「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『自分を心から愛せるようになると、他人をもっと深く愛せるようになる。
 自分の欲求を敏感に察知できるようになると、他人にも大らかに優しくなれる」                                                       【エダ・レシャン】



「カイトさんと2人きりで遊べると思いましたのに―――――――――――――――


重い口調で少女が呟く。


「どうしてブラックローズさんが、ここに居るのでしょう?」
「それ、こっちのセリフ」


身の丈程もある重斧を両腕でガシッと掴む白いドレスの少女と
これまた巨大な剣を背負っ褐色肌の少女が向かい合いながら、静かな火花を散らしている。
周囲に声が漏れぬようにボイスチャットでの会話であるが
言葉の端々に両名の言い知れぬ怒りが見え隠れし、凄惨を極めつつあった。
にこやかな笑顔を互いに浮かべてはいるものの、内心は怒りの炎が渦巻いていそうな、そんな光景。


「言っとくけど! あたしはアイツから、ちゃーんと誘われてんだからね!」
「私も同じです! カイトさんからイベントへのお誘いのメールを貰ったからこそ、ここに居るんです!」
「……」
「……」
「……アイツ本人に直接聞いた方が早いかもね」
「……ですね」


以前にもこんなことがあった気がする。
【Ω 激怒する 合わせ鏡の 聖女】での出来事だ。
カイトがブラックローズと寺島良子、両方からダンジョン攻略の誘いのメールを貰い
結果的にダブルブッキング、カイトを巡って「あーでもない、こーでもない」と激しい女の戦いが繰り広げられたのだ。
結局ブラックローズも良子も怒って帰ってしまったのだが……まさか、またカイトは同じ悲劇を繰り返すつもりなのだろうか?
いくら何でもそれは空気を読めないというレベルを逸脱している。
あえて口にしなかったが、ブラックローズも良子も今日の月例イベントを待ちに待っていた。
やっと意識不明者事件も終息し、普通に遊べる日がやってきたのに
カイトはいつも誰かしらに先約を取られ、なかなか彼女らと遊べない日々が続いて……
ある時はミストラルと一緒にレアアイテムを探しにダンジョンへ、
またある時はレイチェルに依頼されてアイテムトレードの手伝い、
またまたある時はファンに追いかけられるガルデニアを救い、
またまたまたある時はBBSのデマに騙されて、危険なモンスターの待つ迷宮にフラフラと行ってしまったなつめのヘルプ……
ドットハッカーズのリーダーは、困っている者を見捨てない人情の人……という噂に違わぬいい人ぶり。
と言うか、いい人すぎる。
カイト本人は全く無自覚なのだろうが、同行対象が女性ばかりというのも面白くない理由の1つではあるのだが。


「あ、寺島さん! ブラックラーズも! やっほー」


そうこうしているうちに話の渦中の本人がゲートを通ってご登場。
ドットハッカーズのリーダー、勇者カイトとして既に有名になカイトの登場で
マク・アヌのカオスゲート広場は色めき立つが、当の本人は全く気に害せず、待ち人の元へ歩んでゆく。
何故カイト本人だと判別が可能なのか? それはカイトのPCカラーにある。
本来、カイトのPCカラーは初期登録の段階では緑、標準的な双剣士のカラーの1つに過ぎなかった。
だがアウラから託された黄昏の書のインストール後、データドレインの力に目覚めて以降はPCカラーが赤(山吹色)に変化。
他のプレイヤーが真似しようにも、元から双剣士には用意されていない特別なイリーガルカラー。
だからこそ、勇者カイトの神性を高めてしまう結果に至る。
仕様にない特別なPCを持つプレイヤー、CC社も公認済み……最強パーティ・ドットハッカーズのリーダー。
2011年現在、カイト型(タイプ)の双剣士PCが増える一方なのも、そういった要因があるからなのだろう。
そういう意味では共に戦った仲間として鼻が高い。
が、それとこれとはブラックローズにも良子にも全く関係のない事柄なワケで……・


「やっほー、じゃないっちゅーのっ!」
「カイトさん……。あの、これは一体……」
「え? 何が?」
「何が、って……あた、あたしはてっきり、ア、アンタと2人きりでイベントに参加できると……ゴニョゴニョ」
「カイトさんは、良子と2人だけでイベントに参加されるおつもりでは……なかったのですか……?」


極力、周囲のプレイヤー達にこちらの事情を聞かれぬように小声で訴える2人。
それでなくとも今日は月例イベントの日なので、いつにも増してマク・アヌに人が集まっている。
勇者を巡る女同士の痴話喧嘩とは思われたくない
(と思っているのはブラックローズのみ、良子の場合はただ騒がしく会話をするのがはしたないと思っているだけ)。


「うーん。ここじゃなんだし、歩きながら話すよ。いいよね?」
「……どーする?」
「カイトさんが、そう仰られるのなら……」










****************








「仲直りぃっ!?」
「ブラックローズと寺島さんって【激怒する 合わせ鏡の 聖女】でケンカしたまんまだし」
「あ、あの……カイトさん? 私達は、もう別に……」
「どうせ参加は3人までOKならさ、この組み合わせがベストかな、って」
「……」
「……」


気が利いているのか、いないのか。
彼のやったことは概ね正しい。正しいのだが……。


「あの、さ……アンタ、メールには3人で参加するなんて、一言も書いてなかったような気がするんだけど……」
「だって、もう1人の名前を書いちゃったら来てくれないかもしれないでしょ?」
「カ、カイトさん……」
「ア、アンタねぇ……それ、逆効果だって、絶対……」
「?」


そうだった。
彼はこういう人間だったのだ。
良子はともかく、ブラックローズは前回の事件?で思い知ったはずなのに、とんと忘れていた。
優しさとは時に何と罪深いのだろうか。


「ブラックローズにも寺島さんにも、仲良くしてほしいんだ」
「うっ……」
「えぇっと……」


ここで「それでも2人だけで参加したい」と言う勇気と気概は、もう2人には残っていなかった。
言いたいことは山程ある。
自分がどれだけ今日のイベントに彼と参加したかったか、大声で主張できたらどんなにいいか。
それなのに他の女にまで誘いのメールを出すとは言語道断、この八方美人!と。
が、出来ない。
ブラックローズも良子もカイトの優しさを無碍には出来なかった。
性別を問わず多くの仲間が彼に惹き付けられる要因、それがカイトの持つ大らかさ。
……それは承知であるし、否定したくない。悔しいけれど。


「ね? だから一緒にイベントに参加すれば、仲直りできるって思ったんだ」
「……分かったわよ」
「ホント? ブラックローズ、いいの?」
「アンタがそう言うから特別、よ? 寺島さんもそれでいい?」
「はい……」


カイトは気づいていなかったが、実際には彼女達はとっくに仲直りを終了させていた。
今しがたカオスゲートの前で対立していたのは、あの時のケンカの延長ではなく
今回のダブルブッキングによるもの、つまりは新たな火種によるものに過ぎない。
まさか「イベントに参加して仲直り計画」が初期段階から瓦解していようとは……カイトは知る由もない。
さすにまだ14歳の子供ならではのツメの甘さである。
しかし当の本人を目前にそう言えるはずもなく……静々とPCを操作し、互いに握手を交わす2人であった。


「(言っとくけど……コレ、飽くまで“休戦”ってコトだかんね……?)」
「(望むところです)」


良子自身、この胸の底から湧き出る感情がブラックローズへの嫉妬から来るもの……という自覚はなかった。
単にカイトは「唯一の異性のお友達」で、ブラックローズはそのお友達との大切な時間を邪魔する人、
そういう認識なのだ。
温室育ちが過ぎたせいか、どうも良子の恋愛感覚は一般人とは違うらしい。
普段は異性の友人を持つことを父から禁じられているために
初めて出来た異性の友人であるカイトと過ごす時間は、良子にはとても刺激的で楽しく
何だか「イケナイこと」をしているような、妙な高揚感に陥る時すらある。
初心者同然の自分をいつも導いてくれたのはカイトだったし、危険な時率先して守ってくれたのもカイトだった。
故に今の良子はまさに「恋愛と気づかずに恋愛をしている状態」なのだ。
カイトを弟のような存在と思うことで自分の気持ちを誤魔化そうとするブラックローズと、ある意味いい勝負と言えるかもしれない。
無自覚VS自覚済み、勝つのはどちらか――――――――――――――――――――


「よし、仲直り完了だね! あー、よかった(笑)」
「はぁ……」
「ふぅ……」


イベント参加前からどっと疲れた気がする。
だが、これは逆にチャンスではないのだろうか。
イベントのどさくさに紛れてカイトと2人きりになれるかも?
何せ今日のイベントは……。


「タウン中にモンスターを解放してのサバイバルゲームかぁ……。
 僕、今思うとこれまでにイベントらしいイベントに参加したことないから、楽しみでさ(苦笑)」


タウンに原因不明の侵食現象が起きていた頃は中止されていたのだが
最近になってやっと《The World》にも活気が戻ってきた。
やはりユーザーあってのゲームであるし、一連の騒動で加入者が減少傾向にあったCC社としても
画期的なイベント等でユーザーを盛り上げたいところなのだろう。
今までずっと未帰還者を救うために過酷なプレイを続けていたカイトが、そう言ってはしゃぐのは無理のない話である。


「アンタって時々、ガキなのか大人なのか分かんなくなるわよねぇ〜」
「そういう所がカイトさんの良い所だと思いますが……」
「いい人過ぎるのも問題アリ!」
「ホラホラ、仲直りした矢先に口ゲンカしちゃダメだって(汗)」


と、こんな会話がイベント会場に着くまで続くのか……と思いきや。


「あ、そうだ。ねぇ、2人にちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「聞きたいこと? 何よ」
「何でしょうか。カイトさん」


いつもと変わらぬ調子で、にこやかに彼はこう言う。


「2人はさ、将来子供が出来たとしたら男の子と女の子、どっちがいい?」
「は……はいぃっ!?」
「え……えっ……?」
                                                                                             【 TO BE CONTINUED... 】

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