「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。


「待たせたな」
「あ、結構早かったですね」
「お前待たせるワケにもいかねーだろ」


床に溢したコーヒーを拭き終わり、俺はゲームに復帰した。
俺が席を外してる間にPKやモンスターに襲われてやしないかとも思ったが、どうやら杞憂に終わったらしい。
再びハセヲが動き出すと、アトリは嬉しそうに顔を綻ばせた。


「さてと。どーするよ、これから」
「ハセヲさんが居ない間に『妖精のオーブ』を使って周囲を調べてみたんですけど、多分……まだ先は長いかと」
「……となると。徒歩じゃ時間がかかっちまうな」


オマケに寒いしな……。
マップを見る限り、この雪原エリアはかなり広い。
だだっ広い雪原の何処かに居るだろう「雪男」を探そうってんだから、闇雲に歩き回ってもダメだ。
本当の雪山だったら遭難するのがオチだ。


「アトリ。お前さ、耳、良かったよな」
「えっ? はい、それがイニスの固有能力ですので」
「何かこう、雪男の鳴き声とか聞こえねーもんかな……?」


俺も一応はイニスの碑文の能力があるっちゃあるんだが、本家(オリジナル)のアトリには遠く及ばない。
幽かに遠くで吹雪の音が聞こえるくらいだ。
これだけ広い雪原なんだからな……何か音がしても雪がクッションになって聞こえやしねぇ。


「うーんと……そうですねぇ。
 ちょっと待ってくださいね、集中しますので」
「耳を澄ませ。ラララ」
「目を見張れ……って、それはアトムですっ! 私はアトリっ!!
 集中させてくださいよぉ……ふーんだっ」
「ジョークだよ。可愛いジョークってヤツだ」


だって、こう寒ぃと思考回路がどうにかなりそうで……。
雪山で遭難した時は凍死を防ぐ為に、ひたすら動いたり喋ったりするのが効果的って聞いたことあるし。
……いや。
逆に、体力を消費しない為に動かないのが良かったんだっけか? 
まあいいや。


「……あ」
「どしたよ」
「えっと……こっちの方角から何か聞こえます。
 吹雪に混じって……何か……動物の鳴き声みたいな……」
「よし、この方角だな?」


言うが早いか、


「徒歩で進むと時間かかるのは目に見えてる……こっからはバイクで行くぞ」
「バイク?」
「他の挑戦者に先、越されたくねーだろ?」


ギルマスの証・蒸気バイクを俺はエリアに顕現させる
(つーかロストグラウンド以外なら何処でも来るのな、バイク)。
ただし、いつもの狗王とは一味―――――――――――――――――――違うけどな?


「ハセヲさん……コレって……」
「どーよ。すげーだろ」
「ス、スノーモービル、ですか!?」


今回のクエストで散策するのは雪原・雪山エリアって事前に聞いてたからな。
ちょいとバイク工房で一輪外して、代わりにキャタピラ装備させてみた。
馬力が出るようにエンジンも排気量多めのタイプに変えてる。
ちょっとやそっとの雪道じゃコイツは止められねぇ。
言うなれば、そう……狗王・無限軌道型とでも呼べばいいのか?


「備えあれば憂い無し、っつーだろ?」
「それはそうですけど……も、もう、ハセヲさんって何でもアリですね……」
「呆れるなよ」
「呆れますよっ!」


それなりに大枚叩いて改造したんだぞ?
改造用のパーツもタイムレースのレア景品で、取るの難しかったし……女にはこーいうの、理解(わか)んねぇかなぁ。
松あたりなら結構話も合いそうなんだがな。
男に生まれた以上、バイク……ライダーに憧れるもんなんだって。


「……アトリ、運転してみたくねーか」
「わ、私がですかっ?」
「ギルドのメンバー同士ならバイクの貸し借り出来るだろ。お前もカナードのメンバーなんだし」
「で、でも、私、スノーモービルの免許なんて持ってませんよっ!?」
「いや、これゲームだからw」


因みに現実(リアル)でスノーモービル運転したい場合は、
普通自動車免許が必須なんだそーだ。


「見かけはスノーモービルになっちまってるけど、元はバイクなんだ。
 ×ボタンがアクセル、□ボタンがブレーキ、×□同時押しで急発進、キーの左右で進路変更……基本は同じ」
「ですけど……せっかく改造したんだから、やっぱりハセヲさんが乗られた方が……」


しおらしく殊勝なコト言うじゃねーか……。


「……最初に、お前乗せてやりたかったから」
「えっ?」


……ま、そーいうコトだ。


「アトリは特別だから。最初にお前、乗せてやりたかったってゆーか……」
「と、特別……ですか?」
「お前、バイクとか運転したコトねーだろ? 
 彼氏の好意は……素直に受け取るのが……彼女ってもんだろーがよ」
「あうぅ……か、彼氏、彼女、ですか……」


相変わらずの肌寒さにも関わらず、頬と胸の辺りの温度だけは急上昇してる気がする。
クールだ、クールになれ……なり過ぎても寒いけどな。
というか、寒さで俺もちょっと自分でナニ言ってるのか分からなくなってきやがったぜ……。


「……因みに。試乗はされましたか?」
「まだしてねぇ。雪のエリア限定タイプだし、ココ来たの今日が初めてだから」
「……わ、分かりました。多少不安はありますが……アトリ、行きます!」


おぉ、アトリが燃えている……。


「ま、安全性については大丈夫だろ。
 1000回近くモンスターに不意打ち喰らわせてっけど、衝撃で振り落とされたコト1回もねーしな」
「ハセヲさん、野原のエリア散策の時は大抵バイクで移動してましたもんね……」


おかげで八百由旬ノ書の「八(蜂)劉の書」、早々に打ち止めになっちまったもんなァ……。
BGMやら壁紙やら、いっぱい手に入っちまったし。


「ほら。乗れよ」
「よ、よろしくお願いします」


俺が先に狗王に跨り、次にアトリの手を取って先頭に乗せてやる。
本来なら1人乗り用なんだがカウルとシート、あと後部エンジンを取っ換えてたおかげで2人乗りも可能になったってワケだ。
ついでにグリップ位置も変えておいたから、運転時に前屈みで猫背にならずに済む……。
何気に長時間あの体勢だとキッツイんだよな……乗り終わった後に腰にクルっつーか。


「運転方法はさっき説明した通りだからな」
「はい……って!? 
 ハ、ハセヲさん!? ど、何処触ってるんですかぁっ?」


当たり前とばかりにアトリの腰に両手を回す俺に対し、アトリ本人からは猛抗議と来たもんだ。


「振り落とされたらマズいだろ?(笑)」
「(笑)じゃないでしょう!? 
 さっき『衝撃で振り落とされたコト1回もねーしな』って言ってたじゃないですか!」
「記憶にねーな」


何だよ。
バイクだって2人乗りの時、運転してる奴の腰に後ろから手ェ回すだろ?
いいじゃん、それくらい。


「ますます寒くなってきてるしな。少しくらい許せよ」
「……ハセヲさん? 
 セクハラする為に、私に運転させようとしてるんじゃ……ないですよね?」
「滅相もない」


俺はただ、純粋にお前をバイクに載せてやりたかっただけなんだぜ……?


「最初に言っておきますけど……変なトコロ触ったら、かーなーり、怖いコトになっちゃいますよ?」
「いいから運転始めちゃえよ。お前、騎乗ランクBだろ。ZEROの時はAだったけど」
「騎乗ランクB? ZEROの時はA? ……何のコトです?」


にしてもコイツの腰、ほっそいな。
ウエスト幾つだ? 
前にスリーサイズをメールで聞いた時は

「あの……私、ゲームキャラじゃないので。そういうオフィシャル設定みたいなの、ありません」

って、はぐらかされちまったからな……。
その点「95・55・85」と推測値ながらも正直に教えてくれたパイの命懸けの返事には敬意を表したい。
……あー、でもパイのPCをエディットしたのってパイの義理の兄貴なんだよな。
何つー趣味してんだか……気は合いそうだけど。


「では……どうなっても知りませんからねっ!!!」
「うぉっと!?」









ヴォンッ!!






エンジンが唸り、マフラーから凄まじい勢いで蒸気煙が吐き出される。
アトリがアクセルを解き放つのと刻を同じくして雪原を疾走する獰猛な鋼鉄の獣が誕生した。
万年雪に覆われた閑静な雪原を轟音を孕んだ唸り声と共に蹂躙する、蒸気科学の申し子が。
氷雪の彼方で幽かに聞こえる「鳴き声」だけを頼りに、イニスの碑文に従うまま、彼女は疾ったのだ。











「うぉおぉぉおぉぉおおおぉおおぉおぉおおおぉおおぉっ!?」
「しっかり掴んでててくださいねぇ〜っ!!!」











アトリはノリノリだった。
揺光程ではないが、実は彼女も密かにギルドマスターしか騎乗を許されないバイクという存在に憧れていた1人だったから。
バイク(今回はスノーモービルだが)の運転など無論、アトリにとっても初めての経験。
しかしながら碑文使いとして開眼し、この数ヶ月間、多種多様に及ぶ奇妙な経験を積んできた彼女にとって
これくらいの操作ならば、造作も無いコトだった。
初めての運転でアトリが戸惑うのを期待していたハセヲにとっては、大誤算である。


「アッ、アトリ! ちょいスピード押さえろ、頬っぺたに風がビシビシ当たって痛ェ!!」
「私は痛くありませんのでっ!」


本能の赴くまま、アトリは疾走を続ける。
強化された聴覚を信じ、ひたすらに、この雪原で一番大きく、そして自然のものとは異なる“音”を目指して。
振り落とされはしていないものの、後部座席のハセヲはアトリと違い、
マハの碑文の影響で他の碑文使いに比べ、戦闘以外でも痛みに敏感になってしまっているのは周知の通り。
時速88マイル(約140キロ)の高速でブッちぎる狗王にヘルメットも被らずに搭乗していれば、
空気摩擦で頬にダメージを負うのは当然の流れであろう。


「(やべぇ、誤算だった! アトリの奴、フツーに操縦上手ぇじゃねーか!)」


気づいても後の祭り。
ハセヲ達を感知して戦闘に持ち込もうと接近してくる雑魚モンスターが何体か居たが、
骨(コツ)を掴んだアトリに追い付けるはずもなく。
目視した時には、もう彼女らは通り過ぎた後だった。
その姿は、まさに現代に蘇ったウェンディゴ(風に乗りて歩むもの)。
カナダの先住民アルゴンキンの間に伝わる、氷雪地帯に棲み、目にも止まらぬ速さで人間をさらっていくという邪悪な精霊を思わせるに十分なもの。


「(吹雪に混じって聞こえる鳴き声が、もうすぐそこまで……近い!)」
「スピード抑えろって……言ってんだろーがっ!」






むにゅっ。





「あ……」
「……えっ?」



アトリの暴走を止めないといけない。
俺はそう思った。
そう思ったから、アトリの腰に廻していた手に力を込めるつもり“だった”。
なのに……事故は起きた。
不慮の事故だった。
決して俺の意志じゃあない。
俺はこんな結果を望んでいなかった(多分)。








ぷにぷに。







なら、どうして。
俺の両手は、アトリの腰ではなく……慎ましやかながらも、
しっかりとした弾力を持つ、彼女の柔らかな両胸を掴んでいるのか。


「……」
「……」
「……」
「……」
「……ただのネトゲだぜ? 
 五ヶ月前は顔も知らなかった。
 リアルも知らない奴が、こんな……心にあふれて、ふれて……」
「ふれて……何ですか?」


狗王・無限軌道型は、先刻までの獰猛さが嘘のように、沈黙した。
俺の両手は未だにアトリの胸を掴み、しっかりと指を喰い込ませたままだ。
必死でコントローラーを操作しようとしているのに、何故か指が動かない。
まるで金縛りだ。
もしかすると俺の心の中で善の心と悪の心が葛藤を始めているのかもしれない。
「アトリに失礼だ、早く手を放すんだ!」という脳からの電気信号と
「チャンスじゃねーか、この際もっと触っとけよ!」という電気信号が拮抗し、相殺。
命令を実行できない状況下に、俺は今立たされているんじゃないのか。そんな気さえする。


「ハセヲさん……えっちなのは……いけないと思います」
「わ、悪気は無かったんだ。手が滑ったっていうか……」


アトリの胸を掴む俺の指に、アトリ自身の指が重なる。
俺の指一本一本を、彼女の指が剥ぎ取っていく。
その過程、その動作、一つ一つが、俺には酷く緩慢な作業に思えた。
冷たい指をしている。やがて、柔らかで暖かい双丘から、俺の指は完全に隔離されてしまう。


「アトリ……。俺の話を聞いてくれ……!」


この位置からではアトリの表情を伺い知ることは出来ない。
だが、後光(オーラ)で理解(わか)った。
今のアトリの心情が、手に取るようにハッキリと。
この世のあらゆる不吉を孕んだ、凶々しいオーラが眼前で漲っていくのを、俺は確かに視たのだ。


















「こぉぉぉんのぉぉぉぉ……節操ナシがァァッ!!!!」
「ぶべらっ!?」














真っ白な雪上に広がってゆく赤い染み。
あぁ、俺は今、眼の前の女に呪杖で思いっきり頭を殴られたんだと知覚するのに、数秒かかってしまった。
それくらい、俺の脳はブルブルと揺さぶられ、正常な思考すら困難な状況に陥っているのだった。


「そんなにおっぱいが好きですか!? 
 ゲームの最中に触るの我慢できなくなっちゃうくらい好きなんですかっ!?
 そりゃーハセヲさんも思春期真っ盛りですし、さぞおっぱい大好きなんでしょうけどもっ!
 よりによって何で私なんですか!? 
 そんなに触りたかったら他の女の人に土下座とかして触らせてもらえば済む話でしょうっ!?
 揺光さんとかパイさんとかカールさんとかおっきい人いっぱい居るのに、あえて小さな私のに触りたがるって何の罰ゲームですっ!?
 まさかまだ志乃さんの影を引き摺ってるとか馬鹿みたいなウジウジした理由じゃないですよねっ!?
 大体ハセヲさんは初めて会った時から志乃志乃志乃志乃、いっつも志乃さんのことばっかり!
 ハセヲさんは今まで呟いた『志乃』の回数を覚えてるんですかっ!? 
 ホントやれやれですよ!
 まーそれはどーでもいいとして、正面切って堂々と『アトリの胸を触らせてほしい』って言えば私だって考えてあげなくもないのに
 飽くまで姑息な手段、不慮の事故に思わせて触っちゃうって、どーいう了見ですかっ!?
 そんなに飢えてるんですか!? 
 見境い無しにおっぱいに触りたがるビョーキにでもなってるとか言うつもりじゃないですよねっ!?
 どうなんですか、ハセヲさん!? 
 主人公だからってやっていいことと悪いことの区別がつかない歳でもないでしょう!? 
 言い訳があるなら聞いてあげます、とことん!!!」
「(……聞く耳持ってねーだろうに)」


イニスの肥大聴覚でも、俺の心の懺悔までは拾ってくれない……か。


「今まで誰にも触らせたことなんて……無かったのにぃ……ふぇ〜ん!」
「アトリだって俺のこと好きって言ったじゃねーか。好き同士なら……その、そーいうのもアリだろ?」
「うぇ〜ん。弄ばれた〜」
「(コイツ……遊んでやがる……)」


やっとアトリに殴られた頭の痛みが引いてきた。
不様にもバイクから転倒、雪の上に転げ落ちた俺をアトリの射抜く様な痛烈な視線が見舞う。
……オマケに嘘泣きか。
コイツ、どんどん俺の扱いに慣れていきやがるぜ。


「……頼めば触らせてくれんのかよ」
「そりゃあ……私も鬼じゃありませんし。
 ハセヲさんが……どーしても、と頭を下げるなら……考えないこともありません」
「じゃ触らせろ。思いっきり、心ゆくまで揉みしだかせろ」
「お断りします」
「頼んだだろ!?」


言葉に偽りアリじゃねーかっ!


「誠意のカケラも感じられないじゃないですか! ネットでダメな人はリアルでもダメ!! ネットを……なめるなっ!!!」
「ミミル!?」


……俺達、このエリアに何しに来たんだっけか。
と。
狗王の上で俺達がやいのやいのと騒いでいると――――――――――――。












コールドブレス(凍りつく息)!!!














「うぉっ!?」
「きゃあっ!?」


平行線になりかけていた俺とアトリの口論を突如として終焉へと追い込む、猛吹雪。
それは、全く気配を感じさせず。
――――――――いつの間にか俺達のすぐ傍まで迫って来ていた。


「アトリっ! ……大丈夫か!?」
「は、はい……寸でのところで回避しましたから……」


俺達がさっきまで居た場所は、数十メートル範囲に渡って氷漬けとなっていた。
瞬間冷凍……超低温の吹雪か。
まともに喰らったら、ザブングルの加藤じゃねーけど文字通り「カッチカチ」にされちまうコト確実!


「クルルル! クルルルッ!!」
「枢木(くるるぎ)っ!?」
「ボケてる場合じゃないですよハセヲさんっ!」


ズシン、ズシン。
大気の震えと共に、大地まで揺れている。
先刻までのケンカも忘れ、俺もアトリも眼前に現れた異様な気配に目が離せないでいた。
“ヤツ”の出現と共に一気に周囲の気温が冷え冷えとしていく。
冷気が針となって俺の全身に次々と突き刺さる、そんな幻痛が走る。


「超低温の冷凍光線か……厄介だな」
「光線って……ブレス(息)って今、思いっきり言ってましたよ!?」


アトリは……コイツの鳴き声に導かれて、此処まで来たのか……!


「クルッ! クルルルッ!!!」


巨大な体躯を持つソレは、
鳩みてーな声でもうひと鳴きすると――――――――――――――不気味に笑うのだった。
カタツムリの触覚みたく突き出た2本の目玉、面長の顔、やけに分厚い唇……ブサイクな面してやがるぜ。
けど、よーやく拝めたな。
テメーが、このクエストのクリア条件だっつー……雪男かよ!




凍結怪獣ガンダー 登場


                                                                                         【 TO BE CONTINUED... 】

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