「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

「君が知識の蛇を訪れるとは珍しい」
「あたしにレイヴンのゲストキーを渡したこと、忘れたとは言わせない」


黒衣の魔女の来訪を、僧形の賢人が意外そうに見つめていた。
彼女が此処を訪れるなど、今後ありはしないと思っていただけに。


「確かに君は一時期、第一相“死の恐怖”スケィスの碑文使い候補だった。
 カール、いや仁村潤香……君はある意味、ハセヲ以上にスケィスとの関わりが深い。
 チーターとして、またPKとして世界に毒と悪意を撒き散らそうとした君が女神に愛されるとはな」
「それって嫉妬? 
 言っておくけど、アウラがあたしを選んだんじゃない、あたしがアウラを選んだの。
 あの子と一緒に居れば、それだけ楚良とも一緒に居れるってことだったから……だからあたしは、世界に挑んだ」
「モルガナとの確執か……」


カールはドットハッカーズではない。
スケィスにデータドレインされて未帰還者となった者はドットハッカーズには含まれないからだ。
しかしメイガスを開眼させたクーンもやはり2010年においてスケィスにデータドレインされているし、
カールもまた2017年になってスケィスの碑文使い候補として覚醒の兆候を見せていたフシがある。
志乃のPCがイニスを開眼できずアトリにその権利が移ったように、もしかしたらハセヲではなくカールが
正式なスケィスの碑文使いとしてG.U.入りを果たしていた可能性も多いにある。
最も、カールが《The World R:2》に戻ってきたのはAIDA事件が沈静化した後。
時期的に見てもやや遅かった。


「君は、我々よりも7年も前に《世界》に挑んだ……勇ましい限りだな。
 まさに、女傑と呼ぶに相応しい」
「女傑とか、そゆんじゃない。
 知ってるだろ、R:1の製作者はあたしの親父だ。可愛い反抗ってヤツ?
 ハロルド・ヒューイックの持ち込んだ“フラグメント”をブラックボックスの解析も終わらないうちに
 ゲーム化したせいで今のこの世界があるっちゃあるけど……肝心のアウラはもういない」
「究極AIとなった彼女は電脳の海に眠りについている。
 私のやろうとしたことは、そんな彼女の眠りを妨げるに等しいことだった。
 愛されなくて当然だ、誰も気持ちよく眠っている時に起こされたくはないだろう?」
「アウラが居眠りしてたからAIDAがこの世界に侵食して来たんだろ?
 遅かれ早かれ、あの子は目覚めてたと思うけど。
 三騎士を生み出しても除去ができなかったからあんた達を頼りにしたワケだしさ」


アウラの誤算は、ハセヲが三爪痕こと蒼炎のカイトを倒してしまったこと。
これによりAIDA駆除に支障が生じ、結果的に蒼天のバルムンクと蒼海のオルカを急遽生み出すが
時間が足りなかったためにカイトに比べてやや不完全な印象の残るキャラエディットとなってしまっている。


「君は聡明だな。どうかね、高校卒業後、CC社に入社してみては」
「じょーだん。
 あたしは親父の跡継ぐ気なんかコレっぽっちもない。
 ハセヲに会わせてくれたことにはちょっとだけ感謝してるけど」
「それは残念だ」
「嘘ばっか。全然残念って顔じゃないだろ」


喰えないヤツ、それがカールの八咫に対する印象。
でも同時に何となくではあるが自分と同じ匂いも感じる気がする。
彼も彼なりに負い目のある人生を歩んできたのか。


――――あたしがG.U.入りしてたら、楚良のプレイヤーが今どこで何してるか、あんたは教えてくれたか?」
「それはできない、個人情報の漏洩は管理者の責務だ。例え以前のバージョンのユーザーの情報だろうと」
「つっかえな〜。ギブアンドテ〜クは常識、常識」


悪態をつきながら知識の蛇を出て行くカールを八咫は遠い目で見守る。
だが決してヒントを与えていないワケではない。むしろカールも薄々気づいていると思ったから口を噤んだだけ。
彼女もまた、女神に愛された者の1人である。故に八咫は敬意を払った、ただそれだけのこと。














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「新ロストグラウンドの公開?」
「『六鳴山アル・ファデル』、『曙光の都アーセル・レイ』、『バル・ボル美術館』の3つだよ^^」
「バージョンアップだぞぉ。他にも新モンスターや新アイテムも追加されてるよぉ」


ふーん。
トーナメントも近いし、追加要素でますます盛り上がってきたって感じだな。
俺もそろそろマジで準備期間に入った方がいいかもしれねぇし。
主催は八咫だからな……前に比べりゃ人間らしい表情するようになったけど
何考えてるのか分かんねぇのは相変わらずだ。
ただのトーナメントじゃないのは覚悟しておく必要がありそうだ。


「ハセヲはトーナメントに向けて修行とかしないの?」
「前はジョブエクステンドで強化したけど、今回は特にすることねぇな」
「ハセヲ、メチャクチャ強くなってるもんねぇ」


ガスパーの言う通り俺は欅に改造を受けてから……Xthフォームになってから
規格外の強さを手に入れることができた(俺が望んだったワケじゃねーけどな)。
けど《The World》っつーのは1200万近いユーザーが登録してんだ、
まだまだ俺達の知らない未知の強豪が潜んでる可能性だってあるワケで。


「痛みの森も攻略しちゃうハセヲだもん、今度のトーナメントだって大丈夫だよ」
「オイラ達もサポするぞぉ」
「わーった、わーったからw」















**********************















「(今のうちにカスタマイズ用のアイテム揃えておいた方がいーかもな)」


@ホームを出てカオスゲートへ向かう。
今の時点で一回戦に出場するのは俺、なつめ、ぴろし3だから……最低3人分の
カスタマイズ用アイテムを確保する必要があるってことか。
武器や防具に追加効果付けるだけで戦況がガラリと変わるのはアリーナバトルの常識だ
(かく言う俺も、紅魔宮トーナメントに出るまでンなコト知らなかったけど)。


「なんや、ハセヲもこれからエリア出るんかぁ?」
「よぉ。お前らか」


ゲート前に見知った魔導士(ウォーロック)PCが2人……朔とアイナだ。
望とならともかく、朔とアイナが一緒に居るのは珍しいじゃねぇか。


「お前らも確かトーナメントに登録してたよな。魔導士3人で大丈夫なのか?」
「えっと……私も最初はそう言ったんですけど……」
「大丈夫に決まっとるやん、出るからには勝って勝って勝ちまくりや! ウチらの強さは泣けるでっ!」
「泣いてたまるかw」


どこぞのキンタロスみたいなコト言いやがって……まぁ、朔もあれから元気になったみたいで良かったな。


「つーか“俺も”ってコトは、お前らもこれからエリア散策なんだな」
「はい。新しいロストグラウンドが公開されたって聞いて……」
「アイナ、身体の方はいいのか?」
「……今は、みんながいるから」


アイナは今もドイツで入院生活してるって話だ。
再誕の影響で目覚めてからはかなり病状も良くなってるって本人は言ってるが
ゲームだってそんな無茶はさせられねぇし、ついこの間まで意識不明になってたんだ。
リアルでもゲームでもブランクは長くて当然だろうよ。
志乃の話じゃ、アイナは専ら戦闘もせずにタウンで過ごしてたっぽいし(フィロとアイナが会ったのもその頃なんだな……)。


「ちょうどええわ。ハセヲ、ウチらと一緒に来ぃひん? どーせ暇やろ」
「別に構わねーぞ。
 俺もちょうどロストグラウンドの話聞いて、見物に行こうって思ってたトコだし」
「じゃあ、私と朔をパーティに誘ってください」
「ん。ちょい待てな」


いつも思うんだけどよ、
パーティに誘う度にショートメール送らなきゃいけねぇシステム何とかなんねーかな。
面倒っつーか、目の前に誘う相手がいんのにいちいちメール送るのも、何だかな……って感じだ。


「ほんなら行こか!」
「待って、朔。まだどこのエリアに行くか決めてないよ」
「新公開のロストグラウンドだろ? 3つのうち、何処に行きたいんだ?」


俺は何処でもいいけどな。
高レベルのモンスターが出るワケでもねぇし……。


「せやな……ほんなら『曙光の都アーセル・レイ』にせぇへん?」
「アーセル・レイか……アイナもそこでいいか?」
「はい」
「決まりだな」












******************











曙光の都アーセル・レイ。
都って割には、それらしいもんはなーんにも見当たらねぇ。
馬鹿でけぇ月と、地面から生えた妙な呪紋が刻まれたトーテムポール、東の空をわずかに照らす光。
まぁ、星とか好きな奴は見てて楽しいロストグラウンドかもな。
基本、暗いエリアだし。


「アホやなぁ。夜明け前が一番暗いってゆーやん」
「まーな。……アイナはこういうの好きか?」
「兄さんとはいつも秘密の部屋でしか会ってなかったから……こういうの、見たことなくて……でも、好きかも」
「なんやこーいうの見てると、無性にたまらん気持ちになってくるから不思議やわぁ……」


朔の言ってるコト、分からないでもない。
たまにそーいう気分になることあるしな、俺の場合は朝焼けじゃなくて夕焼けだけど。
見飽きたはずの黄昏がこんなに綺麗だと泣いたこともある。
でもゴールのつもりでリセットボタンにゃ飛び込まなかったぞ、さすがに。
結果的に蒼炎のカイトのデータドレインで初期化されちまったがな。


「兄さんが居れば……よかったのにな」
「……」
「な、なんや、そないにしんみりせんでもええやん……ウ、ウチ、そういう雰囲気苦手やのに……」


あんま感傷的になっちまうロストグラウンドはダメだな、こりゃ。
塞がりかけてた傷開いてどうするよ。
アイナの空色の髪が項垂れる前に、俺にできることは―――――――――。


「……ハセヲ、さん?」
「オーヴァンは……きっと何処かで見てる。だから、アイナも哀しい顔すんな」


頭のでっけぇリボンごとアイナの頭を撫でてやる。
そうだ。夢でも幻でもない、確かに俺はあの時……痛みの森でアイツに、オーヴァンに……。
アイツは世界に溶け込んで、俺や志乃、アイナのことをきっと……だから。


「お前は、泣いちゃいけない。
 お前の兄貴は俺の前で一度も泣いたりなんかしなかった。
 絶対にお前を救ってみせるって思ってたから……涙の流し方も忘れちまうくらいの覚悟決めてな。
 だからアイナもオーヴァンに応えてやってくれ。お前が哀しい顔すると……アイツもきっと哀しいだろうから」
「……」
「(アホか、ハセヲは。泣きたいの我慢させてどないすんねん!
 女は泣いた回数だけ強ぅなるって知らんのかいな、こういう時は思いっきり泣いた方がアイナのためにも―――――)」
「……そうですね。兄さんに、笑われちゃいますね」
「(―――――ってアレ?)」


アイナだって分かってるはず。
AIDAに心を喰われた時からオーヴァンの行動を垣間見てたお前なら、アイツの苦悩や想い、全部。
泣いちゃダメなんだ。オーヴァンの頑張りを無駄にすんな。胸を張って生きろ。
アイナ、お前が今一番しなきゃならないのは……生きることだ。
ただ生きるんじゃねぇ、笑いながら生きろ。どうせ生きるなら人生をもっと楽しめ。
オーヴァンのいない現実(リアル)は辛いかもしれねぇけど……それでも、生きてくれ。


「……私、今日はもう落ちます」
「え、なんや、もうかいな? レベル上げせんでええん?」
「うん……大切なこと教えられて……胸がいっぱいだから……今日は、ずっとそのことだけ、考えたいの」


時間が必要なんだな、アイナには。
死して終わらぬ夢を焦がれども、確かな君こそ我が命―――――オーヴァンの望んだ結果を生きろ、アイナ。
それでも辛いってんなら……俺が、俺達が、いつでも受け止めてやるから。


「……ハセヲさんって、兄さんみたい」
「俺は……お前の兄貴みたく、大人じゃねぇし……全然似てねぇよ」
「そんなことない。優しいところ……そっくり、です」
「(うわ、こらアカンわ。まーたハセヲの毒牙かかった犠牲者が出てもーた……)」
















************













「まー何ちゅーか……アンタ、たまにはええコト言うやん」
「あん? 何が」
「さっきのアレ、アイナにゆーた言葉。並の女ならコロッとイカされとるで」
「馬鹿言え」


アイナと別れた後、俺達はトーテムポールに登って終わるはずのない夜明けを見続けていた。
このロストグラウンドは永遠に夜明けが来ない。
ただひたすらに薄明かり、曙光が地平の彼方を照らし続けるのみ。


「ハセヲはアイナみたく、ちっこい子が好みなん?」
「何だ、お前は俺のそーいうとこに興味あんのか」
「アホ抜かせや。幼女趣味やないか聞いとるだけやっちゅーねん」
「(12歳はさすがにもう幼女って歳でもないだろ……常識的に考えて……)」


つーかそれ言ったらお前だってアイナより1コ年下だろ。
あれ、でもコイツの場合は人格だから肉体年齢よりも精神年齢ってことになんのか?
……考えても仕方ねぇか。


「誰かにな」
「ん?」
「誰かに必要って思われるのってな、口じゃ言ぃひんけど、めっちゃ嬉しいことやねんで。分かるか?」
「まぁ、そりゃな」


俺も前はそうだったから。志乃の傍に居れて、志乃に必要とされて、志乃のためなら、って。
俺はあんまそーいう気持ち、面と向かって言うことはねぇけど……多分、嬉しいんだと思う。


「アイナは、ハセヲに感謝しとった。
 アンタとアイナの間に何があったんかは大体察しつくさかいに追求はせぇへんけどな、
 これからもあの子の傍に居たって。ウチからの個人的な頼みやけど……」
「言われなくたって、そのつもり」
「なら、ついでに……」
「何か言ったか?」
「……何でもあらへん。空耳や、空耳ケーキ!」
「ピアノは世界の夢咲く野原にメロディー?」


あずまんがが流行ってから妙に4コマ漫画業界が賑わって……って話逸れたな。
さすがに2017年ともなると4コマ漫画も衰退したけど。つか、お前は何が言いたかったんだ、朔。


「とっ、とにかくやなぁ!
 トーナメントでもし対戦したらボッコボコのギッタギタにしたるから覚悟しぃや!
 望のことでアンタには世話なっとるって思っとるけどなぁ、エン様の恨みはまだ忘れたワケやあらへんからな!
 エン様やお客の見とる前でせいぜい恥かかんようにしとき! ウチらの強さは、ホンマ泣けるでっ!?」
「へーへー、わーったよ。んじゃ、俺も落ちるぞ」


朔も相変わらずだな、まだエンデュランスのこと諦めてなかったのか。
一時は消えようとか言ってたクセに……まぁ、コイツもコイツなりに自分が必要とされてることに気づいたから
今こうやってここにいるワケだし……いーんじゃねぇのか、こういうのもさ。


「ハセヲ!」


ログアウトの光に包まれて消え去る刹那、俺の名を呼ぶ朔の声が聞こえた気がする。






「また遊んだってや!」
「おう。またな」






……たまには、こんな日も悪くねぇか。


【 TO BE CONTINUED... 】

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