「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『鳥は卵から無理に出ようとする。卵は世界だ。
 生まれようとする者は、ひとつの世界を破壊せねばならぬ』


【ヘルマン・ヘッセ著  「デミアン」より】

「地球はガイアって生き物だ、って考えてる人が昔居たよね?」
『……ジェームズ・ラブロックのガイア理論か』
「そうそう。それそれ」


ガイア。
ギリシャ神話における原初の神の1人。
冥界の王ハデスや海神ポセイドン、天帝ゼウスの父でもある時間神クロノスの生みの親でもある。
ギリシャ神話に代表される神々の言わば原初の地母神的存在。
それがガイア。
そしてイギリスの科学者にして環境主義者でもあるジェームズ・ラブロックが
1969年に提唱した「地球=超固体(多数の固体生物から形成される生物)説」。
それがガイア理論。


「八咫、僕はね。
 この《The World》もガイアの一種なんじゃないか、って思う時があるんだ」
『この世界が生き物であると……そう言いたいのかね?』
「アウラの管理を離れても《The World》は絶え間なく進化を続けているでしょ?
 八相の代わりに憑神が生まれて、ウイルスバグの代わりにAIDAが生まれ、碑文使いの反存在クビアも生まれた。
 ……地球が46億年かけて辿った進化を、この世界も繰り返してるとしたら?」
『確かに……AIDAは短期間で目覚しい進化を遂げた。
 我々人間を観察することでより生物的に、より洗練されたスタイルを摂った。
 時には人に寄生することで精神までも侵食し、より理解力を深めようとしていたフシもある……』


AIDAの行動には人間の精神に入り込む事で、よりヒトを知ろうとしていた傾向がある。
偶然とは言え生まれてしまった新たな電脳上の生物が、
より高みへ、即ちヒトへの進化を望んでいたとしたら?
ハロルドの望んでいた「人間とコンピュータ」の調和、それがそんなカタチで実現してしまっていたら?


「きっと僕らは、《The World》っていう大きな子宮の中で育つ胎児なんだよ。
 AIDAは……
 そう、早く生まれたかったのもしれない。でも生まれる術を知らなかった。
 生まれるためには、一度死ななくてはならない。
 かつてアウラがコルベニクとの戦いでそうしたように――――――
『それは女神だけではなく、我々にも当てはまるのかもしれない。
 一度死ぬことで、もう一度生まれる……明日の決勝、ますます警戒を強める必要があるな』
「カールって子が、ハセヲ君を殺すかもしれないってコト?」
『彼女が目的は楚良だ……。
 彼を手に入れるためなら、この世界そのものを破壊することすら躊躇わないだろう』
「彼女も腕輪を僕と同じ様に持ってたんだよね。
 うーん、ちょっと勝てるかどうか分からないなぁ」


既にカイトは7年前の戦いで黄昏の腕輪を失い、
新たに薄明の腕輪を得ているが カールも同様に7年前(正確にはカイトがアウラと初めて遭遇する前)にアウラと出会い、
女神の守護者として腕輪を使用していた形跡がある。
最も、そのカールでさえスケィスには敵わず、未帰還者とされてしまったが……。



















*****************






















「カール、話違うじゃん! 
 戦いには手を出さないって言ったでしょ、さっきさぁ!」
「気が変わったの。
 このまま揺光が太白にやられたら、即試合終了になっちゃうだろ。
 それじゃ、あたしが困るし」


ようやく三郎から齎されたバッドステータス・睡眠が解除となり、自由となったカール。
三郎との戦いで高等呪紋を2回使用してしまったが、まだ余力は十分にある。
太白と戦う天狼、揺光に加勢すれば十分に戦えるはずだ。
もしくはカール1人ででも戦えばいい。
リーダーの揺光が太白に倒されてしまうのは絶対にNG、明日の決勝に進めなくなる。
最悪の場合。
データドレインを使ってでも太白を倒さなくては……それほどにカールの決意は固い。


「あんたはそこで大人しくしてりゃいい」
「ちょっ、放置プレイ!?」


ゴースト状態の三郎を放置し、揺光らのところまでダッシュ。
太白もちょうど起き上がり再び体勢を立て直そうとしているところだった。
3人で散り散りになり、分散してシュレディンガーの砲撃を上手くかわせば十分に勝利は有り得る。
いや。
この3人が団結すれば必ず太白に勝てるはずだ。
だが――――――――――――


「つーことで、あたしがやるから」
「待て。俺にやらせろ」
「太白と戦うのはアタシだっての!」


『お、おやぁ? 
 揺光チーム、何やら言い争っております……問題でも発生したのでしょうか……?』
『誰が太白とサシで戦うか、もめてるみてぇだな。無理もねぇ、こんな機会は滅多にねぇからよ』
『で、ですが、どうせなら3人一緒に戦った方が勝率も高いのでは……?』
『武人っつぅのはな、多勢に無勢ってのは嫌ぇな人種なのよ。
 どうせなら自分の力を試してみてぇだろうが』
『な、なるほど……言わば武道家の誇りや意地のようなものなのですね……!?』


「よーし、それならジャンケンで決めよう!」
「……チッ。いいだろう」
「あたしはジャンケンに置いても頂点に立つ女だ……失敗したね、揺光」


やはり。
どうしても3人一緒に戦うつもりはないらしい。
太白も太白で半ば呆れているのか、それとも3人の意志を汲んでいるのか攻撃をしてくる気配もない。
元々、人間観察のためにこのゲームを始めた彼にとっては、
このような事態も良い研究対象……なのかもしれない。


「最初はグー! ジャンケン、ポンッ!」
「あいこでしょ! あいこでしょ! しょっしょでしょ! しょっしょでしょ! 
 ……ありゃん?」
「< #`Д´>アイゴー!」
「よっし! アタシの勝ちだな!!!」


激戦(?)を制したのは揺光。
思えばこの試合、カールが派手な魔法を使ったり
天狼が太白の攻撃を避けながらパンチを見舞ったりと活躍しているにも関わらず、
チームリーダーの揺光がまだ目立った活躍をしていなかった。
本当の戦いが、これから始まるとでも言うのだろうか?


「悪く思うなよ。カール、天狼!」
「チッ……負けたら承知せんぞ。
 リーダーのお前が負ければ即、チームの敗北となるのだからな」


少々の不満はあるようだが、天狼はそれ以上の苦言は吐かなかった。
本来ならば先程の流れに乗って太白と合間見えたいと思っていたようだが……まぁ、仕方がないだろう。
揺光がどこまで実力を付けたか見てみたいとも思っていたし……。


「1人で戦うのはあんたの勝手だけどさぁ、あたしを負かした借りはデカいぞ?
 とりあえず今度ミッシュハウス(※札幌の有名パフェ店)であたしにチョコレートパフェをおごれ」
「(アンタいつも『家族以外が作ったモノなんて汚くて食べたくない』とか言ってるクセに……)」
「返事は?」
「……喜んで仁村先輩におごらせていただきます」
「いい子ちゃんですね〜。隊長にしてあげる〜」
「何の隊長なのさ……」


カールへのフォローはこれくらいでいいだろう。
「いざとなったら、2人が助けてくれる」というような甘い考えは毛頭持っていない
(それでも、カールは揺光が負けそうになったら確実に加勢するだろうが)。
揺光とて、このトーナメントのためにレベル上げやスキルの熟練度アップなどの対策をしてきた。
決勝でハセヲと戦うと約束したし、更にはあの勇者カイトまで戻ってきた。
何が何でも決勝に出たい、決勝でハセヲやカイト、それになつめと戦ってみたい。
……そのためには太白を乗り越えなければならない。


「待たせたね! それじゃ第2ラウンドと行こうか」
「揺光か……」


つい1〜2ヶ月前まではイコロ追放され、
紅魔宮トーナメントでさえ優勝に手が届かなかった彼女が、今こうやって太白の前に立っている。
竜賢宮では決して見ることのできなかったであろう、両雄の対峙。
揺光の最初の目標はカールの様な宮皇になること、彼女が去ってからは天狼、そして太白を越えることが
《The World》のプレイ理由。だがハセヲと―――――三崎亮と出会ったことで、彼女は変わった。
彼と共に在ることで、彼女更に強く、そして美しくなったと思う。
故人曰く、恋は女を強くする。



『どうやら揺光選手が太白選手と戦うようです!
 元紅魔宮宮皇と元竜賢宮宮皇、果たして勝利の栄光はどちらに輝くのかッ!?
 そうです、伝説は塗り替えるもの! 愛の前に立つ限り、恐れるものは何もないッ!!!』
『揺光と言やぁ、
 碧聖宮トーナメントから竜賢宮トーナメントの間、一時期ログインしてねぇ時があったっけか。
 どれくれぇの力を見に付けたか、この戦いでハッキリするかもしれねぇな』



智香……大丈夫か。
太白と一対一でやり合おうってのはちょっとばかりキツイんじゃねぇのか?
……最悪の場合はカールが助けに入るだろうけどよ。


「揺光ーがんばれー^^」
「がんばれだぞぉ〜!」


いいよなぁ、コイツらは純粋で。
俺はダメだな……シラバス達みたいにゃ応援できねぇ。
俺にできるコトと言えば……智香を信じてやるコトくらいだ。


「ほら、ハセヲも揺光を応援しなきゃ^^」
「3にも4にも押しが肝心だぞぉ〜! がんばれ〜アクション仮面〜!」
「アハハ。ガスパー、それ番組違うよ^^」
「おっと、オラ……オイラとしたことが間違えたぞぉ」


クソ、こんな時に中の人ネタで遊びやがって……何て日だ!
実況スレじゃ俺が喋る度に「スザクうぜぇ」とか「さっさと志乃助けろ」とかいつもカキコまれてるし……
見てやがれ、秋のギアス二期さえ始まりゃ俺のランスロットがストフリ並の活躍をだな……。


「ハセヲさん、ちゃんと応援してあげなきゃダメじゃないですか!」
「そうだぞ、ハセヲ。
 エンゲージした仲なんだ、夫の義務くらい果たさなきゃなw」
「わっ、分かってら!」


お前らだって俺の性格くらい分かるだろ。
その、こういうの、苦手なんだよ……誰かを応援するとか……。
だって恥ずいだろ、普通はよ! 
そりゃ、智香は……彼女だし、応援はしてやりてぇけどさ……。


















「正直驚いている。天狼同様、私のシュレディンガーによる攻撃をほぼ回避するとはな」
「毎日本ばっか読んでるんでね、眼には自信あるのさ」
「ほぅ……」


太白の読み、即ち0.5秒先を予測する力。
それは揺光と天狼の2人を相手に同時攻撃、一歩も近寄らせない戦いぶりを披露した。
だが天狼の決死の攻撃により、その気になりさえすれば攻略できないものでもない、ということも判明している。
カールと天狼にばかりいいカッコはさせない。
揺光にもこのチームのリーダーとしての意地がある。
それに……ハセヲの、亮の前でカッコ悪いことろは見せたくないのだ。


「(亮、見ててよ……アタシ、絶対勝つからっ!)」


とは言え。
元竜賢宮宮皇が相手では、さすがにそのプレッシャーは大きい。
こうやって向かい合っているだけでもコントローラーを持つ手が震えるくらいだ。
隙を見せれば太白の攻撃が来る……どうする? 
考えろ。
今自分ができることを全てやるしかない……!


「(先手必勝!)」


先に揺光が駆けた。
双剣士をジョブとして選んだだけあって反応速度は全ジョブの中でも1、2を争う程。
だが太白も先読みの力を駆使して揺光が仕掛けて来るだろうポイントを予測し、銃剣を構えている。
照準は合わせていない。
揺光の加速終了地点をいくつか瞬時にピックアップし、撃つ!


「っ!」
「(避けた……!?)」


かなりの僅差だったが揺光のスピードが勝ったらしく、
太白の銃撃を寸でのところで回避、全霊を込めて斬撃を叩きつける! 
が、太白も瞬時に防御することを考えたようで
揺光決死の一撃はシュレディンガーのブレード部によって惜しくも受け止められてしまう。
……けれど、これで確信が持てた。
ハセヲと共に戦った数々の経験が、この短期間で揺光を強くしている。
以前では決して敵うはずの無かった太白にこうやって肉薄しているのが何よりの証。


「よく踏み込んでこれたものだ」
「前のアタシならなーんにも考えず、突っ込んでただろうけどな!」
「何……?」


よく見れば、揺光は片手でのみ斬り付けている。
もう一方の手には剣は握られておらず、
代わりに―――――――――――攻撃を仕掛けた時から詠唱していた呪紋が輝いていた。


「ガンッ、ボルグッ!」
「ぬぅっ……!?」


魔剣マクスウェル相手では成立しなかった呪紋による攻撃が、現在いまでは通用するッ―――――――



『これはァ――――――――――――――!?
 超至近距離からのエメラルド・スプラッシュ、もといッ、地属性魔法のガンボルグが炸裂だァ―――――――――ッ!!! 
 太白選手、あらゆる魔法を無効化する魔剣マクスウェルを前トーナメントまで使用しておりましたが
 竜賢宮トーナメントの決勝でハセヲ選手によってマクスウェルを破壊されてしまっていたことが仇となりましたっ!
 魔法、それは聖なる力! 魔法、それは未知への冒険!  魔法、そしてそれは勇気の証ィ―――――――――ッ!!!』
『今まで太白はロクに攻撃魔法を喰らったコトがなかったが……揺光の奴、考えやがったぜ……!』



「はぁーっ、はぁーっ……うっしゃぁ!」


揺光は決して魔法が得意と言うワケではない。
せいぜい回復補助のリプス止まりだ。
だが双剣士のステータスは他のジョブと比較しても割と魔力値が高く設定されており、
努力次第では初期魔法しか使用できない双剣士でも十分に戦うことができる
(カオティックPKの1人、ぽこたんが双剣士でありながら“拷鉄魔法少女”を名乗っていたのが良い例だろう)。


「……驚いたな。お前が呪紋を使うとは」
「さっきの試合で勇者カイトが炎を使ってるの見て……
 剣で斬りつけるだけが双剣士じゃない、って分かったからさ。
 それに、アンタはもうマクスウェルを持ってないってのも分かってた。
 ……でなきゃ呪紋攻撃なんて、アンタ相手に使えないって!」


かなりの冒険だったが……やる価値はあった。
やはり太白はマクスウェルが失われた以降も対魔法対策のカスタマイズを防具に施していない。
これでもし「古神亀の甲骨紋」や「鉄亀の甲骨紋」をカスタマイズされていたら
殆どダメージを与えられていなかったはず。
揺光のチームには、魔女の異名を持つカールが居る。
最低でも彼女の魔法を警戒して何らかの魔法対策をしていてもおかしくはなかったが……
どうも太白は、そういった対策無しでも十分に揺光らと渡り合える自信があるようだ。


「剣と魔法の二段構えか」
「太白の一挙一動を見逃さなかった揺光の気迫が勝ったね」
「フン……アイツが危機に陥れば、助けに入るつもりだったんだろう?」
「さぁ。どうだか」


のんびりはしていられない。
試合終了までの時間を考えると短期決戦がベストだ。
もう同じ手は通用しないだろうし、次で太白に大打撃を与えない限りはこっちがヤバイ。
かと言ってカールと天狼に助けを求めるような泣き言は言いたくない。
自分の力で勝たなければ、意味も価値もないと分かっているから。


「(さーて、次はどうしたもんかな……)」


太白、天狼、カールと比べて。
揺光は特別な才能を持ってはいない。
天才とは程遠い、星と本が好きな普通の女子高生に過ぎないのだ(最近は星関連の本を扱う「ミルクディッパー」なる喫茶店に興味があるとかないとか)。
だが、勇者カイトの戦いを見て双剣士の可能性に揺光は気づく。
自分も彼のように戦うことができれば……太白にだって負けないのに。
けれど真似だけでは勝てない。
自分は勇者ではないのだから。
ならば、どうすればいい?


「(上等……だったら、アタシは亮のために強くなってみせる!)」


【 TO BE CONTINUED... 】

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