「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『はっきりいうと、この作品のテーマはありふれたテーマ――「生きること」です』


【荒木飛呂彦  「ジョジョの奇妙な冒険」原作者】

「トーナメント?」
「ここのところトラブル続きでユーザー離れが著しかったでしょう?
 CC社としてもプレイヤー全員で盛り上がれるイベントで心機一転……ってところでしょうね」
「よーするに天下一武道会な。この世で一番強いヤツでも決めようってのかw」


碑文使いの反存在、クビアとの戦いが終結して一ヶ月ほどが経った。
相変わらずカナードのギルマスやりながらシラバス達とそれなりに楽しくやってる。
けど、やっとまともに《The World》で遊べるようになったってのに
俺がやってることと言や、パイと八咫の使いっぱしり……つまりは前と全然変わってねーってこった。
AIDAの絶滅は確認されてる、でも俺達……碑文使いの戦いはまだ終わらねぇってことらしい。
この世界の根幹に関与しちまった以上、そう簡単には抜けさせてくれねぇんだとよ。


「また榊のPKトーナメントの時みたく、トラブル起こすんじゃねぇだろうな」
「今回の企画を立案したのは八咫様なの。
 私達システム側としても、あの時のような事態を招かないよう細心の注意を払ってイベントを運営するわ」
「ならいいんだがな」


あの時はAIDAに感染した榊の野郎が新世界の神気取りで
CC社に取り入った挙句、知識の蛇を乗っ取ってやりたい放題だったからな。
八咫は八咫で心閉ざしたりとか今までの態度が嘘みてーな細い神経っぷりだったし……。
あのPKトーナメントを境にこのゲーム止めた奴、結構いたっけ。


「んで? 俺もそのトーナメントに出ろってか」
「当然じゃない。仮にも竜賢宮の宮皇でしょ、アンタ」
「好きでなったワケじゃねぇっての。あン時は太白に感染してたAIDAを取っ払うのが目的だったからな」
「トーナメントを開く以上、それなりの実力者が出場しなきゃ意味ないじゃないの。分かるでしょ」


……まぁ、パイが言わんとしてることも分かる。
俺がスケィスを使って紅魔宮トーナメントを勝ち抜いたことは
榊が暴露しやがったせいで殆どのプレイヤーが知ってることだし、俺をチーターと思ってる連中も多い。
チート野郎で宮皇のハセヲを倒して名を上げよう、って奴も大勢いる。
何よりも俺自身、欅からPC改造を受けてXthフォームになっちまってるし
最近じゃチート練成に手ェ出して装備品強化しまくってるからな……文句は言えねぇよなぁ。


「……となると残り2人を決めなきゃいけねーってことか」
「それも、もう決めあるわ」
「? 誰と誰だよ」
「ぴろし3となつめ、この2人をパーティに加えて出場登録をして頂戴」
「げっ……よりにもよって……」


ギルド【ProjectG・U】のギルマスのぴろし3と助手(?)のなつめ。
何つーか、あの2人は苦手だ。
鈍き俊足のドーベルマンだとか何だとか自分の世界陶酔型で人の話を聞きやがらねぇオッサンと
エッジマニアって異名のPK(しかも本人はPKやった時の記憶ねぇとか、もうな……)で絵本作家志望の女。
何で俺があんな奴らと一緒に……欝だ。


「彼らと一緒に出場すること……それが八咫様からの指示なのよ。従いなさい」
「へいへい。イエス、ユア・ハイネス」
「?」


おっと、いつものクセで……ピンク髪がユフィと紛らわしいんだよ、あんたは。


「別に優勝する必要はないんだろ? 俺も宮皇の座捨てられるし丁度いいぜ」
「出場することに意義があるの。途中で負ければ、アンタはその程度のプレイヤーってことね」
「(随分と挑発的じゃねーか……ただのお遊びトーナメントってワケじゃなさそうだな)」


















*************************

















「どわーっはっはっは! この白銀のぴろし3に任せておけば、優勝などお茶の子さいさいなのである!」
「確定事項かよ」
「でもハセヲさん、ホントに良かったんですか? 同じ双剣士なら私なんかよりも揺光さんの方が……」


もっともな意見だ。


「いや、まぁ、その、アレだ。今回のトーナメントの優勝賞品、何かすげーレアな双剣って噂で……」
「! もしかしてトライエッジですかっ!?」
「か、かもな」
「よぉーし、なつめ頑張っちゃいますよぉー!!!」


か、簡単に信じやがって……さすがレベル10バインの噂信じてただけはあるな、コイツ。
いや、初心者時代の俺ももしかしたら信じてた可能性あるけど……。
ぴろし3に至っちゃもう勝った気でいやがるし……こ、こいつらと組むのに何のメリットがあるってんだ、八咫?


「出るからには優勝です。優勝を目指しましょう、ハセヲさん!」
「勝ったも同然であるな! いやー参った参った、愉快愉快!」
「あのな……まだ他にどんな奴が出場するかも分かってねーのに、気が早すぎだろうよ」


十中八九、俺がこれまで出会った連中とぶつかることになりそうだ。
揺光、天狼、太白の3人はまず間違いなく出場するだろうな。大火のオッサンは……どうだろう?
エンデュランスはまず出ねーだろうし、残るは松とかボルドー、がびあたりか?
エントリーしても予選で落ちちゃ意味ねーし、やっぱ最終的に決勝で知り合いと戦うことになる可能性が高い。
まぁ、それならそれで遠慮せずに戦えるけど。


「あんたらってゲーム歴、長いよな?
 分かってるとは思うがトーナメントまでにレベル上げとか、カズタマイズ用のアイテムの準備、しといてくれよ」
「心得た、ではトーナメント当日までしばしの別れ! 頭上に星々の輝きがあらんことを! じゅばっち!!!」
「ちょっ、まだ話は終わって……ちっ、落ちやがった……」
「ぴろし3って昔からあーいう人ですからw」
「……疲れね?」
「あはは……たまに」


聞くところによると、なつめとぴろし3の付き合いはもう7年になるそーだ。
付き合いってのは語弊があるな。なつめ曰く「ただの友達」らしいし。
つまり2人はこのゲームの前身、《The World R:1》時代からのプレイヤーってことだな。
2016年にCC社で起きた火災事故でPCデータが消失して辞めちまった奴は多いらしいけど
なつめやぴろし3もやっぱ、大事に育てたキャラを失ったんだろう。
俺もトライエッジ……いや、蒼炎のカイトのデータドレインを喰らって初期化されたから、気持ちは分からないでもない。
レベル133から一気にレベル1、志乃から貰ったメールも全部消えちまって……
でも虚無感とか絶望感に浸る前にオーヴァンからメールが来たんだよな、それでまたログインして……。


「7年前からやってんだろ? もうベテランの領域じゃね?」
「そうですか? 私から見たら、むしろネトゲ歴1年ちょっとのハセヲさんの方がベテランって感じですよ」
「身も蓋もねーコト言うなよw」


それってつまり俺もネトゲ廃人ってコトだろうがよ。
確かに“死の恐怖”って呼ばれてた頃は飯食うのも忘れてログインしてけどよ……む、昔の話だ。
今はちゃんと時間の調節しながらゲームやってんだぞ、一応は。


「そーいやさ、前から聞きたいって思ってたんだが」
「はぁ」
「“カイト”って誰だ? いつも『カイトさん、なつめやりましたよー♪』って言ってるけど」
「え、ええぇっ? わ、私、そんなこと言ってますか?」


言ってるだろうが、戦闘終わった時に……。
もしやと思うが、俺がトライエッジだと思っていたアイツ……蒼炎のカイトのことだろうか?
まさかな。トライエッジを武器と勘違いしてるような奴だし、無関係だろ……多分。
あーでもコイツってば無意識にPKしてるような女だからな……もしかしたら繋がりがあったりして……?


「話たくねーなら無理にとは……」
「いえ、この際ですからお話しますよ?」
「決断早っ!」


しかも何か嬉しそうだし……。
けど本人が話してくれるって言ってんだし、ここは聞き手に回るのがベターな選択かね。
付き合おうじゃねぇか、あんたの話に。


「カイトさんとはですね、7年前に出会ったんです」
「そいつもR:1時代からの知り合いか」


7年前っつーと……2010年か。


「その頃の私はまだゲームを始めたばかりで、レベルも低くて、パーティを組んでくれる友達もいなくて……。
 ある時、スパイラルエッジって武器がどうしても欲しくて、その武器が眠ってるっている
 ダンジョンに挑もうとしたんですけど怖くてそれ以上進めなくて……入り口の前で立ってることしかできなかったんです」
「? 今あんたが装備してる双剣もスパイラルエッジだろ?」
「これ、R:1のデータをコンバートできる特別なイベントでR:1のセーブデータから引き継いだんです。
 だからR:2でこの武器を持ってるのは、私だけなんですよ。えへへ♪」


なるほど……どーりでコイツの武器だけ漢字名称じゃなくてカタカナだったワケだ。
パーティに誘って装備欄のメニュー開いた時に感じた違和感はソレか。
この分だと武器だけじゃなく、キャラの外観とかもR:1を意識してメイクしてそーだな(カールも確かそう言ってたし)。


「で、そのカイトって奴が代わりにダンジョンに潜って取ってきてくれたワケだ、スパイラルエッジを」
「えー!? まだ全部話してないのに、どうして分かったんですか!?」
「いや……そこまで話せば大体想像つくだろ」


とんだお人好しだな、そのカイトって奴。……って、俺も人のことは言えねーか。
タダで色んなもんプレゼントしまくった時期あるからなぁ、俺も。


「カイトさんはですね、私の憧れなんですよ。
 リーダーシップがあって、仲間思いで、強くて、優しくて、カッコよくて……あ、ハセヲさんもイイ線行ってますけど」
「……ついでっぽく言われても嬉しくねーぞ」


とりあえず、コイツの中でそのカイトって野郎が相当に美化されてるのは理解できたぜ。
つかこの女、ぶっちゃけ惚れてるだろソイツに。
俺も志乃に惚れてた時はそんな感じだったから……こう、心の中で思い出とかが美化されんだ。
憑神(アバター)……じゃない、痘痕も笑窪、って感じでな。や、志乃は綺麗そのものだけど。
んだよ、笑いたい奴だけ笑え。大人になれない僕らの強がりを聞いてくれとは言わねーからさ。


「じゃあよ。俺とそのカイトって奴がもし戦ったら……どっちが勝つと思う?」
「うーん。ハセヲさんには悪いんですが、やっぱりカイトさんかと」
「へぇ……そんなに強いのか、ソイツ」
「もうですね、強いとかカッコイイとかそんなレベルじゃなくてですね……」
「(もうノロケ話に近いな、こりゃ……俺もログアウトして、BBSでも見るかね)」






























「検索ワード……勇者カイト、っと。げっ、こんなに登録されてんのかよ……」


カイト。
2010年に起きたネットワーククライシス「黄昏」を沈静化した
伝説のパーティ・ドットハッカーズのリーダーと目される赤い双剣士。
もしなつめの言ってることがマジだとしたら……八咫と一緒にクビアと戦った仲間の1人ってことか。
まだ7年しか経ってねーのに伝説ってのもオーバーな話だけどな。
どっちかっつーとネット内限定の都市伝説に近い部類だろうが……もうちょい調べてみるか。


「黄昏の……腕輪伝説……?」


頻繁に出てくる「腕輪」という単語。
伝説の勇者カイトはゲームの仕様にないイリーガルな力を持っていたと言う。
成る程、分かるぜ。蒼炎のカイトも俺をデータドレインした時、右腕に光る輪みてぇのが見えたからな。
俺も憑神覚醒した時、右腕に腕輪っぽいのが浮かぶし……。


「彼の持つ腕輪こそが“黄昏の鍵(キー・オブ・ザ・トワイライト)”かと思われていたが真相は不明。
 2016年にCC社で起きた火災によりデータが損失した今となっては、伝説は二度と日の目を見ることはないだろう……か」


なつめが惚れるのも分かるな、何となく。
とんでもなくすげぇ奴だったんだろう、このカイトってのは。
俺は最初に憑神を……スケィスを手に入れた時、何度も暴走させちまった。
けどこのカイトって奴は腕輪の力を随分とスマートに使ってやがる。
並の精神力じゃねぇ……力に飲まれることなく力を行使する大変さってのは……俺も分かってるつもりだからな。
真偽はどうあれ、信じるしかなさそうだな。勇者カイトと腕輪は実在する(した)!
でも俺が出会ったカイトは、このカイトじゃねぇんだな……。
あのカイトがアウラの生み出した対AIDA用の自律型プログラムと考えりゃ、
AIDAに感染してたオーヴァンやアトリの前に現れたのも説明がつくし。
とすりゃ、本物の勇者はR:2にゃログインしてねーと考えるのが妥当だろう。
本物がいりゃ、わざわざ紛い物生み出してまでAIDAから《The World》を守る必要だってねーんだし。


「なつめもドットハッカーズだっけか。
 八咫もそうだったな。身近に当事者が居るとか実感沸かねーなぁ」


他にも俺が知らないだけで、ドットハッカーズが身近に居たりしてな。
エンデュランスとか何かそんな雰囲気あるんだよな……。ぴろし3とかも……ありゃ違うか。
けど……八咫は何でぴろし3となつめとパーティ組んでトーナメントに出ろ、なんつー指示を?
よく分かんねぇけど、勝ち進めば何か見えてくるかもな。アイツの考えてることが分かんねぇのもいつものコトだから。


『じゃあよ。俺とそのカイトって奴がもし戦ったら……どっちが勝つと思う?』
『うーん。ハセヲさんには悪いんですが、やっぱりカイトさんかと』
『へぇ……そんなに強いのか、ソイツ』
『もうですね、強いとかカッコイイとかそんなレベルじゃなくてですね、ピースな愛のバイブスで ポジティブな感じの…… 』


個人的にも興味が沸いて来るってもんだぜ。
眉唾もんだと思ってた伝説が、マジで実在するんだからよ。
俺も今じゃ《The World》でもっと遊びたい、もっと楽しみたいって思ってるユーザーの1人だ。
こーいうことをちょっと考えたってバチは当たらねーだろ?


「カイト……俺は、アンタと戦ってみたい」


そして聞きたい。話をしたい。
何故そんなに無敵だったのか。どうして世界をブッ壊せるような強大な力を持った敵に立ち向かえたのか。
どうやって世界のルールすらも書き換えちまうイリーガルな力に振り回されることなく、戦い続けられたのかを。
俺にはないものを、たくさん持っているアンタ。紛い物ではなく、マジのアンタと会ってみたい。
なつめはな、アンタが帰ってくるのをずっと待ってんだぞ。
……伝説の勇者。アンタは今、何処に居る? 


【 TO BE CONTINUED... 】

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