「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『危険が身に迫った時、逃げ出すようでは駄目だ。
 かえって危険が二倍になる。
 しかし決然として立ち向かえば、危険は半分に減る。
 何事に出会っても決して逃げ出すな。
 決して!』                                                                             【ウィンストン・チャーチル  イギリスの首相】

「なッ……何やの、それ……ッ!?」


朔は驚愕する。
攻防一体モードに変化させたゴレが“機能停止(フリーズショット)”なる技で
全く動けなくなってしまったのにも驚いたが……今、目の前で起こっていることに比べれば差は明らか。
何だ……何なのだ、アレは……!?


「(AIDAが……完全に侵食……ッ!?)」


カールの全身に疾る紅。
群青色のドレスが見る見る紅い血管に染まっていく、その過程。
血染めの紅。
女が、異形へと姿を変えるプロセスは醜くも美しさすら感じる程に流麗。
あれだけ息苦しくかった憑神空間が、更に吐き気を催す位の異空間へと変わるのが分かる!


「ふぅ〜。激情態(B-stフォーム)……参上ぉ〜」
「(激情態(B-stフォーム)……ッ!?)」


ハセヲで言うところのXthフォームのようなものだろうか。
いや、この禍々しさのレベルは寧ろ3rdフォ−ムに雰囲気が似ている。
アレの何万倍、何十万倍も気味の悪いの気配だが……この静寂が逆に恐怖を引き立てるのが尚更怖い。
しかしAIDAに侵食されてもカールの自信は揺るがない。
圧倒的な実力差を、否応なしに感じさせてくる……!


「侵食率40%ってところかな」
「(40%やて……? 40%で“アレ”なんかッ……!?)」


以前、カイトが腕輪を使ってウイルスバグをデータドレインしていた頃。
あまりにデータドレインを繰り返すと侵食率が進行、その都度、予想も出来ない異常が
彼に現れていたのは記憶に新しい。
カールもまたアウラによって選ばれた“女神に愛される資質を持つ者”。
アウラは最終的に黄昏の書を蒼海のオルカに渡し、彼に腕輪を使用してもらおうと考えていたが
腕輪はオルカではなくカイトの手に。
つまりはカール→カイトの順番で腕輪のバトンは続いていたワケだ(更にカイト→シューゴと続くが)。
腕輪を使用し尚且つAIDAも完全制御できるカールならば、侵食率の増減コントロールも容易いはず。
敢えて40%に留めたのは、今夜のトーナメント決勝にてハセヲと戦う時に余力を残しておきたいからに他ならない。
AIDAとの完全な同調(シンクロ)……榊やオーヴァンですら成し得なかった、
まさに異形の偉業……とでも言えばいいのか。


「紅は血の色、死は闇の色……あたしもここまでしたくなかったんだよ……朔ぅ?」
「っ……!?」
「でもさ……アンタがあたしの邪魔するとか言い出しちゃうから……こうなったワケだし?」


紅(あか)だ。
空間の全てが紅に染まっている。
カールのドレスも紅、大鎌も紅、憑神も紅、憑神空間も紅。
唯一、銀色の長い髪だけが彼女のアイデンティティを誇るかの如く、異彩を放っている。
眼に焼きつく異様で異常な光景。朔が碑文使いでなかったら、とっくに発狂していてもおかしくなかった。
これが……カールの深層世界! 
なんて痛々しく、残酷で、自虐的な世界なのか。
眼に見えない針で全身を幾度も突き刺されている……そんな幻痛(ファントム・ペイン)すら感じる。


「ごめんねぇ……クスクス」
「(こっ、殺される……ッ!)」


ブォンと妖しく光るカールの右腕。
CGながらも美しく処理された細腕に、薄碧色の腕輪が浮かぶ。
碑文使いならば誰もが扱える必殺中の必殺――――――――――――データドレイン。
AIDAを完全消去し、プレイヤーを意識不明にさせ、最悪の場合は精神的な死をも齎す禁断の秘技。
今の彼女ならば躊躇無く、朔を消すだろう。
自分の障害になる相手ならば慈悲は無用……あの笑みは、そんな笑みだ。














「おやすみ……朔」
「あぁ……あああああああああああああぁぁああああああぁぁああああああぁぁぁ!!!」















逃げ場なんてない。
ここはカール(彼女)の世界なのだから。
頼みの綱のゴレもフリーズショットによって機能停止状態、もう朔に成す術は残っていない。
呪紋を唱えようにもこんな不安定な精神状態では焼け石に水、到底データドレインを防ぐことなど出来はしないだろう。


「(あかん……ダメや……ハセヲ……ウチ、役に立てんかった)」


死を覚悟した。
特に朔は精神生命とも呼べる存在、データドレインを喰らえば完全に現実(リアル)と切り離される。
死だ。
死ぬのだ。
望と一心同体である以上、望が歳をとって死ねば、朔も共に死ぬ。
それは遥か遠い先の話だと思っていた……いや、一度は自分で消えることを選んだこともあるけれど。
アイツの……ハセヲのおかげで、もう一度踏みとどまることが出来たのに。


「(ごめんなぁ……ごめんなぁ……)」


あの光がこの身を貫いた時、消える。
だが。
寸での所で、もう一条の閃光が、カールの放ったデータドレインに割り込み――――――――


「……ナニコレ。薔薇の花びら?」


データドレインに割って入った光。
極彩色の紅空間を更に美しく彩る無数の薔薇の花弁と成る。
一枚一枚が朔を守るように舞い、巨大な花弁の盾となってデータドレインを弾き返してゆく!


「千の偽り万の嘘。言葉の裏には針千本。きみ……僕に釣られてみる……?」
「あっは〜ん? これはこれは……“元紅魔宮宮皇”のおでまし?」


吹き荒れる薔薇の花弁の嵐の中、かつてドットハッカーズと呼ばれた碑文使いの参戦。
旧PC名はエルク。
現PC名は――――――――――エンデュランス!


「エッ……エッエッエッ、エン様っ!?」
「大丈夫? ストーカーちゃん……」


もうダメかと思ったその時、朔の周囲を優しく取り囲む薔薇の花弁。
それが何であるかを理解するのに数秒かかってしまったが、朔はやっと理解した。
これは第六相 誘惑の恋人マハの薔薇の花弁!
そして、その憑神を操るPCと言えば《The World》で唯1人!


「エン様ぁ……。
 うわぁああぁあぁああぁぁぁんっ、エン様ァァァァァァァァァッ!!!」


溜めに溜め込んでいた恐怖が決壊して、朔を叫ばせていた。
この危機的状況で、自分1人で何とかすると臨んだ決死行に、エンデュランスが駆けつけてくれた。
こんなに嬉しいことはない。彼が居てくれる、それだけで……恐怖が拭われていく。


「ハセヲを遠くから視てたら……君が、ハセヲと別れてカオスゲートを潜るのを視た……。
 気になって後を追ったら……こんなコトになっていた……だから、助けた」
「うぅ……ぐすっ、エン様ァ〜」


朔に抱きつかれながらもエンデュランスの臨戦態勢は崩れない。
既にマハを召喚、カールのスケィスと無言のままの睨み合いを開始している。
紅魔宮宮皇に甘んじていたとは言え、エンデュランスこと一之瀬薫もR:1時代からのヘビーユーザー。
経験だけならカールと同等と言えるだろう。
この、頼もしきネット中毒者(ジャンキー)は。


「おい、チート野郎がココに何の用? 
 ま、チートに関しちゃ、あたしもあんま他人のコト言えないけど」
「僕の嘘を安っぽく解釈されるのは……許せないな……。
 僕の嘘は……嘘のための嘘なんだから……そして、彼女と、ハセヲのための嘘……!」


エンデュランスの周囲を渦巻く空気が徐々に変質してゆく。
カールの憑神空間を、エンデュランスの憑神空間が侵食しているのか。
憑神が2体以上同時に憑神空間に存在すると暴走の可能性が高くなると言うが、今の時点で3体が
同一の憑神空間に存在していることになる(朔のゴレは完全にフリーズ状態ではあるが)。
だが敢えて暴走の危険を冒してまで朔を助けに来たエンデュランス。


「僕にだって……守りたいものくらい、ある」


ハセヲとの出会いを経て、そしてカイトとの邂逅を果たし、エンデュランスの心は光を完全に取り戻した。
もう、部屋の中に閉じこもっていた頃の彼ではない。
閉ざしていた窓を開くことを決めたあの時。
自分を、世界さえも変えてしまう瞬間はいつもすぐ傍にある……だから、守りたい!


「君がハセヲを大事に想っているように……僕もハセヲを大事に想っている……。
 哀しいね……君とは……分かり合えると思っていたのに……」
「じょ〜だんキツッ! つーか、ありえない」


朔を仕留めるためにデータドレインまで出したのに、
それを妨害されてややカールはヒス気味なようだ。
いつも感情を読まれないように奇妙な言動でポーカーフェイスを装いながらも
常に冷めた眼で周囲の人間を観察していた彼女。
ハセヲと揺光、ついでに三郎だけが唯一の例外、後はみんなカールからしてみれば空気に近い。


「君もハセヲの大事な人だから……出来れば傷つけたくはないけれど……」
「よく言う……揺光と戦った時だって容赦なんかしなかったクセに……w」 
「でも……同じハセヲを想う者だからこそ……僕は、君を止めたい……!」 

 
巻き上がる花弁の嵐。エンデュランスは本気だ。
元紅魔宮宮皇のエンデュランスと元碧聖宮宮皇のカール……肩書きを越えた、もう1つの戦い!


「さあ……フィナーレの時間だよ」                                                                          【 TO BE CONTINUED... 】

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