「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『人間というものは普段から目の前にあるものよりも、
 過ぎ去ったもの、無くなったものに、妖しいまでの愛着を持つものである』


【兪 鎮午  元高麗大総長】

Gateway Utopia(理想郷への門)。
こことは違う平行世界の1つにおいて、数見なる管理者が示唆したもう1つのRA計画。
だがこの世界に数見は存在しない。
八咫はG.U.の最高責任者のまま健在、碑文使いの反存在(影)として
出現したクビアによって引き起こされた“第3次ネットワーククライシス”もハセヲ達の活躍によって、多大な犠牲を出しつつも収集するに至っている。
それから約一ヶ月……《The World》から離れたユーザーを再び取り戻すため催されたお祭騒ぎ。
それが今回のトーナメント。
本来ならばただの大規模なイベントとして終わる、それだけのトーナメントだったはず。
だがユーザー達には予想外のサプライズが待っていた。
伝説のパーティ・ドットハッカーズを率いた、勇者カイトの帰還。
双剣と蒼炎を巧みに操る、噂に違わぬその強さ。
世界が歓喜する。
世界とは《The World》そのものであり、女神そのもの。
ネットの海に散在していた彼女の意識が、彼を求めて再び還ってくる。
いや、彼女が求めているのは彼だけではない。
もう1人……彼女にとって、とてもとても大切な人を求めて。










「あれが背面都市マグニ・フィ……闘竜マグメルド……か」


カイトのロストグラウンド発掘は続く。
次に彼が降り立ったのは《Θ隠されし 禁断の 古戦場》こと、コシュタ・バウア戦場跡〜驕れるあぎと〜。
公式設定では神と人の戦いの際、神々の使いである戦竜マグメルドと人族が戦った戦場とされる。
また黄昏の旅団とTaNがキー・オブ・ザ・トワイライトを巡って死闘を繰り広げ、
AIDAに感染したボルドーに揺光がPKされ未帰還者になるなど、何かと因縁も多い場所でもある。


「(既に石柱に5つのウイルスコア……いや、データシードが填め込まれてる……ハセヲ君達がやったのか)」


コシュタ・バウアから上空に浮かぶマグメルド……
即ちマグニ・フィへと通じる唯一のルート。
当初は道が無ければ、
腕輪の力で強引にゲートハッキングを行うことも検討したが、どうやらその心配も杞憂に終わったようだ。
この場所からは特に何かを感じることは無い……
むしろ、上空のマグニ・フィから力強いものを感じる。
ここに発掘するべきものはない。
向かうべきは背面都市マグニフィ。
理想郷(アヴァロン)を目指す―――――――――――そのためには、欠かせないモノを探しに。


「(街は完全に石化してる……どこもかしこも苔や蔦だらけ……霧で視界も良くないな)」


元々はエルフ族が暮らしていた古代都市だったそうだが、今は見る影もない。
だがカイトは都市そのものに興味はなかった。
理想郷(アヴァロン)への扉の気配も無い。
彼の興味は……そう、この都市を背面にして眠る闘竜にあるのだ。


「(……さて、と)」


右腕に備わった薄明の腕輪が輝きを増し、霧を晴らしてゆく。
それと同時に彼の姿がフッと掻き消えた。
それこそ霧と混じり合うかの様に。
何処に消えた? 
都市の中に彼の姿は無い。


「闘竜マグメルド……起きてくれないか」


彼は―――――――――――――石化したマグメルドの、眼前に佇んでいた。
フワフワと身体を宙に浮かべて。
どうにも、その身に纏った蒼炎が彼の飛行を可能としている模様。
バルムンクの様に飛行可能な翼が無い、彼なりの飛行方法と言えるだろう。


「マグメルド……僕の声が聞こえる?」
《ゴゴゴ……我の眠りを妨げるのは誰だ……?》


悠久の沈黙を破り。
石と化した闘いの巨竜が……勇者の問いに応えた。
口は開いていない。
ただ、カイトの意識に呼びかけるように声が響いている。
カイトの持つ腕輪の輝きに、眠り続けていたマグメルドの深い意識に触れたのだろう。


「はじめまして。僕はカイト」
《……人間が、我に何の用だ?》


マグメルドの声には、明らかな怒気と憎悪が含まれている。
無理も無い。
彼は神々の使いとして生まれた闘竜。
人族と戦った結果、コシュタ・バウア戦場跡の上空で眠ることを余儀なくされてしまったのだから。
神を殺し、この世界の覇権を握った人間を嫌って当然と言えるだろう。


「マグメルド。
 僕は理想郷(アヴァロン)を探しているんだ。
 理想郷を探すために、そして理想郷を守るために、君の力を貸してほしい」
《我が、人間に与するとでも思ったのか? 愚かな……!》


事前に公式BBSにて、この世界の設定を理解していたつもりでいたのだが……
この竜は、かなりの石頭らしい。
けれど、マグメルドの助力は理想郷探索に欠かせない要素。
彼らには、夕暮竜の加護が―――――――――――必要なのだ。


「この世界を守るためには、どうしても君の力が必要だ……お願いだよ」
《くどい、騙されるものか! 去れ人間……!!!》


マグメルドの助力を得られないとなると、
後は《Θ隠されし 禁断の 竜骨山脈》こと「竜骨山脈ブリューナ・ギデオン〜死せる太陽〜」に眠る
太陽の神タラニスに従っていた、真竜ギデオンしか残っていない。
だが、ギデオンには申し訳ないのだが戦力的にはマグメルドの方を優先したい。
来たるべき、深淵(アビス)の軍勢との戦いに備えて――――――――――――――


「……どうしても、ダメなのかな?」
《我を従えることができるのは神族だけ……例外は無い……!》
「僕が、この世界で唯一の“影持つ者”でも?」
《なんだと……!?》


カイトの身体から生ずる蒼炎が爆ぜ、周囲を覆っていく。
そもそもマグメルドとこうやって対話すること自体、一般PCには無理な芸当なのだ。
その時点で、彼を疑うべきだった。


《貴様……ただの人間ではないな……!》
「さあ、どうだろう」


黄昏の碑文の一説にはこうある。


夕暮竜を求めて旅立ちし影持つ者、未だ帰らず。
ダックの竈(かまど)鳴動し
闇(ダック)の女王ヘルバ、ついに挙兵す。
光(リョース)の王アペイロン、呼応して
両者、虹のたもとにまみゆ。
共に戦うは忌まわしき“波”。
アルバの湖煮え立ち
リョースの大樹、倒る。
すべての力、アルケ・ケルンの神殿に滴となり
影を持たざるものの世、虚無に帰す。
夕暮竜を求めて旅立ちし影持つ者、永久に帰らず。


――――――――――と。
勇者サヤは夕暮竜を探しに旅立ったまま、結局戻ることはなかった。
彼は神々と禍々しき波の戦いに間に合わなかったのだ。
サヤが夕暮竜を連れて戻っていれば、戦況は持ち直したかもしれない。
けれど。
黄昏の碑文が世界の終末を描いた物語である以上、彼の未帰還は決定事項。
結局。
影を持たぬ者らは亡び、影を持つ者は勇者サヤのみとなった―――――――――


《そうか……貴様、サヤの影持つ者か! 夕暮竜を求めて旅立った、ちび魔女の……!》
「飽くまで、そういう設定だけどね」
《おめおめとよく戻ってこれたものだな……。貴様が間に合っていれば、神々は亡びずに済んだものを!》
「うーん。それは僕の責任じゃないから、何とも言えないんだけど……」


カイトからすれば、それは《The World》に予め用意された設定である。
だが。
この世界には不思議な自立性がある。
現に碑文にあるように、
彼は7年前、神々(アウラ、ヘルバ、リョース)と共に禍々しき波(モルガナ、八相)と戦い、
こうして新たな夕暮竜候補を探して、マグメルドの前に現れたではないか。
戦いは終わっていない。
碑文の物語は、カイトがこの世界に帰還したことで、再び動き始めた!


「でも、だからこそ今度の戦いには勝ちたい。だから、君の力が欲しい……」
《我を従えたければ……我の前で力を示してみせよ……サヤ! ゴゴゴゴ……!!!》
「(マグメルドが……動き出す……!?)」


遠く旧い記憶を呼び起こされ、闘竜は暴竜と化す。
ミシミシと巨大な石の体躯にヒビが走り、全身を駆け巡ってゆく。
……起きるのだ。
永きに渡って眠り続けていた神々の使いが。
神々に勝利し、黎明期を迎えた人族の時代に。
当然、彼の背面に聳えるマグニ・フィは……遥か、目下の奈落へと堕ちて行く。
エルフによって築かれた古代都市は、本当の意味で滅びを迎える――――――――闘竜の目覚めと共に。











《オォォォォォォォ―――――――!!!》










竜神の耳を劈く咆哮。
頭の芯にまで響く雄叫び……かつて対峙したクビアを軽く越える巨大さに圧倒されてしまう。
それはそうだ。
彼の背中に都市が建造されたくらいなのだから。


《従えたければ……貴様の力を示せ! 神を裏切った臆病者でないことを、見せてもらおうか……!》
「そうすることでしか君の助力を得られないなら……已むを得ないな」


できれば話し合いで彼を仲間に迎えたかった。
神の御使いと戦うのは7年ぶりか。
あの時はモルガナの尖兵たる八相が相手だったが……今度の相手は、文字通りスケールが違いすぎる!


「(最初から本気で行かせてもらおうかな……!)」


未帰還者にされることはないだろうが、信頼を得るには彼に勝たなければダメだ。
古来より竜退治は勇者の使命でもある。
ドイツの英雄叙事詩「ニーベルングの歌」にて英雄ジークフリートが名剣バルムンクを伴って悪竜退治をした様に
(ワーグナー作の楽劇「ニーベルングの指環」ではノートゥング。またジークフリートは妻ブリュンヒルデ救出のために、道を遮るヴォータンの槍を破壊している。
 かつてCC社のデバッグチーム「碧衣の騎士団」の騎士団長だった神威こと柴山咲、彼女の上司であり、やはりCC社のデバッグチームの1人だった
 渡会一詩こと連星のアルビレオが装備していた放浪AI用デバッグアイテムも神槍ヴォータンである)。


「……変、神!」


カイトも負けじと吼える。
渦巻く蒼炎。
マグメルドの巨体に勝るとも劣らない程に熱く猛り、激しく、強く、燃え上がってゆく。
握り締められた虚空の双牙の花弁がガチャリと音を立てて開き、彼が臨戦態勢に入ったことを物語る。
だが何よりも大きな変化が彼にはあった。
カイトの周囲を渦巻く蒼い炎。蒼き炎の中に佇む姿は、宛ら幽鬼を思わせるに十分。
これがカイトとアウラの絆が生みだした新形態(フォーム)、蒼炎態(バーニングフォーム)だった。
バチバチとスパークが走り、それまでの彼ではなくなったことを如実に現している……!


《……蒼炎の守護神! 守るべきものも無い貴様が、女神の加護を受けるか……サヤ!!》
「時間が惜しい……始めようか」


つまるところ、これは伝説との闘いである――――――――


【 TO BE CONTINUED... 】

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