「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『行動だよ。何もしないで、ある日突然に潜在能力はあらわれはしない』


【勝沼精蔵  日本の解剖学者】

『た、太白選手の容赦ない攻撃が、揺光選手のHPを瞬く間に削っていきますッ!
 カール選手も天狼選手も手を出そうとしない今の現状は、まさに太白選手の独壇場!
 これぞ太白ゾーン、いやアウターゾーンと言っても過言ではありません! 私は案内人(ストーカー)のミザリィィィィィィ!!!』
『ちっせぇ妖精が包丁持って襲ってくる話は、確かに怖かった!』


智香……どうして反撃しねぇ!?
早くしねーとマジで負けちまうぞ!
リアルで何かあって、コントローラーを動かせねぇってワケでもなさそうだ……
なのに、どうしてああやってずっと太白の攻撃を受け続けてる……!?


「揺光、どうしちゃったのかなぁ? やられっぱなしだぞぉ〜!」
「う、うん……」
「揺光さん……」













*************************












「……解せんな。
 お前の性格からして、やられ続けるというのは性に合わんだろうに」
「さぁねぇ……忘れちゃったよ、そんなもん!」


太白のレア銃剣・魔銃シュレディンガーの特殊効果「ガードキャンセル」の前で防御は無意味。
ならば、防御せずに相手を攻撃する隙を伺うしかない。
何か特別な才に秀でている、というワケでもない揺光が太白に勝てる可能性があるとするなら……それは。


「ならどうして動かない? 
 腰が引けたか? 元紅魔宮の宮皇の揺光……」
「んだとっ!?」
「腰抜けに用は無い……!」


太白の攻撃スタイルが、
それまでのものからフェンシングに似たものへと変わったかと思うと―――――――
凄まじい速さの踏み込みと共に繰り出された一閃が、揺光の胸を突く。


「ぐふっ……!?」
「ほう」


瞬間的に揺光もヤバさに気づき、
半歩ほど下がってダメージを軽減させたようだが……大ダメージは必至!
人体の急所を知り尽くした太白にとっては何でもない一撃、されど揺光にとっては生死を分ける一撃……それ程の威力。



『うわぁぁぁぁぁっ、キツイ、今のはキツイですっ!!!
 みずいろ初回プレス版をアンインストールしたらHDまで初期化されてしまったのと同じくらい、
 キツイ一撃のクリティカルヒットが炸裂ゥ――――――――――――――!!!』
『やめてくれ、思い出したくもねぇ! ……にしても揺光の奴は、もう後がねぇぞ……どう出るっ!?』



「(くそっ……ちょっと遅かったかっ!)」
「無駄な抵抗は止めておけ。あと一撃でも攻撃を受ければ、お前は負ける」
「……かもね。
 けど、誰にも腰抜けなんて言わせない……アンタにもっ!」
「この状況で……よくそれだけの大口が叩けるものだ」


落ち着け。
これまでも揺光は紅魔宮を一度は制した。
その上の碧聖宮、竜賢宮にもいつか挑むため、必死になって鍛錬を続けてきたはず。
皆に評価されるだけのことは、してきたつもりだ。
でもまだ足りない。
こんなのハセヲが――――亮が越えてきたものに比べたら、あまりにもちっぽけだ。
自分が亮と一緒に歩くためには、こんなところで立ち止まっている暇なんかありはしない。
越えなくてはならない。
より自身を高みに。
もっと……もっと高く!


「おい……」
「慌てなさんな。……もしもの時は、あたしが太白を殺る」


口ではそう言いつつもカールは微動だにしない。
色々な意味で揺光を……倉本智香を信じているから。
例え結果的に、明日、彼女を裏切ることとなっても。































『揺光ォォォォ―――――――――――!!!』




























観客席から一際大きな、叫びにも似た声援が響く。
ハセヲだ。
あれだけ応援なんてガラじゃないと言っていたハセヲが、身を乗り出して揺光に叫んでいた。
周囲のシラバスやガスパーらも彼の意外な行動に驚きつつも、すぐに一緒になって声援を送っている。
独りじゃない。
届かない声なんて、きっと無いのと……同じ様に。


「へっ、へへ……ホント……どいつもこいつも、心配性なんだから……!」
「彼らの声援も無駄に終わるだろう……あと数秒もしないうちにな」
「いいや、終わらせはしないっ!」


満身これ胆なり。
揺光が三国志で一番好きな武将・趙雲子龍はそう諸葛亮孔明に称されていた。
長坂破の戦いにおいては劉備の子・阿斗を抱き、たった1人で百万の曹操軍の中を駆けたという。
彼は幼少期から天才的な槍の使い手で、魚を傷つけないように目だけを突いて漁をしていたとされる。
目……太白にとって最大の武器であり、最大の弱点である目を狙うしかない。
でも、どうやって?


『湯浅、委員会の帰りにラーメン食べてこーよ! アタシ、味噌バターラーメンな』
―――――あの、えっと……でも……』
『アンタって何ラーメンが好きなの? ねぇ、湯浅ってば!』
―――――メ、メガネが曇らないラーメンなら、何でもいいかな……』
『あはは、曇るくらいなら外して食べりゃいいじゃん!』


ふと。
七星――――湯浅より託された双剣を見つめていると。
まだ彼女が揺光の高校に籍を置いていた頃の思い出の一幕が、脳裏を過った。


「(メガネが……曇る……! これっきゃないっ!!!)」


起死回生。
単なる直感ではあったが、すぐにも。
揺光は行動に出た。


「バクドーン!」
「!?」


メラメラと揺光の手の中に顕現する炎。
だが撃つ気はないらしく、手の中に留めたまま。
双剣士は呪紋に関しては専門職ではないので、威力については魔導士や呪療士に劣ることも揺光も承知済み……
今更、どうしようと言うのか?
先読みの可能な太白もこれは虚を突かれたらしいが、攻撃の体勢は崩してはいない。


「またバクドーンか……
 最後の悪あがきにしては賢明とは言えんぞ。
 先程魔女が見せたものに比べれば、それは蝋燭の灯火の様なものだ」
「そうだね……。
 ちょっと風が吹けば、消えちゃうかもしれない……それでも、アタシは前に進むっ!」


見えない今日の風に立ち向かってゆく。
いつまでも守りたい、その微笑みを。
アイツの笑顔のために。皆の笑顔のために。


「(アタシは……皆が……七星が……カールが……ハセヲが居てくれたから……!)」


かつての揺光なら、ここまで踏み込むことはできなかっただろう。
でも今なら……背中を後押ししてくれる皆が居る。
守りたい人が……守ってほしい人が居る。
思い出せ、紅魔宮の宮皇を目指していた頃の直向きさ。
空を見ろ、夜空に輝く星は最後の一瞬まで輝くことを忘れはしない。
熱く蘇れ、紅魔宮の宮皇としての誇りの気力(エナジー)。
もっと、強く在るために!


「終わりだ……!」
「アンタがなっ!」


いよいよ太白が決着をつけようと揺光に踊りかかった寸前、
彼女は手の中のバクドーンと、
ラッキーアニマルコンプの景品“幻の双剣”を同時にぶつけ――――――――


「アタシの博打、見せてやるっ!!」


瞬間。
轟音が響いたかと思うと。
揺光の周囲より大量の煙が吹き出し、バトルフィールド全体を覆い隠した!


「(……水蒸気爆発!?)」



視界が曇り、思わず揺光を見失った太白はとっさに考える。
水蒸気爆発とは即ち。
水が非常に温度の高い物質と接触した場合に気化が一斉に誘発され、圧力の急激な上昇によって発生する爆発のことである。
だが、温度の高い物質(バクドーン)はともかく、揺光はどこにも水など――――――――


「(! あの双剣!)」


揺光が大切な友人から譲られたと言っていた、あの“幻の双剣”。
ただのクエストクリアの景品程度、レア度が高いだけの武器と思っていたが……属性まではチェックしていなかった!
何属性? 
答えは明白。
バクドーンとぶつかり合ってここまで大規模な水蒸気爆発を起こせるとなると、十中八九あの双剣は水属性の武器だ。
レアアイテムにはカスタマイズは施せない。


「(揺光は……!?)」


声は出さない。
出せば相手に気づかれる。
0.5秒先の未来を予測可能な太白も、まさか揺光がここまで知恵を働かせることができるとは想定外。
だが十分に対処はできる。
自分がここまで視界が悪いということは、相手の視界もまた悪いという証。
待つのだ。
揺光のジョブが双剣士である以上、どう足掻いても接近戦に持ち込んでくるしかない。
相手はあと一撃で負けるかどうか。
カールと天狼も恐らくは回復などという無粋な真似はしなはず。
勝てる……目が利かなければ耳を使うのみ! 
前から来ようが後ろから来ようが上から来ようが……問題はない。


「(……来た!)」


爆発で生じた水蒸気の霧の中で、風を切る音がする。
闘いの途中で何度か聞いた、揺光の双剣の音だ。
近い。
すぐにも近寄ってくる。
どこから?
……音は上空から! 
今度は確実に仕留めるッ!

















「もらった! ……塵球至煉弾!!!」
















銃戦士最強の技(アーツ)、塵球至煉弾。
上空に向けて銃を三連射する大技。
けれど……アーツを出した瞬間、それこそ0.2〜3秒あるかないかのうちに、太白は違和感を感じる。
上空に捉えたはずの揺光の気配が。
何故か、自身の背後にある……そんな違和感を。


























反撃(ハンゲキ)!



























「(何ィ―――――――――――――――――――――――ッ!?)」
「はぁぁぁぁ……無双ッ!!」


太白が振り向くよりも早く。
アクセルを解き放った揺光は。
ハセヲからプレゼントされた「フンボルト油(移動スピード25%アップ)を事前にアクセサリにカスタマイズ、
スピード強化を行い、千載一遇の機会を逃すまいとアーツを発動させる!










「隼ァァァァァ――――――――――――ッ!!!」







アーツの特性のため、初撃で太白の身体が宙に浮く。
同時に揺光の斬撃が疾った。
それこそ目にも止まらぬ速さで。
途中、跳躍が最高位にまで達した時、彼女は上空で何かを掴むような動作を見せる。
よく見れば。
先程までの彼女は2本の双剣のうち、1本でしか太白を斬りつけてはいなかったようだが……。


「(双剣のうちの1本を上空へ……私にアーツを出させ、回避不可の反撃を繰り出すために……ッ!?)」


上空でキャッチしたもう1本の双剣。
2本を構え、渾身の力で思い切り太白を叩きつける!





















「落としィッ!!!」

























ドスン、と。
ステージに鈍い音が木霊する。
太白と揺光、互いのアーツの出し合いで完全に霧は晴れた。
立っているのは……揺光。



『きっ、決まったァァァァァァ―――――――――――!!!
 重いッ、スクールデイズの続編、サマーデイズの1G(ギガ)修正パッチ並に重い一撃ですっ!!!
 2017年現在、この記録を破る大容量修正パッチは未だ存在しませんっ!!!
 揺光選手、あの小さなPCボディのどこにあれ程の力を残していたのでしょうかッ!?
 突如起こった水蒸気爆発により、今の素晴らしい攻防をじっくり見れなかった方のため
 カメラにて捉えたスロー映像をもう一度ご覧ください! うーん、素晴らしい一撃ですね!!!』
『霧隠れの術……カカシや再不斬が得意なアレだな。
 しかし、よく土壇場で思いついたもんだ! てぇした女だぜ、かっかっ!!』


揺光のまさかの大反撃にワッと沸くアリーナからの歓声。
認めたのだ、皆が。
例え残りHPが僅かだろうと、最強の宮皇と謳われた男に挑んだ彼女の勇姿を。
……だが。



『う、うわぁぁぁ!!! 
 たっ、たたた、たっくん! じゃない、太白選手ッ! たッ、立ち上がりましたぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
『……元竜賢宮の宮皇の意地か!』



「(くっ……完全には仕留めきれなかった……!?)」


双剣として攻撃を加えたのは、最後に太白をステージに叩き付けた一撃のみ。
それまでは片方の剣でのみの攻撃だったため……太白を倒すには至っていなかったと言うのか……!?
どうする? 
試合の残り時間はもう後僅か。
もうさっきの様な小細工は通用しないだろう。
逆に今の攻撃で太白を冷静にさせてしまった可能性もある。
頭脳戦なら、どう考えても勝機はない……!


「今のは……見事だった」
「……!」
「私の予測を超える者が現れるとはな……驚いている」
「こっちも驚いてるさ……まだ立てるなんてね……!」


どうする? 
どうする? 
どうする? 
カールと天狼に助けは求めたくない。
かなり無謀な賭けになるが、魔法屋で購入した回復魔法で自力回復するか(回復量は通常戦闘の半分だが……)?
いや、ダメだ。
回復量が大きいと詠唱の時間も長くなる。
それに例えリプスのような少量の回復魔法でも、詠唱中の隙を太白は見逃さないだろう。


「私にとって……私以外のPCは、皆オブジェだった」
「えっ……?」
「プログラム上の制約と……
 プレイヤーの神経反射内で予測できる行動を繰り返すオブジェクト……
 それが、私がこの世界における、私以外の“他人”への認識だ」
「だ、だから……だから、何だってのさっ!?」
「だが……どうやらお前とハセヲは違うようだ……。
 ただの調査のつもりで始めたこのゲームに……こうして私はのめり込んでいる……
 どうやら、いつの間にか……私自身が、オブジェになってしまっていたようだ……この世界の、な」
「アンタ……何言って……」


太白は静かに語る。
もう数十秒前に見せた迎撃時のような気迫はない。
静かに……何かをやり遂げたかのように、呟いている。


「お前と、ハセヲ、そして勇者カイト……
 新しい可能性サンプルに……期待している……」


ドサリ。
そういい終わると、かつて《The World》最強とまで呼ばれた男は……ゆっくりと地に伏した。
HP0。つまりは戦闘不能……リタイヤ。チームリーダーたる男の敗北。
スチームガンナーがスチーム(蒸気)を使った作戦に敗れるとは、何たる皮肉であろうか。
だが答えは至ってシンプル。
揺光の覇気が、太白の王者の資質を上回った……それだけのこと。



『しっ、試合終了ォ―――――――――――――――――――――!!!!!
 トーナメント2日目・最終戦を制したのは揺光チ―――――――ムゥゥゥゥッ!!!
 しかし敗れた太白チームも太白選手、三郎選手ともに本当に熱く素晴らしい闘いを披露してくれました!
 実況やってて良かった、本当に良かったっ……そんな試合でした! 
 そして、そしてっ、揺光チームは明日のトーナメント最終日、つまりは決勝戦進出が決定だァ――――――――――ッ!!!!!
 決勝の相手はもちろんハセヲチームですっ! 大火様、本当に楽しみですね!』
『今夜は勇者の飛び入りがあったりと面白かったな! 明日も楽しみだ、かっかっ!』
『明日の決勝は全世界同時生中継のエキシビジョンマッチとなります! 
 風呂入れよ、歯ぁ磨けよっ! それでは、また明日お会いしましょ――――――――!!!』



長い長い夜が、ようやく終わりを告げようとしていた―――――――――


【 TO BE CONTINUED... 】

目次に戻る】【第30話

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます