「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

「(あかん……こ、こんなの、ありえへん……!)」


グリーマ・レーヴ大聖堂―――――――――【Δ 隠されし 禁断の 聖域】。
未来を変えるため、決意を胸に渦中に飛び込もうとした矢先。
早くも朔の精神(こころ)は折れそうになった。
黄昏とも薄明とも区別のつかない陽光に照らされた大聖堂の、扉の向こう。
その向こう側に潜んでいるであろうモノに、恐怖したのだ。
朔望のプレイヤーである伊織は全身の産毛が総毛立ち、真夏だと言うのに冷や汗が止まらない。


「(ど、どないしたら、こないなコトが……!? AIDAに感染した時のウチなんか、比較にならんわ……ッ!)」


まるでこの世界の全ての悪徳と不吉と毒を孕んでいるかの様な。
そんな邪悪ささえ伺えるおぞましい気配。
碑文使いであるが故に理解(わか)ってしまう。
絶望的なまでの力の差。
恐らく、いや十中八九、朔が大聖堂の中に居る者に勝つことは出来ない。
かつてない恐怖。
胃の奥が逆流して今にも吐き出しそうになる様な最悪の気分。
エンデュランスをハセヲから奪われたと思った時でさえ、こんなに恐怖の感情は沸かなかったと言うのに。


『お、おねえちゃん……』
「……行くで、望!」


ここまで来てしまったらもう後には退けない。
ハセヲから真実を聞かされた以上、黙って見過ごすことは出来なかった。
……ハセヲには借りもある。
消えようとしていた自分をこの世界に繋ぎとめてくれた大きな借りが。
今こそ、その借りを返すチャンス。
代償は大きくなってしまうだろうけれど、それでも構わない……!


「(ウチが……ウチらが……未来を、変えたるわ……!)」


震えを押さえつけながら朔は己と望を奮い立たせ、鼓舞した。
ハセヲの知らない所で朔と望の、最期の戦いが始まる――――――――――――――





















****************






















「ハセヲにいちゃんは『えいりあん』ってしんじる?」
「エイリアン? 望はそういうの好きなのか」
「シラバスにいちゃんがね、いってたの。『うちゅうには、いろんなえいりあんがいるんだよ』って」
「へぇ。シラバスの奴、UMAだけかと思ったらエイリアン関係まで好きだったのか……」


まぁ確かにUMAの中には「実はエイリアンじゃね?」って言われてる奴も何匹か居るけどな。
1952年にアメリカのウエストヴァージニア州・フラットウッズの町に現れた
「ウラットウッズモンスター」は別名「3メートルの宇宙人」とか言われてるし……
あとチュパカブラもエイリアン説あったよな。
モスマンとかドーバー・デーモンとかジャージー・デビルとか。


「ハセヲにいちゃんは、えいりあんにあったこと、ある?」
「ん? あぁ、あるぜ」
「ほんと!? どんなえいりあんだったの?」
「背は1メートルくらいだったな。目が黒くて、毛もじゃで、耳と鼻がデカい。好物は猫だ。
 メルマックって星の出身で、しかも所ジョージそっくりの声で喋るんだぜ」
「わぁ、すごいや!」
『バカハセヲ! 望に嘘教えんといて!』


っと、また朔スイッチ押しちまったか?
やっと望が交代で出てきてくれたとこだったんだけどな……。


「どっからどー聞いてもアルフやないか! 望が本気にしたらどーしてくれんねん!?」
「いいじゃねぇか、アレだって立派なエイリアンだろ(作りもんだけど)」
「ホンマ、こないなアホのためにさっき泣いたウチが馬鹿みたいやわ……」


何だかんだで朔も俺に気ぃ使ってるらしい。
こうやって一緒に望と交代しながらルミナ・クロスの大通りに出店してる
ギルドショップ覗きながら遊んでるしな。
カナードの方はシラバス達が、トライフルの方はアイナが店番やってくれてるおかげで
こーやって2人(いや、望と楚良も居るから4人?)でブラブラ出来るし?
とまぁ、こんな感じで朔と歩いてると……。


「ハッセヲさん♪」
「よぉ。また会ったな」
「今晩は。ハセヲ殿」


昨夜と同じ様に欅と楓とバッタリ出会う。
……バッタリか? 
どうもコイツが絡む時はいっつも意図的だからな……。
ま、今回のトーナメントにゃ欅もノータッチっぽいけど。


「いよいよですねー、トーナメント決勝戦♪ 僕、最前列で応援しますから」
「……程々にな」
「ハセヲ殿、そちらのお嬢さんは……」
「あぁ、朔だ。俺と同じ碑文使いの。アンタ達ともタルタルガの中で会ってるだろ?」
「あらあら、うふふ。ハセヲ殿も隅に置けませんね」


ま、また『ARIA』のアリシアさんの声が……げ、幻聴か……!?
って、このやり取り昨夜もあったな。
軽いデジャヴが……。
つーか何だ、その「隅に置けない」ってのはよ……別に俺はそっちの趣味はねぇんだけど。
ダメだ、どうも月の樹の中でもアトリ以上にコイツら苦手だわ……。


「べ、別にウチとハセヲはそないな関係とちゃうわ! そやろ、ハセヲ!?」
「たりめーだろ……(そこまで全力否定するのもどーかと思うけどな……さっき『好き』っぽいコト言ってたクセに)」


とまぁ、こんなコト話してる場合じゃねぇ。
欅に聞きたいことがあったんだわ。
昨夜カイトの野郎に笑われたアレについてな……。


「欅」
「はい? 何ですか、ハセヲさん♪」
「このXthフォーム……どうにかなんねーかな……」
「? ハセヲさん、その格好が嫌いなんですか?」
「嫌いっつーか……
 昨夜『タカラヅカみたいな格好しやがって!』っぽいコト言われて……
 よくよく見れば確かにそれっぽい……とか思ったりしたっつーか……」


カイトの奴に指摘される以前に俺も気になっちゃいなかったんだけど……。
ホラ、揺光も扇みたいなのが背中に付いてるだろ?
今思うとペアルックみたいな感じでさ、恥ずいと言うか……
手ぇ繋いだり抱きついたりするのはOKでもペアルックはダメだ、生理的に受け付けねぇ!


「うーん。
 キャラデザの細野さんからのデザインオーダーは『フ○ーザ最終形態っぽく』でしたしねぇ……」
「宇宙の帝王!?」


つーか誰だ、細野さんてのは!?
俺そのうち、未来から来た少年に剣でバッサリ一刀両断されちまうんじゃねーだろうな?
やべーだろ……常識的に考えて……。'
臓病で病死ってレベルじゃねぇぇ。


「昨夜もお話しましたけど、ハセヲさんのXthフォームは
 再誕の爆心地に居て大ダメージを負ってしまったハセヲさんを蘇らせるためのもの。
 何度もいじっちゃうと逆に不具合が出ちゃう可能性もあるんです。
 もうハセヲさんはキー・オブ・ザ・トワイライトになってしまってますし……ね」
「もう、お前でも無理ってコトか?」
「仮にXthフォームが更なる進化を遂げるとすれば……
 それはハセヲさんが“本当の自分”を取り戻した時だと思いますよ♪」
「何っ!? お前、何か知ってんのか!?」


そう言やコイツ、
昨夜「刻印」だの「獣」だの言ってたな……ありゃどういう意味だ!?
俺と……俺の中の楚良と、何か関係あるコトなのか?
おい、欅!


「まぁまぁ。
 僕の口から今言わなくても、今夜の決勝で全部分かっちゃうかもしれませんよ。
 お楽しみは最後までとっておかないと♪ ね、楓」
「はい」
「(ダンマリってワケか……何を隠してやがんだ、コイツ……!?)」


やっぱ、そう簡単にシッポは出さねぇ……か。
抜け目のねぇ奴……どうやら今回は完全に傍観者を気取るつもりらしい。
そりゃそうだ、今回のトーナメントは八咫の発案、欅が絡んでるなら
八咫だって俺やパイに伝えるはず。
俺にトーナメントに出場しろって言ってきたのは八咫なんだからな。


「じゃ、僕達はそろそろ行きますね。
 決勝戦、頑張ってください! ハセヲさんに女神の祝福を♪」
「ごきげんよう。ハセヲ殿」
「……行ってもーた。
 とんだ邪魔が入ったもんやな、ハセヲ。……ハセヲ?」


い、今、『護くんに女神の祝福を!』の護くんの声が聞こえたような……
げ、幻聴か……!?
……ハッ! 
しまった、んなコトやってる間にまた話はぐらかされちまった……。


「ハセヲ! 聞いとるんかっ!?」
「あ、あぁ、聞こえてるよ」


だから耳元で叫ぶのはヤメレ。
「届かない声なんて、きっとない」って言うだろ。ちゃんと聞こえてんだからさ。
で、何だ?


「ウチと望、しばらく別行動したいんやけど」
「ギルドショップの手伝いか」
「それもあるんやけど……ちょっと、な。
 アンタの試合、始まる前までには行くさかい、一旦解散せぇへん?」


そうだな……。
望ともこれまでの埋め合わせとまではいかねぇけど、それなりに遊んでやれたしな(朔とも)。
ここいらで一旦、別行動ってのも悪くはねぇ。朔や望にだって都合はあるだろうしな。
時間的にはそろそろ夕方か?
昼頃にカイトと大聖堂で会ってから望と会って
朔も一緒に遊んでたし、結構時間経っちまったか……楽しい時間っつーのは、いつも早く感じるよなぁ。


「別に律儀に試合、見に来なくてもいーんだぜ?
 子供はさっさとログアウトして、恐竜惑星かジーンダイバーでも見てりゃいい」
「天才てれ、まだ放送してたん!?」
「ジーンダイバーは私をケモナーへと目覚めさせた記念すべきアニメなのですヨ。ラヴュン!」
「アンタは黙ってろ、たぬ」


しかしジーンダイバーのOPは今見ても神だな、曲も。
クーンの中の人がドライ6役で出てたっけか……。
でもアリス探偵局も捨てがたいよな。
あれだけDVD、未だに出てねぇし……ニコニコで我慢すっか。


「で、どーなんや? 別行動でええんか?」
「あぁ、構わねーぜ」
「さよか。ほな、これでおわかれや」


おわかれ……?
何言ってんだ、アイツ……?
俺のパーティから外れた朔はクルリと背を向け、カオスゲートへと走って行く。
何だよ、どっかのエリアで誰かと約束でもしてたのか?




「ハセヲ!」




ゲートの前で立ち止まった朔が一度だけこっちを振り向き、大声で俺の名を呼ぶ。


「必ず試合、見に行くで! 
 ちょい遅れるかもしれへんけど、ウチが着いた時しょーもない戦い方しとったら承知せぇへんからな!?」
「……へっ。わーってるよ!」


朔に負けないくらいの大きな声で、俺も朔に返した。
何だか分からねぇけど、場所とか大勢のプレイヤーが見てるとか、恥とか外聞とか関係なしに、
アイツに応えてやらなきゃいけない……そんな妙な胸騒ぎがしたから。
なんだ……アイツの背中……あんなに小さかったっけか……? 
それに「遅れるかも」って……。


「朔……?」















******************











『おねえちゃん……』
「すまんな……。アンタも道連れになってまうけど……構へんか……?」
『……ハセヲにいちゃんの、ためなら……ぼく、いいよ……?』
「……スマンなぁ」


カールを止める。
生半可な覚悟では達成できない、達成率0%に近いミッション。
ハセヲと別行動を取ると言い、カオスゲートの奥に消えた朔。
彼女は今……グリーマ・レーヴ大聖堂の前まで歩みを進めていた――――――――――――


「ねえさまは……いつもココにおった。
 大事な試合の前はいつも、この大聖堂の中でずーっと立って……。
 決勝が始まっとらん今なら……必ず中におるはず……!」


否応無しに感じる不吉な気配。
ハセヲの話によるとカールも実は碑文使いだったらしい。
それもハセヲ同様に第一相、スケィスの。
いつもの朔ならば「何やのソレ、お揃いか?」と茶化したかもしれない。
だが胸中は複雑だった。一度に解決しなければならない問題が山積みなのだから。
例を挙げると、


その1.自分にカールが倒せるだろうか? 無理、あらゆる面で勝てる要素は皆無。
その2.憑神同士の戦いに持ち込めばどうか? 無駄、眼前の大聖堂から感じる禍々しい気配がそう語っている。
その3.せめて説得できないだろうか? 無謀、自分がカールの立場ならば絶対に耳を貸すはずがない。


と言う具合に。
女の情念と執念が齎さんとする悲劇と惨劇……未然に防ぐならば、今しかない。
余計なお節介かもしれないが、朔とてカールの気持ちは理解できる。
恋愛というものは理屈ではないし、そう簡単に諦めきれるものではないコトを朔は知っている。


「道成寺の清姫も……こないな気分やったんかな……」
『きよひめさま……?』


朔と望のリアルのプレイヤー……中西伊織の住む和歌山県に伝わる「安珍清姫伝説」。
後世になって付け加えられたエピソードが多いものの、
代表的な話のラストは蛇に化身した清姫によって鐘の中に隠れていた安珍が焼き殺されてしまうもの。
……カールに、そんなことはさせない。
そんなことをさせる前に止めなくては。


「(ハセヲは……ウチらで守るんや……)」


だがどうだろう。
口ではそう言っているものの、一向に大聖堂の扉を開けることができない。
無論、鍵などかかっておらず、少しコントローラーの操作ボタンに力を入れれば開くはずなのに。
理解(わか)る。
扉の奥に、想像を超えた恐ろしい者が待っていることが。
もう朔が知っていた頃のカールではなく、1人の男のために世界中を敵に回すことを誓った女が居るのが、理解る。


「(……カールねえさまは、ウチらが止める!)」


ここから先は朔達にとって未知の領域。
正直、気が狂いそうだ。
脈拍も息遣いも荒く、心臓が高鳴っている。
しかし恐怖を増大させる凶々しい気配に怯む事なく、とうとう朔は大聖堂の扉を開き、そして視た。
《The World》に存在する総ての邪悪と悪徳を孕んだ大聖堂の中――――――――――――阿修羅姫が、静かに佇んで居るのを。          【 TO BE CONTINUED... 】

戻る】【第37話

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます