「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

「予想はしていたが……遅かったな」
「……何故、ハセヲが楚良だとあたしに教えなかった?」


沸々と。
静かに滾る怒りを露わにして。
黒衣の魔女は、再び知識の蛇の敷居を跨いだ。


「個人情報をそう易々と、他のユーザーに漏らすワケにはいかない。
 例えG.U.のメンバー候補であっても」
「あたしが何年も楚良を探してたの、あんただって知らないワケじゃないだろうっ!?」
「カール、八咫様はハセヲのプレイヤーのプライバシーを……」
「オバサンは黙ってろ」
「オバッ……!」



トーナメント2日目。
試合開始が数時間後に迫る中、知識の蛇の門を荒々しく破る者がいる。
破る、と言うのは少し違うかもしれない。
少なくともゲストキーを持っていさえすれば、招かれざる客というワケではないのだから。
最も、八咫の前で年齢にそぐわない表現をされたパイにとっては十分に招かれざる客であるが。


「あんたがアウラに拘るなら、あたしは楚良に拘る!
 第一、あんたの場合は名前からしてあの子に固執してるからな。
 八咫ってのは日本神話で女神の天照が岩戸に隠れた時、岩戸から出すために使った八咫鏡のことだろう?」
「ご名答」
「あたしはもう母親としての役目は果たした、アウラに会いたいなんて思っちゃいない。
 でも楚良に関しては話は別、あたし達の時間は7年前からずっと止まったまんま!
 それもこれも、アンタや蒼天のバルムンク、そして勇者気取りのアイツのせいだ!」 


7年前の2010年。
かつて八咫の前身である賢人、ワイズマンは。
ドットハッカーズの一員として蒼天のバルムンク、勇者カイトらとともに世界の意志たるモルガナに挑んだ。
結果としてアウラが再誕し、世界は正常化。
モルガナの尖兵として生み出された対アウラ抹消プログラムたる八相も消え、
八相やバグモンスターによってデータドレインされ意識不明となった者達も意識を取り戻すことができた。
……だが。


「余計なコトしてくれたな! 
 あたしと楚良の世界を勝手にブチ壊した挙句、またあたしの邪魔をする気!?」
「君は、あのまま未帰還者でいたかった、と?」
「そういう選択肢もアリだろ? 
 好きな子とずっと一緒に居られる、誰も邪魔できない2人だけの世界……最高じゃん。
 それを、あんた達は糞みたいな偽善でリセットした……あたしはあのままで十分だったのに!」
「勝手なこと言わないで! 貴女にだって貴女の身を案じる家族や友達が―――――――
「楚良以上に大事なものなんて、あたしにはない!」


瞬間、パイはカールの一喝に身震いを覚える。同じ女同士だから、分かるものがあった。
執念、それもかなり歪に捻じ曲がった女の情念とでも言うべきか。
かく言うパイも、カールの言っていることが理解できないこともないのだ。
義兄が死んだと聞かされた時の、やり場のない憤りや怒り、悲しみ。
しばらく心を閉ざしてしまった時期が令子にもある。
だから分かる。カールの楚良への、ハセヲへの想い。
純粋すぎるが故に実直すぎて、周りが何も見えず、ただひたすらに求める。
まるで……憑神を手に入れた直後のハセヲのよう。そして何処か自分にも似ている。


「(女のさが……逆らえないのね、貴女も……)」











************************










「何とか引き下がらせましたが……」
「彼女はまた来る。フィドヘルもそう言っている……」
「予言……ですか」


あのまま論争を続ければカールは間違いなくこの知識の蛇の中ででも
憑神を、あの全身を紅い布で拘束したスケィスを喚んでいただろう。
パイのタルヴォス、八咫のフィドヘルの2体でもカールのスケィスを止めることは難しい。
あれは憑神と言うより祟神か荒神に近い存在。《R:2》でなく《R:1》。最も古く、そして新しい神。
ハセヲのスケィスが現存しているにも関わらず存在を維持できるカールの紅いスケィス。
あれは……一体何なのか。


「彼女の想像力イマジネイションが生み出した“想像の産物”とでも言うべきか」
「プレイヤーの意志が、システムに作用して憑神を生み出したと……?」
「古来より人間の想像力は様々な架空の生物を生み出してきた。
 西洋におけるドラゴンや妖精、東洋の龍や妖怪の類はその代表と言っていいだろう。
 場所は違えど、生ずる場所は常に闇……心の中の闇が新たな怪物を生み出す。
 彼女の執念があのスケィスを生み出したのは間違いない……最も、それは彼女が
 以前スケィスにデータドレインされた縁があることが一番の要因だが……」
「でしたらクーンも《R:1》プレイ時、スケィスに……」


そう、クーンも7年前にスケィスにデータドレインされ、意識不明となった経歴がある。
ならばクーンとてスケィスを開眼させる可能性を秘めていたのではないのか?


「だが結果としてクーンはスケィスではなくメイガスを開眼させた。
 ただデータドレインされるだけでは駄目のようだな。
 ハセヲ……いや、楚良やカールのようにスケィスと最も縁のあるPCだからこそ開眼できたと言うべきか。
 やはり根底にあるのはイメージ、すなわちイマジネイション。
 あらゆる感情を糧とし、憑神はこの世界に顕現する……
 あの紅いスケィスは、カールというPCの楚良への想いが生み出した……いや、これ以上は止めておこう」
「八咫様……」


八咫も心境複雑と言ったところなのだろう。
7年前、彼らは自分達の行いを正義と信じてモルガナを破った。
けれどそんな彼らの行為を「余計なコト」と言い切る人間もいる。
善を知りて悪を行い、悪を知りて善を行う。望む世界に希望はあるか―――――――――


「だが彼女が試合中に憑神を使わないという保証もない」
「はい。念のため、ハセヲに警戒するよう伝えておきます」
「カールはハセヲの中の楚良を“再誕”させるのが目的のようだ。
 そのためならば手段は選ばないはず……データドレインですら躊躇なく使うだろう」
「……っ」
「心配かね?」
「い、いえ……そんなことは……」


思うに、パイこと佐伯玲子は有能な人材である反面、人生を損しながら生きている。
自分が言えた義理ではないが、たまには仕事抜きで彼と関わってもよさそうなものを……。


「トーナメントの運営は引き続き私が担当する。君も今日は試合を観戦してはどうだ」
「ですが……」
「行きたまえ。ハセヲをよろしく頼む」
「……畏まりました」














**********************
















『がっ、“がび”チームの猛攻に次ぐ猛攻ォ――――――――!!!
 Iyoten選手とアスタ選手、そして“がび”選手のコンビネーション攻撃の前に
 ハセヲチーム、じりじりと追い詰められています! こ、ここまでなのかァ――――――――――――――!?』


トーナメント2日目。
俺達の対戦チームは“がび”チーム。
Iyotenとアスタはまだしも、あのケモノオヤジの強さはハンパねぇ。
さすがケストレル5000人の頭ってことだけはありやがる……正直、ここまでとは思ってなかった。
しかも分が悪ィことに今日はぴろし3の奴がいねぇ、つまりは俺となつめだけしか戦ってねぇってコト。
ボルドーとの試合を思い出すぜ……あの時の試合もエンデュランスが来てくれなきゃ正直負けてたな。
けどよ、今更泣き言なんざ言っても始まらねぇ!


「さすがのハセヲ殿も、3対2では辛いと見えるでござるな!」
「PKトーナメントの時の借りは返させてもらうぜ!」


いい気なもんだ。
コイツらにPKされてなきゃ、俺はもっと違う俺でいられたかもしれねぇ……。
でも本当に警戒すべきはコイツらなんかじゃない、
フィールドの隅っこで大剣構えて目ェ光らせてるあのケモノオヤジだ!
あの2人を掻い潜ってリーダーの“がび”を仕留めようにも、間合いに入る隙すら与えてくれねぇ。
トーナメントに参加したのは初めて、とか言ってやがったクセに……とんだオヤジだぜ、まったく。


「今頃になって“がび”様にビビっても、もう遅いってのw」
「Iyoten、本当の地獄はこれからであろう?
 何せ、“がび”殿はあと2回も変身を残しているのでござるからな」
「あ、あと2回も変身をっ!? ハ、ハセヲさんっ、なつめ達はもうダメかもしれません〜!」
「(普通に嘘って気づけって……)」


ハッキリ言って、また追い詰められてる。
やっぱ2対3っつーのは不利だな、レベル差とかプレイヤースキル抜きに考えてもよ。
こんな時に限って楚良の奴は出てこねぇし……!
ぴろし3の奴は結婚記念日で家族と飯食いに行っちまってるし……アイツがいりゃ、ちっとはマトモな戦いになるってのによ……!


「ハ、ハセヲ、またまたピンチだぞぉ〜!」
「相手がケストレルの“がび”さんだからね……一筋縄じゃいかないよ……^^;」
「だ、大丈夫ですっ! 
 ハセヲさんなら昨日みたいに、逆転勝利しちゃいますよ!」
「アタシもそう思いたいけどさ……Iytenとアスタを倒して“がび”と戦おうにも、もう時間が……!」
「……あの子、どうして今回に限って2人で出場したのかしら? 
 メンバー不足なら私を呼べばよかったのに……」
「……」
「な、何よ」


シラバスらお馴染みもメンバーの中にパイの姿もあった。
八咫の勧めで今日はハセヲの試合を直接、アリーナまで見学に訪れ、合流するに至ったのだが―――――――――――


「か、勘違いしないでね。
 私はただ、メンバーが足りないなら声くらいかければ良いのにって思っただけで……」
「……ま、そういうことにしといてあげる」
「揺光さん、最近カールさんに似てきましたね……」
「そう言えばカール、今日はまだ来てないねぇ。ケンカ、続いてるのかぁ?」
「大丈夫、試合が始まる頃には来るよ。カールちゃん、時間には律儀な人だから^^」
「……来るよ。カールは」
「……来るわね。彼女」













「“がび”殿の手を煩わせることもないでござるよ。拙らだけでカタをつけてしんぜよう……去ねっ!」
「悪く思うなよ。お2人さんw」


勝利を確信したアスタとIyotenが迫る。
再誕の時に駆けつけた時は少し見直してやったけど、さすがに本来の性格までは直んねーか、やっぱ。
獲物を追い詰めて最高にハイになってる、そんな目だぜありゃ。


「(……なつめ。アンタ、あの2人を1分だけ食い止められるか)」
「(食い止めるって、ハセヲさん……がび”さんと一騎打ちする気ですかっ……さっきあんなにやられたのにっ!?)」
「(そうでもしなきゃ、このままタイムオーバーで負けちまうだろうが。
  残りHP残量を考えると、どう考えてもこのまま何もしなきゃ俺らが自動的に負ける……。
  アンタが奴ら2人を引き付ければ、少なくともあの連中からの『反撃』は食らわない……!)」
「(わ、分かりました……ぴろし3も居ないし、私、やってみますっ!)」
「(よし……)」


“がび”の大剣に対抗するには双銃や双剣、大鎌じゃ無理だな。
目には目を、大剣には大剣しかねぇか……。
大剣にチェンジするとPCの移動スピードが他の武器を使ってる時よりも下がる、
チェンジするタイミングは目の前の2人を突破して、“がび”に踊りかかる一瞬しかないだろう。
できるか? 下手すりゃ、攻撃する前にバッサリやられちまうぞ……かなりシビアな作業になるかも……
って、迷ってる時間もねぇんだったな……!


「ハセヲさんっ!」
「任せた!!!」


Xthフォームになってから追加された機能の1つにダッシュがある。
それに俺本来の……ハセヲの跳躍力を加えてやれば……跳べるっ!


「! 跳んだっ!?」
「拙らを出し抜き“がび”殿と果たし合おうと言うのか!? 
 何と大胆不敵な……!」
「行かせません! ここから先は、私がお相手しますっ!!!」


素早くIyotenらの前に立ち塞がり、双剣を構えるなつめ。
いくらこの2人でも最恐のPK・エッジマニアのなつめの噂くらいは知っている。
しかし眼前の双剣士はとてもではないが、あのPKと同じ人物とは到底思えない。
彼女にPKされた他のPCから「とにかく目つきがハンパなくヤバイ」と聞いているし……。


「へっ、いいさ。
 どうせ“がび”様には敵いっこないんだしな」
「これもまた一興……拙らの実力、篤と御覧じられい」
「(カッ、カイトさん……1分間だけ、私に勇気を貸してください……!)」


『こっ、これはっ!? ハセヲチーム、二手に分かれて分散攻撃に打って出ました――――――!!!』
『試合の終了時間が迫ってる以上、あれっきゃ手は無ぇってこった。
 だが“がび”は相当に手強ぇぞ、時間内に仕留められるかどうかは……賭けに近ぇな』


間合いがどんどん詰まってくる。
こっちから攻撃を仕掛ける以上、“がび”はカウンターとして返してくるか、
それとも一旦ガードしてこっちの様子を見るか……いずれにしても、俺が攻撃しねーと
後ろで踏ん張ってるなつめの努力が無駄になっちまう! 
だから……攻めて攻めて攻めるっきゃねぇ!


「小僧、講義の時間だ!(^ω^)」
「“がび”ぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」


双銃を撃って弾幕を巻き上げると同時に大剣にチェンジ、落下の加速を利用して“がび”目掛け一気に振りかざす!


【TO BE CONTINUED... 】

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