「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『“忙しい”という言葉は、面倒くさいと思っている時によく使う』


【白石公子著 『ままならぬ想い』より】

―――セヲ、ハセヲ!」
「……ん?」
「ボーッとしてちゃダメじゃない。揺光達の試合、もう始まってるんだから^^」
「あ、あぁ……そうだったな」


いけね、俺そんなにボーッとしてたか?
よりによってこんな時に智香との……を思い出しちまうとは。
にしても……。



『さぁ、いよいよ始まったトーナメント2日目の最終試合!
 決勝に進むのは太白チームか、それとも揺光チームかっ!? 
 太白選手には揺光選手と天狼選手、三郎選手にはカール選手がそれぞれ向かい合っております!
 うーん、やはりこの布陣は両者ともに最初から狙ったものなのでしょうかッ!?』
『だろうなぁ。
 鎌闘士は接近戦はまだしも、遠距離からの攻撃には弱ぇ!
 その点、双剣士と拳術士はスピードに優れてるからよ、距離を詰めて戦うことができる!!
 太白の担当にゃあ揺光と天狼が打倒だと踏んだんだろう……ジョブの相性ってのも戦闘にゃあ欠かせねぇ要素だ!』



「……とか言ってるよ?」
「放っとけばいい」
「だよねぇ。
 あ、でも私としてはカールと戦いたかったし、好都合だったんだよw」
「……前にも言ったけど」


ブゥンと。
紅い大鎌で弧を描くように宙を薙ぎ、カールが言い放つ。


「ネカマに興味ないし」
「酷っ!」


カールと三郎が知り合ったのは最近のこと。
有体に言えば、カールが三郎の熱意に負けてメンバーアドレスを教えてしまったのが原因なのだが。
どうにも人懐っこい三郎をウザいとも思いつつ、何だかんだで一緒に行動することが多くなっていた。
だが、どんなに口調が女のようでも。
どんなに女の姿をしていても。
三郎がネカマであることは揺ぎ無い事実であって、
それがカールの男嫌いに拍車をかける結果になっていたのを、まだ三郎は知る由も無かった。


「今の私の関心、ハセヲよりもカールに向いてるってのは知ってた?」
「さあ」
「たはは……本格的に嫌われちゃったかな、こりゃ」


最初に彼女を見かけたのはマク・アヌ。
永遠に終わることのない黄昏に彩られた街を、彼女が歩いていた。
長い銀色の髪、黒のドレス(実際は群青色だが)、胸元の宝石、女性PCにしては割と珍しい180cm近い長身。
何よりもそのアンニュイな目つきに惹かれた。
あれは……そう。
姿形こそ女性ではあるものの、ある人物とダブって見えたことに三郎は驚きを隠せなかった。
ハセヲ。
銀髪と黒衣の錬装士マルチウエポン
痛みの森をクリアし、一気にジョブエクステンドを終えて
禍々しき3rdフォームへと変化した頃の彼と、彼女は……カールがよく似ていたことに。
人とは一定の距離を置き、誰に大しても慇懃無礼な態度で接していた三郎が
初めて、本気で近づきたいと思った女性。
それがカール。
ハセヲの持つ暗い部分にも惹かれたけれど、彼女の持つ闇は別格。
だから彼女が揺光を通じてハセヲと知り合うようになってから、ずっと遠目で見ていた。
何か、彼女がこれから、とんでもなく面白いことを起こしてくれそうな気がしたから。


「まぁ、こうやって戦うことになっちゃった以上は仕方ないよねぇ。
 だからさ……あんたにしかないもの、私に見せてよ……カールッ!!!」


ネットトレードを営み、常にギリギリの生活を送る三郎のリアル・永井康夫。
欲のない生活を送ってきた彼がこの《The World》に求めるのは刺激。
彼がカールに執着するのも、己の知的好奇心を満たすため。
それだけのはずだったのに。
いつからだろう。手に入らないと分かりきっているはずなのに、どうしても欲しくなってしまったのは。
ネットオークションですごく欲しい物があって入札したのに、
オークション終了1分前に他の入札者が入札、しかもそのまま逃げ切られた時の悔しさ似た……そんな感じ。
その気になれば手に入っただろうに、手に入れることのできないもどかしさ。
言うなれば、三郎(彼)はカール(彼女)が欲しいのだ。


「(太白は智香と電柱狼に任せるか……)」


大剣を握り締めて三郎が迫る中、カールは後方の揺光達を見やる。
揺光と天狼なら太白ともいい勝負をするだろうが、もしもの時は自分が加勢に行くしかない。
別にカールが1人で太白の相手をしても良かったが、憑神抜きの戦いとなるとやや太白相手ではカールが不利。
熟練度、ジョブの相性、プレイヤースキル、ブランク期間、etc……
それに太白がどのような攻撃をしてくるかも見極めておく必要がある。
万が一、決勝に進めないような事態となった時は……彼をデータドレインしてでも勝つために。


「ていっ!!!」
「ふっ!」


振り下ろされた一撃を大鎌で受け止め、そのまま柄で逸らすようにして間合いを取る。
相性で言えばカールのジョブ、鎌闘士も撃剣士に対してそう強いワケでもない。
現に、今の一撃はガードしたにも関わらず、カールのHPゲージを動かした。
三郎とてTaNの暗部としての経歴を持ち、その実力はパイも認めている。
そして太白が今回のトーナメントのパートナーとして唯一、協力を求めた相手でもある。
強くて当たり前、そんなところか。


「本気、出した方がいいんじゃない? 私知ってんだから、カールの本気」
「ふぅん。見たい?」
「見たい見たいw」
「オッケー。じゃあ、あたしが面白い手品……見せてあげるよ」


そう呟くと魔女は。
徐に握り締めた右手を彼女(彼?)の前へと突き出して―――――――――


「手品?」
「そう。手品」


グッと握られたカールの右手。
この時、三郎は彼女の右手ばかりに意識を集中させていたためか、
左手に握られた鎌が一瞬だけボウッと輝いたのを失念していた(そうなるようにカールが仕向けたワケだが)。


『おや、カール選手、
 突如動きを止めて右腕を突き出しましたが……な、何か必殺技でも出すつもりでしょうか……!?』
『元碧聖宮宮皇の実力、もう一度見せてもらおうじゃねぇか。 かっかっ!』


魔女。
カールがハンター兼PKKとして……いや、それよりも前。
まだ《The World》がR:1と呼ばれるバージョンだった頃から。
チートに手を染め、初心者PCを甘言で誘いPKしていた彼女は。
幼い頃に絵本で読んだお姫様をイメージした本人の意思とは裏腹に。
いつしか、その銀色の髪と黒衣のせいか、魔女と呼ばれるようになっていた――――――――――――
2010年。
カールが楚良に、スケィスによって未帰還者にされる少し前のことである。


「バ……」
「……ば?」
「ク……」


カールが口を開く度に指が一本ずつ開かれて行き、その指先に炎が灯る。
現時点で炎は2つ。


「ド……ー……ン……!」
「(……!?)」


既に指に灯った炎は5つ。
まさか、そんなことありえない。
て言うか著作権的にもヤバイ。
スクエニから苦情が来るかもしれない。
なのに、彼女の目は全然笑っていなくて。
より一層、三郎の不安を掻き立てる。



『おぉーっと! 
 カール選手の指に5つの炎が灯ったァ――――――――――!!!
 こ、これはっ、まさかとは思いますがっ、あの技なのでしょうかっ!?
 かつて某少年漫画で左半身が炎、右半身が氷で出来ていた某炎氷将軍が使用した、寿命を縮めてしまう禁呪法ぉッ!!!
 炎系の呪文を5発同時に打ち出す、その名もフィンガー・フレア・ボm―――――――――あいたっ!?』
『馬鹿野郎、うるさくて試合に集中できねぇだろうが!』
『す、すみません……』



五指に宿った5つのバクドーン。
……そもそもどうしてバクドーンなのか。
カールが鎌闘士であることを考慮すれば、自力で呪文を覚えることができないのは分かる。
魔法屋で各魔法を購入すれば、どのジョブでも初級魔法くらいなら使用可能になるにはなるが
本職の魔導士や呪療士、妖扇士と比べれば実力差は明らか。到底敵わないだろう。
しかしながらこのカールと言う鎌闘士は違う。
魔力値をアップさせる「鍛錬ノ書・知」と「博学の秘伝書」によって事前に魔力値を向上させていた、それもある。
だがそれでもバクドーンを同時に5つ唱えることなど不可能だ。
なら……?


「さぁて。上手く避けなよ……三郎?」


それは。
この試合で初めて彼女が見せてくれた笑顔と共に……文字通り、爆ぜた。


「五指火炎弾(フィンガー・フレア・ボムズ)!!!!!」
「言っちゃったよっ!?」




【 TO BE CONTINUED... 】

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