから引っ張った。


「?」


振り向いても、そこにあるのは蒼炎によって焼け焦げたダンジョンの壁しかない。
しかし一瞬。
本当に一瞬の刹那の出来事ではあったが。
確かにカイトは、その双眸で以って垣間見た。
薄紫色の長い髪とドレスの少女。
その少女が。
桃色の軟らかそうな頬を膨らませ、少し不機嫌そうな顔で、何か言いたげに自分の服を引っ張っていたのを。


「妬かないでよ―――――アウラ(汗)」


凡ての想いは、彼(か)の少女の胸の奥処に。                                                                      【今はまだ、旅の途中】

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