「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『恐怖は暗黒面へと繋がっておる。
 怒りを招き、怒りは憎しみを、憎しみは苦痛をもたらす。
 ……お前には、恐れがある』                                                          【ヨーダ  「スターウォーズEP1 ファントム・メナス」より】



『■■■■――――――――――――――――――――――!!!!』
『□□□……!?』


強襲を仕掛けてきたカールのスケィスゼロ。
巨人(アトラス)の剛力が、ハセヲのスケィスを捻じ伏せる。
ハセヲのスケィスも何とか抵抗を試みようともがくものの、いかんせんパワーが違いすぎる。
グリーマ・レーヴ大聖堂ではハセヲに手も足も出なかったカールのスケィスゼロが
ハセヲと彼の憑神に肉薄し、力を誇示しているこの光景。
いくらチートとAIDAの感染によってカールのステータスが著しく急上昇していても、
これは明らかに異様な光景であった。


「(俺のスケィスが押し負けてる……!? 何つーヘヴィなパワーだ!!!)」


ハセヲが欅によってXthフォームに改造された際、
スケィスもハセヲ同様に進化を遂げて3rdフォームへと変体した経緯がある。
ならば、カールのスケィスも彼女がB-stフォームに進化したことに同調(シンクロ)、
あのような凶々しいパワーを発揮するに至ったのではないか?
いや……何かが違う。
相手のパワーが圧倒していると言うよりも、むしろこちらのパワーが――――――――――――――


「Abracadabra(この言葉のようにいなくなれ)」
「!?」


つい今まで所々に広がっていたヒビ割れ、そしてそこから漏れていた微量な光。
カールの合図と共に、それらが完全に閉じた。
辺り一面が闇色に染まり、徐々に周囲の光景が黒のペイントによって塗りつぶされていく。
今までに体感したことのない未知の憑神空間。
これまで戦ってきた碑文使いの誰よりも歪んだセカイ。
タナトス(死)とエロス(生)が手を取り合い踊る。
ここは、グランギニョルな愉しいセカイ。


「ハセヲ。この憑神空間は“あたしの世界”だってコト、忘れてない?」
「……」


カールの姿は見えない。
闇に乗じて隠れているのか。
だが声だけはハッキリとハセヲの頭の中に響いてくる。
多分、デス・ランディがハセヲの頭の中に直接話しかけてきた時のような方法なのだろう。
スケィスが圧倒されたことで一瞬失念していたが、カールの左肩に生えていたAIDAは間違いなく
オーヴァンの左肩に侵食していたトライエッジだった……どういうことだ!?
もうAIDAはオーヴァンが起こした再誕によって全て滅んだはず……しかし、目の前の現実を受け止めねば。
カールはAIDA、それもトライエッジに感染している。
《The World》で起こった全ての事件の元凶たるトライエッジが。
……もう一度倒すしかないのか。


「暗黒天国(Ciel sombre)。
 この空間に足を踏み入れた奴は、あたしとスケィスゼロ以外……五感を奪われ、ステータスが著しく低下する」
「(……そういうコトか)」


古来より人は闇を恐れてきた。
拝火教の異名を持つゾロアスター教。
その教義の中にも光の神アフラ・マズダと闇の神アンリ・マンユが長く正義と悪の戦いを続けている、とあるように。
光と闇の果てしないバトル。
光は戦いの末に闇に打ち勝つ、と開祖ザラスシュトラ(ツァラトゥストラ)はかく語りき。
だが……どうやら彼も、よもやこれ程の闇が人の心の内に潜んでいようとは見抜けなかったようだ。
無理も無い。
この戦いに正義はないのだから。
悪の華が咲き誇る素敵空間。
欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい。
楚良が欲しい。
そんなカールの想いが詰まった、とってもとっても暗くて寂しい場所。


「ほら。早く楚良を出してよ」


カールが再び頭の中に語りかけてくる。
視えない。
自分の立ち位置すらもはや把握は不可能。それ程に濃い闇の中に居る。
スケィスらの唸り声も聞こえて来ない……
恐らく、ではあるが。
この闇が防音の役割を果たしているのかもしれない。
ならば彼女が直接ハセヲの頭に話しかけてきたことも理解できる。


「(スケィスに命令するのを防ぐためか……)


碑文使いと憑神は神経的にリンクしてはいるものの、
こう真っ暗ではどのような戦いを展開しているかも視認出来ず、命令しようがない。
思い切って「ガンガンいこうぜ」とでも心で念じて命令してみるか? 
否。
スケィスもハセヲ同様に左腕を魔刃ノ召還にて切断されてしまっている。
現状のまま片腕では対抗しきれないだろう。
無茶をさせるよりはスケィス自身に戦いを任せ、こっちはこっちで行動するしかない。
幸いなことに憑神はスタンドと違って適合者から離れてもパワーが低下する……などということもない。
と言うか、既にこの真っ暗な空間のせいでパワーが下がってしまっているし。
カールの狙いは、ハセヲと彼のスケィスの分断にあったのだ。


「(左腕が使えねェ以上……右腕だけでやるっきゃねーな……)」


今のハセヲは、スケィスが喰らった碑文の力を使用することが出来る。
さっきはアトリのイニスの力を使って幻惑をカールに見せ、虚を突けた。
では次は何の能力を使用すれば、この状況を打破出来るか?
ハセヲも各憑神の能力を全て使いこなせる、というワケではないのであまりに高度な能力は使用できない。
先程のようにイニスの能力によって「聴力」を強化したりと、基本的なことならば可能ではあるが……。


「(音が聴こえねぇ以上は……聴力を強化しても無意味、か)」


この暗黒天国なる世界は光と音を遮断し、敵のステータスを低下させる憑神空間。
闇は五感を奪い、やがて人を発狂へと導く。そして恐怖を呼ぶ。
恐怖は暗黒の使者。
怒りを招き、怒りは憎しみを、憎しみは苦痛をもたらす。
闇雲に動いたり、叫んだりすれば、それこそ彼女の思う壺。
こうやってハセヲを闇の中に閉じ込めることで精神的に追い詰めようと言うのだ。
冗談ではない。
昔から暗いのには慣れている方だが、さすがにコレを長時間続けられるのはヤバイ。
しかもAIDAに感染しているカールのこと、
以前AIDAが《The World》のサーバーを乗っ取ってAIDAサーバーと化した時のことを覚えているだろうか。
あの時と同様に、この闇の中で何時間、何百時間経過しようがリアルではほんの数分……などということも十分に有り得る。
……嫌な感じだった。
この薄ら寒さは部屋の中のクーラーが決して強いワケではない。
じわりじわりと、ハセヲの精神を闇が追い詰めている証拠。
急げ。
スケィスも取っ組み合いを続けているはずだが、いつまで持つか分からない。
こちらも……打開策を見つけ、さっさとこの試合を終わらせねば。


「(メイガスの“視覚”……こう真っ暗じゃ意味ねぇ……。
  ゴレの“味覚”……食うもんなんかココにはない……。
  マハの“触覚”……触るもんが武器くらいしかねぇな……。
  タルヴォスの“嗅覚”……血と石油みたいな匂いで鼻がどうにかなりそうだ……。
  フィドヘルの“第六感”……シックスセンス……シックスセンスか……!)」


然(しか)り。
闇によって五感全てが失われても、第六感(シックスセンス)が残っていた。
元々は八咫の憑神、第四相“運命の預言者”フィドヘルの能力ではあるが、今のハセヲならば使用できるはず。
第六感の強化と預言能力。
その他の憑神の能力がこの空間内では意味を為さない以上、賭けるしかない!


「(……何か始めるつもりなの?)」


闇に姿を溶け込ませ、ずっとハセヲの動向を見ているカール。
この闇全体が彼女の目のようなものであり、ハセヲの行動は全てお見通し。
無論スケィスの動向も把握済みだ。
ハセヲのスケィスは未だにカールのスケィスに押さえつけられ続けている。
邪魔は入らない。
ハセヲとゆっくり愛し合うことができる(過激な意味で)。
が。
ハセヲの様子が妙だ。
こんな状況で慌てふためくような少年ではないことは知っている。
片腕を失いながらも闘争本能を失わない意志の強さは賞賛モノだ。
だが、今しがた何か考え事をしていた彼の目つきが変わったのをカールは見逃さなかった。
この暗黒天国を打ち破る方法でも見つけたというのか?
ありえない。
今のB-stフォームの侵食率は60%。
数刻前にエンデュランスと朔の2人と戦っていなければ、もっと侵食率を上げても良かったのだが
いきなりフルパワーでハセヲを倒してしまったら、楚良が出てきてくれないかもしれない。
あえて力を抑えながら、徐々に侵食率を上げ、楚良が1日目や2日目の試合の時のように出てくるのを待つのだ。
楚良はハセヲがピンチになると現れる。そのはずだ。
だからカールはピンチを演出せねばならない。
ハセヲが「こうすればカールに勝てるのでは?」という僅かな希望を抱いてくれれば儲けもの。
だって。


「(希望は絶望を引き立てる最高のスパイスだから)」


ハセヲを早く狩りたいと疼く左肩のトライエッジを抑えつけながら。
カールの口端が僅かに緩んで、哂っていた。                                                                   【 TO BE CONTINUED... 】

戻る】【第50話

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます