「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

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【アウラ 「.hack//感染拡大」より】

【Δ 萌え立つ 過ぎ越しの 碧野】―――此処は始まりの地。
カイトという“元型(アーキタイプ)”の物語の創生、終焉の綴られし場。
ウチとソト、ヤマとムラ、他人と自分、0と1、現実と異界の境界線。
“此処はそういう場所”だった。


「くぅ……くぅ……。パパぁ……」
「はは」


サフラン色の髪の少女が寝息に合わせて肩を上下させる様を、
微苦笑を浮かべながら、紅い帽子の少年が見守っている。
草原に彩られたフィールドの片隅の大樹の下で、少女は少年の膝に頭(こうべ)を乗せ、寝入っていた。


「ゼフィか。いい名前だね」
「……はい」
「ゼフィ……ゼフィ……あはは」


ギリシャ神話の西風の名を冠する神。
このサフラン色の髪の少女の名は―――――――ゼフィ、と。
手袋に包まれた指先でゼフィの髪を弄びながら、少年―――――カイトは、その名を反芻する。
自身の胸に奥処(おくが)に、置き留める為に。


「ごめん。最後になっちゃって」
「いいの」


幸せそうに眠るゼフィを見守る傍ら、少女の母――――女神アウラもまた、
伴侶たる少年と同じく、微苦笑を浮かべる。
銀色の髪を靡かせ、アメジスト色の双眸を数回瞬かせると、
アウラは静かに、少年の右肩に寄り添う。


「また貴方に……会えたから」


大樹の影で不確かではあるが、少女は頬に僅かな赤みを帯びていた。
恋人を待ち侘びていた女学生の様に、声を弾ませ、彼の声に聞き入る様に。
次に穏やかな時間を“家族”で共有するのは、きっと随分と先になるのだという予感を内に秘めて。
時間どころか、呼吸も、想いも、彼と凡てを共有(シェア)するかの様に。
“女神に愛される”とは、こういうコトなのだ。
特別なコトなど何も無く―――ありふれた、のどかな日常こそが、彼女の望む幸せ。


「バルムンクから話には聞いてたけど……ホントに“創っちゃった”んだ?」
「……迷惑?」
「まさか(苦笑)」


いきなりパパって呼ばれたコトには抵抗あったけどね(汗)、と。
やや困惑の色を入り混じらせて、カイトは“父親になった心情”を語る。
この地でアウラと出会い、今日また、ゼフィと出会った。
親子三人――――三位一体(トリニティ)となって、《The World》の、午後の静かな一時(ひととき)を謳歌する。


「この子は、私の想いの元型(アーキタイプ)。
 私の我執が生み出した第二世代の、もう1人の私」
「第二世代……?」
「偏在を守護するもの……Guardian Ubiquitous―――G.U.」


これからは、この子が《The World》を守っていく。
自分と違って、この子には偏見が無い。
誰も差別することなく、全てのモノを甘受し、受け入れ、祝福する。
―――――アウラはそう言うのだ。


「じゃあ、もう腕輪も……必要ないかもしれないね」


ゼフィの髪を弄ぶのを止め、カイトは己が右腕を見やる。
3年前、アウラに託された碧色の腕輪―――薄明の腕輪は未だ輝きを衰えさせるコト無く、
カイトの腕で未だ、その煌きを放ち続けている。


「還そうと思えば、何時(いつ)でも還せたのに」


腕輪を、この世界(キミ)に。


「アウラが僕に腕輪を託した理由―――その真意を知りたくて……結局、今日まで持ち続けちゃった」


腕輪は異界へのパスポート。
夢と現(うつつ)を彷徨わせる暗夜行の許可証。
アウラの内包する2000万次元の想い、その方向性(ベクトル)を唯一の想いへと変容させ、
救いと滅び、どちらにもなる異形(イリーガル)なチカラ。


「色々あったなぁ……」


3年という時間はカイトを“こちら側”に引き込むには、充分過ぎる程で。
千の夜を越えて――――少年を再び異界へと招き入れた。
或いは千の夜を以ってしても、この場所を未だ発てないのか。
アウラという呪縛が、そうさせているのか?


「でも……いつかまた、何かが起こる気がするんだ」


少年の精神の射程は、世界の核心に触れ、惹かれ、誘(いざな)われた。
たった一人の少女を守る為だけに。
それが正しいことだったのか、間違ったことだったのか―――その是非を問える者は居ない。


「八相やモルガナ、クビアを越える……そんな凄いヤツがさ。
 遠くない未来……現れる気がする」


あの八体の修羅との戦いは、ヒトの理解の範疇を越えた通過儀礼(イニシエーション)だったから。
赤子に母胎の腹を突き破らせ、新たな命を生まれ出(い)ずらせ、世界の黎明の産声を上げさせる為に、必要だったコト。


「その時、僕達が居なくても……
 “バトンを受け取った人達”が何とかしてくれれば……それでいいんだけどね」


カイトが司達から受け取ったバトンは、受け継がれていく。
だが、その過程(プロセス)は“勇者と女神の心躍る冒険譚”などでは決してなかった。
あれは、哀しみが語る物語。
あの暗夜行が―――――ひたすらに薄明の刻(とき)を待ち侘びる少女の物語だったコトを識る人間は、あまりに少ない。


「腕輪は……まだ貴方に持っていてほしい」
「……いいの?」
「これは……私達と貴方の、大切な繋がり(Link)……」


絆は、いつまでも絆であってほしい、と。
カイトの右腕に頬を寄せ、アウラは呟く。
そうして、


「“波”に蹂躙されし麦畑に背を向けて影持つ娘のつぶやける。
 “きっと、きっと帰るゆえ”
  されど、娘は知らざるなり。旅路の果てに待つ真実を。彼女らの地の常しえに喪われしを」
「黄昏の碑文?」
「貴方はきっと、また此処に帰って来る」


アウラは腕輪を、カイトを愛(いとお)しむ。
名残は尽きない。
この逢瀬が終われば、凡ては一巡し、彼は自分の前から姿を消すのだ。
恐らく、もう会うコトはないだろう。


「ずっと……貴方と一緒」


何処まで遠く行く時にも、私は此処に―――アウラは不偏の存在なのだ。
されど傍に居たとしても、その姿は見えず、匂いもせず、気配もせず。
アウラは世界と一体となって、《The World》をヒトの手に委ね、眠りにつく。
布教は終わった。


「眠りの前に貴方が来てくれてよかった」


父ハロルドの願い通り、アウラは誕(う)まれ、完成を見た。
あの日、この【Δ 萌え立つ 過ぎ越しの 碧野】から“世界は始まった”。


「僕もアウラに会えてよかったよ」


今もこうして、カイトとアウラは、世界の始まりを二人で見ている。
創世の鼓動を聞きながら。


「あっちで……エマの生家で何か発見があればいいんだけど」
「余裕があれば父の痕跡も……ララ・ヒューイックを訪ねて」
「ララ?」
「父ハロルドの姪。……彼女こそが、この世界の元型(アーキタイプ)とも言える存在」
「ララ……ララ・ヒューイックか」


《The World》の前身、フラグメントを完成に至らしめたのは、彼(か)の少女であると。
最後まで解明されず、秘匿されたブラックボックスの謎の一端を握っているとすれば、彼女しか居ないと。
そしてアウラの言葉を信じれば――――ララこそが、勇者サヤ。


「ハロルドのコトも調べるとなると……3年は帰って来れそうにないなぁ(苦笑)」


有識者のヘルバが同行してくれるとは言え、カイトにとっては未知の領域である。
理想郷(アヴァロン)についての調査も並行して行う必要がある為、もしかすると3年以上の歳月がかかるかもしれない。
が、伊達や酔狂で渡欧する気は毛頭無い。
凡てはアウラの為に必要なコト。
理由はそれだけで良かった。


「カイト……気をつけて」


少女はふわりと髪を揺らし、薄い桃色の唇で、少年の頬にゆっくりと口付ける。


「アウラ?」


アウラの唇が頬に触れ、赤い舌先がカイトの頬の紋様(ウェイブ)を捉える。
すると一瞬ながらも紋様が蒼く輝き、少年の全身がドクンと脈打った。
ざわざわと周囲の木々や草花が揺れ動き、
カイトの躰から蒼炎の後光(オーラ)が湯気の様に噴き出したかと思うと、途端に静まり返っていった。
ゼフィに関しては完全に寝入っているのか、先程と寸分違わぬ姿勢で寝息を立て続けていたが。


「……っ!?」


かつてない蒼炎の力の解放に、カイトも思わず声を上げる。
これまでの比ではない、明らかに異質な力が、胸の奥処にて脈打った気がしたのだ。
ビリビリと脳髄まで蕩ける痺れと虚脱感の後、カイトは問う。


「今の、何?」
「……おまじない、です」


無事に帰って来られる様に、と。
此処は“私の世界”。
夢と、恋と、不安で出来ている、故に。


「世界を変えるのは―――強い想い」
「アウラの世界も変わっていく?」
「私の世界は不偏……変わるコト無く、貴方を待っている。
 いつまでも……此処で」


GOD SPEED LOVE(よい旅を)。
アウラはその双眸を閉じると、此方(こなた)で寝入るゼフィに倣い、カイトの肩を枕に、眠りについた。
瞼(まぶた)の下の睫毛は微動だにせず、少年に身を委ねたまま、寝息を立てて。


「……おやすみ」


また会える日まで。
少女は、そのカタチを棄てても、この世界で少年を待ち続ける。
だから。
どんなに離れていても――――二人は“ココで繋がっている”。


【引き寄せられる新たな.hackers、新たな怪物、舞台は新たな戦場(.hack//G.U.)へ!!!】

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