「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『可能な手段だけでなく、また安易な手段や誰もが考えつく手段だけでなく。
 困難な手段、不可能と思われるような手段まで考えておくことだ』


【ウィンストン・チャーチル イギリス首相】

『あたしのこの手が真っ赤に燃える! あんたを倒せと轟き叫ぶ!
 ……と言わんばかりにッ、カール選手の指先から放たれた5つのバクドーン!
 五指火炎弾(フィンガー・フレア・ボムズ)ッ!!! 三郎選手、コレをどう受けるのか――――――――――ッ!?』



「受けるも何もッ!」


退路は無い。
後方で戦っている太白は揺光と天狼の相手でこちらに構っている余裕はないだろうし、
かと言って下がりすぎれば揺光らの反撃を受けてしまうかもしれない。
撃剣士はその他のジョブに比べてややHPが高めに設定されている、
あの5つのバクドーンがどれ程の威力があるかは分からないが……賭けるしかない。


「で……どうするって?」


カールが笑う。
てっきり避けるか防御するかと思ったのに。
けれど。
熟練した魔導士ならともかく鎌闘士、それも本来ならば初歩的な呪紋しか扱えないはずのカールがどうしてここまでの芸当を?
無論、気づく者はいち早く気づいているようだが……。



巫器アバターの力で彼女のパラメーターが著しく上昇している……。
 憑神アバターが持つ強大な力を自身へとコンバートしていると言うのか……」
「しかし、いくら彼女でも耐えられるはずが……! 肉体的にも精神的にも負担が大きすぎるのでは!?」
「これも女神の御業か、それとも……」



この世界では実用化に至らなかったが、別世界では実用化に成功した巫器。
けれどその世界は朔と望がカナードに所属していたり、クーンが銃戦士ではなく重槍士だったりと、
色々と違った、また別の可能性を秘めた世界。
その世界にカールはいない(ログインしていない。恐らくは亮同様に記憶を消失しているのだろう)。
だが彼女はこの世界で巫器を使えるだけの才能を開花させた。
血は争えない。
やはり彼女には、《The World R:1》開発担当者たる徳岡の血が流れている―――――――――――
そしてカールの持つ紅い大鎌。
大火らはイベント限定のレアな武器だと思ったようだが、実際は武器ではない。
いや、本来は一般PCには見えないはずなのだが、どういうワケか視覚可能となっている。
憑神の力を武器化した巫器。
憑神空間を展開することもなくその力を行使できることにいち早く気づいたのは、カールが最初だった。
想像力(イマジネイション)が生み出す無限の可能性……。
八咫らも憑神の武器化については検討したことがあったが、
ロストウエポンの存在により、その発想も途中で終わってしまっている。
しかしながらカールはロストウエポンを所持していない(既にハセヲが万死ヲ刻ム影を入手している為である)。
だから、もっと強力な武器が欲しいと彼女は思った。
それこそ。
楚良をもう一度。
取り返すことのできるくらい。
強い武器を。
その発想に辿り着いた時、イメージするのは簡単だった。
色は紅がいい。
楚良は渋柿色の包帯を全身に巻いていたから。
彼とお揃いにしよう。
まるで。
恋人同士が同じ携帯ストラップを共有するかのような感覚で生み出された。
だが込められた思いは7年分。
カールの力を極限まで増幅させ、さながら鬼神の如き強さを発揮させるに至る。
12個存在するG.U.の意のうち“Guilty Universe (罪深い世界)”を体現するかのように。
カールの駆る紅いスケィス―――――スケィスゼロは、存在自体が罪なのだから。
決して存在することを許されない、言わば「零番目の憑神」。
ハセヲのスケィスには決して敵うことないミスクリエーション。
だがそれ故に、子は母の愛を欲し、母のために戦っている。


「でぇぇぇいっ!!!」 

 
三郎が攻撃態勢に入る。
舞台を思いっきり蹴って突進、5つのバクドーンのうち2つを大剣ではね返すも残り3つがまだ残っている。
幸いなことに揺光、天狼ともに太白に気をとられて三郎は眼中にないようだった。
残り3つのバクドーン、この体勢なら……!


「お返しだぁぁぁぁっ!」
「む……!?」



『これは――――――――――――――ッ!?
 三郎選手、まるで大剣をテニスラケットの如く持ち替え、カール選手の火球をはね返したァ!
 まさにバーニング波動球ッ!
 いけね〜なぁ、いけね〜よっ! テニスの王女様、ここにありィ―――――――――――ッ!!!』



三郎がまさかバクドーンをはね返して来る程の気概の持ち主だったとは。
カールも予想外だったらしく思わず苦い顔をするが、すぐに思考を切り替えて防御に入る。
大鎌一閃。
放たれた真空の刃が迫る3つの火球は着弾前に破砕された。
飛び散る粉塵、それに紛れて三郎が一気にカールの懐へと飛び込む!


「いただきっ!」
「!」


反撃に気づいたカールが防御に入るよりも早く、大剣の刀身が腹部に直撃!
タメ攻撃だったようで、そのまま勢いに乗せてカールの身体はそのままバトルフィールドの壁へと叩きつけられた。
その不思議な行動や言動に惑わされがちだが三郎とて元TaNの暗部構成員。
そこら辺のアリーナランカーよりも戦うことに特化している
(更に付け加えるなら、今現在三郎が使用しているPCはパイから与えられたG.U.お手製のチートPCである)。
脳ある鷹は爪を隠す。
これもアリーナバトルでは勝利を齎す鍵の1つである。


「くっ……!」
「たまには……私もカッコいいとこ見せなきゃな。
 はふぅ……」



『決まったッ! 
 三郎選手の決死の一撃が、カール選手にクリティカル・ヒットォ――――――――――!!!
 場内からはカール選手のファンらしき女性PCらの悲鳴がいたる所から聞こえております!
 だが三郎選手への声援も負けていないぞ! 
 どっちのお姉様も頑張れ―――――――――――!!!』
『かっかっ、今のは良い動きだったな! 
“魔女”相手にやるじゃねぇか、あの三郎って姉ちゃんもよ!』



「(男なんだけどなァ……ま、いっか)」



カールにダメージを与えても三郎は油断せずに身構えている。
こういう場合、相手に一撃を加えた後が一番気が緩むのだ。
それはネットトレードでも同じ。
オンライントレードで培った即断力と、TaN在籍時代に学んだ我慢強さ。
それが今の三郎、最大の武器。


「やるじゃん……ちょっと効いたかも」
「愛ゆえの一撃だったからね〜」


手品で虚を突いたはずのカールが逆に三郎のカウンターを喰らう。
カールも三郎の力は共にトーナメントに出場したりイベントに参加したりと
事前に知っていたつもりだが、予想以上だ。ネカマとは言え年上、人生経験も多いだろう。
舐めてかかるのはそれこそ、イックナ〜イのかもしれない。


「いつも言ってるでしょ? 私、一番好きなオカズは最後に食べるのね」
「あたしは特に好きなオカズなんてないから……その気持ちは分かんない」
「偏食は良くないな。ダイエット中?」
「さぁ……っと」


他愛ないやりとりの中に、互いの隙を伺う。
もう同じ手は通用しない。
接近戦に持ち込めば重量のある大剣を使う三郎がやや有利だろうか。
例えカールが巫器の力で各パラメータを底上げしていても、近づかれれば先程の如くダメージを喰らう時は必ず喰らってしまうように。
……ならば、離れて戦えばいい。



『おっと、カール選手! 
 三郎選手と一旦距離を置く作戦に出たのかっ!?』
『接近戦になると三郎がちょいとばかり優勢だろうからな。
 離れりゃまた呪紋も使えるしよ……勝つためにゃ、退くのも大事なんだぜ』
『な、なるほど! 
 確かにこの試合は、明日の決勝へ進むための大事な試合ですからね!
 両者にとっても今夜は運命を決する夜! まさにフェイト/ステイナイトッ!!!』



「どうして追わない?」
「さっきもそうだけど、あんたにしかないものを私に見せてほしいから」
「ふん……オッケー。じゃあ手品、その2だ」


いよいよ彼女が本気の目になった。
ハセヲに「決勝まで上がって来い」と宣告したカール。
そのカールが決勝目前で負けることはできない。
三郎相手だから手を抜いても勝てる……もうそんな浅はかな考えは、やめだ。


「あんたに勝てないようじゃ、ハセヲにも勝てない」
「ん、そだね。私もアイツに勝てたことないし」
「でももし、あたし以外にハセヲに勝てる奴がいるとしたら……そんな奴は許せない」


再びボウッと輝き出す紅い大鎌が、ゆっくりと動き始める……。



『さぁカール選手の反撃が開始されるのでしょうか?
 何やら武器を構えているようですが……あ、あの構えは一体……?
 まるで大鎌を弓に見立てたかのような姿で佇んでおります……!』
『ぬぅ……!?』



左手に鎌を弓に見立てながら携え、右手で矢を射るような構え。
弦は貼られていない。
にも関わらず文字通りに射られるような感覚。
これではまるで鎌闘士フリッカーではなく弓兵アーチャー
こんな戦い方をする鎌闘士など前代未聞である(鎌闘士がバクドーンを5つ放つ時点で異常だが)。


「さっきは悪かった」
「何が?」
「あんたを舐めてた。だから、あのバクドーンはわざと避けやすく撃ったんだ」
「……じゃあ今度は?」
「絶対に外さない」


カールの右手・人差し指に白い光が灯る。
それと同時に顕現する白光の矢。
これは……。


「(レイザス……!?)」


オルレイザスにはやや劣る光属性呪紋。
対象に向けて、光の矢を一直線に飛ばしてダメージを与える。
魔導士ならば誰でも扱え、また呪療士や妖扇士らも熟練度を上げれば使用可能な初歩魔法。
魔法屋でも売られているので実質、金さえ支払えば全てのプレイヤーが使用できる……できるのだが。


「なッ……!」
「もう避けられない」


当初は1つだけだった光の粒が徐々に増えていく。
まるでカールの周りをホタルが飛び交うように……数秒後には矢となって三郎を貫くであろう光の種が。
レイザスを使用可能な者、或いはレイザスによってダメージを受けた者なら知っているだろうが、
あれは光の矢を巨大化させたものではなく、何本もの矢を1本に纏めたものだ。
貫通力はあるものの、直線上の敵にしか当たらないので避けられるとマズイ。
だから、絶対に逃げられないように数を増やした。
矢をより細く、多く。


「……行けっ!!!」
「!」


射手の命により放たれる無数のレイザス(光の矢)。
矢数など数える暇すら与えてくれない無常なる攻撃に、さすがの三郎の顔にも笑顔はない。
「どうやったら避けれる?」とか「あー、カールはマジなんだー」とか、
そんな気持ちがごっちゃになるような、諦めにも似た感覚が脳裏を過ぎる。
だが……太白からパートナーに選ばれた以上、彼に報いなければ顔向けできない。



『あっ、あれはァ―――――――――――――!!!
 どこぞの魔法先生が得意としている“魔法の射手連弾・光の37矢サギタ・マギカ・セリエス・ルーキス”に似ているような似てないようなッ!?
 カール選手の発射した無数のレイザスが、三郎選手を襲う――――――――――
 うおっ、まぶしっ! まぶしくて、とても目を開けていられませ――――――――――――ん!!!』
『おいおい、やべーぞ! こんなの真正面から喰らっちまったら……!!!』



アリーナ中を蹂躙してゆく光、光、光。
三郎に勝機は……?


【 TO BE CONTINUED... 】

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