「.hack//G.U.」と「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と「LAS(LMS)」と「ゴッドイーター」と「仮面ライダーディケイド」の荒唐無稽恋愛活劇SSサイト(のつもり)。

『君の姿に、かつての勇者――――――――――あの彼の姿がダブる』                                【八咫  「.hack//G.U. vol.3 歩くような速さで」より】










ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ













「(一か八か、賭けるっきゃねーな。上手く精神集中出来るだろうか……)」


八咫の憑神、第四相フィドヘルの能力。
第六勘(シックスセンス)の強化と預言の力。
正直そういう眉唾な神頼み的能力を使用することには些か不安があるものの、この際贅沢はナシだ。
奇妙奇天烈摩訶不思議、奇想天外四捨五入、出前自足落書無用。
今までだって何度も自分はこの《The World》で奇々怪々な出来事に遭遇してきたではないか。
それらに比べれば預言などとるに足らず。
この何処までも広がる闇の空間・暗黒天国内で五感が役に立たない以上は五感を超越した力、第六勘に頼る他ない。
恐怖に飲まれる前にこの闇から抜け出さなければ――――――――――


「(喰われる……!)」


カールを止める、そう揺光と約束した。
その約束を反故にはしたくない。
確かに状況は圧倒的にハセヲが不利。
左腕を失い、憑神のスケィスに攻撃指示を出すことも出来ず、五感と光を奪われ、闇の中に囚われている。
おまけにカールはAIDA、それもトライエッジに感染してしまっていた。
本来ならば順を追って現在までの経過を整理したいところであるが、生憎とそんな余裕もなく。
いつ攻撃が仕掛けられるか分からぬ極限状況の中……ハセヲは静かに目を閉じる。


「(何をする気……?)」


ハセヲがこれくらいの闇で取り乱すような神経の持ち主でないことはカールも承知済み。
だがいくら強靭な精神の持ち主でも、長時間にわたり五感と光を奪われればやがて発狂に至るもの。
そこに付け入る隙がある。
楚良だ。
ハセヲの危機に反応して楚良が現れてくれる、そう踏んだのだ。
この闇の中は時間の流れが外界とは全く異なる異空間。
以前AIDAがAIDAサーバーによって《The World》内のプレイヤーらをログアウト不能にさせ
いざログアウトしてみるとゲーム内で何時間も経過していたにも関わらず、リアルでは数分しか経っていなかった……
あの時の事象を応用したもの。
カールの力ではない。
AIDA。
彼女の左肩で蠢くトライエッジによって為される異邦神の業。
常識では窺い知れぬ、科学を凌駕した奇蹟。
B-stフォームの侵食率60%となったカールだからこそ使用可能な、外道の知識である。













ズッ  ズ  ズ  ズ  ズ  ...
















「(!? なに……?)」


闇に身を溶け込ませ攻撃の機会を伺っていた(正確にはいつでも攻撃は可能なのだが)
カールの視界に、ハセヲ以外のモノが映る。
目だ。
それも4つ。
ハセヲの周囲に4つの目玉が浮かんでいる。
いや、少し語弊がある。
4枚の円盤状の物体に目が描かれているのだ。
ハセヲの身体の周りをクルクルと回転しながら、4つの目が四方を見渡している。
金色の円盤、その中央に硬玉を思わせる翡翠色の目玉が4つ。
カールは知る由も無かったが……あれは。


「(理解(わか)る……。全身を目にするってのは……こんな感じなのか……)」


八咫がオーヴァンへの嫉妬の末に暴走、開眼させた第四相・運命の預言者フィドヘル。
預言であり、予言に非ず。
神の言葉を預かる神託者にして求道者。
ハセヲのスケィスと激闘を繰り広げ、一節の預言を残してスケィスに碑文の一部を喰らわれた憑神。
無論、ハセヲの憑神はスケィスであり、フィドヘルは今も八咫の憑神として健在。
しかしながら八相全ての碑文を喰らったスケィスを従えるハセヲの中には
八つのモルガナ因子が存在している以上、スケィス以外の憑神の能力を使用することが可能なことは
先程のイニスの聴力強化能力によって実証済み。
けれどハセヲも実践したことがまだなく、どういった按配にて能力を使用すればいいのかはまだ完全に理解できていないし、
各憑神の能力を100%使用できるワケでもない。
が、今回に限っては五感全てを奪われた極限状況がハセヲの精神集中力を大きく向上させたと見える。
フィドヘルの目……具現化成功!


「カール」
「(……!)」


闇の中で彼女の名を呼ぶ声がする。


「……来いよ」


挑発。
彼は左腕を失い、憑神も使用出来ない。
妙な目玉円盤が4枚、周囲をグルグル廻っているだけ。
追い込まれているのは自分ではなく、どう考えても彼の方であるはずなのに。
なのに、何故。
彼の声は、彼の顔は、あんなにも自信に満ちているのか!?


「―――――――――――――――!!!」


堪りかねて。
カールは鎌を振りかざし、再度、魔刃ノ召還を発動する。
いつもの軽口は無く。
声にならない獣の咆哮と共に。
ハセヲの周囲の闇、そのあらゆる方向から。
幾重もの鎌が飛び出してくる。
暗闇の中でモノが動いてもそれを視認するまでにはコンマのロスが。
どんなに神経を研ぎ澄まそうが、人間の脳の処理能力にも限界があるのだ。
ハセヲは全て受けきることなど出来ない。
あの4つの目玉円盤でガードすることが出来ても……全部捌くことなど……不可能なはず。
なのに、なのに、なのに。
嗚呼、なのに。


「! どうして……ッ!?」


トーナメントが始まって初めて、カールが声を荒げ、叫んだ。
絶え間なくハセヲには鎌の雨が降り注いでいるのに。
1つも……彼に触れることすら、出来ていない!
彼のところに到達する前に、例の4枚の円盤目玉によって瞬く間に撃ち落されてしまうのだ。
遠隔操作型の能力? 
いや、当のハセヲは五感を封じられているのだから操作しようにも指示を出せなければ意味がない。
目も耳も意味を為さないはずのこの空間。
にも関わらずハセヲは、あの円盤目玉を駆使し、こちらの魔刃ノ召還を迎撃しているではないか。
何かが……何かがおかしい。
この暗黒天国はカールによって作られた彼女にとって都合の良い、より精度の高い憑神空間のはず。
その空間の中で束縛を受けず、五感無き状態で奮戦するハセヲ……
まさか、憑神の能力なのか。


「(スケィスじゃない……!
  こんなコトが可能な憑神の能力は……まさか、フィドヘルの第六感と預言……ッ!?)」


カール自身が八咫と戦闘経験があるワケではないので断言できないが
彼女の知識の中で導き出されたハセヲの能力の正体は、第四相フィドヘルの第六感強化能力!
つまりは……勘?
彼は、勘などという身も蓋も無い当てずっぽうに頼り、自分の攻撃を全て防いでいるというのか?
ありえない。そんなもの、認めるわけにはいかない。
不条理すぎる。
だが現実にハセヲはああやって―――――――――


――――――四滅光輪波」


ハセヲの呟きと同時に、4つの目の中央にエネルギーが集約していく。
その間は刹那。


「薙ぎ払えッ!!!」


闇に閉ざされた暗黒天国を照らすレーザー砲が4門。
迫り来る無限に近い鎌の群れを、叩き落していく。
ハセヲもフィドヘルの能力を使いこなせている……ワケではない。
この4枚の円盤によって得られる必要最低限の情報により、闇に奪われた五感を補っているに過ぎない。
カールの攻撃を全て捌ききることが出来たのは預言の力。
神託によって下される未来視。
それを刹那のタイミングで頭に叩き込み、迎撃。
あの地獄の8ヵ月を経験したハセヲ以外では到底制御不可能なこの能力。
本家の八咫と比較すればせいぜい30〜40%しか引き出せてはいないだろう。
が、この状況に限定すれば……十分すぎる。


「くッ……!」
「其の左腕には異形の鍵を。
 其の右腕には黄昏の鍵を。
 終の波、再誕の波涛。
 光となりて世界を満たす。
 其は新たなる神々の黄昏のを招く者なり。
 破壊者にして創造者、そして無力なる者―――――巨大なる影の、蹄の音とともに。
 ああ、小さき者の幸せあれ……」
「なに、それ……」
「さーな。何だろうな……俺も識らねーよ」


パキリ。
4門のレーザー砲が穿った隙間から空間全てにヒビが走る。
崩壊し、剥がれ落ちていく闇の壁。
戻ってくる五感。
今しがた、ハセヲとカールが普通に声を発して会話をしたのが何よりの証拠。
カールの暗黒天国はここに敗れた。


「反撃開始、ってワケだ?」
「反撃? ……そりゃ違うぜ。
 俺もやっと理解(わか)り始めてきたトコなんでな……ハロルドの作った、このゲームの――――“本当の遊び方”ってヤツに!」               【 TO BE CONTINUED... 】

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