「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

「(! いねぇっ!?)」
「後ろだ(^ω^)」
「!」


振り向く間もなかった。
「後ろで声がした」と脳が感知するよりも速く、
“がび”が放った○ボタンタメ押しの豪撃に俺は薙れて――――――――ねぇんだな、これが。
ケモノオヤジが大剣を振るうよりも、俺が攻撃を繰り出すのがはやかった!


「ほほぅ!」
「自分で作った弾幕で相手見失う程、バカじゃねーってのっ!」
「うむ。それでこそオーヴァンの見込んだおとこ!(^ω^)」


あぁ、そーいやアンタ、オーヴァンと義兄弟だったっけな。
三国志で言う、桃園の誓いみたいなもんか?
オーヴァンが関羽ならアンタは張飛ってトコだな、どう見ても。


「時間がねーんだ、さっさと倒させてもらうぜ!」
「ガハハハッ!!! 来い来い!」


大剣と大剣がぶつかり合う。
現実(リアル)でコントローラーを握り返す暇すらない。
“がび”と戦うのはこれが最初で最後になることを願いてぇ……このオヤジ、今まで戦った誰よりも強ぇ!
ほんの僅かに剣を交わらせただけで、否応なしに理解わかっちまう!
瞬きすら許されない。呼吸すら許されない。
そんな事してる暇があったら攻めろ。
獣王の陥落なくして、この試合に勝つ術はないのだから。


「アンタにゃネットワーククライシスの時に世話になったっけなぁ! 
 あン時はどーもなっ!!!」
「あんなもの、戦後の食糧不足やオイルショックの時に比べれば、軽い軽い(^ω^)」
「いくつだ、てめーはぁっ!?」


こりゃ大火のオッサンよりもずっと歳行ってるな。
オイルショック? 74年と78年のどっちだ? って、んなコト考えてる場合じゃねぇっ!


「小僧、“若さ”とは何か知っているか?」
「さーな! どっかの宇宙刑事は『振り向かないこと』って言って気が……するけどなっ!」
「おおっと! じゃあ“愛”って何だ?」
「へっ、躊躇わねーことだよッ!!!」
「そうかそうか! よく分かってる(^ω^)」


そうだ、躊躇っちゃいけない。
でなきゃコイツには勝てねぇ、絶対にだ。
「今の攻撃はマズかった」とか「この攻撃は防げるだろうか」とか考えるよりも速く、
躊躇うことすら忘れて攻めるしか、勝てる方法が思いつかないからだ。
けどコイツ、想像以上に計算して攻撃や防御を行ってやがるる……
もしかすると、頭のキレ具合はオーヴァン以上……!?。


「人間行動学」
「あん……!?」
「専門は文化人類学だったがな。
 他にも民俗学、動物生態学、社会心理学、考古学なんかも在職中は齧ったぞ。
 だが人間行動学も面白い。 このゲームは色んなヤツらが集まるから見てて飽きない!
 特に小僧、お前はオーヴァンの言っていた通り面白いヤツだ(^ω^)」
「アンタのリアルなんざ知ったこっちゃねーっての! 人間観察したけりゃ勝手にやってろ!!!」
「うむ! それも《Thw World》!!!」


決勝に進む前に……こんなトコで負けてられっか!
後方でアスタ達の相手をしてるなつめも善戦してるように見えて、もう限界が近い。
楚良に頼るか…!? 
いや、ダメだ。俺からアイツを頼ったんじゃ昨日の試合の二の舞じゃねぇか……!





















***********************





















「(やはり多勢に無勢では……分が悪いか)」


ハセヲの試合を知識の蛇からモニターする八咫。
ハセヲのチームになつめとぴろし3を推薦したのは自分とは言え、やはり戦力が1人不在の状況はマズイ。
しかも相手は《The World》でも一大勢力を気づいた巨大ギルドの1つ、ケストレルの長。
アリーナには一度も出場していなかったのでその実力は未知数だったが、
やはり相当な使い手であるのが画面を通して伝わってくる。
伊達にオーヴァンが認めた数少ない人物の1人ではなかった、と言うこと。


「ねぇ、ワイズマン……じゃなかった、八咫。
 本当に僕が出ていいの? なつめ達、失格にならない?」
「試合が開始される寸前に君を彼らのメンバーとして登録しておいた……何も問題はない」
「そっか。じゃあ早速行ってくるよ、早くしないと負けちゃうかもしれないし」
「あぁ……頼む」
「じゃ!」


知識の蛇には八咫以外にもう1人、PCの姿を確認することができる。
部屋の照明設定が暗いせいかPCカラーの特定は難しいが
モニターからの反射光でその姿を見る限り、小柄な少年の様だ。
しかし職業ジョブまでは分からない。
目を凝らして見るとPCカラーは赤……いや、山吹色に近いだろうか。
だが何よりも目を惹くのは頭に被った大きな帽子と、その帽子から覗くライトグリーンの髪。
どういう意図でエディットされたのかは定かではないが、この色は《The World》の中でも珍しい組み合わせである。


「行ったか……」


八咫に軽く会釈すると同時に、少年は姿は知識の蛇から掻き消えていた。
の場所、アリーナへと赴くために。
パイに今日に限ってハセヲの試合の観戦を進めたのはこのためだったのかもしれない。
確かに彼女は頼れる部下だが……友との語らいの時間くらい、八咫とて欲しい時もある。
その友を再び戦場に送り出す自分の身勝手さ、これは昔から変わらない。
大人になったと思っていたのは勘違いらしく、まだまだ自分は歳相応の子供だと実感せざるを得ない。
だって、そうだろう?
彼の戦いを、勇者の戦いを、7年ぶりにまた見ることができることが……こんなにも心躍らせるなんて。


「視ているか……女神よ。貴女の希望が還って来られた」


いや、違う。
女神だけではない……彼は自分達の希望でもあった。
希望そのものだったのだ。
どんな困難な状況においても、彼なら、きっと彼ならどうにかしてくれるのではないか。
そんな不思議な気持ちにさせてくれるのが彼だったはず。
そして願わくば、八咫は彼になりたかった。
女神に、世界に愛された彼こそ彼の生涯の目標。
オーヴァンが人を超えたのならば……彼は、世界を超えた存在。


「結局、私はあの時のまま……頭でっかちの子供のままだった。
 だが君は……大人になってしまったな。
 私はそれが羨ましい反面、少し寂しくもある……なぁ、カイト。
 君の冒険は……君の物語は……今もまだ、続いているのか……」
































************************




















「そらそらそらっ!」
「斬り捨て御免でござるよっ!!!」
「(あわわ……もう、これ以上は……む、無理ですぅ!)」


片方の剣でIyoten、もう片方の剣でアスタと必死の攻防をなつめは繰り広げている。
エッジマニアに覚醒してしまえば敵ではないのだろうが、極度の緊張がその覚醒を妨げている様だ。
なつめ本人がその事実を知らないのでは尚更のことである。
だが、ハセヲからこの場を任された以上は退けない。彼だって“がび”と必死に戦っている。
自分を信頼してくれた相手を裏切ることだけは、絶対にしたくない。
それが7年前、彼が教えてくれたコト。自分と仲間を信じるコト。
だけど……。


「今だ、アスタッ!」
「心得たっ! その首、貰い受ける!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


一瞬の隙をついてIyotenの斬撃がなつめのガードを解き、
入れ替わる様にしてアスタの大剣が歯車の音をキシキシと立てながら振り上げられた。
アーツは使わない。使えば『反撃』でカウンターを返されてしまう可能性がある。
だからIyotenに隙を作らせ、アスタはなつめが無防備になってしまうのを待っていた。
彼女が防具に睡眠や麻痺、
属性攻撃などのカウンターアイテムをカスタマイズしていないのは確認済み、行ける。
アスタの大剣は歯車から火花を散らし、みるみるうちになつめのHPを削り取っていく……負ける!


「! なつめセンパイ!!」
「行かせん(^ω^)」


“がび”と対峙するハセヲが叫ぶ。
すぐにでも救援に駆けつけたいところだが“がび”がそれを許さない。
もうダメか? 例えリーダーの自分が最後まで試合に残っても、合計HP残量の差で“がび”チームには負ける。
ならいっそのこと……なつめを助けに行くしか手は無い!


「あーもうっ! 何やっとんねん、ハセヲのヤツゥ〜!?」
「……」
「もうすぐ試合終了っちゅうのにぃ〜! 
 なぁ、エン様、このままやとハセヲ負けて……エン様? どないしはったんですか……?」
「……エノコロ草の匂いがする」
「へっ?」


第六相の碑文使い、頼もしきネット中毒者ジャンキー―――――エンデュランスは。
虚空に渦巻く蒼炎を、確かにその双眸に捉えた。


「南無三! もうHPも残り僅かでござろう!?」
「アスタはホント、獲物をギシギシするの好きだよなw」
「うっ……くっ……!」


もうダメだと思った。
もうどうにもならない、ギリギリまで追い詰められてしまったこの状況をどうにかすることなど無理だ。
いや、なつめは知っているはずだ。
どんなにとんでもないことが起きても、きっと何とかしてくれる。
そんな不思議な気持ちにさせてくれる人を。
自分を嫌いにならず好きになることを教えてくれた人を。
人は誰でも自分の好きな自分になれると教えてくれた人を。
想うだけで強さをくれる人を。
どんな時でも諦めてはいけない強さをくれた人を。
だから―――――――――――


「さぁて、そろそろトドメを……」
「で、ござるな♪」
「(カイトさん――――――――――――――!)」


だから、その人はいつも彼女の傍に居る。


「……Iyoten。お主、何かスキルを唱えたでござるか」
「は?」
「こ、此奴を見るでござるっ!」


優勢に転じているアスタが素っ頓狂な声を出したため、Iyotenも思わず間抜けな声で返した。
アスタのリアル、堀辰巳が本番のプレッシャーに弱いことをIyotenのリアルである坂井直也も知っている。
大学受験に失敗した辰巳をこのゲームに誘ったのも直也だ。
以来2人一緒にPK三昧の毎日。
付け加えるならば辰巳に現在のアスタのロール、ござる口調を勧めたのも直也だった。
2人の友人関係は良好。
ただ2人で組んでPKする以上どうしてもアスタの方が自分より目立ってしまうことを除けば。
なのでそれ以外ではIyotenはアスタを信頼していると言える。
彼女(彼?)の強さも。
しかし、目の前の不可解な現象に関しては……そんな信頼が何の役に立つと言うのだろう。


「あ、蒼い炎が……此奴の身体から……!」
「な、何だ、こりゃ……!? ア、アスタ、離れろッ!!!」
「これ、は……?」

























蒼 炎 球 !!!































時既に遅し。
なつめを守るかの様に顕現した蒼炎は、螺旋の渦を描きながら爆風を生じさせ、
その中から飛び出した蒼白い炎を纏った火球が、Iyotenとアスタを軽々とフィールドの壁まで叩きつけた!


「がぁっ!? な、何だ、この威力……ッ! HPが……い、一気に……!?」
「きっ、奇怪な術で……ござる……! 何奴なにやつの仕業ッ!?」


所謂、火炎旋風と呼ばれる現象に近いのだろうか。
2人のPKにもワケが分からない様子だった。
理解るのは、眼前に揺らめく炎の渦が蒼いというコトだけ。
炎は高温になると紅から蒼へと発熱すると言う。
古来より狐火や鬼火も俗に蒼色とされているが、これは沼などから発生したガスが原因とされている。
“幽霊の正体見たり、枯れ尾花”とはよく言ったものだった。

「むう!?」
「あれは……!」


なつめを助けださんと“がび”との戦線を離脱しようとした矢先、ハセヲは身震いして動けなかった。
“がび”もそれは同様らしく、攻撃の手を休めずに凝視し続けている。



『三爪痕(トライエッジ)を知っているか?
 蒼炎を纏った伝説のPKの名だ。奴にキルされたPCは二度とリアルに復帰できないらしい』



それが、始まりだったと思う。
志乃をPKした張本人だと思い込み、ずっと追い続けてきたハセヲの仇敵。
だが、あの蒼炎は同じ様で全く違う。
あれはハセヲが知っているものよりも熱く、激しく煌いている。
エンデュランスがボルドーとの試合に駆けつけてくれた際の状況とよく似ているだろうか。
あの時はバトルフィールドいっぱいにバラの花弁が舞っていたか……では、今度のコレは何だ?


「大丈夫だった?」
「あ……あ……!」


蒼い炎が収束して最も激しく燃え上がっていた渦の中から、
何事もない様に1人の少年が姿を現す。
同時にあれだけ強く吹き荒れていた蒼炎は収まり、彼の元へと還っていった。
炎はもう無い。
代わりに静寂が世界を支配していた。
その少年の笑顔だけが世界の全てに思える程の静寂が。
このあまりに異常で異質な状況を、
その場に居た全員が、
総ての《The World》のプレイヤーが視ている。
もう二度と無いと思われていた伝説の帰還を。



「遅くなってごめん―――――なつめ」
「……遅く、なんてない……全然、遅くなんて……ないですよ。
 だって、いつも、私……信じてて……絶対、また会えるって……だから……だから……カイトさぁんっ!」



勇者の帰還。
伝説は此処に帰還せり、物語は未だ帰結せず。


【 TO BE CONTINUED... 】

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