「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

蒼炎の波紋疾走(アズールフレイムオーバードライブ)ッ!!!


蒼炎が疾駆する。
カイトが自らの五指に燈った炎の力を2本の剣へと宿らせ、そのままモンスター目掛けて放ったのだ。
威力は抑えてある。
5匹のハッスルオーガがカイトの後衛、ブラックローズと良子の元に辿り着いた時に
レベル20の良子でもトドメを刺せるくらいのHPを僅かに残せるよう、上手く調節して。
しかして技を喰らった方の5匹のハッスルオーガは堪らない。
ハートが奮え燃え尽きるほどヒート、血液にビートが刻まれ、今にも爆発寸前だ。
魔方陣を抜け出た瞬間、カイトと向かい合った時点で彼らの運命は決してしまっていたらしい。


「ブラックローズ! 寺島さん!」


第一防衛ラインを突破したモンスター達。
後衛の少女らに向けてカイトが叫ぶ。
だが良子はともかく、ブラックローズは半年以上カイトと死線を潜り抜けたパートナー。
自分が何をするべきか、このイベントでの役割は何なのかをちゃんと理解していた。
その上で今回、良子にモンスターのトドメを刺させるサポ役に徹したのだ。
尤も、単にカイトと良子を組ませたくなかった……と言うのが本音のようだが。


「“闘士の血”! んでもって“狩人の血”!! どう、寺島さんっ!?」
「攻撃力と命中率の上昇、確認いたしました。行きますわ!」


カイトの叫びに間髪入れず、ブラックローズが予め用意していたステータスアップアイテムで
良子を強化する。重斧使い(ヘビーアックス)、であるが故に良子はとにかく攻撃の命中率が低い。
それを補うため、またハッスルオーガとのレベル差によるダメージを少しでも倍増させるのが目的である。
良子もそれはいつだったか、【Σ 心広き 困惑の 聖女】でカイトに迷惑をかけたこともあって
自身が足手まといなコトは重々承知。これ以上はカイトに迷惑をかけられない。
彼は笑って、

「僕もみんなも、寺島さんのこと、好きだよ」

と言ってくれはしたが、やはり良子自身が納得がいかなかった。
カイトが良子のために自分を捨て滅私たのと同じく、良子もまたカイトのために何か結果を残す時が来たのだと。


「えいっ! ライバッシャー!!
「ガガガッ!?」
「範囲攻撃で一気に……! 寺島さん、やるじゃん!!」
「イ、イベント前から……練習してましたので……」


前衛のカイトが放った蒼炎で大火傷を負ったまま突撃してきたオーガ達に、良子の雷属性の両手斧技の洗礼。
今良子が装備しているアックスボマーはかなり前にカイトからプレゼントされたもので
武器レベルは16と決して高くはないがクリティカルの追加効果のあるレア武器でもある。
レベル20の良子ならば扱えるだろうとカイトは渡したのだが、どうやら読みが当たったらしい。
低レベル&極度の方向音痴のため、いつも雑魚しかいないエリアで戦闘をしていたおかげか
良子の戦闘フォームは去年出会った頃よりも格段に良くなっている。
斧の振り方や動きのぎこちなさも大分解消され、かなり理想的なフォームだった。
元々良子の頭は悪くないし、時間さえあれば“やれば出来る子”のようだ。
相変わらず技を叫ぶ時の掛声が可愛らしいせいで緊張感がないが、リアルの良子はそれはもう
しどろもどろでマウスやらコントローラーやらキーボードやらの手作業に追われ、
のほほんとしたいつもの彼女では想像がつかない程、テンパっていたりする。
だがブラックローズの攻撃力&命中率アップの補助が無ければ、今の攻撃はちょっと危うかった気もするが……。


「(寺島さんは自信がついたみたいだな……)」


良子を危険に巻き込みたくがないため、あまり高レベルエリアへの冒険に誘わなかったツケが
来たか……と今回のイベントで思ったカイトだったが、それは杞憂だったようだ。
現に彼女は【Σ 心広き 困惑の 聖女】でも【Ω 激怒する 合わせ鏡の 聖女】でも
何だかんだでレベルに不釣り合いなダンジョンを踏破してきたではないか(激怒する〜では途中で怒って帰ってしまったが)。
Yes, We Can(やればできる)とオバマ氏も言っていたが、嘘ではなかった。
要は人間やる気になりさえすれば案外出来てしまうものなのだ。


「(後はレベル20の寺島さんがダメージを与えられないくらいのレベル差のモンスターが現れないことを祈るしかないな……
   僕やブラックローズが倒してもいいけど、それじゃダメなんだ……今回だけは)」
















ズ ズ ズ …… !!

















カイトを包みながら蠢く蒼炎。
彼自身まだ気づいていなかったようだが、この炎はカイトの精神状態によってその形状や威力、色が変化する。
今の状態はそう……この状況を楽しんでいる色、とでも言えばいいのか。
サッカーで言えばロスタイムギリギリ、あと数十秒守り切れば勝利目前の時の妙な高揚感に似ている。
無論、今回のイベントは守りに徹して行動する以上、優勝など夢のまた夢。
イベント参加が初めてというハンデがあるとしても、常連達は高レベル制限による得点半減に臆することなく
次々とモンスター達を倒し、数で点を稼いでいる。
だがカイトは飽くまでブラックローズと良子の仲直りの切っ掛けになればと、この大会に参加したに過ぎない。
だからブラックローズにも良子にも「3人目」の存在を明かさなかった。
時にはこういう時間があってもいいじゃない、と思える余裕がようやく彼にも生まれた、ということ。
良い兆候だった。
が、よくよく考えれば【Ω 激怒する 合わせ鏡の 聖女】で
ブラックローズと良子からの誘いをダブらせたカイトにも責任はあるのではないだろうか。
彼女達からしてみればカイトと2人きりで冒険するのを前提とした上でメールを寄こしてきたワケであるし。
まあ、どっちの道を行くか……くらいの些細なコトでケンカをしてしまう彼女らにもそこそこの非があるのだが。


「(うーん……そう思うとやっぱり女の子って面倒かも……。
  あ、そう言えばさっき2人に将来は女の子が〜とか言っちゃったんだっけ……今更取り消しってダメかな……?)」









*******************









『優勝はオルカバルムンクチームゥ!! さすがはフィアナの末裔だぁ!
 減点に目もくれない素晴らしいファイトを見せてくれたぞォ――――――!!!』


イベントは終わった。
優勝はオルカとバルムンクの『フィアナの末裔』チーム、準優勝はニューク兎丸とレイチェルの『おつかれちゃ〜ん』チームという結果。
何とどちらも定員3名にも関わらず2名でチームを組み好成績を残したという、意外な結果だった。
やはり勝因は司会が述べたように「守り」ではなく「攻め」を行ったことだろう。
カイトらのチームの場合はレベルの低い良子にトドメを刺させるために敢えて
その場から動かずに守りに徹し、魔方陣からモンスターが出現するのを待つという戦法であったが
実際にそれを実行したのはごく少数のチームで、多くの参加者がレベル差減点を無視して戦い続けた結果、こうなったのだろう。
だが中には上手くエレメンタルヒットなどを活用し、低レベルながら上位に食い込んだチームもちらほら。
今回優勝したバルムンクらのチームもオルカの長期入院によるブランク解消の意味を兼ねたものだっただろうし
彼ら2人が本気になればもっとすごい結果になっていたはず。
逆に謎なのが2位のレイチェルらのチーム……一体なにがどうなったらあの2人が準優勝になるのか……。
そして肝心のカイトチームは―――――――――――――――――――――


「初参加で14位かぁ……」
「すみません……。良子が足を引っ張ったばかりに……」
「寺島さんは悪くないって。頑張ってたよ」


前衛でカイトがモンスターのHPを削り、後衛のブラックローズが補助、
そして良子がトドメという戦法を時間制限まで繰り返した結果……14位。
それでも50チーム以上が参加した中で初参加14位というのもなかなか好成績なのではないだろうか。
レベル80と90の2人がいながらこの成績、というのもアレだが。


「(ねぇ。やっぱあたし達もバルムンクのチームみたいに減点無視して戦ってた方がさ……)」
「(でも、ブラックローズも寺島さんと一緒に戦えて楽しかったでしょ?)」
「(うっ……まぁ、それなりに楽しかったけどさ)」
「(ならそれでいいじゃない。テニスのダブルスだと思ってさ、ね?)」
「(はぁ……ま、そういうことにしといてあげるわよ)」


当初はカイトと2人で参加し、上位入賞でぶいぶい言わせるつもりだった
ブロックローズも今回ばかりはカイトの顔を立てたらしい。
既に良子とはカイトの前で仲直り(と言う名の休戦)済みだし、今になってあーだこーだ言うのもカッコ悪い。
今回は素直に自分達の成績を受け入れよう、と。ただし。


「(言っとくけど……次こそは、あたしと2人だけで出んのよ!? わーった!?)」
「(分かった、分かった(苦笑))」
「(ホントに分かってんのかしら……)」


カイトがオルカやバルムンクらとチームを組み、共にイベントに参加できる日は、まだ遠い――――――――――――










**********************









「んじゃね。おやすみー」
「おやすみ」
「おやすみなさい」


良子に気を利かせたのかどうかは定かではないが、今日は先にブラックローズが落ちた。
明日はテニス部の朝練があり早めに寝ておきたいとのこと。
カズの意識不明回復以来ブラックローズも時期キャプテンとして、やっと部活に専念出来始めたようだった。
彼女ももうすぐ2年生、新学年に向けての調整などがあるのだろう。


「寺島さんはどうするの? 時間、大丈夫?」
「まだ大丈夫です」
「じゃあ軽くフィールドでも歩く? 魔方陣が少なくて静かなエリア、知ってるんだ」
「はい。御供させていただきます」


パタパタと背中の翼を動かしながら、良子は随伴を申し出る。
父親との約束で1日のゲーム時間を決められているだけにカイトとの2人きりの時間は貴重だ。
恋する男女が頬を赤らめて互いの良い所を挙げる、と言ったロマンチックな会話は無く
カイトは草原に寝転び、良子も木陰に腰を下ろしてリラックスし
ただ互いに「今日学校でこんなことがあった」とか「この前家族と出かけた時に〜」と言った他愛のない話ばかり。
されど異性の友人がカイトしか居ない良子にとっては彼の話す話の内容や彼の一挙一動が新鮮で、飽きが来なかった。
逆にカイトは良子の話してくれる学校の授業内容や友人関係、家のことなどを聞く度に
お嬢様の良子も普段もぽややんとした雰囲気とは別に、色々と気苦労と背負っているのだと理解する。
思えば一般市民たるカイトが良子のようなお嬢様と知り合えただけでも奇跡だった。
良子の父は普段から娘に悪い虫がつかないように細心の注意を払っていたようだが……ネトゲだけは盲点のようで。


「寺島さん。このゲーム、楽しい?」
「えっ?」
「やっと普通に遊べるようになったしさ、僕もみんなと一緒にもっといっぱい遊びたいんだ。
 最近までそうやって遊ぶことすら出来なかったし……だから寺島さんにも、もっと《The World》を楽しんでもらいたいな、って」
「た、楽しいです! その、カイトさんがいらっしゃると……とても楽しい……です」
「? 何で僕?」
「カ、カイトさんは……良子の、初めての……男の方の……ご友人ですので……」
「なんだ、そう言うこと。でもオルカやバルムンクもイイ奴だし、今度改めて紹介―――――――――――――
「良子は、カイトさんがいいんです!」
「そ、そう?」


断っておくが、良子は自身のカイトへの気持ちが恋愛感情だと全く気づいていない。  
今まで異性の友人と縁がなかったせいで免疫が無く、自身の恋の病の症状が進行中であることに気付けていないのだ。 
ブラックローズと張り合いも「唯一の異性の友達が自分以外で仲良くしている女の子」という認識を持っての
行動であるため、ブラックローズとは対極的な恋愛観の持ち主と言える。
しかしながら天然の性格のおかげかカイトともすぐに打ち解けることが出来たし、
こうやって2人でのんびり出来ているのだから結果オーライと言えなくもない。
彼女が自身の感情を恋と呼ぶことに躊躇っている限りは、まだ彼女の物語が進展を見せることはないだろう。
或いは彼女自身がそれを望んでいるのか。


「今日のカイトさん……とっても……あら? カイトさん?」


いつの間にかカイトの姿は無く。


「カイトさん……?」














































「あれ……?」


さっきまで頬をそよ風が撫でていたと思ったのだが、いつの間にか無風。
思わずカイトが目を開け寝転んでいた上体を起こしてみると、さっきまで居たエリアとは似ても似つかぬ場所に
自分が居ることを悟らざるを得なかった。
辺り一面に広がってた草原や花畑、木々は何処にもなく、代わりに真っ白な空間が何処までも広がっている。
カイト自身が身体を横たえていたのは天井付きのベッド、周りには無数の縫いぐるみが散乱。
常人ならば数日経たずに発狂しそうな何とも言えない奇妙な空間だった。
だが、カイトはこの空間に見覚えがある。以前にもここを訪れた気が……。


「ここは……ハロルドの『創造主の部屋』……? ……転送されたのか」
「私があなたを喚びました」
「えっ?」


白い地平の広がる世界に、またも白い閃光。
足の踏み場も無い程の散乱した縫いぐるみの海に、降り立つ少女が1人。
Aura(アウラ)だった。
最後に会ったのはいつだったか。
確かオルカの立ち会いの許、薄命の腕輪を受け取ったのが最後だったと記憶している。
だが確か、つい最近も何処ぞのダンジョンで出会ったような……あれは初めて蒼炎の力に目覚めた日……。


「創りたいものがあるの」
「創りたいもの?」
「カイトがいないと創れないものがあります」


僅かながらおずおずとした動作で、アウラはベッドに乗っかったカイトに近づいてくる。
やがて彼と同じ目線に合わせるかのようにベッドに腰掛け、カイトの瞳を覗き込んだ。

「……だから、協力してほしい」

と。
カイトの手を取り、自身のそれと重ねながらアウラは呟いた。
グローブを纏ったカイトに比べるとやや小さかったが女性……いや、女の子特有の華奢で白い手。
そのアウラの両手が伸び、カイトの右手を握る。スケィスに追われていた時とはまた違う切実な表情(カオ)。
いつもの彼女らしくない少し不安と照れの入り混じった――――――――――――


「僕が居ないとと創れないもの……?」
「そう。カイトが居ないと創れない」
「よく分かんないけど……そのために僕を喚んだんだ?」
「急に喚んで、ごめんなさい」
「いいって。寺島さんには後で謝っておくからさ」


いつものアウラならメールで「どこどこに来て〜」と連絡を寄こすはずなのだが、うも今日は急な用事だったらしい。
カイトに事前連絡なしに強制転送でこんな部屋に召集をかけるくらいだ。
しかし「創りたいもの」とは何だろうか? 童心に帰って何かをして遊びたい、とか?


「手伝って……くれますか?」
「よく分かんないけど、それを創るのは楽しいことなの?」
「楽しい……と思う。でも、私も初めてだから……よく分かりません」
「なぞなぞみたいだなぁ(苦笑)」


彼女が何を創りたいのかは理解(わか)らないが、アウラは今や《The World》そのもの。
そのアウラが創りたいものがあるのなら決して悪いものではないだろう、とカイトは判断する。
現に黄昏の腕輪破壊後、アウラはカイトのために新たな薄命の腕輪を用意してくれた。
彼を世界の守護者と認め信頼してくれている証だった。
少し前まではネットゲーム初心者だったカイトが、今では女神の信頼を一身に受けている。
ワイズマン辺りが聞いたら地団駄を踏んで悔しがるだろう。
しかしながら究極AIの少女は更なる自己進化、人との交流を望む。
その相手は残念ながらワイズマンではなく、彼女の意中の相手――――――――――――――カイト。


「そうだ……あの蒼い炎、あれもアウラが僕に?」
「はい……」
「そっか。急に使えるようになったからビックリしちゃった(苦笑)」
「……」
「でもおかげで助かったよ。あの炎の力が無かったらブラックローズを助けられなかったかもしれないし……」
「……間に合ってよかった」


以前、カイトはブラックローズとつまらないコトで口論になったことがあった。
怒った彼女が行き先も告げずにランダム生成し、向かったダンジョンでウイルスバグに遭遇。
未帰還者の仲間入りを果たす寸前でカイトが駆けつけ、目覚めたばかりの蒼炎の力でバグを退けた。
ブラックローズの危機をアウラがメールで知らせてくれなければ間に合わなかっただろう。
アウラはカイトに負い目がある。
黄昏の書を渡そうとしたオルカがスケィスにデータドレインされ、結果的にカイトをモルガナとの闘争に巻き込んでしまった。
それに再誕を起こし自身を完全体にしてくれた借りもある。


「カイト」
「ん?」
「あなたには、私がどう見えますか」
「どうって?」
「あなたの思ったことを聞かせて」
「思ったことか……うーん」


アウラは呪われている。
創造主ハロルドの妄執が生み出した、本来なら有り得ないはずの生命。
亡きエマ・ウィーラントとの子を成そうとした結果。
彼女がこの世界に生を受けるまで、一体いくつの失敗作が生み出されのか。
《The World》のシステムを管理する女神の原型が誕生するまでの紆余曲折、どれだけの人間が彼女に関わってきたのか。
更には娘にとって代わられることを恐れたモルガナの暴走。
生まれながらにして子殺しを望む母を持つというのは、どんな気分なのだろうか。
スケィスに散々追い駆けまわされ、データドレインを食らった時の気分は?
研究者なら興味の尽かぬことばかりのはずだ。
AI工学に携わった人間ならばハロルド・ヒューイックの生み出した究極AIに心惹かれない者はいない。
誰もが目を輝かせ、その実体を解明しようと躍起になるだろう。
だがカイトは専門家でも研究者でもない。
大人達が色めき立つような素晴らしく偉大な発見が目の前にあっても、全く関心がない。
カイトにとって彼女は始まり。そして可能性。
まだ彼がそのことに気付くのは、ずっと先のことだろうけれど……。


「可愛い、かな……? うん、可愛いよ」
「……可愛い?」
「女の子に面と向かって言った経験ないから……自分でもよく分かんないんだけど……
 って、こういうコト言うと、またブラックローズに怒られちゃうな(汗)」


ブラックローズにどやされたのを想像したのか、カイトは少し自嘲気味に笑って見せた。
でも彼の眼は嘘を吐いてはいない。
この半年、彼はずっとアウラを見続けてきた。
カイトなりにアウラを信じて戦い続けた結果勝ち得たものがある以上、その信頼は絶対。
それはアウラもまた同じこと。だからこうして彼の前に姿を現したのだ。


「アウラは生きたかったから僕を頼ってくれた。
 再誕の時も僕の剣で一度死ぬことを選んでくれた……。だからかな……僕にもちょっとだけ、ハロルドの気持ちが理解(わか)るんだ。
 ……可愛いな、って。生まれてきてくれてありがとう、って」
「カイト……」
「これじゃまるで、僕がハロルドみたいだなぁ(苦笑)」


空いた左手でポンとアウラの頭を撫で、カイトは笑う。
不思議とグローブの上からでも彼女の髪の柔らかな感触が伝わってくる気がした。
アウラと出会い、黄昏の書をPCにインストールして以来カイトのPCは完全にゲームの仕様外。
恐らくは世界で一番アウラに近いに存在となった。知らず知らずのうちにカイトは世界の核心に迫ったのだ。
無理に岩戸を開ける必要はない。
何故なら女神はいつでも彼のために微笑んでくれるから。世界の管理者にして彼だけの女神。
魂の伴侶。例えゲームと繋がっていなくても、その絆が立ち消えることはない。


「……大丈夫」
「?」
「カイトなら……きっと良い父親になれる……」


アウラの笑顔のお墨付きがあるのなら、きっとそうなのだろう。
ハロルドは決して良い父親ではなかったかもしれない。
しかしアウラにとっては世界でただ1人の父親、創造主だった。
カイトは彼とは違う。
より良い方向に世界を……“私達”を導いてくれる、とアウラは確信している。
だから、そのためにコレは必要な行為であって、通過儀礼。儀式なのだと。


「アウラ……?」
「頑張って創るから」
「???」
「私達の……こども……」
「こど……? え……なに……?」
「カイトと一緒に……創りたい」                                                                    


こうして、少年は世界(Aura)に、本当の意味で“見初め”られた。                                                        【今はまだ、旅の途中】

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