「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『愛してる。
 誰を? わからない。だが胸のうち、心はこんなに暖かい。
 そして僕は囁き、僕は夢見る。来たれ。愛する人よ、来たれ』


【ニーナ・コスチェリーナ著  「ニーナの日記」より】

『素晴らしい一撃です! 
 これが激獣拳ビーストアーツの底力なのかっ!? 私もワキワキして参りました!
 まだ揺光チームが勝ってもいないにも関わらず、場内からは割れんばかりの歓声が湧き上がっておりますっ!!』
『今のは惚れ惚れするくれぇに良い動きだったからな』
『思えば天狼選手!
 碧聖宮トーナメントにおいてハセヲ選手に敗れて以来、
 PKトーナメントも一回戦敗退と長く苦しい時代もありました……しかしッ!
 地べたを這いずり回ってこそ見えてくる光もあるのです! 
 天狼選手、いや、天狼の兄貴ッ! やっぱり兄貴は最高だァ―――――――――――――――――!!!』
『地獄兄弟!?』



天狼……あいつ。
今まで全く反撃しなかったのは、あの一撃を狙ってやがったからか……。
智香が紅魔宮の新人時代に戦って接戦の末に負けた、ってのも強ちマジっぽいな。
初めて会った頃に比べると天狼の奴、なんかフッ切れた感じもするし。


「すごいスピードだったねぇ〜」
「気がついたら、太白さんが壁に叩きつけられちゃってて……。
 何が起きたか全然分かんなかった^^;」
「忍者みたいな動きの時のハセヲさんよりも、速かったんじゃないですか今の……?」
「……かもな」
「そーいやハセヲ。
 アンタ、試合中に急に仕草とか言葉使い変わる時あるん、アレ何やの? 
 新手のロールかいな?」
「髪の毛のグラフィックに緑色のメッシュも入ってますよね、あの時だけ」
「……」


悪かったな。
そりゃ全部ソラタロスに憑かれてたせいだっつの。
……やっぱコイツらでさえ気づいてんだ、
他の連中も疑問に思ってんだろうな。
死の恐怖時代から他人にとやかく言われるのは慣れてるけど……な、何か納得いかねぇ……。
けど、ここに居る連中に比べれば俺は遥かにマシ(なはず)だ。
ただの人間に興味はねぇ。
この中に“自殺サイト閲覧者”“多重人格者”“引き篭もり”“碑文使い”が居たら、俺のところに来やがれってんだ……
って、もう来てるか。
自分で言っといて憂鬱になるぜ……。


「やるね。あの天狼って奴」
「あたしの後に碧聖宮の宮皇になったくらいだ、そうじゃないと困る」
「けど、センセはまだまだ本気じゃないよ。分かる?」


戦闘不能になってゴースト化した三郎は、決して負け惜しみを言っているワケではない。
確かにまだまだ太白はその真の実力を見せてはいなようだ。
ハセヲは前回のPKトーナメント決勝で太白を破ったそうだが、
それは太白にAIDAが感染して彼の意識を支配していた時のこと。今とは全く状況が違う。
何より。
自分に相当の自信がなければ2人だけで出場など思いつきもしないはず。


「(長引くとヤバいな……電柱オオカミはともかく、智香じゃ太白の相手はかなりキツイ)」


人並み外れた太白と天狼と比較すると、揺光には申し訳ないが実力の壁が存在してしまう。
揺光が紅魔宮止まりのランカーだったように。
ハセヲの助力を得て碧聖宮トーナメントに参加、奮闘していたようだが実力的に伴っているとは言えない。
現に。
揺光のリアルである倉本智香はカールのリアル、仁村潤香にバトルにおけるアドバイスを請うたこともある。
他のプレイヤー達が異常すぎるだけで、智香は普通の女子高生にすぎない。
だが。
この戦いに参加した異常は泣き言を言っている暇なんてありはしない。
勝って、明日の決勝に進出せねば。
でないと……楚良は取り返せない。


「仕方ない……」



『おっと! 
 ここでカール選手の状態異常・睡眠が終了、戦線に復帰だァ――――――――――――――!!!』



























拝火教と呼ばれる宗教がある。
今日ではゾロアスター教とも呼称されるそれは、
古代ペルシアに起源を持ち、世界最古の一神教とも考えられている。
拝火教と呼ばれる由縁は、古代において炎こそが光の象徴であると考えられていた為。
光明神アフラ・マズダを頂点に、
善の神スプンタ・マンユ率いる光の軍勢とアフラ・マズダと敵対する闇の神アンリ・マンユ(アーリマン)の対立を骨子とし、
善悪の二元論を主張、最後には善が勝利して悪を消し去ることが運命付けられている、と言う。
傷つくことを恐れたら、地球は悪の手に沈む―――――――即ち、光と闇の果てしないバトル。
この《The World》にもその教えは受け継がれている。
黄昏の碑文(The Epitaph of the Twilight)の原作者であるエマ・ウィーラントのものか
フラグメント開発者のハロルド・ヒューイックの構想かは不明であるが、
この世界こそ拝火教がかつて古代の人々に説いた善と悪の世界そのものとは考えられないだろうか。
光(リョース)の王アペイロン、闇(ダック)の女王ヘルバ。
そして夕暮れ竜を求めて旅立ち、永久に戻ることのなかった影を持つ者―――――勇者サヤ。
影とは、光と闇の2つがあって初めて存在を許される虚構にも似た儚い存在。
その他にもアイテムなどがその名残を見せてくれている。例えば聖酒ハオマ。
拝火教では酒は人を惑わす悪魔の飲み物とされるが、ハオマだけは別格であり神の酒、神酒とされる
(ゲーム内では聖酒ハオマ、この他にも尊酒シーマや神酒ネクタルなど他民族の宗教や神話の影響も見受けられるが)。
拝火教徒は回教(イスラム教)と同様に偶像を拝むことはなく、その名の如く炎を崇める。
2017年現在でもごく少数だがイランとインドの一部地域に拝火教は根付き、信仰は続いている。
彼らは信仰を捨てない。
どんな闇も、炎の輝きを消すことはできないことを知っているから。
動物は本能的に火を恐れる。
アフリカのサバンナに落雷が落ち、それが燃え広がると野生動物達は一目散に逃げていく。
彼らはすぐに風に乗って炎が辺り一面を焼き尽くすことを本能で悟るからだ。
我々人間の世界でも「風前の灯火」とか「情熱の炎」など、肉体状態や精神状態を表現する際に用いられるように、
炎とは生物にとって畏怖の対象であり、崇拝の対象として長らく存在し続けてきた。
そして、これからも―――――――――――――――


「ここがアルケ・ケルン大瀑布……」


なつめと別れた後、カイトはロスト・グラウンドの1つアルケ・ケルン大瀑布へと赴いていた。
観光が目的ではない。
公式設定によると、
禍々しき波と戦った光の王と闇の女王の力は滴となってこのアルケ・ケルンの地に
降り注いだと言う。もっとも戦争当時はここに神殿があったそうなのだが……今は見る影も無い。
《R:2》に以降してからは「呪文使い見習いの少年が神々を呼び出した場所」とされているようだが……
ひょっとして、その呪文使い見習いの少年が呼び出したのは神ではなく、
鉄アレイのようなカタチの守護神(ガーディアン)だったりしたら面白いのに。
誰も見ているワケでもないのに、カイトは口を押さえてクスリと笑う。
ここは黄昏の旅団メンバー達にも因縁深い場所、特にハセヲ、志乃、オーヴァンにとっては。
常に大量の滝の水が流れ続け、飛沫が霧となって常に光を閉ざした暗雲の地。


「さて、と」


滝の後ろに掘られた壁画を見据え、何やら思考を巡らせるカイト。
今自分の立っている場所から壁画までの距離と角度を計算しているように見える。
何をやろうと言うのか。
と、計算を終えると同時に彼の手中に蒼い炎が顕現する。
最初は小さな塊だったそれはみるみる膨れ上がり、蒼い渦となって周囲の水飛沫を空気ごとジュッと蒸発させてゆく。


「壁の向こうには……何があるのかな……?」


かつてオーヴァンも彼と同じ言葉で、モーリー・バロウ城壁にてパイに問うた。
これは気まぐれ。











「はぁっ!!!」







ドカン!
と落雷のような音が辺り一面に響き渡った。
彼の、カイトの放った蒼炎がアルケ・ケルン大瀑布の壁画に向けて炸裂した音である。
ガラガラと音と土煙を立てながら壁画は崩壊し、上部を流れていた滝の水もあまりの炎の熱で
沸騰、さながら禍々しき波との戦いで煮え立ったアルバの湖のようにボコボコと不気味に鳴動している。
だがすぐに冷え切った水が新たに流れてきたのか、滝についてはいつも同様の流れを取り戻すのに
時間はかからなかった。
だが壁画の方は熱せられた状態ですぐに冷やされたものだから堪らない。
疲労を起こし、一部分だけだった崩壊が壁画全体に広がってゆき、大規模なひび割れを引き起こしたのだ。


「ちょっとやりすぎたかな……調節をもっと練習しないとダメだなぁ」


小さな子供が粘土遊びをするように、カイトは手の平で炎を操りながら1人愚痴る。
無理も無い。
まだこの世界にログインして間もないし、八咫から与えられたこのPCを完全には使いこなせてはいないから。
逆を言えば、完全に使いこなせていない状態であの強さ。
彼のことだから、あと一日もあれば完全に感を取り戻すだろう。


「あっ。入り口発見」


炎の練習のためにアルケ・ケルン大瀑布の壁画を破壊したのか、と言うとそれは違う。
彼とて無意味な破壊行動に興味はない。
少々やり方は荒っぽいが、損失した壁画のデータはあとでCC社のグラフィッカー達が何とかしてくれるだろう。
ぴろし3が結婚記念日でログインしていなくてよかった。
グラフィックに異常な執着と情熱を見せる彼が、カイトがこんなコトをしていると知ったら
色々と面倒なことになりそうだし……。


「八咫、見えてる?」
『把握している』
「壁画の中に、神殿への入り口っぽいのがあったよ」
『古代の戦いで破壊されずに残っていた(という設定の)地下神殿への入り口の可能性が高いな……』


何かは分からないが、とにかくカイトと八咫は来るべき事態に備えて行動している。
破壊行為に手を染めてまでも見つける価値が、本当にあるのかどうかは分からない。
カイトも八咫もできればアウラの愛したこの世界を傷つけることはしたくないのだから。
だが時には荒療治が必要な時もある。
もう、この世界には時間が無い。
天城の魔の手は《R:1》だけでなく、この《R:2》にも伸び始めている。
彼は死んだ。
しかしながら彼の意志、いや遺志とも言うべきものは未だ目に見えない状態のまま、この世界への侵食を続けている。
時間との戦いだ。
彼が発動しようとしたRA計画は結局、思わぬ形で実現してしまった。
グリーマ・レーヴ大聖堂でアイナを憑り代に、アウラがこの世界に降りてきたあの瞬間に。


「今夜中に、他のロスト・グラウンドも発掘してみるよ。グラフィッカーの人達には悪い気もするけど……」
『すまないな。いつも君にばかり頼るのは私の悪いクセだ』
「拓海は立場上、表立って動けないから仕方ないって。
 でも、ここまでやるからには絶対に成功させなきゃいけない。
 Project Return to Avalon ……僕たちのRA(アヴァロン帰還)計画だけは、ね」


【 TO BE CONTINUED... 】

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