「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

「彼が目覚めたようだな。……まだ不完全ではあるが」
「ハセヲのプレイヤー、
 三崎亮に2010年末まで入院していた記録があったのは……このためだったのですね?」
「本人は覚えていないようだが……
 2010年に未帰還者となった他のプレイヤーにも差はあるが記憶障害と見られる症状が確認されている。
 ハセヲの場合は彼の意識自体が一人歩きして放浪AIと化し、そのままゲームへと溶け込んだと言った方が早かろう。
 彼の他にもそんなプレイヤーは数名いたようだが……ある意味、彼はまだ未帰還者なのかもしれないな」
「人格をゲームに持っていかれた……広大なネットの海に……?」


ハセヲ曰く「覗き部屋」こと知識の蛇でのやり取り。
八咫もパイも先ほどのハセヲの試合を当然、知識の蛇から視ていた。
試合中のハセヲの豹変ぶりをパイは驚愕しながら、八咫はさも当たり前の様な眼差しを向けながら。


「ですが、どうして今頃になってかつての人格が……?
 あの子のあの性格ならば憑神が覚醒した時にでもスケィスと同調して思い出したはずでは……」
「恐らくはオーヴァンの再誕が原因だろう。
 あの時、大聖堂にアウラが一時的に降臨しアイナを通してハセヲと再会した時
 ハセヲにかかっていた記憶のプロテクトが解けたのだ……本人が気づかないうちに」
「……」
「加えて今回のトーナメント。
 憑神を持つ君ならば察知しているのではないかね? 誰かに視られているという奇妙な感覚に」


確かに八咫の言う通り。
パイもここ数日の間、特にトーナメントの開催が決まってから誰かの視線を常に感じていた。
だがそんなコトは有り得ない。
このPC、パイは佐伯令子の義兄が作成した特別なPC、碑文使いPCである。
ハッカー程度の監視などタルヴォスが受け付けるはずもない。
なら彼女を見ている“何か”は憑神をも超越した存在と言うことになってしまう。
憑神を越える存在。そんなもの、この世界に1つしかないではないか。


「……女神が、来ているのですか?」
「……パイ。君は日本書記を読んだことはあるかね?
 岩戸に隠れたアマテラスを引き出すため、神々は宴会を開き、
 それに誘われた女神は岩戸から出た、と……巻第一・第七段にそう記されている」
「では今回のトーナメントは再びアウラをこの世界へ呼ぶために開催した、と?
「いや。最初に言っただろう、同窓会だと。彼女は……彼らが戻るのを待っている。
 1人は楚良、ハセヲの中に眠るかつての彼を形成していた人格。アウラの闇を織る者。
 そしてもう1人は彼女の光を織る者。蒼炎の守護神。勇者サヤの影持つ者……そして、女神に愛されし者」
「まさか……」


このゲームを、《The World》をプレイしたことのある人間ならば必ずどこかで聞いたことのある、その名。
もはや伝説と呼んでも遜色のない程に神格化されたソレに憧れる人間は後を絶たない。
4年前、2014年にソレのPC抽選会が行われ、一時期勇者が復活した等と言う噂も聞くが……。
とにかく、八咫の述べている人物がパイの思い描く人物と相違なければ、それは―――――――――――――


「勇者、カイト……?」


八咫はそれ以上語らず。
ただ彼の背中がパイの問いを肯定している……何故か、そんな風に見えた。













*************************












「お」
「ハッ、ハセヲっ!?」
「智香。どした?」
「どしたじゃないだろ、どしたじゃさぁ〜っ!? あの後なんにも言わずにどっか行っちゃうし、ショートメールにも返事くれないし!
 今から探しに行こうって思ってたトコにいきなり戻って来ちゃってさ! ってかゲームの時は智香禁止!」


大聖堂でクーンと別れた後
ひとまずタウンで次の試合の準備でもしようかとゲートを潜った矢先に智香……揺光と出くわす。
いいタイミングで出くわすもんだ、もう夜も遅いってのに。カールは……いないみたいだな。コイツも今1人か。


「1人で色々考えたいコトがあったんだよ」
「ならアタシに相談してくれれば良かったのに!」
「……そーだな。次からはそうする」


とりあえずいつもみたく、ポンと頭を軽く叩いてやって宥めるのが得策か。
だよなぁ。クーンの言葉も参考になったっちゃなったけど、やっぱ相談するなら
こういう場合は付き合ってる智香にするべきなんだよなぁ。
クーンルートのフラグとか立ってねーだろうな?


「なぁ、さっきのカールが言ったコト気にしてんのか? ソラがどうとか、って……」
「……気にしてねぇ、って言ったら嘘だな。割と俺の根本的な問題だしよ」
「アタシにも相談できないようなコトなんだ?」
「いや、相談に乗ってくれるってんならいくらでも話すぜ。信じる信じないはお前の自由だけど」
「……バカ。どんな話でも、ハセヲの話ならアタシは絶対に信じちゃうって知ってるクセに」
「(だから尚更、巻き込みたくなかったんだけどな……)」




















―――――てなコトになってんだ、今。正直、俺もワケ分かんねぇ」
「カールが言ってた楚良って、もう1人のハセヲのコトだったんだ……ジキル博士とハイド氏みたいだな……」
「俺は全然記憶にございません状態なんで、チンプンカンプンだけど」


どこで誰が聞いているか分からない。
ただでさえさっきの試合で注目集めちまったってのにカオスゲートの前で堂々と話せるような内容じゃない、ってコトで適当にワード形成して
そのエリアで揺光にこれまでの経緯を話してみた。因みにフィールドは夜。グラフィックとは言え星が綺麗なエリア。


「あんな潤香、じゃないや……カール見たの初めてだった。
 よっぽどその楚良ってのに執着してんだろうね。ハセヲと別れた後、カールもどっか行っちゃうしさ。
 あ、でも別れ際に『ハセヲに変なコト言うな!』って一応クギは刺しといたから」
「あの女が素直に言うこと聞くとは思えねーけどな。お前だって決勝で俺と戦うつもりなら好都合なんじゃね?
 せっかくチームメイトがヤる気になったってのに」
「ハセヲがカールに言い寄られてるの見るのは面白くなかったから……
 そりゃ友達だけどさ、友情と恋愛は別腹って言うのかな……と、とにかく嫌だったんだ!」
「妬いてくれたのか?」
「い、いやっ、その、それは確かにそうかもしれないけどっ、
 カールは飽くまで楚良ってのが目当てでハセヲが目当てってワケじゃなくて、
 でも楚良はハセヲの中に居るんだからやっぱりハセヲ目当てってコトになって……あ、あれ?」
「や、そこまで複雑に考えなくていーから」


やばい、揺光の思考回路がショート寸前だ。
まぁ一度に全部掻い摘んで説明しちまった俺も悪いんだろうけどさ……。
とにかく、これでますます後に退けなくなっちまったワケだ。行くっきゃねぇだろ、決勝によ。


「うーん。
 二重人格ってコトになるのかな、それって。
 でもあの試合のハセヲ、アタシが見てもフツーじゃなかったしなぁ。
 『答えは聞いてない!』とか言ってたし……。
 あと、アタシが知らないハセヲをカールが知ってるってのも何かムカつく」
「(へぇ。クーンの言ってたことも満更嘘ってワケじゃなかったんだな)」
「ハセヲ?」
「何でもねーよ。世の中ワケの分かんねぇコトがいっぱいあんだな、って思っただけ」
らき☆すたのOPが何て歌ってるのか分かんないみたいに?
「かもな」


Rootsも京アニに製作してもらえれば作画や動きももっとマシになってたかもな。
俺の盆踊りとか。


「ハセヲはこれからどうすんの? その楚良ってのと戦うつもり?」
「クーンの奴は楚良を認めてやれ、って言った。
 俺はまだ正直そんなのできっこないって思ってる……。
 でも時間かけて、もしアイツと話せるなら話してみるつもりだ。
 俺の記憶が抜け欠けてる原因を……アイツなら知ってるはずだから」


ここで俺の独白は終わる。
後はまぁ……ちょうど星も(ゲームの中だが)出てるし、揺光を抱き寄せてだな……。


「え、えっ? な、何?」
「いや、一緒に横になって星でも見ようかと……嫌だったかのか」
「そそそ、そんなコトないけどさっ、何か、そーいうのアンタのキャラじゃないってゆーかさっ!」
「お前と2人きりの時は地が出んの。つーか智香、お前もこういう時くらいロール止めれば?」


知らない仲でもないってのに、コイツは俺の前でも“智香”じゃなくて“揺光”で在ろうとする。
この前東京に来た時は自分から俺に手ェ繋ごうって言って、キス迫っったクセに……。
それともゲームとリアルで顔使い分けてんのか? 
じゃあ俺が変なのかな、ゲームもリアルもどっちも地だし。


「うぅ……。じゃあ、ちょっとだけだから……ね?」
「夜這いに来たコトもある女の台詞とは思えねーなw」


俺の感覚は《The World』と同調している。
地面を踏んだ感覚、木や草の触感や匂い、そして痛覚。碑文使いPCの特権。
リアルで右手用コントローラーを握る俺の手は、コントローラー以外にも軟らかな感触を確かに捉えていた。
智香のPC・揺光の肌触りや服の感触、匂い、全てを五感で感じられるように。
抱き寄せた揺光の“本来ならばそうあるであろう”体温や軟らかさを感じながら、もう片方の腕を星空に伸ばす。


「(今度こそ取り戻すんだ……全てを)」


【 TO BE CONTINUED... 】

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