「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

「……なぁ」
「あ?」
「手、繋がへん……?」
「……」


珍しいこともあるもんだ。
朔がンな台詞吐くなんて、今まであったか? 
いや、ねぇ。
手か……どーすっかな。
智香と付き合いだした頃から、何かもうそーいうコト人前でするの、鳴れちまってるし。
実際、さっきまではぐれないようにするために望と手繋いでたし……
まさか弟の望ははOKで姉貴の朔はダメ、ってワケにもいかねぇだろうよ。
……しゃーねぇな。智香、スマン。


「どーいう風の吹き回しだか知らねーけど……いいぜ。手ぐらい」
「は、はぐれんよーにするためやねん! バカハセヲ、勘違いすんなや!?」
「へーいへいへい。ほら、行くぜ?」
「コ、コラァ〜! ウチの歩幅に合わせんかいっ!」


ったく……素直じゃねー奴。
ま、本人がそう言ってるんだから智香や他の女に出くわした時の言い訳はこれでOKだな。
第一、いくら何でも俺と朔じゃ歳合わねぇだろう。
世の中には特殊な人種もいるから、そーいう奴らから見りゃ羨ましいかもだけどな。


「そー言やさ」
「んー?」
「朔と望って自由に入れ替わるコト出来んのか?」
「当然やろ。望に何かあった時はウチが極力入れ替わるよーにしとるし」
「水をかぶったら朔、お湯をかぶったら望になるってのはどうだ?」
「んなッ!? 呪泉郷(じゅせんきょう)の呪いと一緒にすな、ボケッ!」


ダメか? 
良いアイディアだと思ったんだけどな。
うちのギルドのデスランディの野郎にもお湯ぶっかけたら良牙に戻るかもしれねーしさ。
まぁ……俺はあかねよりもシャンプー派だったワケだが……。


「お前ら夏休みの宿題、やってっか?」
「ウチは図工専門やからなぁ……極力、宿題は望1人でやらせるよーにしとる。
 どーしても分からんっちゅー時だけ助け舟、出すけどな」
「姉ちゃんらしいことやってんだな、お前も」
「あん子は……望は、あんま大きぃ声で言えへんけどな。
 ちいっとばかり、頭の発育にハンデあんねん……あん子のためにも、ウチがしっかりせなあかん」
「……」


……知ってるよ。
お前が今まで、望を守るために頑張ってきたこと。
AIDAに感染した時だってそうだった。
お前は……頑張ったから、辛いんだ。


「朔」
「な、なんやの……改まって」
「エンデュランスのこと好きか?」
「と、当然やろ! 何当たり前のコト言うてんねん!?
 エン様がいくらアンタに靡いてよーが関係あらへん!
 必ずウチがエン様の洗脳を解いて、ウチに振り向かせたるわ!」


洗脳って……俺は何もしてねぇっつーの!
エンデュランスが勝手に言ってるだけじゃねーか……つか、俺に同性趣味はねぇぇ。
……んじゃ、質問その2な。


「じゃ俺は?」
「ハ、ハァッ……!?」
「俺のことはどーだ、って聞いてんだ」
「な、何を言い出すかと思たら、あ、頭大丈夫かアンタ!?」


大丈夫じゃねぇよ。
ただでさえ3日前から楚良の野郎がやりたい放題やってんだ、大丈夫なワケねーだろうが。
……って、朔は知らなかったんだよな、楚良のこと。


「俺はお前のこと……嫌いじゃねーぞ」
「なッ……ア、アンタ……
 もしかして、ロ、ロリ、ロリコッ、コッ……!?」
「話は最後まで聞けってーの。学校で先生に習わなかったか?」


こりゃ話すよりも直接分からせた方が早いかもな。


「ちょい手、貸せ」
「へっ……?」


呆気にとられて策が動揺してるうちに手を取り、俺の胸へと押し当てる。
最初はこれ以上ない程に顔を真っ赤にして
変態だの色情魔だの少女性愛者だのと叫ぼうとしてた朔も、やっと俺が言わんとしていたことを察したようで――――――――


「な、何やの、コレ……!? 
 ハセヲ……アンタも、まさか……“2人”おるん……?」
「あぁ。お前らとはちょっとばかり……事情が違うけどな」


朔と望は姉弟、でも俺と楚良は同一人物。
当時の俺を知っているのは……カイトの野郎とカール。
俺自身、楚良を信じていいのか未だに分からねぇ。
でもお前は……朔は、姉ちゃんとして望を見守るって決めたんだろ?
すげぇよ、お前。
いつ消えちまうのか分からねぇってのに、これからもずっと見守る……俺に、同じことが出来るだろうか?
分かんねぇよ、まだ……決められねぇ……。


「た、たまがったわ……。
 ハセヲ、アンタ普通やない思っとったけど、ホンマ変な奴やったんやな……」
「お互い様だろーが」
「これでトーナメント初日や2日目の試合の謎が解けたわ。
 どっちの試合も最後のほーで闘こうてたんはアンタやのうて、もう1人のハセヲやったんやろ?」
「あぁ。
 俺の言うコト全っ然聞かねぇ野郎なんだ。
 多分、今夜の決勝でも大暴れするぜ、アイツ。相手が相手だからな……」
「どゆことや……? 説明しぃ、分かり易く!」


さて、どっから話せばいいもんかな……。
俺自身がこの3日の間に起きたこと、起きようとしてることを完全に理解できるワケでもねーしな。
まぁ、何でお前に話したかっつーとだな……
同じ境遇なら、ひょっとして分かり合えるかも、って思ったんだ。
楚良を認められない俺に対して、お前は望と上手くやってる。
俺にはそれが……とても、羨ましく見えたんだよ。


―――――――っつーワケなんだが」
「ア、アンタもなかなかハードな人生送ってんねやな……」


今後も送れるかどうかは今夜の決勝次第だけどな。
最悪の場合、俺だけ消されて楚良の方が生き残る可能性だってある。
そうなったら、俺はどうなる? 
今までの俺が消えて、楚良が俺の主人格ってコトで俺の身体をいいように出来るようになる、ってコトか?
冗談じゃねぇぞ、マジで。


「しかし……カールねえさまが噛んどるとなると、かなり厄介やで……」
「お前、カールと知り合いだったのか!?」
「ウチ宮皇のおっかけ、ずっとやってんねん。
 カールねえさまが碧聖宮で優勝したんは……2016年の夏頃やったか? 
 すごかったで……エン様以外に単騎で優勝を勝ち取ったんは、カールねえさましかおらんからな。
 でもねえさま、突然秋頃になってゲームからおらんようになって、碧聖宮宮皇に空きが出来てん。
 その後やな、天狼が仕切り直しの碧聖宮トーナメントで優勝して宮皇になったんわ。
 天狼はイコロに所属しとったけど、ねえさまは所属しとらんかったさかい、行方も分からんようになってもーた……」


カールの奴……。


「ねえさま、何か無理して闘っとるようにウチには見えた。
 元々PKKやし、ハンターも兼任しとったからな。
 姿消すまで無敗やったけど……ねえさまはなんも満足しとるよーには、見ぃへんかったわ」
「……俺を探してたんだ、カールは」
「ハセヲをか? でもアンタ、そん頃確かまだこのゲームやってへんとちゃうの?」
「カールは……俺の中の……楚良を探してたんだ。
 PKKやハンター、宮皇になれば名が売れる。
 そうすればきっと、俺が《The World》に戻ってるなら、きっと気づくはずだって……。
 だからアイツ、前のバージョンと同じ名前、ほぼ同じデザインのPC使い続けて……」
「……そやったんか。入れ違いやな、アンタとねえさま」


カールが楚良を探すのを諦めて《The World》から居なくなった後、
入れ替わりに俺が「ハセヲ」の名でログインし、オーヴァン達と出会って旅団に入った……。
ホント、タイミングわりーな。
あの頃の俺、「魅惑のマルチウエポン・ハセヲ」とかBBSに書かれてて
弱いなりに結構有名だったんだぜ? 
どこのどいつがカキコしたかは知らねーけどな。
俺の「ハセヲ」って名前をすぐに俳人の松尾芭蕉のアナグラム、
「芭蕉(はせを)」だってコトをすぐに見抜いたんだ、カールがあの書き込み見てりゃ
もっと早く出会えてたかもな……今となっちゃ、もう遅すぎたかもしれねーけど。


「ハセヲ、アンタ……どないするつもりやの? ねえさまと戦うんか、やっぱ」
「アイツがそれを望んでる以上は、避けられねぇしな。
 俺に『決勝まで上がって来い』って言ったのはあの女だ。
 約束通り、俺は決勝まで駒を進めた……7年前にカールと何があったか、まだ思い出せねぇけど
 試合中でなら……互いの命を懸けた限界ギリギリの試合なら……思い出せそうな気がすんだ……」
「……クレイジーやわ。ウチには分からん」
「朔……」


俺への嫉妬でAIDAに感染したお前なら、分かってくれると思ったんだけどな……。


「分かって堪るかボケッ! 
 アンタがおらんなったら望が泣くかもしれへんし、
 アンタの毒牙にかかった他の女連中かて同じように悲しゅうなるに決まってんやろ!
 何が命を懸けた限界ギリギリの試合や、アホちゃうか!? 
 おどれ、ホンマに死んでしもたらどないすんねん!?
 バカハセヲがッ!!! 
 アンタ、ウチが消えようとした時はメールでエラソーに説教しよってからにっ、
 自分がいざウチと同じ立場になったら、年下の子供相手に人生相談ってアホちゃうか!?
 ……アンタがおらんよぅなったら、ウチかて寂しいわ! 
 憎たらしいけど……アンタおらんなったら、そんなの、嫌やもん……!」
「……お前が泣いてどーすんだ」
「う、うっさいわぁ! さっきの望の泣き残し分が今頃になって出てきてん……グスッ」
「ほら。涙はこれで拭いとけ」


俺が居ないと、寂しい……か。
やっとお前の……朔の本音を聞けた気がする。


「思い上がりも程々にしぃや……ホンマ、バカやねんから……ヒック」
「お前に説教されるとは思ってもみなかったな」
「フ、フン。
 ハセヲがあんま、あの頃の……望の中から消えよ思っとったウチと重なって見えたから……見てて我慢できんかっただけやわ……」
「俺が居ないと寂しいし、嫌なんだろ?」
「あ、ああああ、あれは勢いで言っただけで、べ、別に深い意味はないで!? ホンマやで!?」
「へーいへいへい。わーってるって」


ありがとな、朔。
何だかんだで俺もお前から……いっぱい貰ってた、って気づいたわ。
お前、ホントは優しいクセにいつも憎まれ愚痴ばっか叩いてるから
今頃になって気づいちまったけど……な。


「あーもう、辛気臭い話はこれで終いやで。
 ハセヲのせいで余計な水分消費してもーたわ……
 アンタ、こんな感じで他の女も泣かせとるんちゃうやろーな?」
「泣かせてねーっての」
「あやしーわぁ。
 アーセル・レイでのアイナもそーやったけど、純真な女やったらコロッと騙されとるで」
「騙してどーすんだ……」
「そりゃ……口じゃ言えんようなヤ、ヤラシーことを強要したり……するんとちゃうん……?」
「するか」


いや、ホントはしたんだけどな……主に智香に。
智香にだけだぞ? 
他の女には手ぇ出してねーからな? 
マジだからな?


「……あとな」
「? どしたよ」
「ウチの誕生日プレゼントにシロタエギク(白妙菊)の花、おおきにでした」
「何言ってんだ? ありゃ望からお前へのプレゼントだろうが」
「せやけど……アンタが値段まけてくれんかったら、望は買えんかった。
 その辺はウチも……その、感謝しとる」
「まぁ、お前がそう言うなら……」


あの時はただ望が可哀想に見えたんだよなぁ。
姉ちゃんにプレゼント買おうとして金貯めてたのに、その姉ちゃんが金使っちまうんだもんよ。
そりゃ気分も落ち込むに決まってる。
まさか俺も、あのシロタエギクの花が朔が消えるのを防ぐ決定打になるとは思ってもなかったけどな。


「ハセヲ、ウチが消えようとしてた時……メールで言っててん……。
 シロタエギクの花言葉、知ってるか? 『あなたを支える』って言うんだ。
 お前が望を支えていたように、望もお前の役に立ちたいって、お前の存在を支えていきたいって思ってるんだ、ってな。
 ……カッコつけすぎや、ホンマ。
 おかげでウチも……コロッといかされてもーたわ。
 望のために消えたない思っとったけど……アンタのためにも、消えたないって思って……だからウチ……」
「朔……?」
「今度は、ウチがアンタを支えたるわ! 
 つまらん弱音吐いとらんと、しっかりしぃや!
 ウチは消えたりせぇへんかったで!? だから、アンタも消えんな! 
 ……ええなッ!?」 
「……たりめーだ、消えて堪るかっての!」


そうだな……朔の言う通りだ。
俺が消えて楚良だけが残る、それだけが選択肢じゃねぇし、そんな結果は俺もゴメンだ。
危ねぇ危ねぇ、戦う前に戦意喪失するとこだった。


「……わ、分かればええんよ、分かれば」
「だなw」


けど……これで、朔のためにも負けられなくなっちまった……な。                                                       【 TO BE CONTINUED... 】

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